妖怪学園Y エンマ大王復活の軌跡 作:伝説の妖怪マスター
時間経つの早すぎ……早すぎない?
ちなみに、オリ主は大王路エマの兄こと大王路カルマくんです。
中々良いキャラの立ち位置を作れたと思いますね(自画自賛)
「エンマ大王様!正気ですか!?」
エンマ宮殿、最上階の王室にて。
議長であるぬらりひょんが、目の前の存在、エンマ大王に向けてそう問う。
「あぁ、これは決定事項だ。オレたちが助かる……いや、奴らを倒すにはこの手しかない」
「まだ!まだ手はあるはずです!彼らを、妖怪探偵団の力を借りましょう!ケータやフミカ、それにナツメたちならば――」
「ダメだッ!」
今まで幾度となく人間界、そして妖魔界を救ってきた彼らに再度頼るというぬらりの提案を、エンマは一蹴した。
その気迫に押され、ぬらりは半歩後退する。
「……奴らの力は未だ未知数だ。ミケッティオ……さらには空亡を超える驚異かもしれない」
「だから、彼らを巻き込みたくないと……?」
「その通りだ。今までは、勝手に首を突っ込まれてたけどな」
正確には少し違う。
巻き込みたくないというのもそうだが、ケータたちウォッチャーは切り札だ。
奴らに対する、最後の切り札。
無作為に彼らに助けを求め、彼らも奴らに殺されてしまえばそれこそ妖魔界、そして人間界に希望はない。
「わかり、ました。彼らへの援助は無しとしましょう。ですがエンマ大王様、貴方がやろうとしている事は禁忌に触れている」
禁忌に触れる、すなわち禁術。
それは妖魔界に古くより伝わるもので、使用すれば妖魔界の存続に関わる大厄災を招く。
かつて禁忌を犯し、死者を創り出す能力を得た暗黒神エンマの妖魔界が滅びてしまったように、禁術の力は絶対なのだ。
「大丈夫だ。どのみちこのままじゃ妖魔界は滅ぶんだからな。それに、禁術についてはあいつらのお陰でよく知ってる」
「三神エンマの事ですか」
三神エンマ。
別世界のエンマ大王が禁忌を破った姿であり、暗黒神エンマもその一体である。
暗黒神の他には。
あらゆる刻を支配し、あらゆる間違いを正そうとした時空神エンマ。
正しき者と悪しき者関係なく、平等に焼き払う太陽の力を得た、太陽神エンマ。
彼らのおかげで、エンマは禁術についてよく知っている。
現状を打開する事の出来る、唯一の禁術も。
「ハハッ、みんな驚くだろうぜ。なにせ、気付けば人間に転生してるんだからな」
「ですが、これも致し方ないこと。民の皆も納得してくれることでしょう」
「そうだな。あぁ、そうだといいな」
妖魔界の民、そしてシンやタエ、妖怪探偵団の面々。
目を瞑りながら彼らに想いを馳せ、そして覚悟は決まった。
エンマは玉座から立ち上がり、王室の中心に立つ。
すると突然、エンマを中心にしていくつもの魔法陣が浮かび上がった。
このまま妖術が完成すれば禁術は発動し、奴らを倒す布石を打てる。
だが、そんなものをそう易々と見逃す奴らではない。
『膨大ナ妖力反応ヲ感知!エンマ!発動者エンマ!直チニ対処スル!』
「そんな事、させるわけがなかろう!【裁きの超波動】!」
どこをどう見てもエイリアンか宇宙人にしか見えない奴らに対し、ぬらりは容赦なく必殺技を使用する。
見事命中したエイリアンの体は消え去り、本体であるウイルスも妖力を流されたことにより消滅した。
その後も、ぬらりはエンマを守り続ける。
まず、左腕がもがれた。
妖力の消耗でふらついた一瞬を突かれ、鋭い鉤爪でやられたのだ。
次に、右足を切り落とした。
右足にエイリアンウイルスを注入され、増殖を食い止めるために自ら切除したのだ。
時間が経過するたびに、ぬらりの体には大小の傷が出来てゆく。
だが、ぬらりひょんとて妖魔界でも有数の実力者。
エンマを守るために躊躇なく暴走し、エイリアンたちを退ける。
だがそれでも消耗戦には弱く、一時間もしないうちに限界が訪れてしまう。
「ぐぅ……!大王様!もはや限界でございます……!」
「よくやったぬらり!禁術はもう、発動したぞ!」
エンマの周囲を取り巻く魔法陣は、既に妖魔界全体にまで範囲を広げている。
それはつまり、禁術が発動したという事に他ならない。
エンマ達が出来るのは、ただ身を委ねるだけ。
「……あとは、人間界にいる
「はい。無事、人間界の何処かで合流できることを願っております」
「今回ばかりは、妖怪探偵団の力は借りられない。オレたちだけでなんとかするぞ、ぬらり」
「御意……!」
瞬間、魔法陣が眩いほどに輝き始めた。
すると、魔法陣の中にいた妖怪だけがその姿を消していく。
それはぬらりとエンマも例外ではなく、少しずつ体が透けていっている。
そして、妖魔暦6041年。
妖魔界、人間界から、全ての妖怪がその姿を消した。
◆◇◆◇
Y学園、巨大図書館。
およそ学校が保有する量以上の書架が収められたそこに、一人の人物が現れた。
外見はあくまで人間だが、異常なほど白い肌、紫の唇など、およそ人とは思えないその人物。
男は誰もいない図書館を歩き回り、やがて一冊の本を手にする。
燃える炎が赤く、朱く装飾され、他に特徴らしい特徴もなく、タイトルすら記されていないその本。
けれど男、臼見沢ハルヒコはそれに疑問を呈さない。
そしてハルヒコは本を机の上に置き、迷いなくページを捲った。
「これがあったのも、一年前ですか。月日が経つのは早いものですね……」
その本に載っているのは、既に終わった物語。
12人の少年少女が命を賭し、”全て”を守った物語だ。
その中心に立っていた彼を思い、ハルヒコは微笑を浮かべた。
――オレはただ、エルナを――
そして、元妖怪の教師は過ぎ去りし時を回顧する。
一話から時間軸飛びスギィ!と思った方はすみません。
ていうか今更ですが、今作は初見でもわかるようにするのが理想ですが原作知識があるのを前提として描写する場面が多々あります(矛盾)
輪廻、極妖怪に関してはググってください。