妖怪学園Y エンマ大王復活の軌跡   作:伝説の妖怪マスター

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気付けばY学園終わりそうですね。
ムー大陸とアトランティス、どちらも都市伝説としては有名なものです。
妖怪ウォッチ3でもヌー大陸が出ていましたね。

アトランティスについて書かれた書物、ティマイオスは寓話というジャンルの哲学書だそうで。
これによるとアトランティスは大西洋の真ん中にあり、かなり文明が栄えていたらしいです。
しかし大地震と大洪水により呆気なく海の底に姿を消し、それがのちに世界規模の神話になったと。

それにしても、「アトランティスがないなら作れば良い」と言って本当に作ろうとした話は中々に笑えますね。
ちなみに建国者はジョン・L・モットで、1917年に建国したらしいですよ。
本気で国として活動しようとしたその行動力は本当に凄まじい。


第2話 夢

炎の音がバチバチと、定期的に耳を刺す。

意識が覚醒すると同時、酷く怠い四肢に力を入れ、今の状況把握に努める。

 

「……あ……」

 

火にでも当てられたのか、そんな呟きを溢すだけで喉が痛い。

そして瞼を開けると、巨大な炎が視界を埋め尽くした。

網膜を焼き尽くさんばかりの光量だが、しかしなぜか落ち着く。

オレは、そんな場所に立っていた。

自分自身の感覚さえもあやふやな状況。

 

困惑よりも先に、『あぁ、またか』と呆れの感想が出てくる。

しかし、それも無理はないだろう。

なにせ、既に両の指では足りないほどこの()を見ているからだ。

 

そして、この世界は炎以外には何もない。

オレの体は金縛りにあったように動かせず、周囲の風景が変化する事もなく、ただユラユラと炎が煌めいている。

 

どれほどの時が経ったか。

この世界に時間なんて概念があるかわからないし、あったとしても決してわからないが、永遠とも思えたこの世界に、変化が起きた。

 

“何か”が、闇から歩み出てきた。

そのシルエットは人間のそれではなく、本当に生きた何かとしか言いようがない。

強いて言うなら……赤黒い蚊、だろうか。

そしてその何かを皮切りに、続々と千差万別のシルエットが現れる。

 

紫の巨大な蝙蝠。

餅のような体に四肢と顔が生えている化け物。

緑の体にリーゼントを生やしたヤンキー。

首と胴体が離れた落武者。

その他にもカラカサ小僧、河童、ろくろ首、一つ目小僧など、オレでも知っているような存在まで。

 

そんな不気味な奴らが、キャンプファイヤーのように巨大な炎を囲っていた。

まるで何かを懐かしむように、信仰するように。

それだけではなんとも言えないが……炎に対し、全幅の信頼を置いているように見える。

 

「……すまん」

 

気付けば、そんな言葉が口をついて出た。

彼らに対して謝ったのだろうが、その理由はわからない。

完全に無意識だ。

 

「よう、やっと、だな」

 

そして、変化はそれだけに止まらない。

炎の中心から、一人の男が現れた。

オレと同じく赤みがかった肌に、黄の髪と瞳。

赤を基調とした民族衣装のような衣服に身を包み、その双眸はオレをじっと見据えている。

 

「時が、満ちようとしている」

「……何?」

 

そして、男は再度口を開いた。

気付けば周りの化け物も男を見て、その一言一句に耳を傾けている。

 

「妖怪も、怨霊も、人間も、そして、お前も。個々の意思など関係なく、お前たちは大きな波に呑まれるだろう」

 

わからない。

男が何を言っているのか、これっぽっちもわからない。

なんだ、これは。

こんな夢、知らないぞ。

 

「準備を怠るな。奴らは必ずお前の前に姿を現す。オレの妖力を追って、な」

「だから、何を言って――」

「いずれわかるさ」

 

そう締めくくって、その顔に微笑を浮かべて。

オレが問いを発する前に。

この世界は……夢は、崩壊した。

 

◆◇◆◇

 

「――っあ!?」

 

瞼が自然と開き、四肢に力が漲った瞬間、オレは無意識のうちに上半身を勢い良く起こした。

心臓がバクバクと煩く、それに呼応して過呼吸を繰り返す。

少しだけ冷静になると、いつの間にか掻いていた汗が背中に張り付いているのに気づいた。

まだ4月上旬の今じゃ、十分冷たい。

 

「クッソ……」

 

先程、夢であの男が言っていた言葉が頭の中を反芻する。

 

――準備を怠るな――

 

奴らは、必ず姿を現す。

 

「はぁ……」

 

準備ってなんだよ。

 

「兄さん、大丈夫?」

「……エマ?」

 

部屋に意識を向けていなかったせいか、妹のエマがいる事に気付かなかった。

いや、それにしても。

なぜエマがここにいる?

 

「もう11時よ?そろそろ起きないと」

「……11時?」

「11時」

 

置き時計を見てもスマホを見ても、時刻は確かに11時を指している。

そんなに長く寝ていた自覚はないのだが、言い訳したところで時間が戻るわけでもない。

取り敢えず布団から出て、寝起きで怠い体を動かして布団をタンスの中に収納する。

作業を終えて一呼吸置くと、腹が食べ物を求めてぐーぐーと鳴いた。

 

「昼食は居間に置いてあるわよ。あと制服、ここに置いておくね」

「あぁ……サンキュ」

 

今日は午後から中学生の入学式なので、中2のオレとエマも出る必要がある。

怠いな、と思いながら、エマと共に母屋に向かう。

その道中、ふと問いかけた。

 

「なぁエマ」

「はい?」

「最近、変な夢見ないか?」

 

エマは首をきょとんと傾げるも、何か心当たりがあったのか「あぁ、それなら」と言葉を返してくれた。

 

「金髪さんのこと?」

「……金髪さん?」

 

……確かに、あの男は金髪だったが。

 

「私たちみたいな肌の色をしていて、黄色でツンツンとした毛先をしてるから金髪さん」

「……あぁ、多分その人で合ってる」

 

思えば、あの男はオレとエマとの共通点が多いように思う。

黄色の髪はエマだが、毛先がツンツンなのは兄妹揃ってだし、何より肌だ。

 

「で、夢ん中でその人を見るのか?」

「うん、それで毎回、一言二言喋って消えるの。時は近い。準備を怠らぬように、って」

 

ふむ、もしやと思ったが、まさかエマも見ているとは。

兄妹揃ってというのも変な話だ。

後で親父にでも相談してみようか。

と、そのタイミングでポケットに入れたスマホが震えた。

 

「はいもしもし……あ?出た?チッ、どんな奴だ?どこに出た?」

 

電話相手は簡潔に、『商業エリアのモグモグバーガーの近く。デカくて赤い猫だから気をつけてね〜』とだけ伝えてくる。

これから昼飯だったのにという後悔があるが、まぁ、怨霊退治のついでに奢ってもらうか。

 

「すまんエマ、急用ができた。昼食は抜きで」

「駄目。早く用事済ませて、早く帰ってきて。もう作っちゃったから」

「……わかった、余裕があればな」

 

別に昼食なんて兄と食べても変わらんと思うがなぁ。

まぁ良い、入学式まで時間がないのだ。

パパッと済ませて、パパッと戻ろう。

 

「じゃ、行ってくる」

「うん、行ってらっしゃい」

 

庭にあるジェットブーツを履き、エマとそんな言葉を交わして。

ブースターを点火させ、事件現場に急行した。




ちなみに今更ですが、この作品は原作と大きく設定、展開が異なります。
オリキャラも多数出ますね。
カルマに電話した相手もその一人ですが、ネタバレしてしまうと原作キャラの親族です。
特に書くこともないので、カルマの設定でも。

大王路カルマ
学年:中3
入学基準:スポーツ
誕生日:10月3日
好きな食べ物:極厚高級ステーキどんぶり
容姿:鋭い目つきにエマと同じくツンツンとした毛先を逆立たせている。母譲りの黒髪。浅黒い肌をしている。わからない人は人間形態のエンマ大王を思い浮かべていただければ。
性格:過去の一件により、怨霊を深く恨んでいる。そのため怨霊事件を担当する時も、被害者の救済より怨霊の消滅を目的としている。
2人しかいないYSPクラブの1人で、なぜか炎の妖術が使える。
その目つきと性格のせいで友好関係は浅いが、本人はそれで満足している。

名前の由来としては、先代閻魔大王の名前が業炎。業はカルマと読むので、そこからです。本当は当代エンマ大王の名前である煌炎から取りたかったのですが、しっくりきたものがなかったので。
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