不定期になるとは思いますが頑張って活動していきます
よろしくお願いします
俺、比企谷八幡は文月学園という高校に通っている。
この文月学園は世界で唯一あるシステム(制度)が導入されていて注目を集めている。
一つ目は「点数上限がないテスト」だ。
このテストは無制限の数の問題を制限時間一時間の間に解くというものだ。
これによって生徒は能力次第でどこまでも成績を伸ばすことができるようになっている。
また、このテストは進級時のクラス振り分け試験でも行われ、その成績によって所属するクラスと待遇が変わる。
秀才が集まるAクラスはリクライニングシートに冷蔵庫、冷暖房完備だが、一番下のFクラスになるとボロボロのちゃぶ台と腐った畳、綿のない座布団というひどい環境になってしまうのだ。
もう一つは「試験召喚システム」だ。
これは科学とオカルトと偶然によって生み出されたシステムだ。
これはテストの点数に応じた強さを持った召喚獣を教師の立会いの下呼び出し戦わせることができるというものだ。
学園は勉強に対するモチベーションの向上のためこのシステムを利用し、召喚獣を用いたクラス単位での戦争、「試験召喚戦争」というのを実施している。
これらが文月学園の特徴的な点である。
「さすがに今この坂道はこたえるな…」
俺は今、現在自分が通っている学校である文月学園に向かっている。
もう既に登校時間は過ぎているため周りにほかの生徒は見当たらない。なのになぜ落ち着いて登校しているのか。それは少し前に交通事故にあい足が骨折して入院、そしてつい昨日退院したからだ。そのため、新学期の準備なども遅れ、完治してはいるが足の状態もほんの少し不安があった。そのことを考え学園に遅刻する旨を伝えていたのだ。
学園前の坂道を上り終え校門につくと短髪のスポーツマン然とした男が立っていた。
「おはよう、比企谷」
「あ、おはようございます鉄じ…西村先生」
「今、鉄人って言わなかったか?」
「き、気のせいですよ…」
あぶねぇ、普通に鉄人って呼びそうになった…
この人は文月学園の生活指導担当である西村教諭。さっき言いかけた「鉄人」というのは先生の渾名で、由来は先生の趣味がトライアスロンだからだ。そのトライアスロンによて鍛え上げられた筋骨隆々な肉体もまた鉄人という名にふさわしい。
「まぁいい…ほら、受け取れ」
そう言って俺の名前が書いてある封筒を渡してくる。この中には自分のクラスが書かれた紙が入っている。
「あ、ありがとうございます」
お礼を言いながら封筒の封を切る。
予想はしているがきちんと確認しなくてはならない。
中を確認すると…………
『比企谷八幡──--Fクラス』
「ハァ……まぁ予想もできてたし仕方ないよな……」
と、ため息を吐いていると、
「今回は事情が事情だけに俺を含めた一部の教師と吉井や木下姉、工藤は学園長に再試験を受けさせてやるよう学園長に抗議したんだが、特例は認められんそうでな……」
と、申し訳なさそうに西村先生が説明してくれた。
「……ん? 優子と愛子はお見舞いにも来てくれたし知ってますけど吉井も?」
「ああ、あいつは振り分け試験の時お前の後ろの席だったんだ。それで試験が始まっても来ないお前を心配してその時の試験官の先生に事情を聞き、抗議しに行ったってわけだ」
「なるほど……あと、先生も抗議してくれたんですね。ありがとうございます」
「まぁ結局再試験は認められんかったがな……あいつらにも礼を言っておけよ? 何度も頼み込んでいたからな」
「うす……じゃあそろそろ教室行くので失礼します」
西村先生にそう言い、俺は自分の教室であるFクラスへと向かった。
「ここがFクラスか……」
2年F組と書かれたプレートのある教室の前で俺は教室に入るのを躊躇していた。
登校中は忘れてたけど始業式の日から遅刻って目立っちゃうじゃん……どうしよう、教室に入った瞬間注目集めてその後目が腐ってるだのゾンビだの何だのとヒソヒソ話なんてされたりしたらメンタルブレイクしちゃいそう。(吉井たちや優子たちと関わってたので目つきが鋭い程度に改善されてます。つまるところ、普通にかっこいい)
まあ事情もあるしどうせ(バカだから)吉井達もいるだろう。最悪あいつらと話せばいいか。
そう思いながら教室のドアを開けた。
「うす……」
そう言いながらドアを開けるとこのクラスの担任である福原先生が声をかけてきた。
「ああ、比企谷君おはようございます。連絡はもらってますよ。ちょうど自己紹介をしているところなのであなたもお願いします」
「うす……え~比企谷八幡です。1年間よろしく」
「はい、ありがとうございます。席は吉井君の隣に座ってください」
「うす」
自己紹介を終え自分の席に座ると横から声をかけられた。
「比企谷君久しぶり!」
「おう比企谷、久しぶりだな」
「おう、久しぶり」
最初に声をかけてきた天然っぽい顔をしたやつの名前は吉井明久。1年の時からの数少ない友人で、学園創設以来初めて観察処分者に認定された問題児であり、学校1のバカだ。
そして続いて吉井の隣から声をかけてきたガタイのいい奴は坂本雄二。こいつも1年の時からの数少ない友人の1人で、観察処分者である吉井といつもつるんでいる学園屈指のトラブルメーカーだ。
中2までの俺ならこんな問題児たちと関わる、ましてや友人になるなんて絶対になかったが例の一件以降人間不信気味だった俺はこいつらには少なからず救われたところがある。だから友人にまで発展したというわけだ。
「にしても比企谷はなんでFクラスに? お前確か、相当成績よかっただろ。ほとんど知られてなかったが」
「ああそれなんだが──ー吉井」
「ん? なに?」
「お前学園長に再試験を実施するように抗議してくれたらしいな」
「あれ!? 比企谷君知ってたの!?」
「いや、さっき鉄人が教えてくれたんだよ。だから……その…………サンキュな」
「おぉ……! 比企谷が素直に礼を言うなんて珍しいな……!」
「うっせ、俺はいつも素直だよ。なんなら素直すぎていらんこと言って人間関係こじらせるまである」
「いや、いらないことは言わないほうがいいでしょ……」
ごもっともな発言だが吉井にだけは言われたくないぞ?
「明久にだけはそのセリフは言われたくないな……それはおいといて再試験ってことは比企谷も無得点者なのか?」
「ん、あぁ振り分け試験の日に交通事故にあって入院してな。そのおかげで試験に出れず無得点ってわけだ」
「なるほどな、無得点者が2人いるとは聞いていたがお前だったとはな……」
「ん? 『2人いる』やら『比企谷も』やら言うってことは坂本も無得点なのか?」
「ああいや、俺は違うぞ。一応このクラスの代表だからな。もう一人っていうのはな──ー」
そう言いながら坂本は自分の隣の席を指した。っていうか坂本このクラスの代表だったのか。
そう思いながら指されたほうを見ると
「ひ、姫路瑞希です! よ、よろしくおねがいしますっ!」
「お、おう。よろしく……」
Fクラスに似合わない可憐な生徒がいた。
姫路瑞希──俺でもその名を知っている有名な生徒。入学して最初の試験では学年2位を記録し、その後も常に1桁の順位に名を連ねている。その要旨も相まって学内での人気も高い。前の俺なら一目ぼれしてその勢いで告白してフラれてショックで自主退学するまである。いや退学すんのかよ。
っていうか俺も1桁とってるしそれなりに成績いいはずなのに何でここまで知られてないのかねぇ…………存在感薄すぎるだけですね。
てかなんか姫路の方から視線を感じるんだが……そんなに挨拶キモかったか……? 俺的にはセーフなんだが……
そう考え一人で勝手に落ち込んでいると
「はいはい。そこの人たち、静かにしてくださいね」
パンパン、と教卓を軽くたたいて注意されてしまった。
「あ、すいませ──」
バキィッ バラバラバラ…………
突如、教卓が崩れ一瞬にしてゴミくずと化す。
「え~…………替えを用意してきます。少し待っていてください」
気まずそうにそう言い先生は教室を出て行った。
「あ、あはは……」
さすがの姫路もこの光景に苦笑いをしている。
にしてもここの設備はひどいな。足の折れた卓袱台、腐った畳、綿のない座布団。割れてる窓にはビニール袋をセロハンテープで張って穴をふさいでいる。いや、窓ガラスくらい買い替えろよ……
教室に絶望していると吉井は坂本と話があるようで教室から出て行った。
さて、ただ待ってるのも暇だし少し休むとしますか。
そうして俺は卓袱台に突っ伏した。
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