きっかけ
朧気に見覚え、もしくは聞き覚えがある?と思ったのは、国にふらりと現れる「キング」の話や、かなり遠目からちらと見えた姿だった。
何か見覚えがあるなー、と思ってたけど、徐々に記憶に焦点が合ってくると芋づる式に思い出せた。
ここ、光の国だ。うわぁ、マジか。
キングはウルトラマンキング。タグ付けるなら生きるチート。
……話す事もないから知らん顔しとこ。
年代としては初代どころかまだどこからも侵攻を受けた事がないし、≪宇宙警護隊≫のうの字もない。
僕の身体能力は一般人レベルだから、最初からお呼びがかかりもしませんけどね。事務方?あの人達はあの人達でプロだから。
光線技は威力も光量も正直ショボい。ショボいならショボいなりにと工夫した結果、目とか足の指にピンポイントでぶつける事にした。…牽制にしかならないけど、逃走時間を稼ぐ為なら仕方ないよね。
格闘も鳴かず飛ばず。同級生からは笑うどころか真剣に改善点の洗い出しされて、最終的にはギリギリお情けで合格もらった。先生がマジで死んだ目すぎて見るのも辛いし、同級生の優しさは傷口に塩だった。
人生2周目でも優しさが辛い。
家に帰れば帰ったで居心地が悪い。いや、これは親が悪い訳じゃない。
家系絡みだからややこしいけど、僕の家系の本家はブルー種の中でもかなり変わった位置にいる。…本家とか分家とか時代錯誤だと思うけど、他に表現のしようがないんだ。
光の国の住人は基本的にお人好しすぎて心配なレベルだが、僕の家系は逆に疑う事や嘘、誤魔化しに慣れている。幼児相手に何回も鎌かけしてきたからな。社会人経験生かして躱したけど、躱されたと分かった時から本家連中の目が爛々としてて怖い。
一応言っておくが、両親はこの場合何もしなかった訳じゃない。むしろごく普通の、良心的な反応をした。僕を守ろうとしていた。
おまけにいきなり拉致されたと思ったら星域の外で弱毒化した毒物や解毒剤を摂取したり作ったり、異星人の体の構造を実地学習とか、尾行の仕方とか家宅侵入の手口や罠の作成や火起こしとかやらされる羽目に。一般人に何させてんだよ!
最初は帰る為の命綱を握る相手だから大人しくしていたが、ついにブチキレて問い質した結果に頭を抱えた。
うちの本家は俗に言う暗部担当らしい。……どこの三文スパイ小説かと思った。
「何世紀も才能ない奴ばかりだったから、久しぶりに張り切った」と真面目に言う本家のジジイの顔へ、咄嗟に掴んだ砂をぶっかけてのたうち回らせた。こん畜生!
「お前、自分は落ちこぼれと言うが随分と工夫しているじゃないか。それは努力家と言うんだ。大器晩成タイプじゃないかなお前さんは。いつ開花するか分からんけどな!ハハハ!根腐れ起こすなよ!」
「やかましいぞジジイ!そっちこそ自分が死ぬ心配したらどうだ!?」