地球在住の協力者も楽じゃない   作:グリグリ

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ようやく武器入手です。長かった。
糸使いなら「HELLSING」のウォルターが一番好きです。




蚤の市の件では絹糸の爆買いに始まり、巻き込まれるかもしれない取っ組み合いを近くで見ていたし、自分でもあのつつき方はちょっと大人げなかったし無神経だなと思ったので、科技局で書きためた刺繍の図案を試しに刺してみる事に時間を費やした。

テレキネシスの訓練も言い訳にして、自主的な謹慎、言い方を変えれば引き籠った。

爆買いした絹糸はあの裁縫箱の持ち主が染めたのだろうか?天然染料で染めるのはなかなか難しいとU40で体感している。実際、瓶覗色は完成までに職人さんを神経衰弱気味にまで追い込んだ程だ。その節は申し訳なかった。

化学染料のデータは科技局にあるだろうか。

ストップウォッチ片手に()()使()()()()、刺繍針の針穴に絹糸を通す。

……完全に通すのに30分かかった。しんどい。針穴からズレたり糸が明後日の方向に飛んだり針が壁に刺さったり、針穴の脇から糸がはみ出たり。

初回の小石相手に8時間耐久から見れば相当マシだが、当面の目標は秒でノールック糸通し。初回のジジイの説明が雑すぎて、自分が理解できるように噛み砕く方に時間かかったし、U40でエイレーネーさんに教えてもらったらすんなり出来た。

まずは基礎の基礎、直線。糸通しで乱れた集中力と息を整えて、針をつまんだ。

 

日課のジョギング、睡眠や食事、U40で教わり教えた体操と鍛練以外の時間を布に向き合う。

針を刺す位置、出す位置、先を見据えて。

指とテレキネシスを交互に切り替え、でこぼこは制御して振れ幅を狭く。指から布と針を浮かせて…浮け…そのまま上へ、下へ。

 

直線の次は曲線、円。10センチメートル四方の布の中を、大小も色とりどりに散らす。

 

ここ数日で最もいい事は、あのメフィラス星人やL77星大使館に加え、宇宙保安庁からも連絡がない事だ。

もうあの命が縮む感覚はあと1000年は体験したくない。と思っていたが、後々あれくらいは序の口レベルのヤバい場面が山のようにあるとは予想してなかった。

 

 

≪ついにぎっくり腰やった≫

≪御愁傷様。どこに入院してる?お見舞い行くか?≫

≪いらん、と言いたいが、看護師が誰か来ないのかとうるさい≫

そういう訳で、母親に訳を話してジジイを見舞いに行った。

「おじいちゃーん!」

小さい花束片手に笑顔で呼びかけたら、ひきつり気味の笑顔と≪うわぁ…≫のテレパシー。

誰が気持ち悪いって?

≪声変わり前の子供からこんなドスの効いたテレパシーとか詐欺だ…≫

 

「忘れるとこだった。そこの箱開けろ」

箱を開けると、両手に装着する金属製の手袋が入っている。両手の甲には1段高くマウントされた台座か何かがある。

「ダイヤモンドコーティングされた単分子ワイヤーが台座に内蔵されている。操作はテレキネシス。細さは30ミクロン。

骨に鎧、分厚い外皮も軽く切り刻めるがコントロールが至難の業な玄人向け。何百年か前に作られて、計画が凍結と立ち消えしたプロトタイプ…の複製だ。ワイヤー自体は今も食品や資材の切り分けに使われているぞ」

素人に何つーもん渡すんだこのジジイ

手袋片手に睨むと、にやにや笑いながら「練習、頑張れよ」と言われた。

左手にはめて、人差し指へワイヤーを1本繰り出す。髪の毛が60ミクロン、その半分となるとかなり視認性が低い。……待ち伏せ(アンブッシュ)にはいいかもな。

伸ばした人差し指の先にあるのか確かめる為に、花束に巻いてきたリボンを上へ投げ上げ、「意識した」。

途端、空中で真っ二つになって舞い落ちるリボン。

……練習しないと本当にこれは大怪我するか、下手したら死ぬ。

帰りはどうやって帰ってきたのか覚えていない。

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