制服の話は捏造です。昔から「無茶言いすぎ」とは思ってました。
宇宙情報局の人にお土産と報告書(書きすぎて試しに出力したら掌広げた厚さで、それだけ書いた自分にビビった。中身は食レポと日本の衛生度、風習、精神面、経済的成長の仮説)を渡し、地球の視察に行ってお茶菓子を買う。
話は地球換算で25年前にまで遡る。
当時、複数回に分けて、1回につき200万から500万円くらいを匿名で届けていたのが効いたらしい。
金はどこからって?フィクサー時代からの貯金。ごりごり目減りするから確認するのが実は毎回怖かった。
科特隊の上層部を監視していたら「高額な寄付金を何回ももらってるし、ちょっと顔見て挨拶した方がいいよね」と、コンタクトを取ろうとアクションを見せたので、
「こんばんは、科学特別捜査隊の皆様。お招きありがとうございます」
声はボスの真似。顔は覆面に黒服。見た目は完全に
ほぼ全員が腰抜かして床に転げ落ちたり気絶している中で、銃を向けてきた気骨のある人もいる。
「まあ!腰抜けばかりかと思ってましたが、気骨のある方もいらっしゃる。大変結構です。
テレキネシスで全員それぞれの椅子に座らせ、予備の椅子を引き寄せて座る。
「度重なる多額の資金提供を頂き、ありがとうございました」
「組織は立ち上げ、維持するのもお金がかかりますからね。時に、制服の依頼は済みましたか?スペック表は?ありがとう」
実は昼間に盗み見してきたけどな。大昔にやらされた鍵開けと盗みのテクがこんな時に役立つとは。
「わたくしの買い取った工場があります。そこに連絡してみましょう。次にデザインですが…」
ボス経由で買い取り譲渡が済んでいる紡績工場が、科特隊用の制服工場になった。
スポンサー兼制服関係という訳でスペック表はちゃんと貰えたが、見る度に思う。何だこのとんでも性能の山。
紡績系に詳しい異星人を数十人、それぞれ
「工場長、これ無茶苦茶ですよ!」
リーダー格のラムを皮切りに工員たちが賛同する。
「僕も思ってるよ。…内勤と外勤用で色分け、かつ耐久性って、この出だしだけでもふざけんな」
「おまけに宇宙服ぅ…」
「どこ想定してる訳?」
「生身で宇宙遊泳する気?」
「乗り物よかマシだよ」
工員一同、マジでため息しか出ない。
「…お茶飲む?」
「いただきます…」
生地は機密の材料と工程で気密性と耐久性をもたせ、糸は地球と機密の交配種の糸が一番丈夫だった。間違っても他所には出せない機密塗れなので、自動的にクリーニングもうち担当。下手に他所に任せて被害拡大するよりはいいけどな。
制服を採寸し、仮置きなしで翌週までに縫い上げる。爆速でやって、
愛想よく微笑んだはずだが、青い顔でガタガタ震えながら受け取った。
制服を受け取って、更衣室から出てきた隊員たちがはしゃぐのを離れた喫煙所からぼんやり聞いている。
煙草吸わない工員は、外の陽向で今にも寝そうに首がガクガクしていて危なっかしい。
「青いブレザーにグレーのスラックスとはいい色の組み合わせですね」
「制服目当てで入隊志す人も出るね」
「それはそうと工場長、運針速度がミシン並みっておかしい」
「
「工場長、ズバリ幾つなんですか?」
「ざっくり端数切り上げたら19万歳。地球換算すると化け物になっちゃう」
口々に驚きの声が上がった。
「オレ、ウルトラ族ってもっと無愛想かと思ってました」
「確かに素の顔が能面っぽいよね。個人の性格と、あとは仕事にもよるんじゃないかな。人見知りだったのかもよ?」
「どうしたらそんなに運針速く出来ますか?」
「慣れ、しかないかな。もっと上手く言えるといいけど、練習が一番」
「彼女いますか!?」
「フリーだけど、仕事ばっかだからなあ」
設立して以来、時々は様子を見に来てはいたが、あの頭抱えた日々が楽しかったな。
窓から覗いたらばったりラムと視線が合った。昔よりやや恰幅がよくなっているが、歳か、飯か。
「工場長!いついらしたんですか?さささ入って入って!おい、お茶の準備しろ!」
「忙しいから悪いよ、ラム。これ皆で食べて」
「いやですよ、たまにしか来てくれないんですから。さあ入って入って!おーい!工場長が来たぞ!お茶にしよう!」
前に来た時にいた工員がいなくなっていたり、新しい人が入ってたりと時代の流れはそれなりにあるが、無事で安心した。
「なかなか来られなくてごめんね。でも辞令は出たから、こっちで暮らせるよ。家?まだ探してる途中。戸籍は一応やり方は確認した」
「生活保護課にケムール星人!?よく紛れこませたね…」
「後々必要になるかと思って」
「こちら20年前に作っておきました。本籍地は東京で…」
「こちらの物件は1階が店舗、2階が住居です。お値段このくらいですが、息子の友達の親御さんの勤め先のお得意様の工場長という事でこれくらいお値引きします」
拠点 を 手に入れた!