お久しぶりです。日付を3回は読み返しました。
エタってはいません。
毎度の如く、捏造宇宙人とか設備とかあります。マレーバク可愛いです。
「バット星人からの命の固形化の情報開示?そりゃ呑んでも断っても戦争だろう」
「私もそう言ったんだけど、ヒカリは真面目だからジレンマ起こしちゃったみたい」
先に報告書が送ってあるとはいえ、本部から出られない-本当に出られないほど忙しいのか、そう装ってコミニュケーションをとろうとしているのかは分からない-代わりに詳しい話も聞きたがるゾフィーの為に本国へ来てみれば、今にもポートから飛び立とうとする濃淡2色のブルー族がいた。
「どけ!!」
「はいよ」
身1つ分ずれたと見せかけて、すれ違い様に後ろからリア・チョーク。結構いい速度で飛んできた博士は敢えなく騙し討ちに遭った。……手加減したけど大丈夫だよね?死んでない?
こちらから連絡する前に何かあったのか、すっ飛んできたゾフィーの手を借りて気絶している博士を大人用カプセルに突っ込んで鍵かけてクリニックへ
「かと言って先に戦争ふっかけにはいかないんだよな」
「だよねぇ。私達は選択肢には出るけど、かと言って犠牲者名簿見て何も感じない訳じゃないし」
難儀だ、と溜息2つが出たところで隊長室のドアがノックされた。
「ゾフィー!博士は!?」
「ウルトラマン、久しぶり」
「やあマン、博士ならクリニックだよ。ちょうどジェイドが来てくれて水際で阻止できた」
返事の代わりに、へたへたと座り込んだウルトラマン。そういえば、ウルトラマンがかつて
「説得できる材料がないと、ちょっとやそっとじゃ難しいね」
「なら、実体験した相手がちょうどいるな」
「ダメだった……」
「全然ダメ?それとも押しが足りない感じ?ちょっと別のアプローチに」
「待って待ってストップストップ!!」
部屋を出ようとしたらゾフィーに羽交い締めにされた。ゾフィーの方が身長がやや高いので微妙に床から踵が浮くし、スターマークがゴリゴリ後頭部に刺さって痛い。
「スターマークが痛い。ならカナダ式か、転地療法しかないな」
「カナダ式?」
「日光を浴びながら薪割り。民間の実践に基づく抗鬱療法で、単純な肉体労働で疲労しておやすみ3秒、日光に当たることでセロトニンの分泌を促す。ただ、鬱病と言っても全部がこの療法で解決できる訳じゃない。詳しくは専門家に聞いた方がいい。
それと転地療法にしても候補地選びとセキュリティ面が一番の難関だけど、候補地ある?」
有事の際に飛んでいける距離、周辺星域の治安の良さに加え、あの博士の学術的な好奇心を刺激する【何か】がある場所。あと後見人で誰を据えるか。
諸々の選考はウルトラマンとゾフィーに任せ、僕はバット星人の情報を仕入れにある惑星に向かった。
サイケデリックなライト、蛍光色のカクテル、エレクトリック系の曲が臓腑に響く。フロアでてんでバラバラなステップを踏んではたまにどつきあう異星人達。
個室に通されて出されたカクテルには口をつけずに待つ。
「相変わらずサメた顔してんナ」
重量級の足音が近づいていたのは分かっていたので微笑む。対面するソファの耐久テストを敢行する、座高が3m超のマレーバクに似た星人にカクテルを飲み干され、裏にデータチップの添えられたコースターが手元に滑り込む。
「性分だ。それより急がせて悪かったな、支払いに少し足しておいた」
「わかった。バット星人の情報はイマあちこちで売買されてル。それよりお前が喧嘩売られたって本当カ?」
「おやおや、噂は怖いな」
あと興奮してきたからか、普段は閉じているもう2対の眼が半目ほどに開いて下顎の牙が上へ伸びてきている。
このマレーバク似の星人、普段の顔とたまに出す鳴き声はかなり可愛いが見た目と裏腹に血の気が多いし、ツートーンカラーの皮膚の下は高重力の星出身なので筋骨隆々。タイマンするくらいなら真面目に仕事した方がよほど建設的な相手だ。
「ぬるいカクテル飲ませたお詫びに、次の1杯はよく冷えたものを注文しようか」
「できればシズかなところがもっとイイ」
「そうだな。河岸を移そう」
別の建物の地下にある、スピークイージー式のバー。カウンターと遮音性のいい個室の組み合わせでフィクサーや情報屋との打ち合わせによく使われる。
「本国の方で
「ン」
「何?見ろって?」
促されてアカウントからログイン、データがバイヤーと売主間を縦横無尽、無差別にぽんぽんラリーされる電子空間をちらっと覗いた。
「全方位がえぐいラリーだった…」
「あんなの常時監シしてたら頭痛くなル」
「僕も戦争経済の一因だったと知らされて複雑だよ」
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ではオーディエンス諸君。僕からもカードを1枚出して、1枚頂こう。賞金は銀河共通貨幣で7桁。
出すカードは『宣戦布告』、欲しいカードは
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バット星人のよく寄港するポイントならあるぜ!
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何年か前に型落ちの戦艦買ってたわ
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戦艦?型落ちでも結構いい額でしょ?
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新品で買うならな。これ勤め先の提携してる戦艦のカタログ
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≫5 ここのバーゲンティンは長距離移動する人にはお勧め。僕も1隻持ってる
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中古ならまあまあ手頃な値段だけど、その金どっから?と考えたらヤバい
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そもそもバット星人の外貨獲得手段が想像つかない。やってる事って強盗とか強盗とか強請とか
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選択肢、全部お縄しかないけど!?
スレッドの方で幾つか手がかりを得たので、そろそろ廃棄する予定の暗号資産口座からランダムにあちこち経由した末に情報料を支払い、情報の精査の為に惑星から離れた。
たまにガセをそれっぽくカタって、現地に行ってみたら「かかったな!馬鹿め!」とかいう奴がいる。
実際今、目の前にいる訳だが。
《捜索要請の方から承認がとれた。好きに
「(了解だ、警部補)」
周囲数mをぐるりと包囲された状態から3秒以下で片手か片足をちょん切って、ビームガンだのそこらの石ころといった得物を放りだして地面に転がる馬鹿ども相手に「で、何を言いかけたんだ?」とお話しやすくなるようにした。
支離滅裂な情報を聞き出すより、断片をどうにか脈絡がつくように繋ぎ合わせる時間の方が倍くらいかかったが、話としては至極簡単。
馬鹿どもは自分に箔付けるつもりで適当にホラ吹いて、
人数分の画像一式、アカウントから吸い出した情報、ボロい宇宙船にあった
こういう時にでも使わないと、いつまでも倉庫にストック抱えていられないからな。たまに星系図で検索かけないと分からないような場所から届くあたり、爺さんはとりあえず元気にやってるらしい、としか分からん。今度は手紙でも書いてみるか?行き違いにならないか心配だけど。
遺体を火葬する前に、何でも食べるベムスターに食わせるという考えもなかった訳じゃないが、
いつも何か物事が起きた後の後始末をさせられている気がする。
「せめてこの持ち物だけでも遺族に返してあげたいな…」
《それで文明監視部に繋ぎをという事か。いいよ、言っておこう》
「まだ君からの仕事が途中ですまないが、頼めるか?」
《ゾフィー!ここから出せ!》
《大丈夫だ。しかし、君も律儀だねぇ》
「……押し付けられた、が正解だ」
フィクサー業界の中で話す相手はそれなりにいるが、気軽に世間話や情報の開示共有をするかというと、答えは「相手による」。
被害者の持ち物については先に警部補に聞いたが、彼は「処理は任せると言った」としか言わずに通信を切った。この目の下万年隈野郎。僕はそういう態度されると余計相手に話しかけるタイプだぞ。じゃんじゃん話しかけてやる。
《でも無視することも出来ただろうに》
《ゾフィー!聞こえているだろう!無視するな!》
「…………ゾフィー、何か聞こえた?」
《ん?》
「いや、気のせいだ」
……ごめんヒカリ博士、無理だ。顔が怖い。
今はまだ、隙を見て中に放り込んだ受信専用端末へ連絡は出来ない。だから秒で手のひらを返した訳だが、これ後でどう説明しよう…。ゾフィーがクリニックかどこかに軟禁している間は、博士の不在を理由に回答を引き延ばせるが、引き延ばしには限界がある。それまでに情報を得ないと。
深夜。今はヒカリ博士が端末に出るか賭けに出ている。
《…誰だ?》
やや口が回っていないし、目の光もぼんやりしている。緊張していた反動でうとうとしていたところだったようだ。
「ヒカリ博士、失礼、寝ていたところでしたか。涎が」
《ふぇっ!?》
「嘘です。スペースポートでは失礼しました。怪我はないですか?」
《スペースポート……え、あれ君なのか?ああ、いや、目立った怪我はないが…君は念力系かな?》
「そうですね。ちょっとだけ器用な感じです」
博士、顔がめちゃめちゃ読みやすいな。太字で黒々と(あれでちょっと…?)と書いてある。
緊張を解そうと雑談してみて分かったが、結構話好きな人で色々な方面に知識がある。
「そういえば、博士の趣味とか好きな事は何ですか?」
《趣味?…研究者になるまでは剣を嗜んでいたが……ああ、そういえばしばらく練習できてないな》
「意外ですが、同時に納得しました。だから辛抱強くて体力もあるんですね。そのうち一手お願いします。じゃあ、引退したら何をしたいですか?」
《引退したら、と言われても…すまない、何も思いつかない》
「ですよね。いきなりこういう事言われてもねえ。何か思いつくまで少しお休みしましょうよ。勤務表見たウルトラの母が頭抱えてましたよ」
研究と論文と研究の合間にまた別の研究しながら論文書いて…と、あれはブラック企業が生易しく見えてくるレベルだった。
ついでにウルトラの母からは僕も「あなたも働きすぎないようにね」とやんわりお叱りを受けた。
「それは気をつけます」と頭は下げたが、このあと何人来るのか分からないのでしばらくの間がっつり休暇とるのは無理です…。
バット星人の戦艦はかなり雑な偽装ネットでカバーされていた。
涸れた湖の跡地で偽装しているつもりのようだが、周囲と色調が違うのであれを見逃す方が無理だ。
外周を見張っていた見張り-今は岩陰で
バット星人、それにマグマ星人とババルウ星人まで集まってだべっているところに飲み物のお代わりと煽ても加わり、
荷物や弾薬の揚げ降ろしを監督していた他の人が、騒ぎに誘われのこのこ来たので一升瓶でも無理くりねじこまれたのか、悲鳴が上がった。
騒ぎを隠れ蓑に、兵装や艦のエンジンの写真、艦内の指揮所で別の艦隊の停泊地と集合する宙域図、襲撃予定の日程も無事入手。
停泊地はどこもそう遠くないが、連絡が行って警備が厳重になるのは避けたい。
本当は戦艦や弾薬庫に色々仕込んで派手に爆発自沈させるつもりだったが、警戒されてガード上げられては侵入しにくくなるので発信器と宙域図への小細工だけにしておいて他の停泊地へ飛んだ。
全停泊地を強行軍の末に2徹で回って、戻りがてらゾフィーに連絡した。行く前にゾフィーから「はいこれ」とゴロゴロ渡されたコンバーターのおかげでエネルギー切れにはなってないが、疲れすぎて頭がガンガン鳴るように痛む。
《発信機は全部ちゃんと作動しているね。こっちの端末からも確認できた。どこに付けたの?》
「了解。どこって…最悪、船を解体しながら探すしかない場所だが」
バット星人の性格の悪さなら、いけしゃあしゃあと“迅速にお答え頂く為に”とか言って艦隊で示威行動くらいはやってくるだろうと踏んだ為の潜入活動だった。…あと万が一細工がバレた時に備えて
《こわ…》
「主砲が何言ってんだか。何か動きがあったら遠慮しないで連絡してくれ。部品回収の必要はないから、やる時は派手にぶっ放していいぞ」
文明監視部の受付にゾフィーからの連絡を話して、遺留品の3Dデータを入れたデータパッド(流石にセキュリティ面ガバガバな光の国に遺留品の現物は置いておけないので代わりに)を置いて、クリニックに行った。
空気か飛沫感染対策なのか、窓がないだけでも圧迫感の強い特殊隔離室。その天井から床まである、成人でも余裕で収まるフルサイズの丸カプセル内では完全に暇を持て余したヒカリ博士が胡坐かいた上にぶすくれ顔で薄緑色の液の中に浮いている。
「おやまあ、随分怖い顔してますね」
「暇で仕方ない。ゾフィーは重要な案件以外はべったりな癖に何も話さないし、誰に聞いてもそうだ。おまけにこのカプセルは私が再設計して内側からはアクセス出来ないようにした物だ」
逃げられちゃ困るのは十分に理解してるが、ここまでやるか?
「博士、コンバーター使ったはいいけど頭が痛いです」
「エネルギーの過供給と徹夜の組み合わせによくある症状だ。寝なさい」
その辺にある椅子で寝たら、寝て起きたら「せめてカプセルを使いなさい」と怒られた。逆の立場でも僕は同じ事言うか、ウルトラ念力で布団まで運ぶだろう。
《ジェイド、艦隊が動いた。こちらとしては想定済みだが最低の選択肢だね。
セブンとマンと、地球での仕事を終えたジャックがこっちへ来ると連絡を受けた。しばらく忙しくなるから連絡はとれないけど、きちんと出してあげるから待ってて》
僕とヒカリ博士が、缶詰めにされていた特殊隔離室から大手を振って出て行けるようになったのは、艦隊が動いた話から2週間も経った頃だ。
僕はとばっちりだったので先に出されたが、病院エントランスで待っていたセブンたちと談話室の片隅に引っ込んだ。談話室は透明なスタンディングパーテーションで個室ごとに仕切られているが、スイッチでスモークガラスにもできる。
「ジェイド、こっちはジャック。ジャック、彼が地球で何かと世話してくれたジェイドだ」
「はじめまして。あなたのお噂はかねがね」
「誰にどんな噂されているか聞くのが怖いですね」
紹介されて握手したが、ほんと誰に何言われてるか分かったもんじゃない。
遠目で一瞬しか見えなかったら見分けがつかないだろうが、横に並ぶとジャックとマンの違いがよく分かる。
「主にセブン兄さんとマン兄さんから、とても面倒見がいい方だと聞きました。あとは用意周到で、大抵の事には驚かないとも。
メイツ星人を見つけるのに準備してくれたナノドローンがとても役立ちました。彼は本国へ帰って治療を受けるそうです。…地球で彼と暮らしていた子供も一緒に」
「それは良かった。見つけるのは大変だったでしょう?どうやって見分けたのか聞いても?」
セブンたちと話しながらだいぶ待っていると、足首に随分ゴツいアンクレットを付けられたヒカリ博士と隣で宥めすかすゾフィーが出てきた。
ゾフィー、僕なら足首はブラフ、体のどこかに本命の発信器を埋め込むぞ。