地球在住の協力者も楽じゃない   作:グリグリ

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U40の人の寿命とか全然分からないので「ザ☆」まで履修すべきか頭を悩ませてます。
あと感想ありがとうございます!やはり感想頂くと嬉しいですね。


好み

訓練施設に通い始めて2週間ほど経った頃、ジジイが戻ってきて、訓練メニューの管理をしてくれたので助かった。

助かったけどテレキネシスの訓練まで追加してきて、それはそれで大変だった。睡眠時間削る事になったらどうしようかと思っていたが、スケジュールを見せて相談したら「休みの日にするか」と意外とあっさり決まった。あっさり過ぎて怖い。頭を強打……してたわ。むしろ刺さった。

こっちはこっちで、ソフィア以降何かと女性陣に追い回されている。どうやら、刺繍した帯を使ったソフィアがいい縁談が決まったか、試合か試験かでいい結果が出せたのかで火がついたようだ。

「何で追い回されなきゃならんのさ」

「と言うと思って、市場でふつーの刺繍してある布買ってきた」

比べてみろ、とふらふら宙を浮いてきた帯を手にのせる。

生成り色の生地の縁を、頼りない糸が死にそうな勢いでのたうっている。

僕の表現にツボって笑い死にしていたジジイが、笑いすぎて浮かんだ涙を拭いながら「そういう事だ」と言った。

「擬態の訓練、と切り替えるのが良かろう?」

訓練の結果、髪や目に肌の色、身長体重に着る服込みで男女問わず様々な年齢に擬態する羽目になったが、確かにいい訓練にはなった。スパルタ過ぎるが。

結局、女性陣には材料方面を押さえられて捕まった。だってあそこしか、瓶覗(かめのぞき)色とか灰桜色みたいな淡い色に興味示さなかったし。濃い色はアクセントにはいいけど、主軸に据えるには目に痛いんだ。

 

 

訓練施設に通って、1年が過ぎ2年経ち、3年もあっという間に飛んでいく。気づいたら僕が訓練教師になっていたりで、数えてみたら1200年ほどは経った。ちょっとびっくりした。

教師になったとはいえ、子供達に逆に教えられる事だってある。教え方に日々頭も悩ませる。絵は得意じゃないけど実技の補足に描いたり、見せる角度を変えたり。

あまりに色々な対策を出すから、最初は「いいですね」とニコニコしていた教師の中にも「うるせぇ奴」と露骨に嫌な顔もされた事だってある。

……教師を辞める潮時かもしれない。長く居すぎた。

翌日、訓練施設の施設長に「そろそろ教師を辞めるつもりです」と言った。

「え…きゅ、急ですね」

施設長の顔というか目に一瞬喜色が走った、ように見えた。心拍数も上がった。

鋭敏すぎる観察力と聴覚が今は恨めしい。拾いたくない事まで拾い上げてしまう。

つい何日か前だって、僕の案に露骨に嫌な顔をする教師が施設長にぐちぐち言うのを()()()()から聞いていた。

「引き継ぎは特にはありません。記録は寄贈します。今までお世話になりました」

施設長の部屋から出て、荷物らしい荷物も持たずに帰る。何も知らない子供たちは帰る僕を見て笑顔で「先生!」と手を振ってくれたが、僕だって明日のあの子達を泣かせるつもりじゃなかった。

せめてもの餞別と笑顔で手を振った。

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