勘で謎解き? 紺野探偵の勘事件簿   作:MOGIぴー

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第13話 高校美術部事件⑶

「ここまで探しても凶器が無いとはなぁ」

既に死体発見から3時間が経過していた。

一向に見つかる気配の無い凶器。

鬼立自身も憔悴しきっていた。

「犯人に凶器を隠しに行く時間なんて…無かったはずだ…」

「ということは考えられる可能性は、まだ犯人が凶器を所持しているか、現場もしくはその付近のどこかに隠してあるか、です」

「持ち物検査はさっきやって何も出んかったよ。ボールペンはあの刺し傷とはどう考えても合わないし」

「では、どこかに隠してあるということしか」

「だが、まだ見つかっていない。隠してありそうな場所は一通り探したはずだ」

その後鬼立は深いため息をついた。

「…ところで、美術部員たちは?」

紺野が澪に訊く。

「隣の準備室で待機してるみたい」

「そうか。じゃあ僕はもう少し彼らに話を聞こう」

そう言って紺野が美術室の出口へと歩き出した。

その時だった。

 

「きゃああああああああ」

 

どこからか女の人の甲高い悲鳴が響き渡ってきた。

「こ、この声は…」

「え、絵馬ちゃんの声だ…」

澪の顔が青ざめていく。

「準備室で待機してるんじゃなかったのか…!?」

紺野が急いで美術室を飛び出し、後に鬼立と澪も続く。

紺野は準備室の扉を勢いよく開けて、そこにいる人物を確認する。

「桧森さんと…不動さんがいない…」

「さ、さっきの悲鳴は…?」

萩川は紺野の顔を見て、事態が深刻だと言うことを察した。

「まさか不動さんが…? 君たち、2人がどこに行ったか知らないか?」

紺野は3人に問うが、3人とも首を横に振る。

すると、遠くの方から、

「誰かー!」

と声がした。

「不動さんの声だ。おそらく近い」

紺野は走り出した。

 

 

 

鬼立と澪が紺野に追いついたとき、紺野は音楽室の前に突っ立っていた。

「遅かったかもしれません…」

紺野がそう口にして、鬼立は音楽室の中に飛び込んだ。

紺野も鬼立の背後から音楽室へと足を踏み入れる。

室内の窓際の床には、2人の人間が倒れていた。

仰向けの不動は頭から血を流しており、その奥で桧森は背中にナイフを突き立てられて倒れていた。

「一体何が…」

鬼立は急いで不動の手首をとる。

しかし、既に手遅れだった。脈は完全に停止していた。

紺野も桧森の脈を確認する。

「桧森さんはまだ息があります!」

「わかった、氷川君、すぐに救急車を頼む」

「は、はい!」

紺野はうつ伏せに倒れ込んでいる桧森の顔を覗き込んだ。

桧森の額には、「死ね」の2文字がしっかりと書かれていた。

「部長を殺害した人物の犯行のようです」

「例の文字か…。これを書いたのはここで死んでる不動守心礼か。となるとこの事件の犯人は副部長の不動守心礼で決まりか…」

「いえ」

「何?」

紺野の否定に鬼立は動揺した。

「それはまだわかりません。気になる点があります」

「気になる点?」

「桧森さんの額のこの『死ね』の文字です」

「と言うと?」

「上総部長の時の文字はすぐに読めました。しかしこちらの文字は、持っていた筆が震えていたのか、線がギザギザしています」

「つまり、何が言いたいというんだね」

「つまり、――――ということです」

「な、何だと…。…お前の勘は侮れないからなぁ…」

紺野は1つの推論にたどり着いた。

しかし、鬼立は100パーセントの納得はできていない様子だった。

「逆にこの現場を見たままで捉えるには、説明できない部分があります」

「な、どこのことだ」

「…刺さっているナイフの柄の部分に着いている血です」

 

 

 

ガラガラと病室の戸が開いた。

「あ、紺野さん…」

「体の具合はどうだい?」

「はい、だいぶ平気になりました」

白いベッドに横たわる桧森は、花束を置いている紺野に微笑んだ。

「…不動さん、亡くなったんですね…」

「…頭部を殴られたのが致命傷だろう。しかも一撃だ」

「すみません…。不動さんが私を突然ナイフで襲ってきて…無我夢中で置いてあった花瓶を振り回したら…」

「運悪く頭部に当たって死亡…か」

紺野はベッドの傍の椅子に腰掛けた。

それと同時にガラガラとまた病室の戸が開く。

鬼立と澪、そして美術部員の萩川、時東、蒼井だった。

「お見舞いに来たよ。桧森さん」

萩川はフルーツの入ったバスケットを花束の隣に置く。

それを合図に紺野が口火を切った。

「…では、始めましょうか」

「は、始めるって…?」

桧森が尋ねると、紺野はこう答えた。

 

「…この血塗られた惨劇の推理ショーです」

 

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