勘で謎解き? 紺野探偵の勘事件簿   作:MOGIぴー

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第16話 美少女探偵団連続殺人事件(傘)

「どうして宙香が…」

 舞浜は、冬河の変わり果てた姿を見てそう呟いた。

「…間違いないですね。傘の亡霊の仕業です」

 鬼立の部下だという麻倉(あさくら)刑事は、死体の傍らに座り込んで言った。

「遺体に突き刺さっている傘が前の3つの事件と同じ物です。それに加えて、突き刺さっている位置も全く同じ腹部です」

「被害者は全員女子高生のようですが…」

「この事件の唯一の共通点です。今回も女子高生で、しかも探偵団の1人とは…」

「もしかしたら、警告なのかもしれませんね」

 紺野が舞浜たちに向かって告げた。

「これ以上、事件に首を突っ込むなとね」

「探偵団が傘の亡霊事件を捜査し始めてすぐに冬河さんは殺された…。つまり、私たちの捜査の介入は、犯人にとってとても都合が悪いということね」

 現場でも冷静沈着で表情の変化が見えない階堂。

「ちょっと待てよ。もしそうならあたいらヤバイじゃん」

「ま、また誰かが…」

 動揺する白峰と怯える月丘。2人は階堂に抗議したい気持ちがあるようだ。

「何言ってるの。これでわかるでしょ。犯人が身近な人間ってことがね」

 階堂はそう言った。

「私たちが傘の亡霊事件を本格的に捜査し始めたのは昨日。しかも秘密裏にね。なのに犯人は私たちが捜査していることを知っていた…」

「まさか、あたしたちの中に傘の亡霊がいるって言うのか」

「もしくは、誰かが傘の亡霊に情報を流しているか」

 階堂の発言に紺野は納得せざるを得なかった。その理由は、紺野も全く同じ結論に辿り着いていたからである。

「階堂さんの言う通りだな。つまり、僕、澪、舞浜さん、階堂さん、三国さん、白峰さん、月丘さんの中に真犯人もしくは共犯者が紛れ込んでるということだ」

 紺野がまとめて簡潔に述べる。

「信じたくはありませんけど…、反論できる根拠もありません」

 と舞浜も歪んだ表情だ。

「過去の事件の現場写真か何かありませんか」

 紺野が麻倉に尋ねると、

「鬼立警部の指示でちゃんと用意していますよ」

 と答えた。

 用意周到な鬼立に驚きと感謝の入り混じった気持ちを持ちながら、紺野は写真を受け取った。

「これが最初の被害者、北原文代(きたはらふみよ)さん。近くの高校に通っていたごく普通の女子高生です。現場は商店街の裏路地で、人の出入りが少ないために発見が遅れたものと思われます」

 北原の死体は今回の冬河と非常に酷似していた。路地裏の中央で仰向けに倒れており、腹部には傘が突き刺さっている。

「そしてこちらが2人目の被害者で、同じく女子高生の平花音(たいらかのん)さん。現場はとある川近くの遊歩道です」

 平の死体も同じように腹部に傘が突き立っている。傘の存在が無ければ、地面で寝転がっているようにしか見えない。

「これが3人目の被害者、琴石日和(こといしひより)さんで同じく女子高生です。スクランブル交差点で人ごみの中で殺害されました」

 琴石の死体も腹部に刺さった傘が目立つ。確かに横断歩道の真ん中で倒れている。

「…なるほど」

 紺野が3つの写真を見て頷いた。

「な、何かわかったのですか?」

 舞浜が訊くと、紺野は「ああ」と答える。

「女子高生以外にも共通点がある」

「あたいにはさっぱり」

「まず突き刺さっている傘がすべて白色だ。今回の事件も含めてだ」

「ほ、本当だ…」

「もう一つは、腕時計さ」

「う、腕時計ですか?」

「そう、殺された4人全員が左右どちらかの手首に腕時計をしている。そして、探偵団の君たちも全員腕時計をしているね」

「確かに…。この腕時計はみんなでおそろいのを買ったんです。この腕時計が探偵団の一員である証として」

「傘の亡霊が狙っているのは、白い傘を持っており、なおかつ腕時計をしている女子高生だ」

 紺野がそう言い切ると、5人は顔を見合せた。

「つまり…私たちが白い傘を刺さずに、腕時計も外して行動すれば…」

「狙われないってわけ?」

「いや、この中に犯人がいるならいくら対策をねっても筒抜けだ。いずれ全員が殺される。そうなる前に、こちらですぐに犯人を特定するしかない」

「で、でしたら、まずは僕たちのアリバイを確認してみませんか…?」

 月丘が周りを見回してそう提案する。

「そうね。刑事さん、死亡推定時刻はどうなんだっけ?」

「えーっと、午前8時から9時の間ですね」

「じゃあ私はアリバイ証明できないよ。その時間は自宅で1人だったよ」

 階堂は壁にもたれて言う。

「ぼ、僕も家です…」

「あたいも同じく家だよ」

「あたしも自分の家だったよ。まだ寝てたし」

「私は…道本町の喫茶店で1人でした」

 紺野は舞浜が言葉に詰まったのを不審に思った。

 

 

 

「え…?」

 夜の暗い教室で白峰は1人驚愕していた。

 彼女の手にはスマホが握られている。

「白い傘に…腕時計をした…女子高生くらいの…」

 スマホの画面を食い入るように見る。

「亡くなったのは………な、え?」

 白峰は画面に釘付けになっていた。

 彼女の背後には謎の黒い影が蠢いている。

「じゃあ犯人って…」

 そしてその黒い影は一気に白峰の背後まで近寄る。

「うっ」

 1秒後には、彼女の呻き声。

 白峰の背中には大きな白い傘が突き刺さっていた。

 

 

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