勘で謎解き? 紺野探偵の勘事件簿   作:MOGIぴー

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第23話 氷川澪と復讐教室(惨劇)

「…士堂に続いて飛藤も殺害されたか」

 曇り空の下、鬼立は飛藤のびしょ濡れの死体と対面していた。

「警部」

 麻倉が鬼立に声をかける。

「どうした。何か見つかったか」

「ええ。あそこの街灯に『アカクラアミ』のメッセージがありました。士堂殺害と同一犯とみて間違いないでしょう」

 麻倉の報告に鬼立はただ頷く。

「そのアカクラアミは何者か分かったのか?」

「はい。半年前、弓名高校で自らの命を絶った女子高生、朱冥亜美(あかくらあみ)のことかと思われます」

「弓名高校で…。どうやら今回の事件はその女子高生の自殺が深くかかわっていそうだ」

「それとその朱冥亜美にはどうやら恋人がいたようなんですが…まだそれが誰なのかはっきりとした情報をつかめていません」

 鬼立は再び考える仕草をする。

「ふむ…。とりあえず引き続きこの近辺に聞き込み、それからほかに狙われうる人物がいないかも調査だ」

 

 

 澪の教室は今朝公園で発見された死体の事件の話題で持ちきりだった。

 一人は公園のジョギングをやめようと言い、ある一人は根拠もなく犯人の推理を披露している。

 澪は机に頬杖をついてため息をつく。

「探偵のお手伝いさん的にはどう思うよ」

 不意に美術部員の萩川が澪に話しかける。

「どうもこうもないでしょ。何の材料もないのに犯人の推理なんてできるわけないのに」

「冷たいなあ。…まあ風のうわさだと、どうやら被害者は弓名高校に通う学生らしいがね」

 その言葉を聞いた澪はハッとして萩川の顔を見る。突然のリアクションに萩川も驚く。

「ど、どうした急に」

「先日も別の弓名高校の学生が殺された。もしかしたら繋がっているのかも…」

「マジかよ」

 澪は教室の時計を見る。まだ休憩時間は10分ほど残っている。

 急いで美南のいる教室へ向かった。

 澪は美南を呼ぶと、すぐに事情を説明した。

「…まさか」

 事情を聞いた美南の第一声だった。

「これも畠中グループの仕業ってことなの?」

 澪がそう問う。

「確実じゃないけどおそらくですね。というか本当に詮索はやめてくださいよ」

 以前と同じように美南は澪に改めて注意する。

「わかってるよ」

 

 

 放課後、澪は現場の公園の近くに寄り道していた。

 事件の調査ではなく、本屋に問題集を買いにやってきていた。

 レジへ問題集を持っていく。会計中の間もなんとなく事件のことが気になっていた澪はしばらく公園の方を眺めていた。

 会計を終えて本屋を出る。するとある男が目に入った。

 先ほどの自分と同じように公園を眺めているその男は、大学生…紺野くらいの年齢だと推察できた。

「…僕が代わりに…」

 通り過ぎようとしていた澪の耳に入り込んできたのは、男の呟き声。

 事件のあった公園。そして今の男の言葉に、何かかかわりを感じた澪。紺野のように勘がさえているわけではない。

 だが気づけばその男に声をかけていた。

「あの」

「…え?」

「今の言葉は一体どういう意味でしょうか」

 澪がそう尋ねた。

 男も突然の質問に戸惑っているようだ。

「…あぁ、大したことじゃないんだよ。…ただ、こうなる前に何か自分に出来ることがあったんじゃないかと考えてただけだよ」

 男は再び公園の方に視線を移してそう言った。

「いったい何を後悔されているんですか。…ひょっとして今朝の事件ですか」

 今朝の事件。そのワードを口にすると、男は目を見開いて澪の方へ振り向く。

「図星ですね」

「すごいね君は。…後悔はしているよ。今だってそうだ。本当に為になっているのか、いや、なってないんだろうな、とずっと考えている」

「…それはあなたが事件に深く関わっているという…自白と考えても問題ないですか」

「…」

 しばらく無言だった。やがて男は口を開いた。

「僕の名前は新野晴季(はるき)だ。…士堂豪二と飛藤是治を殺したのは…僕だよ」

 澪と男の間に風が吹く。

 ただ澪は新野という名前の男を見つめていた。

 そこに二人の人間が近づいてきた。澪はそれに気づいて目線を変える。

 鬼立と麻倉だった。

「新野晴季さんですな?」

 鬼立が低い声で新野に問いかける。

「…ええ」

 一呼吸おいて新野は肯定した。

「警視庁の鬼立です。そこの公園で起きた事件についてお話を伺いたいのですがよろしいですかな」

「どうぞ」

 新野は鬼立の後ろをついていく。

 澪はスッキリしない気持ちを持ったまま歩き始めた。

 その時何かを踏んだ。足をどけてみるとそこには「AMI」と刻印されたペンダントがあった。

 

 

「ねぇ、紺野」

「…妙に釈然としない表情だね」

「弓名高校の学生2人が殺された事件…知ってるよね」

「ああ」

「その事件でとある人が容疑者として連行されていった」

「となると解決も近いということかな」

「…私はその人が犯人とは思えなかった」

「ほう。その根拠は?」

「ない。でも直感がそう言っていた。殺人なんて非道なことを出来る人間じゃないって」

「…なら君はそれを信じればいい」

「でも、この事件に介入したら悲しむ人がいる」

「しかし君はそのペンダントを持ち帰ってきた」

「! なんで」

「僕の勘がそう言っていた。そのペンダントは事件に関係する重要な鍵だ。君はそれを今所持している。この事件の真実を突き止めるために」

「…」

「その人物が犯人だとは思えない。だから自分で真実を探し出す。ペンダントがその決意の証じゃないかと思うんだが」

「…」

「ペンダントは連行された人物が落としていった物だろう。偶然か意図的なものかは分からないが…。だがその刻印された文字を頼りに調査することは可能だろう」

「『AMI』って書いてある」

「…僕の知り合いに弓名高校に勤める教師がいる」

「!」

八原(やはら)という教師だ。そいつに話を聞いてみると良い」

「…ありがとう、紺野」

 

 

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