勘で謎解き? 紺野探偵の勘事件簿   作:MOGIぴー

7 / 22
【3文字でわかる前回までのあらすじ】
前回は

by紺野


第7話 双霊島事件(謎解き編)

 朝になり、突然富山に叩き起された紺野は、富山の表情が普通でないことに気づき、すぐさま澪を起こして例の教室の前へ向かった。

 そこにいたのは雛美、風屋敷、栗谷だった。

「やはり扉は内側から鍵をかけられている。危険だと判断して取り替えた窓がここで仇になるとは」

 風屋敷が言う。

「中には?」

「黒瀬部長がおそらく……」

「栗谷先輩が発見?」

「そうだ」

「急いで窓を割りましょう」

 その後窓を割り、紺野が最初に中に入り、教卓の上で横たわっている黒瀬の脈をみた。

「……死んでるか……」

 そして黒板には白のチョークで書かれた文章が残っていた。

「『死んで罪を償う 黒瀬』」

 紺野がそれを読み上げると富山が小さい声で言う。

「自殺だったのか……」

「睡眠薬の小瓶が落ちてる。これを飲んだんだろう」

 栗谷が小瓶を拾い上げる。

「どう……して……」

 黒瀬の死体を見た瞬間に風屋敷は膝から崩れ落ちた。

「どうして……あの2人を……どうしてだよ……!」

 床に手をついて涙を流す風屋敷。

「風屋敷……」

「ど、どうして黒瀬部長がぁ……2人を手にかけたんですかぁ……?」

「遺書か何か無いのか」

「残ってないみたいですね」

「違う! 黒瀬は犯人じゃない!」

 風屋敷の叫びに全員が驚く。

「真犯人に罪を着せられて殺されたんだよ! 俺は許さないからな!」

 

「……いつまで白を切るつもりですか」

 

 唐突に声がし、風屋敷はその声の主のほうを見る。

 その声を発したのは紺野だった。

「いつまで演技をするつもりですか。風屋敷副部長」

「……は? 何を言ってるんだ。……俺は黒瀬の仇をうちたくて……」

「それも嘘ですね」

「なっ」

「ハッキリ言いましょう。……黒瀬部長を殺害したのは、風屋敷守琉、あなたです」

 紺野はそう言って風屋敷のほうを指さした。

「……俺にどうやって密室の黒瀬を殺せたと?」

「いいえ。あなたは黒瀬部長をこの教室の外で殺したんだ」

「何を言ってるんだ? 栗谷がこの教室に死体があるのを見てる。現にここにあったじゃないか」

「栗谷先輩が見たのは黒瀬部長の死体じゃない。……黒瀬に変装したあなた自身ですよ風屋敷先輩」

「くっ」

 痛いところをつかれたのか、風屋敷は狼狽えた。

「長いカツラを用意してかぶり、教卓の上に寝転がれば準備おーけー。誰が自分を発見させ、教室の窓と扉全てが内側から鍵がかかっていることを確認させる。その人物が全員を呼びに行ったら、すぐに前の扉の鍵を開けて、隠しておいた死体を教卓の上に置き、教室の外へ出て扉を閉めた」

「ちょっと待ってください」

 ここで富山が止める。

「それじゃあ鍵が閉められないじゃないですか」

「いいんですよ。全員がここに集合し、自分自身が鍵を確かめるふりをすればいいんです」

「つまり、最初教室の前の扉の鍵は開いていたが、風屋敷がさも閉まっているかのように演技をしたってわけか」

 栗谷が納得する。

 しかし、風屋敷は口角を上げて言った。

「御守殺しと姉島殺しはどうなんだい? 今のトリックじゃあ、俺には反抗は不可能だ。できるとすれば、前の扉を確認していた黒瀬くらいだ」

「その黒瀬部長こそが2人を殺した真犯人ですよ」

 

「え?」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。