事件に巻き込まれました。私の好きな体の部位はありません。よろしくお願いします。
By 紺野
「……黒瀬部長が犯人……? 一体何の根拠があって」
「黒瀬部長の部屋にありました。このカツラがね」
紺野はそのカツラを手に持ってみんなに見せた。
「これはおそらく髪の短い御守さんに変装する際に用いたものでしょう」
「部長はさっきのと同じ手口で犯行を?」
「まぁ正確には黒瀬部長の手口をそのまま風屋敷副部長が真似たというところでしょう。副部長はなんらかの形で部長の犯行を目撃したのでしょうね」
「でもぉ……、何で部長があの2人を殺さないといけないんですかぁ……? それに妹さんの事件もありますし……」
雛美が困惑しながら紺野に問う。
「それは、僕の勘では風屋敷副部長が何か知っているんだと思われますね」
「副部長が……?」
栗谷も困惑の色を隠せないでいる。
「……はぁぁぁぁぁ」
突然、風屋敷は深いため息をついた。そして言った。
「とんでもないやつをこの島に連れてきたもんだ。ここの連中より頭が冴えてやがる」
「僕の意志ではありませんでしたが」
「その様子だと……俺が何故死体が出血するような殺害方法をとらなかったのかも分かっているようだね」
「ええ、もちろん変装のためです。被害者に変装しているときには、出血していなかったとわかれば犯人の変装だと気づかれてしまう恐れがありました。その点、絞殺という殺害方法をとれば、変な血を浴びることも付けることもありません」
「……全部わかってるみたいだね……」
「おい風屋敷。お前何で黒瀬部長を殺した?」
「……復讐だよ」
「復讐? ……誰のですか」
富山が訊く。
「ここで黒瀬の手によって殺された、姉島冬子の復讐さ」
一同がどよめいた。
「え? どういうことだよ」
「……俺と冬子は恋人同士だったんだよ」
そしてもう一度訪れたどよめき。
栗谷は口をあんぐりと開けた。
「姉島とお前が……」
「そうだよ。わかるだろう? 恋人が黒瀬に殺された。だから黒瀬を殺したんだ」
「どうして」
紺野が口を開いた。
「どうして黒瀬はあの2人を殺したんですか。風屋敷副部長、あなたなら知っているはずです」
紺野の発言のあと数秒の沈黙がその場を覆った。やがて風屋敷は黒板のほうを向いて言った。
「大学に入ってすぐに、俺は黒瀬に告白された。俺はそれを断った。それが原因だろう」
「どういうことだ? なぜそれが黒瀬の殺人の動機に……」
「黒瀬は、俺と冬子が恋人同士だったことを知って、俺を冬子と別れさせようとしたんだよ。そして挙句の果てに黒瀬は……冬子を殺しやがった」
「じゃあ何で御守は黒瀬に殺されたんだよ?」
「……黒瀬が御守のことを危険分子と判断したんだろうね。確かに御守とはある程度の関わりもあったしな……」
「……姉島冬子の双子の春子の死は?」
「それは俺も詳しくは知らない。おそらく偶然、冬子が死んだ時期と同時期に不幸な事故に見舞われたんだろう」
紺野と鬼立は喫茶店にいた。
鬼立が持ってきた資料に目を通していた。
「……事故じゃなかったんですか」
「ああ、見ての通りだ。姉島春子はアパートの自室のバスルームで手首を切って自殺。とここには書かれている」
「ですが、どうやら普通の自殺では無さそうですね」
「ああ、現場となったバスルームの壁に大きく『明のために』と血文字で書かれていた」
「……明のために……」
「そのメッセージが現場で発見された事件はその姉島春子の事件で3つ目だ」
「つまり……連続殺人?」
「そう見たいが、何せ殺人だと断定できるものが何も無くてね。現場や被害者にも共通点は全く見つからないんだ。現場は密室ではなかったし、他殺なら犯人の出入りも簡単だろう」
「……これ以降は?」
「ああ、昨日4つ目の事件が起きた。同じく部屋にはこのメッセージだ」
「……最初の事件から詳しく教えて頂けますか」
「あぁ、最初は霧山町のマンションで起きた。
「……早乃木菜月……彼女は僕の大学に通っている人ですね」
「知り合いか?」
「まぁ、面識なら少しありますが……。ひょっとしてなんですけど……被害者の共通点は僕の大学だったりします?」