「えぇ? この大学の者が狙われていると?」
そう驚きの声を発したのは大学教授の
ここは大学構内。紺野と鬼立は教授の元を訪れて事件の概要を話した。
「確かに、金村も稲垣もここを卒業しておりますが……」
「偶然とは思えません。何かこの大学で事件などは起こっていませんか」
「無いですよ。少なくとも私が教授になってから10年、何も事件はきいてないですよ」
「大学生が何か事件を起こしたとかは?」
「それもほとんどありません。しかし、5年くらい前にとある男子大学生が殺人をおかしたことはありました」
「あぁ、私の担当では無かったですが、多少の事情は知っています。確か、彼は恋愛関係のもつれで当時恋人だった女子大生を殺害してしまったものでしたね」
「ええ、大きな事件といえばこれしか……」
3人が話しているとそこへ1人の男が部屋に入ってきた。
「教授」
水城を呼んだその男は准教授の
「どうしたね、立森准教授」
「また出ました。『明』が」
「明……?」
紺野と鬼立は資料を見た。
例の現場に残っていたメッセージは「明のために」だ。
「明というのは……?」
「ああ、よくわからんのですが、最近たびたび大学構内で起きてるんですよ」
「ほう」
「壁に『明』という文字を何者かが残すんですよ」
「……どうやらこの事件と関係がありそうですな」
「僕の勘ですが」
構内を鬼立と歩きながら紺野が言った。
「おそらく事件は終わりではありません。また死者がでます」
「しかしなぁ、誰が次の犠牲者になるかなんてわかりっこない。大学に関係していることがわかっても、それ以上の共通点は何も見つからないんだ」
捜査が行き詰まったようにも思える。紺野も諦めの表情を浮かべていた。自身の勘があまり働かないことに焦りも感じていた。
「うわ────────!」
その焦燥感はひとつの悲鳴でかき消された。
そこは男子トイレの中だった。
男子トイレの奥の壁にもたれかかって、手首を切って死んでいる女性の姿があった。そして壁には例のメッセージが残されていた。
「……5件目がここで起きてしまうとはな……」
「朋香!」
隙間から覗いた1人の女子大生が声を上げた。
「お知り合いですか」
鬼立はその人に話しかける。
「彼女は私の友達です。名前は
「火邑さんですか。えっと貴方は?」
「あ、はい。私は
「三炭さんですね」
「……鬼立警部」
「何だ」
「被害者のもう1つの共通点が判明しました」