TWO DEMENTION HEROES   作:謎のna0

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※ワームの説明に致命的なミスがあったので修正しました。


第3話

ビルド達が創生した新世界へと転送されてしまった湊カツミは桐生戦兎のアジトで生活していた。

 

カツミ「ハイハイ、分かりました...戦兎、修理の依頼だ」

 

カツミは電話で応対し、依頼主の要求をメモして戦兎に渡す。

 

戦兎「ああ、その辺置いといて。今、こっちで忙しいから」

 

戦兎は何やらパソコンを見ながら分析している。モニターにはビルドドライバーとループジャイロが写っている。

 

戦兎(一体何故、万丈とカツミが入れ替わる様に転送されたんだ?二つのアイテムに関係があるのか?)

カツミ「ハイ、ではお願いします」

 

カツミは応対を終わらせて受話器を置く。

 

RRRRR!

 

カツミ「またかよ..」

 

カツミは再び受話器を取る。

 

カツミ「ハイ。此方桐生修理サービス...⁉︎...はい。変わります」

 

カツミは受話器を戦兎に持っていく。

 

カツミ「戦兎、変わって欲しいみたいだ」

戦兎「だから、今分析で...」

カツミ「いや、内閣の人からなんだけど...」

戦兎「内閣?...分かった」

 

戦兎は内閣という言葉に反応して受話器を受け取った。

 

...............

 

北海道

 

猿渡農場

 

新世界の前、北都と呼ばれ土壌が疲弊した地域であったが新世界では元の豊かな食材が揃う場所となっている。

 

一海「よーし、飯にすんぞ!」

 

農場の主であり仮面ライダーグリスである猿渡一海が仲間の農家達に声をかける。農夫達は休憩に小屋へと入り、食事をする。

 

 

「ツー...ツー...おかけになった電話は...」

黄羽「.....やっぱダメか...」

赤羽「どうした?黄羽」

 

北都三話ガラスの1人、黄羽が受話器を手に苦い顔をする。

 

黄羽「いやさあ、隣村の友達の農家に電話したんだけどさ...電話に出ないんだよ」

青羽「何か用事があるだけじゃねえのか?」

黄羽「でも、一週間ずっとだよ?先週あったけど何処かに出かけるって話も聞いてないし。それにその村の他の人に電話しても誰も出ないし...」

赤羽「....確かにそれは気になるな」

青羽「よし、一旦俺たちで確認しに行くか」

 

一海「お前ら、飯食わねえのか?」

 

黄羽「ああ、ごめんカシラ。今そっち行くよ」

 

............

 

首相官邸の近く

 

 

ガチャッ

 

戦兎「よお、幻さん」

幻徳「戦兎。来てくれたか」

カツミ「この人は..?」

幻徳「私の名前は氷室幻徳。首相補佐官だ」

カツミ「し、首相補佐官⁉︎..俺は湊カツミです!よろしくお願いします!」

幻徳「そんな畏まらなくてもいい。戦兎、彼が例の巨人なのか?」

戦兎「ああ、そうだ」

幻徳「...この国を守ってくれたことに国民を代表して感謝の意を捧げよう。ありがとう」

 

幻徳は深々とカツミに対してお辞儀をする。

 

カツミ「あ、どうも...」

戦兎「幻さん、そろそろ本題に入ってくれないか?」

幻「ああ、まずはこれを見てくれ」

 

幻徳は持ってきたパソコンのモニターをつける。

 

幻徳「政府の調査機関の観測による航空写真だ」

戦兎「!...これは」

 

森林に灰色のモヤがかかってる写真が映される。

 

幻徳「最初は皆、機械の故障じゃないかと思ったが...昨日の騒ぎでの謎のオーロラと同じ色をしている。もしかしたら関連があるんじゃ無いかという意見が出始めている」

戦兎「場所は何処だ?」

幻徳「...北海道だ」

戦兎「一海達の住んでる地域か...成程。俺たちに調査に出向いて欲しいと」

幻徳「ああ。ひょっとしたらスマッシュやエボルトの様な脅威が潜んでるかもしれないからな。頼めないか?」

戦兎「任せなさいよ。この天っ才物理学者がチョチョイと解決してやるよ」

カツミ「なら、俺も行きます」

幻徳「君もか?」

カツミ「怪獣がいる可能性もあるかも知れないですし..」

幻徳「確かに否定は出来ない..分かった。戦兎と2人で向かってくれ」

 

戦兎とカツミは北海道に向かった。

 

 

............

 

翌日

 

隣村へと向かった3羽ガラスは車から降り散々していた。しかし、黄羽の友人はおろか村には誰もいない。それどころか多くの家が開けっ放しであった。

 

青羽「どういう事だ...?人どころか虫一匹も見当たらねえ...」

赤羽「家も開けっ放しで...まるでついさっきまでいたかのようにTVが付いてたり...」

黄羽「変だよ...いくらなんでも静かすぎる」

 

3人は各々見回った結果を報告する。

 

青羽「後、見回ってない場所は...」

黄羽「あそこの農場と村役場だけだ...」

赤羽「人はともかく、動物ならいるかもな」

青羽「手分けするぞ。黄羽は村役場、俺と赤羽は農場に向かう」

 

青羽と赤羽は農場に来た。

 

赤羽「原っぱには何もいねえな...」

青羽「あの、牛舎に行ってみようぜ」

 

牛舎に着いた2人だが...

 

青羽「...なんか、匂うな...」

赤羽「そりゃ牛舎だしな」

青羽「いや、そういう匂いじゃ...!」

 

青羽は牛舎から音がするのを聞く。

 

青羽「聞こえるか?」

赤羽「ああ、微かに物音がする...」

 

2人はそっと扉を開ける。

 

赤羽「あのー、すいません...ここの農場の方..」

 

赤羽と青羽は絶句した。

 

そこには片手が獣の様になった人間が...家畜の亡骸を喰らっていたのだ...

 

青羽「走れー!」

 

赤羽と青羽は一気に外へと走り出した。

 

一方、村役場

 

黄羽「すいませ〜ん、誰かいませんか〜」

 

黄羽は中に入り、人を捜索していた。

 

黄羽「...トイレも見てみるか」

 

黄羽はトイレを見てみる。

 

黄羽「誰かいませんか〜」

 

黄羽はトイレを一つ一つ見てみる。

 

黄羽「?...ここだけ鍵が閉まってる?」

 

黄羽は気になり再び声をかけて、戸を叩く。

 

黄羽「すいません...誰か...」

 

ガチャッ!

「うわぁぁ!」

 

 

すると急に扉が開き、子供がバットを持って向かって来た。

 

黄羽「わわ、ちょい待ち!何もしないよ!」

 

黄羽はどうにか少年を落ち着かせる。

 

「よかった。久々に普通の人で...」

黄羽「君、この村の子?てか、普通の人て?」

「僕はケント。農場の子なんだけど...数日前から皆の様子が...おかしくなって...」

黄羽「おかしいて、どんな風に?」

ケント「なんだか、野獣みたいに...とにかく父さんも母さんも人間じゃなくなったみたいな...」

 

その時、黄羽の携帯が鳴る。

 

黄羽「どうしたの?青ちゃん」

 

青羽『黄羽!今、村役場か!?』

黄羽「そうだけど、今1人子供が..」

青羽『俺たちも今近くだ!大人しくしてろよ!』

黄羽「う、うん。わかった」

 

暫くして青羽と赤羽が入ってくる。

 

赤羽「黄羽!早く上に上がれ!奴らがくる!」

黄羽「奴らて何!?」

青羽「いいから、上に上がれ!」

 

三羽ガラスとケントは屋上まで上がる。

 

青羽と赤羽は屋上の出口のドアを荷物で防ぐ。

 

黄羽「青ちゃん、赤ちゃん!一体どうした..」

 

「ぐぁぁぁぁ!」「がぁぁぁ!」

 

ケント「きた...父さんと母さんの声だ!」

黄羽「これが....?まるで獣の声だ...」

青羽「いや、マジで獣になってる...」

赤羽「ああ、あれはもうどうにもならねえ...」

 

ドォン!ドォン!

 

扉を叩く音が強くなり、扉が弾け飛ぶ。

 

「グルルル...」

 

黄羽「な、何だよ!あの腕...」

 

3羽ガラスはケントを後ろにやり構える。

 

「ガァァァ!」

 

ビーストヒューマンとなったケントの両親が襲い掛かろうとしたその時...

 

「オラァァァ!」

 

何かが空中から現れてビーストヒューマンを蹴飛ばした。

 

「たく、お前ら、勝手にウロチョロしてんじゃねえや...」

三羽ガラス「カシラ!」

 

三羽ガラスの前に仮面ライダーグリスが降り立つ。

 

青羽「カシラ!何でここに?」

グリス「来たのは、俺だけじゃねえ...」

 

ドォン!ドォン!

 

すると、ビーストヒューマンに弾丸が撃ち込まれる。

 

ビルド「何とか間に合ったな...」

 

ホークガトリングとなったビルドが飛行していた。

 

ケント「父さんと母さんは..」

ビルド「心配するな。今のは麻酔弾だ」

グリス「...戦兎たちがどうもこの辺で調査したいことがあったみたいでな..丁度お前ら探してた俺もご一緒させてもらったてわけだ」

 

「ギャァァァァァウ!」

 

青羽「!...また奴らの仲間か?」

赤羽「それにしちゃ声デカすぎねえか?」

 

 

ズドドドド!

 

向こうの地中がせり上がり、巨大生物が現れる。

 

ノスフェル「ギャァァァァァウ!」

 

それはかつてウルトラマンネクサスを何度も苦しめたフィンディッシュタイプビースト、ノスフェルであった。ケントの両親をビーストヒューマンに変えたのもノスフェルである。

 

黄羽「な、何だよ!あれ!」

 

グリス「ちっ、なんてこった!あんなんどう戦えってんだ!」

 

ノスフェル「ギャァァァァァウ!」

 

ノスフェルは口を開き、舌を伸ばす。

 

 

 

グリス「やばい!」

 

『ウルトラマンロッソ!フレイム!』

 

ロッソ「シュアッ!」

 

間一髪でウルトラマンロッソフレイムが現れてノスフェルを蹴飛ばす。

 

グリス「何だあいつは⁉︎」

黄羽「確か、おとといニュースで見た巨人..」

ビルド「心配するな。奴は味方だ!」

 

ロッソはノスフェルに対して構える。

 

ノスフェル「ギャァァァ!」

 

ノスフェルは鋭い爪を突き立てロッソに襲いかかる。

 

ロッソ「ハッ!」

 

ロッソはルーブスラッガーロッソを呼び出し爪に対抗する。爪と刃がぶつかる度に火花が散る。

 

ノスフェル「ギャァァァァ!」

 

ノスフェルは舌をロッソに向かい伸ばすが、ロッソはそれを避けて...

 

ロッソ「デアッ!」

 

ルーブスラッガーで斬り裂く。

 

ノスフェル「グエァァァ!」

 

ノスフェルは舌を斬られた痛みで怯む。

 

ロッソ「ハァァァ...シュァァァッ!」

 

ロッソはルーブスラッガーに炎の力を込めてノスフェルを一気に斬り裂く。

 

ノスフェル「グエァァァァァ⁉︎」

 

ノスフェルは斬られた場所から燃え上がり爆発した。

 

赤羽「しゃあっ!」

青羽「中々やるな。あの巨人」

 

グリス「あのネズミ野郎...意外な程あっけねえな..」

ビルド「俺もそう思った所だ...」

 

...............

 

一海「で、お前があの巨人なのか?」

カツミ「はい。そうです」

一海「戦兎から話は聞いた。俺は猿渡一海。仮面ライダーグリスだ」

カツミ「俺は湊カツミ。ウルトラマンロッソです」

 

変身を解除したカツミと一海はそれぞれ自己紹介を済ませた。周りでは戦兎達に同行して来た幻徳の派遣した研究員達が戦兎と共にビーストヒューマンを回収してテントで調査をしている。

 

戦兎「...これは...こんな細胞見た事ない」

 

戦兎はビーストヒューマンから採取された細胞を解析して驚愕する。

 

研究員1「戦兎さん、ちょっといいですか?」

戦兎「どうした?」

研究員2「この2人、変異した腕以外にも身体組織がかなり強化されてます。ただ、一部分を除いては...」

戦兎「一部分?」

研究員「...ここです」

 

研究員は頭を指さして言った。

 

ケント「お父さん達、大丈夫かな?」

黄羽「大丈夫だよ。あの赤いお兄ちゃんがネズミみたいな怪獣倒したから」

 

不安がるケントに黄羽が語りかける。

 

ケント「お兄ちゃんが、あの赤い巨人?...ありがとう!」

カツミ「ああ。君たちが無事で良かった」

 

そして数分後、テントから戦兎が神妙な面持ちで出てきた。

 

戦兎「...お前がケントか?」

ケント「そうだよ。お兄ちゃん、お父さんとお母さんを見てくれてんだよね。2人とも、元に戻る?」

 

戦兎はその問いかけに苦い顔をし、目を閉じて唇を噛み締め、ゆっくりと言う

 

戦兎「...残酷だが...真実を伝える...」

ケント「え...」

戦兎「お前の両親は...生物学的には死んでいる...」

ケント「!...嘘だ!さっきまで動いて...」

戦兎「訂正する。死んだ後に何者かに動かされていたて言うべきか...」

カツミ「おい!そんな言い方...」

戦兎「それでふと思ったんだが、君の両左官以外の住民はどうなったか分からないか?」

カツミ「おい、聞けよ!」

黄羽「ちょっ、子供の前でやめなよ!」

 

ドガァァァァ!

 

研究員「うわぁー!」

 

研究員が怯えて出てくる。

 

戦兎「どうした⁉︎」

研究員「研究体が...突然蘇生を...」

戦兎「何?」

 

「グゥゥゥ...がぁぁ!」

 

『ラビット!タンク!』

戦兎「変身!」

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

 

戦兎はビルドに変身してビーストヒューマンに対してキックを放つ。

 

ビルド「..最悪だ!まさかまだ...」

 

ビルドは2人のビーストヒューマンの攻撃を捌きながらある決断をする。

 

ビルド「うおおー!」

 

ガキイイン!

 

ビルドはドリルクラッシャーを取り出し、ビーストヒューマンを斬りつける。

 

ビルド(許せ...!)

 

ビルドはドリルクラッシャーにラビットボトルをセットする。

 

『ラビット!ボルテックブレイク!』

 

ドリルクラッシャーの刃が高速回転する。

 

カツミ「あいつ、まさか..!」

 

 

 

ビーストヒューマン「がぁぁぁぁ!」

ビルド「うおおおー!」

 

ビルドは向かってくるビーストヒューマンに対してカウンター気味にドリルクラッシャーでビーストヒューマンを斬り裂いた。

 

ケント「ああ!」

 

ビーストヒューマン「が、がぁぁ...」

 

黄羽「見るな...!」

 

ドガァァァァ!

 

ビーストヒューマンは爆発した。黄羽はその直前にケントの目を覆い見ないようにした。

 

ビルド「.....」

 

ビルドは変身解除する。

 

ケント「...お前、よくもお母さん達を...!」

黄羽「ケント...!」

黄羽がケントを押さえる。

 

戦兎「離してやれ...」

黄羽「え?」

戦兎「俺が許せないなら、好きなだけ殴ればいい...」

 

戦兎の訴えに黄羽は渋々手を離す。

 

ケント「許さない!僕はお前を...許さない!」

 

戦兎は黙って静かに目を閉じながら殴られ続けた...

 

..........

 

全員が苦い気分で村を後にし、戦兎達は一海の農場で休んでいた。

 

カツミ「...ちょっといいか。戦兎」

戦兎「...何か用か?」

カツミ「何で、あの子の目の前で...両親を..」

戦兎「あそこですぐにでもあの獣人を倒さなきゃ...更なる犠牲が出たかもしれない..」

カツミ「だけど!それにしたって他にやり方はなかったのか⁉︎あのこは一生、両親が目の前で倒された光景を焼き付けながら生きてくんだぞ!」

戦兎「...どの道、俺たちに、彼らを元に戻す方法は無かった。だからこそ、今はあのネズミ怪獣を倒す事だけ考えるべきだ。あんな犠牲者が出ないためにも..」

カツミ「...倒す?奴は俺が...」

戦兎「お前が戦った怪獣の破片と、あの獣人の細胞を比べてみたら...同じ物質が検出された。これから推測するに、あの獣人はあのネズ公が操っていた可能性が高い...しかし、獣人はネズ公を倒しても動いていた」

カツミ「!...て事は..!」

戦兎「ああ。あの怪獣はまだ生きている。村の人間の殆どがいないのも、怪獣に既に獣人にされてるからだろう。それがもし各地に散ってれば...最悪の事態も免れない」

カツミ「どうすればいい...」

戦兎「俺が奴を探し出す方法を考える。お前は待機していてくれ」

 

そう言うと戦兎は再びパソコンに向き合い部屋に閉じこもった。

 

カツミ「.....」

一海「戦兎のヤツと揉めたか?」

カツミ「!...一海さん!」

 

どうやら先程のやりとりを聞いていたらしい一海が現れる。

 

カツミ「アイツの言う事が正しいのは分かってます。でも、あんなに戸惑いもなく...さっきのケント君に対する対応だって...アレで償いのつもりか?」

一海「...ま、アイツはちとドライで研究バカな部分はある。けどな、お前の思ってるほど冷たい男じゃねえ」

カツミ「...そう言えば、貴方は戦兎の仲間でしたね」

一海「今は...な。この新世界が出来る前、最初は俺たちは戦争での敵同士だった」

カツミ「え?新世界...戦争?...どういう事です?」

一海「なんだ...戦兎のやつ、説明してねえのか」

 

一海はカツミに元の世界ではパンドラボックスにより国が北都、東都、西都の三つに分かれていた事、そしてそれぞれ戦争をしていたことを話した。

 

一海「北都と東都が戦争になった時、俺と黄羽達、戦兎は互いに街を破壊しながらぶつかり合った。戦況は俺たちが有利だった。そして、あいつは事態を挽回するため、禁断の力に手を出した...」

青葉「そして俺はあいつに殺された...」

カツミ「え⁉︎」

 

気がつけば青葉も近くに来ていた。

 

一海「....あいつ、暫く自分のやった事に押し潰されそうになって憔悴しちまってな...敵である俺が同情しちまうほどに...」

カツミ「そんな事が...」

一海「だが、アイツなりに守りたいものがあっての行動だった。そして守りたい者達との絆で禁断の力を克服しアイツは俺達に勝った。それ以降、アイツはそれ以降、犠牲が出ないよう出来るだけ人を傷つけず救える力を徐々に作り出し、スカイウォールの無い世界の実現に成功した。大した奴だよ...」

カツミ「守りたい者...か...」

 

カツミの脳裏に家族の顔が浮かぶ。

 

一海「ま、兎に角、あいつなりに悩んで、平和を願いながら戦ってる...てことは知って欲しい。その内、お前にも分かるさ」

カツミ「...」

 

カツミは黙って頷いた。

 

................

 

深夜

 

皆が眠ってる中、ただ1人ケントが起きる。

 

ケント「さて、そろそろか...」

 

ケントは1人外に出て林の方に行く。

 

ケント「.....」

 

ケントはノスフェルの顔が書いてあるクリスタルを取り出す。

 

ケント「ここの奴らも喰らい尽くすとするか...」

 

ドォン!

 

その時、ケントの持つクリスタルを目掛けて銃弾が放たれ手から落ちる。

 

ケント「何者だ!」

 

ドォン!ドォン!

 

敵の姿が見えないが銃弾が放たれる。

 

ケント「チィ!」

 

するとケントの腕が昆虫の手足を思わせる形状に変化する。

 

?「その腕、どう見ても人間では無いな」

ケント「...何者だ?」

 

『消しゴム』

 

すると、消しゴムボトルで姿を消していた仮面ライダーローグが現れる。

 

ローグ「戦兎に言われて念のため別行動で監視していたが...どうやら正解だったようだ」

 

ケント「ほう...」

 

するとケントは擬態を解き、かつて仮面ライダーカブト達と戦ったワームとしての姿を表す。ローグはワームに対して構える。その姿は蚊を思わせるモスキートワームと言うべき姿だ。

 

ワーム「何故、俺が怪しいとわかった?」

 

戦兎「どう見ても話が出来過ぎだったからだよ」

 

すると、すでに起きていた戦兎とカツミ、一海が後ろに現れる。

 

戦兎「村人が全員いなくなったにも関わらず子供1人が生き残る...余りに都合が良すぎでしょうが。だから、密かに幻さんに連絡して伏兵として潜んでもらったのさ」

ワーム「...うまく騙したつもりだったんだがな」

戦兎「...騙されるのは慣れてるんでね」

 

戦兎は苦い顔をしながら答える。

 

カツミ「お前達の目的はなんだ?」

ワーム「...お前ら人間どもの抹殺さ」

一海「何だと...?」

ワーム「といってもこれはまだ実験だ。俺たちは元いた世界で人間に擬態して地球を乗っ取るつもりだった。しかしライダー達との戦いに敗れて俺の様な生体は僅かとなり後は脱皮もできない雑魚のサナギだけになってしまった。だから「ヤツ」と手を組み人間どもに復讐をする事にした」

一海「ヤツ?...誰のことだ?」

ワーム「お前らの知る必要はない。ヤツのくれたこのスペースビーストとやらのおかげで雑魚のサナギ供も強くなったしな」

戦兎「一ついいか?お前が化けた子供を含んだあの村の人間はどこに行った?」

ワーム「全員、生きてるさ。俺たちの中でな...」

カツミ「お前達の中で...?...まさか!」

ワーム「そうさ!皆、俺たちに成り代わられて食われたのさ!」

ローグ「俺たち...まさか他にも仲間が?」

ワーム「その通りだ!」

 

ワームは口を開き共鳴音を出す。

 

ズズズ...!

 

すると地面が盛り上がり、戦兎達を吹っ飛ばす。

 

トータスロード「グゥゥ...」

戦兎「こいつは、5日前に倒したのと同じ...!」

ワーム「ビースト細胞により、我々ワームは人間だけではなく...他の怪人にも擬態が可能になった!」

 

トータスロードの顔にうっすらワームのサナギ体の顔が浮かぶ。

 

トータスロード「グゥッ!」

 

トータスロードはワームにノスフェルのクリスタルを投げる。

 

ビーストヒューマン「グオオオ!」

 

更に空中からビーストヒューマンがローグ目掛け飛びかかってくる。

 

ローグ「!...ハッ!」

 

ローグはネビュラスチームガンで迎撃する。

ビーストヒューマンは顔に直撃して落ちる。

ビーストヒューマンから緑色の血が流れ、サナギ体の顔が浮かぶ。

 

ローグ「こいつらもか...」

 

ワーム「貴様らにはここで消えてもらう!」

 

ワームはダミールーブジャイロを取り出す。

 

カツミ「それは...!」

 

『ノスフェル!』

 

ノスフェルクリスタルをセットしてジャイロを操作し、ノスフェルを召喚する。

 

ノスフェル「ギャァァァァァウ!」

 

 

 

一海「ハッ!易々とやられるかってんだ!」

 

戦兎、一海、カツミはそれぞれ変身アイテムを取り出す。

 

ワーム「させるか!」

 

ワームはクロックアップして3人に襲いかかる。

 

ローグ「何!速い!」

 

3人にワームの攻撃が襲いかかったその時...

 

ビガァァァ!

 

ワーム「ぐぁぁ!!」

 

ルーブジャイロからバリアが形成されて3人を守った。

 

戦兎「へぇ。中々便利じゃないの!それ!俺のベルトも付けようかな?」

 

一海「冗談言ってねえで行くぞ!」

『ロボットゼリー!』

 

戦兎「分かってますよ!」

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

 

カツミ「お前みたいな奴は、許さない!」

『ウルトラマンタロウ!』

 

戦兎&一海「変身!」

カツミ「纏うは火!紅蓮の炎!」

 

『潰れる! 流れる! 溢れ出る!』

『ロボットイングリス!』

『ブラァ!』

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

『ウルトラマンロッソ!フレイム!』

 

3人はそれぞれヒーローへと変身した。

 

ワーム「おのれ!やれ!」

 

モスキートワームの命令で全員がヒーロー達に向かう。

 

ロッソ「シュアッ!」

ノスフェル「ギャァァァァァウ!」

 

ロッソとノスフェルが激突するすぐ下で仮面ライダーと怪人達がぶつかり合う。

 

グリス「心火を燃やしてぶっ潰す!オラァッ!」

トータスロード「ぐぁぁっ!」

 

グリスの強烈な打撃を受けてトータスロードは後退する。

 

ビーストヒューマン「グオオオ!」

ローグ「フッ...ハッ!」

 

ローグは三体のビーストヒューマン(ワームサナギ体)の攻撃を捌きながらパンチとキックで反撃し吹っ飛ばす。

 

ビルド「ハァッ!」

 

ビルドはタンクのキャタピラ足でワームを蹴り付けダメージを与える。

 

ワーム「フン!」

 

ワームはクロックアップする。

 

ガキィン!ガキィン!

 

ビルド「ぐあっ!」

 

ビルドは吹っ飛ぶ。

 

ワーム「鈍い貴様では、俺のクロックアップに対抗出来ん!」

 

ワームは得意げに言い放つ。

 

ビルド「どうかな...お前の攻撃パターンは分かった!」

 

『ニンジャ!コミック!ベストマッチ!忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!』

 

ビルドはニンニンコミックフォームへとチェンジする。

 

ワーム「姿を変えても同じだ!」

 

ワームは再びビルドに向かう。

 

ビルド「ホラよ!」

 

ビルドは四コマ忍法刀のレバーを引っ張る。

 

『分身の術!』

 

ガキィン!

 

ワーム「ぐわぁっ!」

 

ワームの攻撃が当たる直前に分身が素早く飛び出しワームを斬りつける。

 

ビルド「まだまだ!」

 

『隠れ身の術!』

 

続いて煙幕が出てきてワームの目を眩ます。

 

ワーム「ど、どこだ⁉︎」

 

『火遁の術!』

 

 

ビルド「はぁっ!』

 

さらに、複数のビルドが現れて炎を纏った四コマ忍法刀でワームを斬りつける。

 

ワーム「ぐああっ!」

 

ワームは体から火花を散らしよろめく。

 

 

..........

 

ノスフェル「ギィヤァァァ!」

 

ノスフェルは鋭い爪をロッソ目掛け振り下ろす

 

ロッソ「クッ...ハアッ!」

 

ロッソは爪をルーブスラッガーで受け止め炎を纏ったキックでノスフェルを蹴る。怯んだノスフェル目掛けてルーブスラッガーで胸を斬りつける。

 

ノスフェル「グオオオ!」

 

ノスフェルは後退する。しかし...

 

シュウウ..

 

ロッソ「⁉︎」

 

すると、喰らった場所の傷が塞がっていく。

 

ロッソ「前より再生速度が上がってる..!」

 

ノスフェル「ギャァァァァァウ!」

 

ノスフェルはロッソ目掛けて鋭い舌を発射する。

 

ロッソ「クッ...シュアッ!」

 

ロッソは舌を避けて、チャージを短縮したフレイムスフィアシュートを放つ。

 

 

ノスフェルは頭を下ろし首を隠すような防御体制をとる。ノスフェルに直撃するが..

 

ロッソ「やったか⁉︎」

 

ノスフェル「グルゥゥゥ...」

 

ノスフェルは皮膚が焼け爛れて両腕がなくなっていたものの、すぐ様再生し元通りになった。

 

ロッソ「なんて奴だ...!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

...............

 

ビルド「んっ...今の..」

 

地上からロッソとノスフェルの戦闘を見ていたビルドは何かに気づく。ノスフェルの口内が光ってるのだ。

 

ワーム「味方の心配をしてる場合か!」

 

ワームは爪を振るいビルドを襲う。

 

ビルド「おっと!」

 

『風遁の術!』

 

ワーム「ぬぁぁっ!?」

ビルドは突風を起こしてワームを上に巻き上げクロックアップを使わせない様にする。

 

ビルド「そろそろ本命行きますか!」

 

「ラビット!ラビット!」

 

『ガタガタゴットン! ズッタンズタン!』

『Are you ready?』

 

『オーバーフロー!』

『紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!』

『ヤベーイ!ハエーイ!』

 

ビルドはラビットラビットフォームにチェンジした。

 

..........

 

グリス「うらぁっ!」

 

グリスの強烈なパンチがトータスロードを吹っ飛ばす。

 

グリス「そろそろ、終わらすか...」

 

『スクラップブレイク!』

 

グリスはスクラッシュドライバーのレバーを下ろす。

 

グリス「うおらぁぁぁっ!」

 

グリスは背後からヴァリアブルゼリーを勢いよく噴出し、そのまま勢いよくライダーキックをトータスロード目掛け放つ。

 

トータスロード「ぐぎゃああっ!」

 

トータスロードは直撃して爆発した。

 

.........

 

ローグ「フン....!」

 

ローグはネビュラスチームガンを連射してビーストヒューマン(顔はワーム)を怯ませる。

 

ローグ「纏めて片付ける!」

 

ローグはネビュラスチームガンにクロコダイルクラックフルボトルをセットする。

 

「ファンキーブレイク!クロコダイル!」

ローグ「ハッ!」

 

ネビュラスチームガンからワニの顎を模したエネルギー弾が放たれビーストヒューマンを殲滅した。

 

........

 

ビルド「さてと、そろそろ決めますか!」

ワーム「舐めるな!」

 

ワームはクロックアップで襲いかかるが

 

ビルド「よっと!」

 

ビルドは伸縮可能になった足を伸ばして足払いをする。

 

ワーム「ぐわっ!」

 

モスキートワームは転倒する。

 

ビルド「はっ!」

 

ビルドはその隙をついてジャンプする。

 

ビルド「はっ!たぁっ!」

 

ビルドは連続でモスキートワームをジャンピングキックで蹴りつける。

 

ビルド「トドメだ!」

 

「レディーゴー!ラビットラビットフィニッーシュ!」

 

ビルド「はぁぁーっ!」

 

そのまま赤いエネルギーを纏った右足を伸ばし強烈な蹴りをモスキートワームに放つ。

 

ワーム「ぐわぁぁぁっ!」

 

モスキートワームは爆死した。

 

ビルド「さて、後はあっちを手伝うか!」

 

ビルドはロッソとノスフェルの戦いを見上げる。

 

............

 

ロッソ「クッ!」

 

ロッソはノスフェルの舌が首に巻き付き電流を流される。

 

『聞こえるか?カツミ』

カツミ「戦兎?」

 

インナースペース内で戦兎から通信が入る。

 

戦兎『アイツの弱点を今から撃つ!動きを止めてくれないか?』

カツミ「弱点?分かった!」

 

ロッソはルーブスラッガーロッソを出して電流に耐えつつ、舌を斬り裂く。

 

『ウルトラマンビクトリー!』

 

カツミ「纏うは土!琥珀の大地!」

 

『ウルトラマンロッソ!グランド!』

 

ロッソはロッソグランドとなる。

 

ノスフェル「ギャァァァァァウ!」

 

ノスフェルは舌を再生させて再びロッソに伸ばす。

 

ロッソ「シュアッ!」

 

ロッソはジャンプで避ける。

 

ロッソ「ヘァッ!シュアッ!」

 

ロッソは土のエネルギーを集めた塊をノスフェルの足めがけて投げる。

 

ノスフェル「ギャア!?」

 

ノスフェルの足が土のエネルギーで固定されて動けなくする。

 

ロッソ「ヘァッ!」

 

その隙にロッソはノスフェルに近づき、口を開かせ、下で見てるビルドに向ける。

 

ビルド「よし、それくらいで充分と...」

 

ビルドはフルボトルバスターをノスフェルの口に向けて構える。

 

 

【挿絵表示】

 

 

『フルフルマッチブレイク!』

 

ノスフェル「ギャァァァァ!」

 

ノスフェルは舌をビルドに伸ばす。

 

ビルド「おっと!」

 

しかし、ビルドはラビットラビットの跳躍力を活かして直前でジャンプで避けると同時にフルボトルバスターからエネルギー弾を放つ。

 

ドゴォォォ!

 

ノスフェル「ギャァァァァァァァッ!?」

 

ノスフェルの口内に直撃する。同時にノスフェルが苦しげな方向を上げる。再生器官を破壊したのだ。

 

ロッソ「今だ!」

 

『ストビュームダイナマイト!』

 

ロッソ「ハァァァッ、シュアッ!」

 

カツミはオーブリングNEOを操作してストビュームダイナマイトを発動する。

 

ロッソ「ウォォォォォ!」

 

ロッソの身体が虹色に輝き炎に包まれノスフェルに突撃する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ドガァァァァ!

 

ノスフェルは大爆発を起こす。同時に煙が晴れてロッソが現れる。ノスフェルが二度と完全に甦らないように細胞を完全に焼き尽くしたのだ。

 

ロッソ「.....!」

ビルド「...!」

 

ロッソとビルドは互いに勝利を確かめるように頷いた。

 

................

 

翌日

 

首相官邸

 

 

総理大臣である氷室泰山と氷室幻徳の親子が会見を行う。

 

 

泰山「東京と北海道で目撃された巨人、及び巨大ロボット、巨大生物についての説明を私の補佐から説明があります。氷室幻徳、お願いします」

幻徳「私はあの巨人の戦いを近くで見ていました。私の判断から言わせていただくとあの巨人は味方です」

記者「根拠としては何かあるのでしょうか?」

幻徳「彼は人々を守る様な仕草を度々見せています。それに2度の巨大な脅威は彼の力なしでは解決出来なかった。私は我が国を守ってくれた巨人に感謝を込めてウルトラマンと呼びたいと思います」

 

..............

 

戦兎のアジト

 

TVで幻徳達の会見を戦兎とカツミが見ている。

 

戦兎「ナイス。幻さん。まっ、これでお前さんが変な目で見られる事は暫くないでしょ」

カツミ「ああ、礼を言っとかなきゃな」

 

戦兎「ま、幻さんはそんなこと気にしないと思うけどな」

カツミ「それと、お前にも謝らなきゃな...まさか、あの子が黒幕だったなんて...俺は完全に騙されていた」

戦兎「...ま、過ぎたことはいいさ。それに、アレは偶々俺の感が当たっただけさ」

カツミ「だけど、俺は自分の甘さを棚に上げてお前を非難してしまった...情けないよ」

戦兎「...俺は好きだぜ。お前さんみたいなお人好しがな」

カツミ「え?」

戦兎「初めて巨人を見た時、度肝を抜いたよ。俺たちの脅威になったら...て。でもお前なら大丈夫そうだ」

カツミ「戦兎...」

戦兎「それに俺は他人に対して冷たい所があるんでな。お前の優しさが少し羨ましい」

カツミ「俺はお前の頭の良さのが羨ましいけどな。俺の弟みたいに」

戦兎「隣の芝生は青い...てか。ま、これからも頼みますよ。愛と平和を守るために」

カツミ「ああ...!」

 

戦兎とカツミは握手をした。

 

 

................

 

「着いた。この世界にワームが...」

 

青いボディのクワガタを思わせる戦士があたりを見回す。

 

ドオオン!

 

「うおっ⁉︎」

 

青い戦士は突然の地響きによろめく。

 

「何だっ⁉︎」

 

青い戦士の見た先には、赤と銀のボディに黒いプロテクターの巨人が立っていた。

 


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