提督「貞操の概念が逆転した世界」   作:dassy

1 / 10
プロローグ&艦娘たちとの出会い

運転手「あと10分ほどで鎮守府に着きます」

 

提督「結構遠いですね」

 

運転手「戦場になるかもしれない前線ですからね、市街地や交通機関から遠いのは仕方のないことです」

 

提督「前線か…」

 

運転手「しかし羨ましいですね、提督殿。前線とは言え、あれほどの美女や美少女に囲まれて過ごすことになるとは」

 

提督「ははは。確かに両手に花どころではないですね」

 

運転手「提督殿は男前ですし、艦娘からの人気も高いでしょう」

 

提督「いえいえ、そんな…」

 

運転手「お、見えましたよ」

 

提督「…ん?なんだアレは!?」

 

運転手「へ?」

 

ドカーン

 

水面に立つ黒い影から放たれた砲弾は俺が乗っていた車を見事に吹き飛ばした。そんな攻撃に人間が耐えられるわけもなく、痛みもないまま俺の意識は深い闇の底へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

提督(う…ここはどこだ?何か声が聞こえる)

 

運転手「…殿!提督殿!」

 

提督「う…」

 

運転手「起きましたか。鎮守府に到着しましたよ」

 

提督「…あれ?」

 

運転手「どうかしましたか?」

 

提督「砲撃で吹き飛ばされたはずじゃ…」

 

運転手「いくら鎮守府勤務が嫌だからってそんな物騒なこと言わないでくださいよ。夢でも見ていたんじゃありませんか?」

 

提督「…そ、そうかもしれません。送ってくれてありがとうございました」

 

運転手は俺の荷物をトランクから下ろすと、さっさと帰ってしまった。

 

提督「時間通りの到着。出迎えがあるはずだが」

 

キョロキョロと辺りを見回していると、1人の女の子がこちらに走ってきた。

 

五月雨「提督ー!お待ちしてましたー!」タッタッタッ

 

提督「出迎えの艦娘か?」

 

五月雨「はい!…わっ」ガクッ

 

提督「わ、危ない」ガシッ

 

俺は転びそうになった青い髪の美少女を受け止めた。

 

提督「大丈夫か?」

 

五月雨「ひゃあっ!?ご、ごめんなさいごめんなさい!わざとじゃないんです!通報しないでください!」

 

提督「通報?いやしないけど」

 

五月雨「ほ、本当ですか?」ウルウル

 

提督「と言うか、今の一連の出来事のどこに通報する所があるんだよ?」

 

五月雨「へ?だって私、提督に抱きついて…」

 

提督「そんなことより案内を頼むよ、五月雨。荷物も整理したいし」

 

五月雨「え?あ、はい。了解しました」ビシッ

 

五月雨「…って私の名前知ってるんですか?」

 

提督「資料を読んできたから一通りはな」

 

五月雨の案内で私室に荷物を投げ入れた後、施設のレクチャーを受けた。彼女は相当なドジっ子なようで、よく躓いたりして危なっかしかった。

 

五月雨「い、以上で主な施設の案内は終了です」カオマッカ

 

提督「顔が赤いぞ」

 

五月雨「躓く度に提督が嫌な顔せずに受け止めてくれたので…」

 

提督「当然のことをしただけだ」

 

五月雨「えへへ。それでは30分後に食堂で全艦娘にご挨拶してもらいます。その後にささやかながら歓迎会を予定してますので、楽しみにしていてください」

 

五月雨(なんて優しい男性なんだろう。ああ、顔熱いのが収まりません…!)

 

提督「わかった。時間まで執務室にいるから、何かあったら呼んでくれ」

 

五月雨「はい、それでは」ペコリ

 

五月雨はそう言って走っていった。転びそうでハラハラする。

 

提督「書類の整理でもやっておくか…」ガチャ

 

青葉「……」

 

提督「……」

 

青葉「……」アオザメ

 

提督「…何をやってるんだ?」

 

青葉「あーその…新しい司令官が男性だと聞いたもので、取材をと思いまして」

 

提督「盗聴機でか?」

 

青葉「すいませんでしたぁぁ!!」ドゲザ

 

提督「男の提督なんて別に珍しくないだろ。なんで盗聴なんかしようと」

 

青葉「珍しいですよ!男性が女だらけの鎮守府になんか就きたがらないのは前から変わらないでしょう!?」

 

提督「初耳だぞ…いや、運転手がいくら嫌でもなんとかかんとかって言ってたな。結局どっちなんだ?」ウーン

 

青葉「あ、あの…」

 

提督「まあいいか。青葉、仕掛けた物は全部撤去するように。話くらいいくらでもしてやるから」

 

青葉「へ?通報はしないんですか?青葉、結構なことをやらかしてると自覚してるんですけど」

 

提督「未遂だし気にしてないよ」

 

青葉「…やらかした青葉が言うのもあれですけど、司令官それダメですよ」

 

提督「何が?」

 

青葉「通報されないのはホッとしてますけど、青葉はなんらかの罰を受けるべきです」

 

提督「真面目だな。じゃあ目瞑れ」

 

青葉「え?はい」

 

俺の目の前で青葉は瞼を閉じて立っている。いい匂いの美少女が無防備に目を閉じて突っ立っているのだ。

 

提督(ヤバい、変な気起こしそう…)ゴクッ

 

青葉「あの、司令官。いつまでこうやって…痛っ!」ペシッ

 

提督「はいデコピン。これでいいだろ」

 

青葉「…優しすぎますよ」

 

提督「ははは」

 

青葉「…青葉はこれで失礼します。司令官、その…ごめんなさい」

 

青葉は机の下に潜り込んで盗聴機を外すとそそくさと執務室から出ていった。

 

提督「それにしても、男の提督が少ないってどういうことだ?少し調べてみよう」

 

俺は参考になりそうな資料をかき集めた。

 

提督「なになに。近年、艦娘による司令官へのセクシャルハラスメントや強◯未遂が増加している…ってなんじゃこりゃ」ペラッ

 

提督「女性しかいない閉鎖空間での生活が原因で変な気を起こしたか?」

 

コンコンコンとドアがノックされ、五月雨が入ってきた。

 

五月雨「失礼します。提督、準備が整いましたので、少し早いですが来ていただけますか?」

 

提督「わかった。今行こう」

 

俺は資料を片付け、五月雨と執務室を出た。

 

五月雨「みんな提督が男の人だと知って張り切って準備してましたよ」テクテク

 

提督「…そんなに男が珍しいのか?」テクテク

 

五月雨「はい。やっぱり男性は艦娘に囲まれて過ごすのは怖いみたいで、提督になってもすぐに異動したりしちゃうので」

 

提督「怖い?」

 

五月雨「提督は女の人しかいない場所でも平気なんですか?」

 

提督「気まずいとは思うけど怖いとは思わないなぁ」

 

五月雨「…も、もしかして提督って結構…」ボソッ

 

提督「結構、何?」

 

五月雨「い、いえ!何でもないです!あ、着きましたよ!」

 

提督「案内ありがとう」

 

扉を開けて食堂に入ると整列していた艦娘がざわめいた。好奇の視線の中、俺は仮設の壇上へと上がった。

 

長門「全艦敬礼!」ビシッ

 

艦娘たち「!」ビシッ

 

提督(統率が取れてるな。流石だ)ビシッ

 

提督「…全員直れ。俺が今日着任した提督だ。新人の少佐だから失敗もあると思うが、どうかよろしく頼む」

 

長門「こちらこそよろしくお願いするぞ、提督。少しでも長く貴方と共に戦いたいものだ」

 

提督「…そうだな。みんなが沈まなくてもいいように全力を尽くすよ」

 

長門「え?あ、ああ、そうだな」

 

提督「?」

 

五月雨「長門さんは提督がここに嫌気が差して異動しないかを心配してるんですよ」

 

長門「五月雨、それは言わなくても…」

 

長門(それじゃまるで私が提督のことを好きみたいじゃないか!私はそんな軟派ではない!)

 

提督「嫌気?俺はここ前線だろうと職務は全うする男だ」

 

長門「…ほう」

 

五月雨「やっぱり提督ってちょっとズレてますよね」

 

提督「どこがだよ」

 

五月雨「そんなことより、歓迎会を始めましょう!」

 

食卓に次々と料理が運ばれてくる。

 

提督「これは美味しそうだな。みんなが作ったのか?」

 

間宮「はい。艦娘みんなで分担して作りました」

 

鳳翔「お料理が苦手な子も提督の為にがんばったんですよ」

 

提督「そうか、ありがとう。恥ずかしながら、女の子に料理を振る舞ってもらうのは初めてだから本当に嬉しいよ」

 

大鯨「わ、私も男の人に自分の作った料理を食べてもらうのは初めてです」

 

提督「そうなのか。前任は男性じゃなかったのか?」

 

大鯨「鎮守府勤務をしたがる男の人なんかいませんよ」

 

鳳翔「艦艇の魂を具現化した存在と言っても、私たちは女ですから」

 

間宮「ライオンのいる檻に生肉を放り込むようなものです」

 

提督「…それは恋愛的な意味で?」

 

鳳翔「まあ…そうですね」

 

大鯨(あと性的な意味で、ですよね…)

 

提督「なんでみんな目を逸らすんだよ」

 

間宮「あはは…」

 

提督「艦娘はそんなに恋愛に積極的だったとは知らなかったな」

 

鳳翔「提督もやはりそういう女性は苦手でしょうか?」

 

提督「やはり?」

 

大鯨「がっつく女は嫌われるってよく言いますし」

 

鳳翔「落ち着いていて余裕のある大人な雰囲気が人気だとか」

 

提督「まるで男が女性を口説く時のテクニックみたいだな」

 

間宮「女を口説くような男の人なかなかいないでしょう?私は見たことありませんよ」

 

提督「え?」

 

間宮「え?」

 

提督「……」

 

間宮「……」

 

提督「…まあ、あれだ。執務に影響しない程度のアプローチなら俺は全然困らないし嫌でもないよ」

 

その直後、背後から肩に手をかけられた。

 

金剛「今の話、本当デスカー?」

 

提督「うお、びっくりした」

 

金剛「Oh sorry」

 

振り向くと満面の笑みを浮かべた金剛が立っていた。

 

金剛「こうやってtouchするのはsafeデス?」

 

霧島「お姉様、やり過ぎですよ。初対面の男性の肩に触れるなんて…」

 

榛名「解体処分になったらどうするんですか?」

 

榛名(榛名も触りたいですけど!)

 

提督「解体?これくらいでするわけないだろ」

 

金剛「じゃあhagなんかは…?」

 

榛名「なっ!?」

 

霧島「お姉様!いい加減に…」

 

提督(金剛は確か帰国子女だったな。ハグくらい普通なんだろう)

 

提督「別にそれくらいいいぞ」

 

艦娘「「!!!???」」

 

提督「…えっと、何かマズイこと言ったか?」

 

霧島「司令!ハ、ハレンチです!みんなが勘違いしたらどうするんですか!?」

 

提督(ハレンチ…?セクハラと言い間違えたのかな)

 

提督「すまん、悪気はなかったんだ」

 

五月雨「あ、提督。みんな提督と話したがってますので一緒に回りましょう」トコトコ

 

提督「おう、わかった。それじゃあみんなこれからよろしくな」スタスタ

 

俺はその場を離れ、五月雨に連れられて他の艦娘と顔合わせに行った。

 

金剛「…提督のあれ、naturalな発言なんデスカ?」

 

大鯨「何というか、無防備ですよね」

 

鳳翔「セクハラはないにしても、少し心配ですね」

 

霧島(司令は私が守らねば…!)

 

榛名「は、榛名も少し積極的に行けばチャンスが…?」

 

間宮「…気持ちはわかりますけど、お料理が冷めちゃうので皆さん食べてくださいよ。鳳翔さんと大鯨さんも手伝ってください」

 

金剛(間宮、1番目がマジだったヨ…)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。