提督「ふわぁ…結局あんまり寝られなかったな。ってもう朝食の時間ギリギリじゃねえか」バタバタ
ドアが3回ノックされる。誰かが呼びに来てくれたのだろう。
提督「どうぞー」
時雨「失礼するよ、提督。そろそろ朝ごは…わっ!」バッ
提督「ああ、すぐに食堂に…なんでそっち向いてるんだ?」
時雨「提督がそんな格好してるからだよ!着替え中なら言ってよ!」カオマッカ
提督「あ…それは悪かったな」
時雨(なんで提督は恥ずかしがらないの?もしかして、僕誘われてるのかな?)
提督「着替え完了っと。それじゃ行こうか」
時雨「て、提督は僕に裸見られて嫌じゃないの?」
提督「裸って言っても上半身だけだろ。まあちょっと軽率だったな、悪かった。時雨はそういうことにはまだ興味がないかと思ってたよ、ははは」ポンポン
時雨(あ、これ子供扱いされてるやつだ)ムッ
時雨「興味ないわけないのに」ボソッ
提督「ところで、なんで時雨が迎えに来てくれたんだ?」スタスタ
時雨「ああ、五月雨に頼まれたんだ。提督がこの時間に食堂に来ていなかったら呼んできてくれってね」スタスタ
提督「なるほど。ドジっ子だけどしっかり者なんだな」
時雨「はは、自慢の妹だよ」
食堂に着くと、そこではすでに艦娘たちが朝食を取っていた。
時雨「席、空いてないね」
提督「あそこに1人分だけ空いてるぞ」
時雨「提督が座りなよ。僕の分は多分白露たちが取っておいてくれてるだろうから」
提督「そうか、ありがとう」
俺は時雨と別れて、その空いた場所に座った。
雪風「しれぇ!おはようございます!」
天津風「おはよう」
時津風「しれーおはよー」
初風「おはよ」
提督「みんなおはよう。俺が座ると狭くなっちゃうけど我慢してくれ」
雪風「問題ありません。雪風たちは小柄なので」
提督「はは、ありがとう。それじゃいただきます」
俺は朝食を食べ始めた。席順は俺の隣に雪風。その隣に時津風。向かいに天津風と初風だ。
天津風「あ、時津風またニンジン残してる」
時津風「だって嫌いなんだもん」
天津風「いつもそう言って野菜ほとんど食べないじゃない」
初風「ちゃんと野菜も食べないと体調を崩すわよ」
時津風「えー…じゃあこれ天津風にあげるー」スッ
天津風「要らないわよ」ガシッ
時津風「むー」グググ
雪風「と、時津風、あんまり押さないでください!」
雪風(ただでさえ狭いのにしれぇとくっついちゃいます…くっつくの自体は嫌じゃないけど、それで嫌われるのは絶対に嫌です)
提督「時津風、好き嫌いはよくないぞ。少しでもいいからちゃんと食べような」
時津風「えー」グググ
時津風に押し込まれ、雪風の体は俺に密着した。
雪風(わああああ!?やってしまいました!)チラッ
提督「ほら、半分でいいから食べなさい。雪風もちゃんと食べてる…って顔赤くない?」
雪風(しれぇは気にしてないのかな…?し、しれぇの体、がっしりしてていい匂いで…)
提督「おーい雪風」トントン
雪風「へ?」
提督「どうした?具合でも悪いのか?」
雪風「な、なんでもありません!少し考え事をしてただけです!」
提督「そうか、ならいいんだ」
初風「……」ジー
天津風(正直羨ましいわ)
時津風「んー、やっぱり美味しくなーい」モグモグ
※
和気あいあいと朝食を終えた。
提督「えっと、食器は返却口にっと」キョロキョロ
五月雨「提督!朝食はお済みですか…って、わあっ!?」
提督「五月雨!?」
ガシャーン
五月雨は何もない所で躓き転ぶ。彼女が持っていたお盆の上にはドレッシングや醤油などの調味料が残った器があり、俺はそれを頭から被ることになった。
五月雨「ご、ごめんなさいいい!」
提督「…だ、大丈夫だ。でもとりあえずシャワー浴びてくるよ」ベチョ
五月雨「ここは私が片付けておきますので、提督は早くお風呂に!」アタフタ
提督「落ち着け。またやらかすぞ」
食器の後片付けを五月雨に任せ、俺は私室にシャワーを浴びに行った。
提督「そういえば、自分の部屋に風呂があるのって贅沢だよな。艦娘のみんなは共同浴場なのに」シャワアアア
提督「よし、これでいいだろ。さっぱりしたー」
俺は体を拭き、パンツのみの姿で脱衣場のドアを開けた。部屋の真ん中で誰かが立っていた。
瑞鶴「あ、提督さん、やっぱりここにい…た…」
提督「あ」
瑞鶴「っっっ!!!!???」バッ
瑞鶴は凄まじい勢いで背を向け、両手で自分の目を覆った。
瑞鶴「あ、ご、ごめ、その、えん、演習の、確認を、それで、執務室にいなくて、こっちかなって、それで、えと、それでね!」
瑞鶴(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!わざとじゃなかったとは言え提督さんの裸見ちゃった!)
提督「落ち着け落ち着け。着替えるからそのままちょっと待ってて」ガサゴソ
提督(気を付けようって昨日思ってた所だろーがよ俺。なんで鍵かけ忘れてるかな)
瑞鶴(これ厳罰ものだよね…こんなことで解体なんて嫌だよ…)
提督「はい、もういいぞ」
瑞鶴「……」オドオド
提督「で、演習の確認だったな。今日は二航戦と五航戦を中心とした機動部隊同士の演習と、水雷戦隊同士の砲雷撃訓練だけだ…って聞いてる?」
瑞鶴「あ、ご、ごめん。聞いてなかった…」
提督「…瑞鶴、さっきのは不慮の事故。俺が鍵を閉め忘れて、君が勝手に部屋に入った。ちょっとお互いの意識が足らなかっただけだ。気にするな」
瑞鶴「し、処分は…」
提督「なし」
瑞鶴「え、いいの?私がいい思いしただけ…あ」
瑞鶴(私のバカ!用件済ませたんだからさっさと帰ればいいのに余計なセクハラ発言を…!)
提督「はは、いい思いって。普段頑張ってる瑞鶴へのご褒美とでも思えばいいんじゃないか?」
瑞鶴「…そ、そうする」
瑞鶴(何この人、優しすぎない?)
提督「さて、俺は執務室に行く。瑞鶴も演習の準備に行った方がいいぞ」
瑞鶴「はい、失礼します」ピュー
提督「…逃げるように出ていった」
※
提督「あっという間に昼だな」
コンコンコン
提督「どうぞ」
飛龍「飛龍です。演習の報告書を提出します」
提督「ご苦労様。艤装への補給が終わったら昼食を取って午後の訓練に備えてくれ」
飛龍「ねぇ提督、瑞鶴と何かあった?」
提督「…なんで?」
飛龍「演習中ずっと上の空だったし、この報告書も本当は瑞鶴が持ってくるはずだったのよ」
提督「俺と顔合わせたくないってことか」
飛龍「うん。だから何かあったのかなーって」
提督「そうだな…まあちょっとしたハプニングだ」
飛龍「へー、どんなハプニング?」
提督「秘密」
飛龍「えー、教えてよー」
提督「瑞鶴本人に聞いてくれ」
飛龍「そんなこと言わずにさ。ね、誰にも言わないから」
提督(なかなか諦めないな…)
提督「仕方ないな…シャワー浴びてラフな格好してたときに鉢合わせしたんだよ」
飛龍「あちゃー」
飛龍(提督のラフな格好…つまり薄着!瑞鶴羨ましいぞこのやろ)
提督「そろそろ昼食の時間だな。ついでに瑞鶴にフォロー入れにいくか」
飛龍「あ、じゃあ私も!」
提督「うん、一緒に行こうか」
食堂に向かおうとドアノブに手をかけたその時、ドアが勢いよく開いた。
巻雲「司令官様!いらっしゃいますか!?」
提督「わっ」
飛龍「きゃっ」
開いたドアに驚いた俺は、後ろにいた飛龍を巻き込んで転んでしまった。
巻雲「はわー!す、すいません!ごめんなさい!お怪我は…あ」
提督「……」
飛龍「……」カァァ
俺を支えようとした飛龍の両手は、見事に俺の胸に押し付けられていた。ついでに互いの足が互いの股の間に押し込まれるおまけつきである。
飛龍「やっ、あの…」パクパク
提督「すまん、すぐに退く」スッ
飛龍「お、おかまいなく…」
提督(混乱しとる)
巻雲「…あの、本当にごめんなさいです」
提督「次からはちゃんとノックしような」
巻雲「はい!」
飛龍「提督の体…ふへ」
提督「おい」
※
午後の執務を始めて数時間後。
提督(もう仕事がほとんど終わってしまった)
提督「しかし今日は暑いな。でも冷房点けるにはまだ早いし…ちゃんとシャツ着れば上着は脱いでいていいだろ」ゴソゴソ
コンコンコン
提督「あと10秒待って」ゴソゴソ
提督「はいオッケー。どうぞ」
榛名「失礼します」
提督「榛名か。どうした?」
榛名「提督は今お時間ありますか?私たち姉妹でお茶会を開くのでご招待したいのですが」
提督「そうだな。暇だったしお邪魔しようかな」
榛名「本当ですか?榛名は嬉しいです!」パァァ
机の上の書類を片付け、榛名の案内で彼女たちの部屋へ向かう。
榛名「今日は随分とラフな格好なのですね」チラッ
榛名(白シャツの袖口から見える二の腕が逞しくて素敵です…!)
提督「こう暑いとな…本当に春なのか疑わしいよ」
榛名「確かにそうですね。榛名たちも艤装がないと気温への耐性はヒトと変わらないので、今日は少し辛いです」
提督「…クーラーとかまだ点けてないよな?まだ春だぞ?」
榛名「……」
提督「……」
榛名「…ね、熱中症になるよりはマシだと思います」
提督「……」
榛名「……」
提督「…それもそうだな」
榛名(そういえば執務室は暑いままでしたね)ホッ
榛名「あ、榛名たちのお部屋はこの階段の先です」
提督「はいよ」
電「司令官さんに榛名さんなのです」
雷「こんにちは!」
提督「よう、雷に電。バケツなんか抱えてどうした?今日はオフじゃなかったか?」
電「はい。お休みなのでお部屋の掃除をしようとしてたのです」
雷「本当は午前中にするつもりだったんだけどね」
榛名「あはは、暁さんですね」
雷「そうなの。昼近くまで寝てるし、どこかに遊びに行っちゃうしで」
提督「ははは。まあせっかくのオフの日だし、ほどほどにな」
雷「わかったわ!」
電「了解なのです。それでは…あっ!」グラッ
榛名「!」
雷「危ない!」
提督「くっ!」バッ
バシャッ
階段を降りようとしていた電は、バケツで足元が見えにくかったのか階段を踏み外した。俺はなんとか彼女を受け止める。
提督「セ、セーフ…」ビショビショ
提督(ドジっ子恐るべし…)
榛名「提督、大丈夫ですか!?」
電「はわわ、ごめんなさい!」
雷「私たちは雑巾持ってくるわ。榛名さんは司令官をお風呂まで連れていってあげて」
榛名「わ、わかりました」
雷「電、行くわよ!」ピュー
電「は、はい!」ピュー
提督「走って転ぶなよー?」
榛名「それではお風呂にご案内…っ!?」バッ
提督「この格好じゃ茶会には出られないしな…ってどうした?顔なんか隠して」
榛名「提督、その…透けてます」チラッ
提督「あ、ホントだ」
榛名(それだけ!?)
榛名「と、とりあえず、榛名の服を上から着て下さい!」ヌギヌギ
提督「いやそうしたら榛名サラシだけになるだろ。ダメ。手で隠せばいいだけなんだから」
榛名「それでは逆にもっといやら…官能的です!そっちの方がダメです!」
提督「どこがだよ!?」
結局、榛名の後ろに隠れながら移動するということで妥協点が決まった。
※
榛名「中には誰もいないのを確認しました。ちゃんと暖まってくださいね。今日の気温が高くても風邪を引きますから」
提督「わかったよ。あ、鍵渡すから着替えのシャツを持ってきてくれるか?」
榛名「り、了解です」
榛名(男の人の部屋…!)タッタッタ
提督「さて、入るか」
提督(というか、なんで俺は大浴場で風呂に入ってるんだろうか。私室に風呂あるのに)
チャプ
提督「あ゛ー…でもやっぱデカい風呂は気持ちいいなぁ」
ゴーヤ「……」ブクブク
ゴーヤ(ヤバいでち。何がどのくらいヤバいかっていうと、爆雷マシマシの海防艦100人くらいに囲まれてるくらいヤバいでち)
提督「~♪」フンフン
ゴーヤ(潜水してたらまさか提督が入ってくるなんて…1人だからってはしゃぐんじゃなかったでち)
提督「俺の部屋の風呂ももう少し大きく…いやダメか」ウーン
ゴーヤ(しかし!提督はまだゴーヤに気付いていないでち…!このままやり過ごせば覗きの冤罪はかけられない…!)チラッ
ゴーヤ「ごふっ」
提督「おん?」
ゴーヤ(あ、危なかったでち…もうすぐで見つかるかと。それにしても提督、いい体してる。顔もいいのに体も完璧なんてズルいでち)カァァ
提督「…暖まったし、そろそろ上がるか。着替えももう来てるだろ」ザバッ
ガラガラ ピシャッ
ゴーヤ「……」プカァ
ゴーヤ「なんとか修羅場を潜り抜けたでち。これでゴーヤも歴戦の艦娘でち」カオマッカ
提督(ゴーヤ…可哀想だから気が付いてないフリをしておこう)フキフキ
※
提督が去った大浴場の脱衣場。そこにある艦娘が立ち竦んでいた。
初霜「どうしよう…」
初霜(訓練終わりにシャワーを浴びに来たら、男ものの下着が置いてあるなんて)
初霜「これ提督のよね?持っていった方がいいのかしら?」
初霜(でも問題が1つある。私がこれを持っている所を誰かに見られたら、あらぬ誤解をされる)
初霜「下着泥棒扱いは絶対に嫌。でもここにこれを放置しておくのも…」
初霜(というか、これがここにあるということは提督が大浴場を使ったということ!)
初霜「…お風呂に入ってから考えればいいかな」
しかし初霜が風呂から出た後には、もう既にパンツは何者かが持っていってしまっていた。
初霜「……」ガクッ
初春「何をしとるんじゃお主は」
※
午後の執務を終え、俺は夕食を取っていた。
提督「やっぱりここのご飯は美味しいなぁ」
瑞鳳「この卵焼きは私が作ったのよ?」フンス
提督「そうなのか?味も焼き加減も俺好みでよかったよ」
瑞鳳「そう?じゃあまた作ってあげるね」
提督「楽しみにしてるよ」
長門「提督、少しいいか」
提督「もちろんいいよ。食器を先に片付けてくる」スッ
長門「ならここで待っていよう」
食器の返却口に行こうとした俺を何かが引っ張る。
提督「ん?」
長門「提督、シャツが椅子のささくれに引っ掛かってしまっているぞ…っ」
長門(提督のシャツが捲れて腹筋が…!)
瑞鳳(て、提督のパンツちょっとだけ見えちゃった…!)カァァ
提督「…食器で両手塞がってるから、助けてほしいんだけど」
瑞鳳「あ、ごめん。すぐ取ってあげるね…はいオッケー」
提督「助かるよ、ありがとう。それじゃあ長門、ちょっと待ってて」
長門「あ、ああ」
俺はそう言ってその場を一旦離れた。
綾波(司令官の引き締まったお腹…素晴らしかった…!)
敷波「おーい、どしたの?」
綾波「な、なんでもないですよー」
占守「…クナ、今の見たっすか?」
国後「うん、まあ…」
占守「エロかったっしゅ」
国後「……」カァァ
対馬(司令は意外と清楚な下着をつけてるのね)
隼鷹「…ふふ、いいもん見れた」
飛鷹「何言ってるの?」
隼鷹「飛鷹は見逃したの?ツいてないなぁ」
※
提督「よし、これで今日の執務は終了だ」
五月雨「はい、お疲れ様でした。お茶入れますね」
提督「うん、気を付けてな」
五月雨「だ、大丈夫ですよ」
提督「ははは」
提督(さて、まだ慣れてないとは言え、無防備な所を見せすぎたな。俺が風紀を乱してどうする)
五月雨「提督、お茶どうぞ」スッ
提督「ありがとう」
五月雨(ドジしなくてよかったぁ…)
その時、執務室のドアがノックされた。
神風「司令官、失礼するわね」
提督「やあ神風、こんな時間にどうした?明日の遠征のことか」
神風「ええ、そうなの」
五月雨「ええっと…明日の遠征は神風さんが旗艦で春風さん、朝風さん、松風さんの艦隊ですね」
提督「何か問題が?」
神風「実はちょっと春風の体調がよくなくて…代わりに旗風を再編成してほしいの」
提督「それは構わない。春風は大丈夫なのか?」
神風「少し熱があるだけだから、明日1日休めばきっと大丈夫よ」
提督「少し心配だな…見舞いに行くよ」スッ
神風「司令官が私たちの部屋に?そ、そこまでしなくとも大丈夫よ」
神風(今部屋すごく散らかってる!司令官に見せるわけには…)
提督「いやいや、艦娘が熱を出すなんて心配だろ」
神風「いいから」ガシッ
提督「む」グググ
五月雨(なんか取っ組み合いに…)
神風「強情なんだから…!」グググ
提督「…甘い!」スッ
神風「きゃっ!」ガクッ
提督「ほい」バッ
神風「ちょっ…!」
神風(これ、お姫様だっこ!?)
五月雨(羨ましいです)
提督「このまま行こう」
五月雨「い、いってらっしゃい」
神風(司令官の腕って結構逞しいわね。というか、胸密着してる…って)
神風「下ろして!わかったから!」
提督「ははは、わかったよ」スッ
神風「…もう。ちょっと片付けるから部屋に着いてもちょっと待っててよ?」
提督「わかった」
※
提督「なんとか今日が終わった」
提督(ともあれ、早くこの世界の価値観になれないと大変だ)
提督「…明日からはもっとしっかりやろう」