提督「…早く着きすぎたか」
ここは鎮守府から1番近い街の駅前。俺は待ち合わせをしていた。
提督(霞にキスしたことが広まって、演習の度にご褒美要求をされるとは思わなかった…)
提督「さて、どうやって時間を潰そうかな」
由良「その必要はないですよ」スッ
提督「なんだ、由良ももう着いてたのか」
由良「はい。ちょっと早めに来ちゃいました」
由良(実は1時間前から待ってたって提督さんが知ったら引かれちゃうよね)
提督(相当前から待ってたのか?悪いことしたな)←外出記録把握済み
提督「で、今日はどこに行くんだ?」
由良「はい、あっちにある映画館に行きましょう」
提督「映画か。あんまり映画には詳しくないけど、俺でよかったのか?」
由良「て、提督さんと来たかったんです」カァァ
提督「そうか、よかった。じゃあ行こう」
由良「はい!」
テクテク
由良「……」
提督「……」
由良(…か、会話がない)
由良「き、今日はとてもいい天気ですね」
提督「そうだな。ちょっと暑いくらいだ。もう少し薄着にしてくればよかった」パタパタ
由良「う、薄着…そ、それ以上は私が持たないかもです」カァァ
提督「そうか?そろそろ耐性が付くと思ったんだが」
由良(だって、提督はもうすでにポロシャツのボタン2つも外してるから。鎖骨まで見えちゃってるから)
提督「由良がそう言うなら薄着は少し控えるか。誰かさんたちみたいに頭から湯気出して気を失われると困るし」
由良「あ、うぅ…」
由良(それはそれでちょっと残念…)シュン
提督「…お、なんか残念そうな顔だな?」ニヤニヤ
由良「っ!?してませんよ!」アセアセ
提督「冗談だ。ははは」
由良「…提督さん、ホントに小悪魔系です。もうっ」ボソッ
提督(かわいい)
※
提督「いやー、面白かったな。やっぱりスパイアクションものの洋画は迫力があって最高だ」
由良「そ、そうですね」
由良(な、なんであんなにエッチなシーンがいっぱいあったの!?前作ではなかったのに!)
提督「ヒロインとあの男スパイの関係はどうなるんだろうな?次回作も楽しみだし、前作も見たくなってきたな」
由良「前作はアクション一辺倒って感じで、結構グロテスクな描写もあるんで気を付けてくださいね、ね?」
提督「わかった。ありがとう」
由良「さあ提督さん、お昼ごはん食べて鎮守府に帰りましょう」
提督「そうだな、午後の執務もあるしな。どこに行こうか?」
由良「ふふ、この由良に任せて下さい。ばっちりリサーチ済みです」フンス
提督「それは楽しみだ」
由良「オシャレなカフェなんです。きっと提督さんも喜んでくれるはずですよ」
由良(雑誌のオススメでネットでの評価も良かったところだし間違いない…!)
テクテク
由良「えっと、確かこの辺りのはずなんですけど…」キョロキョロ
提督「もしかしてあの店か?」
由良「あ、はい。あのお店ですね…って、あれ?」
提督「なんか閉まってるっぽいぞ。入り口に貼り紙がしてある」
貼り紙『諸事情により、まことに勝手ながら本日はお休みとさせて頂きます。申し訳ありません』
由良「ええ!?」ガーン
提督「今日はやってないのか。残念だったな」
由良「はい…」
由良(ど、どうしよう…代わりになるいい感じのお店なんて探してないからわかんないよ…)ジワッ
提督「由良」
由良「は、はい…」
提督「道中に定食屋があったからそこで昼食にしよう。流石にここほどオシャレとは言えないだろうけど、見た感じなかなかよかったぞ」
由良「え?あ、はい」キョトン
提督「…由良、計画通りにいかなくてもそんなにしょげることないぞ。俺は由良とのデート、すごく楽しい」
由良「デ、デート!?」
提督「なんだ、違ったのか?俺はてっきりデートだと」
由良「違いません!」
提督「それはよかった」
由良(提督さんもちゃんとデートだって思ってくれてたんだ…なんだか嬉しいな)
由良「提督さん、今日はありがとう。上手くいかなかったこともあったけど、私も楽しかったです」
提督「それを聞いて安心した。デートはお互いが楽しめるものじゃないとな」
由良「は、はい!絶対またデートに来ましょうね、ね!」
提督「おう」
※
数日後、俺はまた街で待ち合わせをしていた。
提督「由良のこともあるし、早めに来てみた。はずなんだけどな…」
羽黒「あの、ごめんなさい」
提督「いや、謝らなくていい。待たせて悪かったな」
羽黒「い、いえ」
提督「今日は買い物に行くんだったな。何を買うんだ?」
羽黒「今日は夏物の服と水着を買おうかと」
提督「…俺は流行のファッションにはすこぶる疎いんだが」
羽黒「そうなんですか?でも、今日の格好すごく素敵です」
提督「そうか?ありがとう」
提督(鎮守府勤務になる前にちゃんとした私服買っておいてよかった)
羽黒「司令官さんも、み、水着とか買いますか?せっかくですし」
提督「そうだな、水着持ってないし、見てみようかな」
羽黒「なら、早速行きましょうか。一四○○までには鎮守府に戻らないといけませんし」
提督「だな」
俺たちは楽しくおしゃべりをしながらデパートへ向かった。
羽黒「司令官さんはどんな水着がいいですか?」
提督「海で遊ぶならサーフパンツだけど、トレーニングにも使うなら競泳タイプだな。どうしようか」
羽黒「なるほど」
羽黒(司令官さんは服とか水着の趣味はすごく清楚なんですよね、普段の言動とは違って)
提督「羽黒も自分の水着選ぶんだろ?あんまり悩んでも仕方ないし時間もかかるからテキトーに…」
羽黒「それなら、お互いの水着を選ぶというのはどうでしょうか?」
提督「…この俺のファッションセンスをわかって言ってるのか?」
羽黒「司令官さんが選んでくれた水着なら、私はどんなものでも着ますよ」
提督(それ、余計にハードル上がるって…)
提督「…仕方ないな。でも、あまりにも趣味じゃないものだったらちゃんと言うんだぞ。俺もその時はちゃんと言うから」
羽黒「は、はい!」
※
提督「いやーどうにか昼ごはんの前に買い物を済ませられたな」
羽黒「……」
提督「まさか羽黒があんな水着を持ってくるとは思わなかったけど」
羽黒「わ、忘れてください…!」カァァ
提督「意外とムッツリだったりするのか?」
羽黒「はぅ…」カオマッカ
提督(からかいがいのある子だなぁ)
羽黒「そ、それよりもお昼御飯を食べましょう」
提督「そうだな」
ギャル1「ねえねえおにーさん」ニヤニヤ
提督「ん?」
ギャル2「ちょっと私たちと遊ばない?」ニヤニヤ
提督(…うわぁ)
提督「…連れがいるのが見えないんですか?」
羽黒「そ、そうですよ」
ギャル1「そんな処女臭いのと遊ぶより、ウチらと遊んだ方が絶対楽しいって」
ギャル2「そうそう。ウチら結構慣れてるからおにーさんのこと楽しませてあげられるよ」
提督(引く気ないなこいつら。どうしたものか)ウーン
羽黒「だ、誰が処女ですか…!?バカにしないでください!」
提督「え、違うの?」
羽黒「えっ」
提督「……」ジー
羽黒「……」
提督「経験あるの?」
羽黒「…ないです」カァァ
提督「よかった。安心した」
ギャル2「…あのさ、無視しないでくれる?」
ギャル1「ほら、行こうよおにーさん」グイッ
提督「ちょ…」
羽黒「やめてください…!」ガシッ
ギャル1「あ?放せよ」
羽黒「貴女がその手を放すなら私も放しますよ」キッ
ギャル1「っ…!」
ギャル1(こいつ意外と力強い…)
ギャル2「お前調子乗ってんじゃねーぞ!」ギロッ
羽黒「騒ぐと貴女たちの為になりませんよ。周りの人がどんな目で貴女たちを見てるか気付いてますか?」
ギャル2「ぐ…」
ナニ?ケンカ? ヤーネ ケイビインマダ?
羽黒「…放してください」
ギャル1「チッ!やってらんねー!」バッ
ギャル2「マジ最悪」
スタスタ
提督「…なんとか穏便に済ませられたな。ありがとう羽黒」
羽黒「こ、怖かったですぅ…」ヘナヘナ
提督「ははは、かっこよかったぞ」ポンポン
羽黒「かっこいいだなんて、そんな…」カァァ
羽黒(でも、司令官さんを守れてよかった)ホッ
※
提督「……」
大淀「…私たちの言いたいこと、わかりますか?」
五月雨「……」ジトー
提督「はい…」
大淀「別に遊びに行くなとは言いません」
五月雨「それに、提督が私たちを大事にしてくれてるのも知っています」
大淀「ですが、そのせいで執務が滞ってるんです」
提督「で、でも昼過ぎには帰ってきて…」
五月雨「午前中にも執務はあります」
大淀「書類の中には提督のチェックとサインが必要なものも多くあるんです」
五月雨「あまり留守にするのも困るんです」
大淀・五月雨「わかってますか?」プンスカ
提督「はい、ご迷惑おかけして申し訳ありません」
しばらくの間、演習のご褒美にデートを要求することは自粛されたのであった。