俺が伝説の鬼の名を襲名して良いのだろうか?   作:佐世保の中年ライダー

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思い立つ訪問。

 

 もう桜の木もほぼ葉の黄緑色がその大半を占める程に花を散らしてしまいその光景に幾ばくかの寂しさと切なさを感じさせる週末の土曜日の朝、てか桜の花が散る様を世間一般の人はそう捉えるのだろうが、俺はそうでは無かったりする。

 いや全く違うとは言わないが俺は花が散った後の葉桜の方がしっとり落ち着いていて好みなのだ、だってな桜の花が満開になると街中の至る所で多くの人が浮かれ気分で花見だ何だのと遅くまで騒がしくって、静謐を好む俺としてはその喧騒があまり得手では無いしそんな処に放り込まれてもなぁ。

 しかしその花が散り葉桜の状態になってしまったらどうだ、あら不思議あれだけ集まり騒いでいたパーリーピーポー達もまるでそれがなかったかの如く、もう桜の木に見向きもしなけりゃ騒ぎもしないじゃないか。

 それは恰もキャバクラやバーで羽振り良く金を使っていた上客に集りチヤホヤしていたキャバ嬢やバーのお姉ちゃん達が、不況になり金を落とさなくなり上客と呼べなくなった常連客をアッサリと手のひらを返すように見向きもしなくなる様と似ているではないか、なので俺はここに提唱する。

 日本一億総飲み屋の姉ちゃん説を此処に高らかに! て……アホな言説を唱えるのはこの位でいいだろう。

 早朝の鍛錬を終えた俺は今自宅のリビングでゴロゴロと転がりながら我が家の愛猫カマクラをイジりたおしており、それにいい加減ムカついたのかカマクラは俺を『シャーーーァッ!』と威嚇して朝食の後片付けをしていた小町の方へと逃走していった、そんな自堕落な時間を過ごしその様を愛妹小町に冷え切った眼で見られている事に快感を覚えていたりする俺ガイル。

 

 「…………………はぁ〜っ。」

 

 あらやだ小町さんったらそんな眼でお兄ちゃんを見ないでそしてため息なんかつかないで、でないとお兄ちゃん何だかイケナイ何かに目覚めてしまいそうだよぉ〜。

 

 「お兄ちゃんさぁ、そんなに暇ならどっか出掛ければぁ、雪乃さんや結衣さんならお兄ちゃんが誘えば喜んで一緒に出掛けてくれるだろうしさ、何ならいろはさんだってそうなんじゃないの。」

 

 ジト目で俺を見ながら小町はそんな事を言ってくるがちょっと待ってくれよ小町さん、折角学校も休みでローテにも入っていない貴重なこの土曜日に態々外に出掛けるとか……無いわぁ。

 

 「あ〜、小町さんや今日は週末土曜日休日だよ休日ッてのは読んで字の如く休む日と書いて休日なんだよ、であるからしてお兄ちゃんは今その休みを身体全体を持って体現している訳であってだな、決してただ単にゴロゴロとしている訳じゃ無いし何なら心と身体がそれを求めているからそうしているだけでだ「あ〜はいはいそんなのいいからさ、第一もうそれ聞き飽きたしハッキリ言ってお兄ちゃん邪魔っ!」……おう。」

 

 と言う事で俺はリビングを掃除するからと小町に追い出され自室へと追いやられてしまったのだ、最近兄の扱いが雑なんじゃないかな小町ぃ。

 はてさて、まぁそれは良いとしてこの怠惰に過ごせる時間をば俺はこれからもどの様に使うべきだろうか、ベッドにダイブして昼間で惰眠を貪るも良し録画して溜まったハードディスクの肥やしになっているアニメをダラダラ見るも良し或いは読んでいないラノベは、今は無いんだよな……。

 

 「はて困ったな、俺はこれから何をすればいいんだろうか……。」

 

 俺は思う存分にダラダラとした時間を過ごせる筈なのにいざ実行となると、はて何をするべきかと、まさに今の俺の心境は。

 

 「そして僕は途方に暮れる……って感じだよ、もうすぐ雨のハイウェイでも無きゃ輝いた季節は君の瞳に何を写すのかとか知らんけど、しかしいつの間にか俺も社畜的精神が培われていたのかも知れんな、これも親父と母ちゃんから受け継いだ比企谷の血の為せる技なのか。」

 

 だとするならそんな物受け継ぎたくなんか無いしマジで要らんわそんな物、はぁどうするかな本屋にでも行って何かラノベの新刊でも探してみるか、それともさっきの小町の言う様に由比ヶ浜か雪ノ下を誘って……って駄目だな、二人共ただでさえ超絶的に可愛いしそんな可愛い女子と見た目陰キャの根暗男が一緒に出歩くとどうなるか、この一年程で嫌って程経験したしな。

 

 「あの嫉妬に駆られたヤロー達の陰の気に満ちた目線に嫌ってほど晒されて、こっちの気が滅入るんだよなぁ。」

 

 そうボヤキながら俺はベッドへと寝転ぶと自らに腕枕をして天井をボーッと眺める、あっ知ってる天井だ……どうでもいい下らない事を脳内で思考する。

 駄目だわこれは我ながらとんでもない重症だ、うんコレは由々しき事態だぞドクターヘリを至急要請せねば間に合わんぞメーデー、メーデー………。

 

 「はぁ止めだ止め、てかメーデーメーデーは確か救難信号じゃなかったっけかな知らんけど……。」

 

 ガバッとベッドから起き上がった俺はそんな事を言いつつ頭を掻く、掻きながらふも思い出したのは一昨日のたちばなでのトドロキさんの発言だった。

 

 「そう言えばトドロキさん今日はコッチに来てるんだよな、大波○海岸って言ってたっけか……暇だし陣中見舞いにでも行ってみるかな。」

 

 思い立ったが吉日と俺は立ち上がると手早く準備を済ませ、トドロキさん達へのちょっとした応援物資と自分の荷物を準備する為に階段を下りリビングへ向かい小町に尋ねる。

 

 「なぁ小町、今家に何かお客さんとかに出せる様な食べ物とか有る?」

 

 俺がそう尋ねると小町はジト目で俺を見やり、少しだけ何か考えている様な表情を見せたかと思えば突然ニタリと口の端を吊り上げると、チョコチョコと俺のもとへ歩み寄ると。

 

 「何々お兄ちゃん、これから誰か来るのもしかして呼んじゃったのかな雪乃さん?それとも結衣さん?そ・れ・と・もいろはさんかなぁ〜!?」

 

 俺の脇腹をツンツンと突きながら等とほざきやがった、小町のやつがニタリと嗤った時に気が付くべきだったわ、あの笑みがしょうも無い事を思い至った時の表情だって事を。

 

 「……はぁ、これから大波○海岸までトドロキさんの陣中見舞いに行くんだよだから何か無いかと思ってだな、無いなら途中で何か買って行くからいいんだけどな。」

 

 俺のその返事に小町は最初落胆した様にため息をついたが、やがてフッと優しい笑みを浮かべるとキッチンへと向かい戸棚を開いてゴソゴソと捜索を始めた。

 

 「ちょつと待っててねぇ確かあれが有ったと…。」

 

 待つ事十数秒、遂に小町は目的のブツを発見出来た様で『おっ在った有ったありましたよぉ、えへへへぇ〜!』と巫山戯た調子で宣いそれを戸棚から取り出して俺に差し出して来た。

 

 「ジャジャ〜ン落っ花生ぃも〜な〜かあ〜!」

 

 しかも青い狸とも猫とも知れないアレがお腹のポケットから何ぞ取り出したと時の声真似をしながらと来た物だ、やっぱり国民的番組ともなると普段アニメをあまり見ない小町でもネタとして真似る位には知っているってか小さい頃見ていた記憶があるんだなと俺は感心とも呆れとも付かない思いがこみ上げるって程では、無いか……うん無い。

 

 「はいお兄ちゃんコレ持っててよ。」

 

 優しい笑顔で落花生最中を俺へと差し出してくれる小町はマジで妹の鏡、その笑顔マジ眩しい。

 まさに『キミはボクの青春ミラー、まぶしく光る青春ミラー、ボクの憧れを全部身につけて輝くカガミ、青春ミラー』だ!異論は認めぬ、断じてな。

 

 「ああすまん、けど良いのかコレ小町の好きなヤツだろう?」

 

 「うん良いの良いの、この前お父さんが九州で買って来たカステラとも○吉のいなり揚げ餅とかがまだ残ってるからさそれトドロキさん達に分けてあげてよ、それから魔化魍退治頑張ってくださいって伝えといてね。」

 

 俺は小町から落花生最中を受け取りつつ、その小町が示す気配りと心遣いがすっげえ嬉しかった、親父に母ちゃん本当に良い子に育ったよ小町はさ我が家の誇りだよ俺と違ってな。

 ヤバいコレは今にも俺の涙腺の堤防が決壊して比企谷渓谷のダムの水が濁流となって麓の町を水没させてしまう、訳ゃ無いわ。

 

 「おう、ちゃんと伝えとく……そのありがとうな小町。」

 

 「うん!お兄ちゃんも気を付けて行っといで、それからちゃんと無事に帰ってくるんだよ!」

 

 俺が感謝の言葉を伝えると小町は一色以上のあざと可愛い敬礼ポーズをとり出立を促してくれる、うん今ので俺今日の晩飯お替り三杯はイケる。

 

 「おう、そんじゃあまぁボチボチ行ってきますシュッ!」

 

 先代から伝わるお約束の敬礼的挨拶を小町へと送り俺は家を出る、今日のところはあくまでも私用としてトドロキさん達の元へ赴くのだからCB400SB漁火では無く、俺個人の所有物であるKLX250由比ヶ浜にエッちゃんと名付けられた(由比ヶ浜の事だからおそらくKLXのエルとエックスから取ってエッちゃんと名付けたに違いない)が俺はそれを認めてはいないけど、に乗り大波○海岸へと向かう。

 まぁ多分何事も無いだろうけど、備えあれば憂いなしと言うし取り敢えずは俺の装備も積んで出発する。

 あ〜、そこの君今のをフラグとかお約束とか言わないでね縁起悪いから、いやマジでそんな事無いからね、絶対にと言い切れないのが怖いけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 自宅から単車で大凡一時間半弱、途中渋滞した箇所もがあったが(本来はやっちゃ行けないが、渋滞箇所をすり抜けし)割と順調に大波○海岸に到着した。

 大波○海岸駐車場はがら空きで其処の一区画駐輪スペースに俺はKLXを止める、駐車場全体を見渡すと其処にはトドロキさんが使用している車両とパトカー含む警察車両が五台程駐車してある。

 魔化魍の出現の可能性が高いと言う事から警察がこの海岸一帯を立ち入り禁止処置をしている為にこの様な状況になっている訳だが、俺がKLXのエンジンを停止したタイミングとほぼ時間差なくこの場を警邏していた警察官が俺にこの場は現在立入禁止なので引き返す様に促してくる。

 

 「ああすいません、俺猛士の関係者なんですよそれで今対処にあたっている猛士のトドロキさんの所に用があってですねだから通してもらっても構いませんかね、あっそうだ信じられないなら千葉県警の一色警部に確認取って貰っても構いませんよヒビキって言えば分かってもらえると思いますんで。」

 

 俺は警察官の方に自分の免許証を提示しながら此処へ来た要件をのべた、実はただの陣中見舞いなんだが用があるってのは嘘じゃ無いしな。

 一色警部にはもしかして手間を掛けてしまうかもだから少し申し訳無い気もするけど、しかしそれは杞憂に終わる。

 俺の元へ来られた二人の警察官は互いに顔を見合わせ頷き合うと。

 

 「何だそうだったのか、分かりましたそう言う事ならどうぞ現場へ向かって下さい。」

 

 笑顔で以て俺がトドめロキさん達の元へ赴く事を承諾してくれた、それに対し俺は一言礼を述べ荷物を持って海岸へと向う。

 

 「いや、君の様な若い少年が猛士の関係者とはね感心感心!」

 

 その警察官の一人、年重の三十代後半位の人が気さくでフレンドリーな感じでその様に言ってくれた、てかお前は友達とか居ないのにフレンドリーな感じとか分かるのかよなんて野暮な突っ込みは止めてね、八幡哀しくなっちゃうからね。

 

 「はぁ、どうもっす。」

 

 俺はペコリと二人の警察官に頭を下げてその場を去りトドロキさん達の元へ向かい行く、いざ鎌倉へって具合に気を引き締めて等という事はなく取り敢えずはトドロキさん達に激励の言葉と落花生最中を渡せり良いや位の軽い気持ちで居るものだから、なんだか真面目に対応してくれる警察の方達に対してほんのちょっぴり申し訳無く思ってしまった。

 

 

 

 

 俺は駐車場から海岸へと向かって歩いてゆく、駐車場からおよそ五分程が過ぎた頃テントとテーブル及び椅子などが設置された野営陣地が見て取れる。

 おそらくトドロキさん達はこの大波○海岸へ到着して然程時間は経っていない様で、遠目にだがたった今ディスク達を偵察に放っている最中である事が確認出来た。

 ディスク達を放って直ぐトドロキさん達はテーブルの上に地図と思しき紙を広げてる。

 ここで一つ説明しよう、俺はさっきからトドロキさん達と複数形で言っているがそれには訳がある、賢明なる読者諸氏には同然ながらお解り頂けよう……いかんメタ発言は控えるべきだな、まぁこれからその理由はアッサリと解るんだけどな。

 

 「トドロキさん財前さんちわっす、陣中見舞いに来ました!」

 

 その陣地にて野営をしている人物は二人居る、一人はご存知猛士関東支部所属の弦の鬼ベテラン十年選手のトドロキさんとその弟子であり、トドロキさんの元で修行を始めて二年目の二十歳の大学生の青年、名は『財前斬九郎』さん。

 俺はその二人に手を振り呼び掛ける、片手には土産として小町が選んでくれた落花生最中とこれが無ければ千葉は語れない、最近では九州でも販売される様になった千葉のソウルドリンク! そうマッ缶ことマックスコーヒーを収めた袋を持ってな。

 

 「おーっヒビキ、態々来てくれたのかありがとう。」

 

 テーブルに手を着いていた状態から半身を俺の方へと向けて片手を上げてトドロキさんが挨拶をかえし。

 

 「あっ、ヒビキ君お久しぶりっす、正月の新年会以来っすね!」

 

 続いて財前さんも愛想良く挨拶を返してくれた、このトドロキさんの弟子である財前さんと言う人はさっきも言った様に年齢は二十歳で大学生、外見的特徴は身長が凡そ180cm程で体型は比較的痩せ型髪は少し長髪気味で後ろ髪は肩の辺りまで伸ばしている、その雰囲気は俺の学校の同じクラスに居るウェイウェイ騒がしい葉山って奴の仲間に一見似ているか。

 財前さんは、俺がこんなふうに言うのも烏滸がましいかも知れないが外見的に少し頼り無げな印象を受けるが、これで案外義理堅い人で俺と違って社交的だし結構熱いハートの持主だ。

 この人が鬼となる事を志した切っ掛けはやはり魔化魍に遭遇した所をトドロキさんに救われた事で、何か俺もそうだしカガヤキさんもだし雪ノ下さんもそうだからこれはもう完全にお約束と言っても過言では無いな、コレは本当に。

 

 「そうっすね財前さんとはそれ位ぶりですかね、トドロキさんとは一昨日会ったばっかですけどって、すいませんアポ無しで今忙しいですかね。」

 

 社交辞令的に財前さんに挨拶を返すと俺は突然の訪問を詫びる、忙しい様だったら最中とマッ缶だけ渡して早々に帰るつもりだし出来れば勘弁して頂きたいものだ。

 

 「いや、たった今ディスク達を放った所だからな暫くは大丈夫だ、態々ありがとうなヒビキまぁそういう訳でゆっくりして行ってくれ。」

 

 トドロキさんはフッと優しく笑みを溢してその様に言ってくれたので俺達は暫しこの野営地にて歓談する事とした。

 

 

 

 

 

 

 「うわっ!?なんすかコレ……メッチャ甘すぎっすよ!」

 

 それがマッ缶を一口飲んで口をついて出た財前さんのマッ缶初体験の感想だった、マッ缶が此処まで強烈な甘さを有しているとは予想だにしていなかったんだろうな財前さんは、しかしこの甘さこそがマッ缶の存在意義だって事を財前さんは理解してくれなかった模様である。

 

 「解ってないなぁ斬九郎は、いいかマックスコーヒーは物凄いこの甘さが良いんだぞ、うん美味い!」

 

 対してトドロキさんは以前俺が飲ませてからすっかりマッ缶愛好家って程では無いが、ソコソコ美味いと思って頂いた様でトドロキさん曰く『たまに無性に飲みたくなるんだよな。』との事だ。

 

 「え〜っマジっすか師匠……俺はちょつと嫌いとまでは言わないっすけど積極的に飲みたいとは思わないっすよ、ヒビキ君には悪いっすけど……。」

 

 財前さんは後頭部に掌をあてて俺に申し訳無さそうにそう言う、けどまぁ好みは人それぞれだし自分に合わないなら仕方が無いよな、俺だってトマトとかあり得ないし……あのベチョっと感はおそらく一生慣れないだろう。

 

 「あっ、でもこの落花生最中ってのは何か俺好みの味っすね、美味っ、マジに美味いっすよヒビキ君!」

 

 財前さんはグッとサムズアップを決めて落花生最中を美味いと評してくれた、それに続いてトドロキさんも美味いと同意してくれてコレを持たせてくれた小町にはマジ感謝だな。

 とまあこの様に三人で暫し飲み食いしていたんだが、この暫しの時間でちょつと気になる事があった。

 それは財前さんの様子についてなんだが、なんて言うか今日の財前さんは何時になく緊張している様に感じられるんだよな、気の所為なら良いんだが。

 そう言えば一昨日仁志さんにも言われたっけな近い世代の同性の友達と触れ合ってみろ的な事をさ、いや財前さんは三歳も歳上だしその人を友達とかそれこそ烏滸がましいかもだけど、まぁ猛士の仲間として気に掛かる事は確認した方が多分良い筈だな多分、大事な事なので二回言いました多分。

 

 「あのもしかしてですけど財前さん何か緊張してたりしますかね?」

 

 俺は勇気を出して切り出してみた、ってちと大袈裟過ぎるかこの程度で勇気とか言うの。 

 それは置いて、俺がそう尋ねると財前さんは身体をピクリと小さく震わせた、おっとコレは図ぼった様だな。

 

 「いや…まぁそのッスね……ハハッ俺緊張してるんですよ少し……。」

 

 財前さんはソワソワとして言い淀み上手く言えなそうなので、俺はトドロキさんの方に視線を送るとそれを察して代わりにトドロキさんが答えてくれた。

 

 「まぁそうだな、今回は斬九郎にとっては卒業検定の様な物だからな、多少緊張するのもしょうがないよな。」

 

 ああ、なるほどそう言う事だったんですね………今日のおそらくはバケガニだと思われる魔化魍に対する財前さんの対処能力次第で、財前さんの一人立が決まる訳だ。

 

 「そう言う事なんですね財前さん、何てか月並みっすけど頑張って下さい。」

 

 マジどうしょうもない程に月並みに俺は財前さんに声援を送る、コクリと財前さんは頷きそして意を決して顔を上げると『ハイっす!』と力強く答える。

 そうこうしている内に捜索に出ていたディスク達の第一陣が戻って来た、さてこの中にアタリは有るのか、それは神ならぬディスクのみが知るって訳だな。

 

 

 

 

 

 




歌詞引用  大沢誉志幸 そして僕は途方に暮れる

      ザ・コレクターズ 青春ミラー

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