俺が伝説の鬼の名を襲名して良いのだろうか?   作:佐世保の中年ライダー

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この物語はテレビ版仮面ライダー響鬼とも、劇場版仮面ライダー響鬼七人の戦鬼とも仮面ライダーディケイドにおける響鬼の世界とも、仮面ライダージオウにおける響鬼のエピソードの世界とも違う、オリジナルの、やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。とクロスした世界です。原作を響鬼とするべきかとも思いましたが原作俺ガイルとします。



出会いの経緯。

 俺のスマホの画面には『日菜佳さん』と表示されていた、それは俺の所属する団体の事務方に従事する人で、俺達のスケジュール等の管理も行ってくれている女性だ。

 その人がこんな時間に連絡を入れて来たとなると何か危急の懸案が発生でもしたのだろうか、まぁそれは話してみれば理解る事だし先ずは電話に出てみなきゃだな。

 

 「はい、もしもし日菜佳さんですか俺です…。」

 

 俺は日菜佳さんからの要件を聞く、それはやっぱり緊急の事態の発生を告げるものだった。

 

 「はい、そうですか解りました、じゃあ現地でカガヤキさんと合流するって事っすね、はいじゃあ一旦家に戻って単車を換えてから現地へ向かいます、その方がGPSでカガヤキさんの車を見つけ易いっすから…それじゃそういう事で、失礼します。」

 

 「いや、気にしないで下さい日菜佳さん、千葉方面なら俺の領域っすから、それじゃ行ってきます!」

 

 それはやはり、俺にも現場へ出てほしいとの要請だった、雪ノ下と由比ヶ浜には悪いが、今日のところは仕方が無い。

 俺はスマホを懐にしまい由比ヶ浜と雪ノ下に向かい詫びる。

 

 「悪い二人共、そんな訳で行かなきゃならないんだよ、マジ悪いこの埋め合わせは次の機会にな。」

 

 「ううん仕方無いよヒッキー、でもさ気を付けてね怪我とかしないでね。」

 

 「ええ、分かったわ、比企谷君…いいえここからはヒビキ君ね、行ってらっしゃい無事に帰って来てね。」

 

 二人は優しく俺に見送りの言葉を掛けてくれた、俺はそれが嬉しくて…。

 

 「そんじゃ行ってきます、シュッ!」

 

 と俺の師匠であるカガヤキさんの師匠である先代の『ヒビキ』さんから伝わる挨拶のポーズを決めて、KLXに跨り学校を後にした。

 

 

 

 

 

 帰宅した俺はKLXを自宅の車庫へ停め、家へ入り自室で着替えを済ませて、必要な道具を取り揃えてバッグに詰めると、一目散に車庫へと引き返し、猛士から支給された車両『CB400SB』のサイドパニアケースへ荷物を詰めてそのシートに跨ると素早くキーを差し込みエンジンを始動させた。

 総排気量399cc並列4気筒エンジンが奏でるサウンドがご近所に甲高く響き渡る(免許制度の都合で俺はまだ大型二輪免許が取得出来ないからな、なので俺が所持するのは普通二輪免許だ、その免許制度が許す最大排気量である400ccクラスのこのマシンが俺に支給されているんだが、コイツは猛士の開発整備部の皆さんによる魔改造に依って排気量以外のスペックが…っと長々と喋りすぎたか)がそれを堪能する事などせず、俺はこのマシンに組み込まれたGPSを起動させると素早くマシンを発進させた。

 早い所現場へ駆け付けて、カガヤキさんの助勢をしなきゃだしな。

 

 

 

 

 

 GPSからの位置情報によるとカガヤキさんの車は御○山辺りに停めてある様だ、此処からだとそれなりの距離があるな、だからまぁ単車の運転に支障を来さない程度に、俺とカガヤキさん達との出会った時の事でも振り返って見ようか。

 

 

 それは俺が多くの黒歴史を刻んだ中学生二年生の時の事だった、今なら冷静に自分を顧みてあの頃の俺が如何にキモい勘違い野郎だった事かと理解出来る。

 そんな俺だから、仲の良い友達なんて出来やしなかったし、女子からは敬遠されていた悲しい奴だった…くっ!別に今はもう平気だ、昔の俺はそんな奴だったんだと割り切ってるしな。

 だが、そんな俺に一人だけ普通に接してくれる女子が居た、今思うとそれはただ単にそいつが差別的意識とかを持っていないだけで、別段俺に好意を持ってるって訳じゃ無かったのにな、なのに俺は勘違いをしてしまった…。

 

 俺はソイツに告白なんてモノをしてしまったんだ。

 

 『普通の友達じゃだめかな?』それが俺の告白に対する返事だった、俺は誤魔化し笑いで『そうだよね、うん、じゃあそれでよろしく…。』なんて返事を返すので精一杯だった。

 その夜俺は自分の枕を涙で濡らしてしまった事は、それは誰にも言えない俺だけの秘密だ。

 

 翌日学校へ登校した俺を待っていたのは、クラスの奴らからの嘲笑プラス彼方此方でヒソヒソと交わされる俺の噂話だった。 

 

 『ヒキタキの奴折本に告ったんだってよ。』だの『うわっ、マジ!?あのナルガヤがかよ、折本可愛そう。』だのと俺を嘲笑い小馬鹿にする声が小声だったり大声だったり、それは男女関係無しに聞こえてくる(そのお陰で陰キャボッチの俺が意図せずして学校に於いて、一躍時の人となったって訳だ)そうか、折本が俺からの告白をきっと誰かにオモシロ可笑しく言いふらしたんだろうな、その結果がコレなんだな。

 やっぱり、俺は人とは相容れない人間なんだ、だったらもう俺は誰かに何かを期待なんかしないで生きていこう…なんてことをその時俺は考えていた。

 

 

 

 

 そして翌日俺は学校を休んだ…ただ妹の小町を心配させない為に何時も通りに制服に着替えて家を出たんだが。

 俺は学校へは行かず、J○内房線に乗り込んだ、何処へ行くかなんて何も考えずに、何処か行った事の無い所へ行こうと思って。

 取り敢えず俺は五○駅でJ○線から小○鐵道に乗り換え上総○野駅で降りてから『ゆく宛てなくただ彷徨う、風の中のジプシー達よ』なんて歌詞の様にカッコよくは無いし、実情はカッコ悪いったらありゃしない理由なんだが。

 何時しか俺は森の中へと迷い込んだ、幸に時は初夏の頃で標高も高く無いから気温も低くは無いから凍える事はないのが救いか。

 

 途中コンビニで食い物と飲み物は買っておいて、それをチビチビと飲み食いしながら森の中を彷徨いていたはいいが、俺はその森が醸し出しているのか無気味な雰囲気に、なんだか精神を呑まれたかの様な不安感に襲われ始めた。

 人間てのは不思議なもので、不安に駆られると何故か饒舌になったりとかする様だ。

 誰か他者と一緒だったら、その不安を分け合う様にお互いにしゃべくりまくるのかも知れないが、生憎と俺は友達なんか出来たこと無いから知らんけど。

 

 このときの俺はその不安を紛らわす為に歌を歌ったりしていたんだけどな、まぁ大抵アニソンなんだけどね。

 どれ位の時間、どれ位の曲を歌ったかはもう覚えちゃいないけど、結構な時間歌ってたと思う。

 だって後で気が付いたらかなり喉が痛かったし声が若干涸れていたからな。

 歌いながら森を彷徨う俺の肩に突然何かが触れた。

 

 「ふわぁっあぁあぁっ!?!?」

 

 堪らず俺は奇声を上げて、腰を抜かしたかの様に尻もちを付き両手を地に付けて後退った。

 

 「ああ、ゴメンね驚かすつもりは無かったんだけど、学生がこんな時間にこんな所に居るなんて何事かと思ってね、手を掛ける前に声を掛けるべきだったよねこれは迂闊だったな…たはは…。」

 

 それはとても優しげで穏やかな声音。

 

 ふと俺はその人を見やった、地面に手を付いた間抜けな格好で。

 歳の頃はニ十代中盤前後か、登山者の様な出で立ちで背には大きなリュックを背負いにこやかな顔で少し屈み込んで俺に右手を差し出しす男の人に、何故か俺は不思議な安堵感を懐き、思わずその手を確りと握り締めていた。

 今になると俺はあの時どんだけビビっていたかって事が、その掴んだ手の暖かさと思わず込めてしまった力加減と共に思い出される。

 

 でもちょっと待って…もしかしてこの人俺が調子っ外れの歌を歌っていた所とか、もしかして見ていらしたんですよねぇ……。

 その事に思いが至り俺は恥ずかしさのあまり、穴があったら入りたい…な気持ちをこんな所でと味わう事となってしまった。

 

 

 俺はその男の人に誘導されて、その人が…その人達が設営したと思わしき野営地に案内された。

 

 「ただ今戻りましたヒビキさん、途中で中学生の少年を保護しましたから、取り敢えず連れて来ました。」

 

 「おおっ、お帰りカガヤキ、ご苦労さん、シュッ!コーヒーを淹れてあるから飲んでゆっくりしな、其処の少年も一緒にな。」

 

 これが、俺が師匠のカガヤキさんとそのまた師匠の先代ヒビキさんとの出会いだった。

 この時カガヤキさんはニ十四歳で俺より十歳年上で、ヒビキさんは三十九歳。

 何でも二人はカガヤキさんが中3の時に出会い危ないところをヒビキさんが助けて、そこから二人の交流が始まりやがてカガヤキさんは、ヒビキさんに憧れ尊敬しその為人に感銘を受け、ヒビキさんの有り様を人生の目標と定めその弟子となったのだそうだ。

 そしてこの日二人は何だかよくは分からないが、修行の一環として此処に来ていたそうだ。

 

 「…いただきます。」

 

 俺はヒビキさんからステンレスのカップを受け取り、そのコーヒーを一口飲んだ。

 甘党の俺からするとそのコーヒーは少し苦く思えたが、不安に駆られ森を彷徨っていた俺の心の澱を優しく解かしていってくれる様に感じ、ホッと溜息を吐いた。

 

 「…ははは、ありがとう少年、そんなに美味しそうに飲んでもらえると、淹れた俺も嬉しいよ。」

 

 そう言ってヒビキさんは優しく、それでいて何だか男臭くて、人を包み込む様な安心感を与えてくれる、そんな笑みを浮かべていた。

 その隣でカガヤキさんもまた優しい笑顔で俺を見てくれている。

 

 「いえ…あっはい、凄え美味かったっす…。」

 

 ああ…ヒビキさんとカガヤキさんか、知らなかったな…世の中にはこんなにも優しさと安心感を抱かせてくれる、そんな人が居たなんてな、中学の同世代の連中には無い大人の懐の深さと、安らぎにも似た気持ちを何時しか俺はこの人達に感じていた。

 

 そして何故だか俺は二人に…俺が今日此処へと脚を運ぶ事になった経緯を話していた。

 不思議だよな、昨日はあんなに、いやカガヤキさんとヒビキさんに出会うまでは、もう他人なんか信じないって心に決めていた筈なのに…どうして俺はこんな所でこの人達に自分語りをしているんだろう。

 冷静に後から考えれば、見ず知らずの人に自分語りをするとか黒の歴史に新たな一ページを刻む事になりかねかい事なのに、不思議と俺はこの人達が俺を貶める様な人だなんて、欠片程にも思ってはいなかった。

 

 

 

 そんなに長い時間では無かったと思うが、俺は話を終えてヒビキさんとカガヤキさんを見る、その時の二人の表情は俺が語り始めた時と何ら変わらない、優しい顔をしていた。

 二人は何も言わなかった、でも気が付けば左右両肩を二人が優しく抱いてくれていて俺は……。  

 

 

 

 「なんかスイマセン…御見苦しいところをお見せしまして……。」

 

 暫くたって気を取り直した俺は、二人にお詫びの言葉を述べた、ただ黙って寄り添ってもらえた事がこんなにも暖かくて、でも凄え恥ずかしくて…俺はそれしか言えなかった。

 

 「なに、別に詫びる必要なんて無いんだよ八幡君、人間誰だって沢山の事を経験して大人になっていくんだからね、それは嬉しい事だけじゃ無くてね、辛い事や悲しい事、後々思い返すと恥ずかしい事だってあるんだよ、僕だって、ヒビキさんだってそうだったんだ。」

 

 「そうそうカガヤキの言う通りだよ少年、君が流した涙だって、やがて君の成長の糧となる日がきっと来るさ、その日まで人は自分の心と身体を鍛えて行かなくちゃならないんだよ、いやその日までじゃ無いよな、人生ってのはもしかするとずっと己を鍛え続ける為の修行の場なのかもしれないな。」

 

 優しくも厳しいカガヤキさんとヒビキさんの言葉、人生が修行の場とか俺はそんな事考えた事も無かった。

 そりゃあそうだよな、俺は体育会系じゃ無い所謂コミュ力皆無の陰キャだし、何なら今日だって辛い事から逃げ出して此処に辿り着いたんだから。

 

 「まぁそれは人に強制する事じゃ無いしね、それは僕達の生き方であって、人にはそれぞれその人の生き方が有るんだからね、それを君も見つけられると良いね。」

 

 人としての生き方か、それもまた考えた事無かったな、俺も考えて見ようかなその生き方ってやつをさ……。

 

 

 

 

 

 「ヨシっ!それじゃあ一丁始めるとしますか。」

 

 「はいっ、ヒビキさん。」

 

 ヒビキさんの呼び掛けにより、二人の修行ってのが開始される、その修行ってのは一体どんな事をやるのか、俺は大変興味が沸き立てられその始まりを今か今かと待ち侘びている俺がいる。

 

 二人は両手に木の棒を持ち…向かった先に備え付けられていた太鼓へ向かい…へっ太鼓!?

 そうか二人が手に持っている木の棒は太鼓を叩く撥なんだな…。

 えっ、ヒビキさんとカガヤキさんの修行ってのは太鼓を叩く事なの、何だろうもしかしてこの人達って、何処かの舞台で太鼓の演奏とかやってる人なの、それとも夏場に日本の各地で行われる夏祭りとかに出向いて其処で太鼓を叩いているとか……。

 

 そう言や俺、この野営地の周りの状況をまともに見ちゃいなかったよな。

 この野営地には人が二人くらい入っても余裕で横になれそうな大きさのテントが二つ設置されていた、そのテントの前には丸いテーブルとパラソル、そのテーブルとセットなのか折りたたみ式の椅子が俺の分も用意してくれた所を見ると数脚分あるのだろう。

 そして飯盒炊爨が出来そうな石積みの竈が設えられていて、そこには薪がくべられ炎が揺らめきパチッと時々薪が爆ぜる音が小さく鳴る、さっきいただいたコーヒーのお湯はここで温められたんだよな、当然。

 そしてこの場所、すぐ側に小さな川がある事から此処が川岸だと言う事が解った、今更だけどね。

 

 

 太鼓の前に立つ二人、ただ黙って立っているだけの二人なのに、何とも言えない気魄の様な物を俺はヒシヒシと感じさせられる。

 そう言えば大人の男の人が真剣な面持ちで何かに取り組む姿っのを間近でみるのって俺初めてだよな、多分。

 

 「「……はあーーっ!」」

 

 二人が空高く両腕を突き上げて、気合の声を木魂させ、やがて…。

 

 「「ハァッ!!」」

 

 裂帛の気合と共に振り下ろし2対の太鼓の音が響き渡った。

 

 ドン、ドン、ドンと時に強く激しく、ドコドコドコドコって感じで高速連打のの音が時に繊細で優しく響く。

 太鼓の音色に何時しか俺は心を奪われた様に二人が太鼓を叩く姿に見入ってしまった。

 凄え…本当に凄えっ!太鼓の音色ってこんなにも人の心を揺さぶるものなのかよ…いや違うのかな、ヒビキさんとカガヤキさんだからこそなのか。

 

 だが、その心揺さぶる太鼓の演奏も終わりの時を迎えようとしている。

 

 「「はぁーっ…」」

 

 再び二人は両腕を大きく掲げて……そして振り下ろす!

 

 『『ドドンッ!!』』

 

 

 

 

 ………俺は言葉を失っていた、ヒビキさんとカガヤキさんが打ち鳴らした太鼓の音色の迫力に、熱量に、それが終わった後も暫く茫然自失の体を晒していた。

 

 「……君、八幡君どうしたんだい、大丈夫か!?」

 

 気が付くと俺はカガヤキさんに声を掛けられていた、何だかスゴく俺の事を心配してくれているって事がこの様子から伺えた。

 その隣でヒビキさんもまた俺を心配そうに見つめている、ヤバっ何かこんな事でこの人達に心配を掛けるなんて…。

 

 「へっ…ああ…いや、そのすいません俺…何か圧倒されちゃったみたいです、本当に凄かったっす、俺…太鼓の音がこんなに凄いって思っても居なかったもんだから。」

 

 アニメとかだと夏のエピソードで盆踊りのイベントとかで櫓の上で太鼓を叩くとかってあるけど、実物の太鼓をこんな間近で見た事も無かったしな。

 だからか、若干しどろもどろしながら俺は二人に返事を返した、その返事に二人はその表情に安堵した様でホッと一つ溜息を着くと気を取り直し、笑顔でサムズアップを決めた。

 ヒビキさんとカガヤキさん、師弟関係にある二人、さっきの演奏もそうだったけど、今の一連のやり取りも何か呼吸がバッチリ合ってるって感じで、それだけで何だか子の二人の絆ってのを感じられる気がする。

 

 「はははっ、気に入ってくれたみたいだな少年ありがとうな、シュッ!」

 

 そう言ってヒビキさんは何だか妙なポーズを決めていた、よく見るとその隣でカガヤキさんも同じポーズを取っているし、全くどんだけ息があってんだろうかこの人達は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この世界では斬鬼さんも死亡していませんし、斬鬼さんの師匠は朱鬼では無く先代斬鬼さんです。
明日夢君はヒビキさんの弟子となり鬼となった後カガヤキの名を贈られました。鬼としての名は漢字で輝く鬼と書いて『輝鬼』です。
因みに京介は関東支部には存在していません、何処か別の地方で別の鬼の弟子となりその後、鬼となり何処かの支部に配属されている…かも?
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