俺が伝説の鬼の名を襲名して良いのだろうか?   作:佐世保の中年ライダー

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決意する若武者。

 

 ディスクアニマル、アオイクマが収めた映像を見終わって俺は財前さんに提案し、少しの間クールタイムを置く事にした。

 財前さんは自身の目の前で、師匠である轟鬼さんがバケガニの人為的?変異種の猛攻の前に負傷してしまった事を自分が未熟であったが故だと自責の念にかられている事もあり、少し気持ちの整理をすべきじゃねと俺としては思っている訳なんだよな。

 なので俺はその為の時間を設けて、その間に今見た映像をPCでたちばなへ送信するなどちょっとした雑事を行い、五分位の時間が過ぎた頃ポツリと財前さんが口を開いた。

 

 「あのヒビキ君、もしかしてっすよ俺の清め方が足りなかったからあの黒い奴はバケガニの変異種を造る事が出来たんスかね?

 もしそうだとしたら師匠があんな目に遭ったのは俺のせいかも知れないっすよね……。」

 

 若干前屈み気味にチェアーに座り財前さんは右の拳を左の掌に叩きつけながらそう漏らした、俺が思ってた以上に財前さんは轟鬼さんの負傷とあのバケガニの出現に対して責任を感じているみたいだな。

 はぁ、俺は財前さんに対し何て声を掛けりゃ良いんだろうか、また財前さんは今俺が何かを言う事を期待して居るんだろうか。

 こんな時、仁志さんやカガヤキさんなら財前さんに何て言って心を奮い立たさせてあげるんだろうか、全くこういった時に俺は自分の対人コミュニケーション能力の貧弱さを痛感させられるんだよなぁ、何て事に思いを馳せていると財前さんは更に話を続ける。

 

 「俺、前に師匠に聞いた事があるんすよね……昔師匠が独り立ちして間もない頃、師匠は自分に自信が持てなくって魔化魍を清めた後も不安だったそうなんすよ。

 自分は魔化魍を完全には清めきれてないんじゃないかって、だから闘った後もその場所自体を清めるつもりで演奏をしていたんだそうっす、その場所が少しでも清らかになって出来るだけ長くその場に魔化魍が顕れないようにって……。」

 

 魔化魍が出現した場所そのものを清めるか、まだ新米だった轟鬼さんが自身の鬼としての技量に自信を持てずそんな事をしていたって、その話なら俺も以前トドロキさん本人とザンキさん聞いた事がある。

 けどそれもトドロキさんがその後にキャリアを積んで行くに連れて無くなったって話だったな。

 

 『何よりもそんな俺を見かねてザンキさんがサポーターを引き受けてくれたから、そのお陰で俺は精神的に余裕を持てる様になったんだ。』 

 

 トドロキさんにはザンキさんって偉大な師匠がいてその人の存在が支えとなってトドロキさんの成長を促す事に繋がって、しかし今財前さんにはその精神的支柱であるトドロキさんが居ない。

 俺程度じゃ、たかが一年未満の経験しか無い俺がトドロキさんやザンキさんみたいに財前さんを精神的に支えられる訳ゃねえよなぁ、はぁ〜どうしたもんだろうなぁ。

 とは言っても此処は一つ何かしら言うべきだろうと思う訳で、俺はどうにかして言語中枢から引き出してみた言葉を口の端に乗せて紡いでみる。

 

 「あの財前さん、俺も確かに何てかですね財前さんの懸念とかも解らないじゃ無いんすけど、今の映像を見る限り財前さんは鬼としての力量は十分に満たしてるって俺は感じましたよ。

 特に最後の変異体のバケガニに対する攻撃はマジに凄えって思ったし、アレですよねバケガニって甲殻類型だけあって通常型だって外殻の硬さとか半端ないっすよね、それがあの変異体となりゃ今の映像からでもその硬さは十分に伝わって来ますよ。」

 

 『それを斬撃によって切断したんだから財前さんの力は凄いものがあるんですよ。』最後にそう締めて俺は財前さんに語ってみたんだが、果して反応や如何にだな。

 

 「いやぁ、それがッスね………。」

 

 口を開き語り始めた財前さんだったが何故か其処で言い淀み、右手を後頭部へと持って行きバツが悪そうに頭を掻き始めた、何か照れてるって訳でも無いと思うんだがはて。

 

 「あの時俺師匠が一方的にバケガニに攻撃されてんのを見て、何かプッツン逝っちゃって思わず我を忘れてて動画を見るまで俺、自分が何をやったのか知らなかったんすよね、タハハッ。」

 

 苦笑交じりにそんな事を宣う財前さんだが、それを聞かされた俺としては目が点状態にってしまったとて已む無しだと思うんだが、それでも直ぐに我に返り気を取り直して突っ込めた俺は偉いのかも知れない。

 

 「あの、タハハッじゃ無いでしょう財前さん!てか待って下さいよアレだけのですよ荒々しくも勇ましい攻撃とか回避とか往なしとかが我を忘れて“プッツンオラッ”した結果だって言うんですか、マジっすか!?あの時財前さんってば所謂“やっち○えバーサーカー”状態だったんですか!?」

 

 若干仰け反り気味に、ほんのちょっぴりだけ何時もの声音よりも高めの声で俺は財前さんに突っ込みつつ確認を取る。

 

 「実はそうなんすよ、アレって多分火事場のクソ力ってヤツで俺の実力じゃ無いんじゃないかなって……」

 

 財前さんはサラッと流す様に言うけども、けど無意識的だったとしてもあれだけの事が出来るって事は財前さんにはそれだけの潜在能力が有るって事だよな、それだけの伸びしろが。

 

 「解っちゃいるんすよ、俺やんなきゃいけないって事は、鬼として魔化魍を放っとくなんて出来ないし二年間俺を鍛えてくれてさっきも俺を庇って負傷した師匠に報いなきゃだし、でも未熟な俺じゃあちゃんとやれんのかなって不安で、タハハ………。」

 

 それに財前さんはこれから自分が何をやらなきゃいけないのかって事も十分に理解しているし、理解していても尚先のアクシデントに不安と責任を感じているんだな、俺は財前さんの吐露する胸の内の思いにどんな言葉を掛けるべきなんだろうか、俺が今財前さんに何かを言ったとしても何だかチープで空虚なモノになりそうで口籠ってしまう。

 だってそうだろう、さっきも思ったが俺だってまだ独り立ちして半年を幾らか超えた程度のさしたる経験を積んている訳で無いペーペーで、そんな奴が語る言葉に果して人の心を動かす重みってヤツが在るのかと言うと、それは限りなく否定的な見解にならざるを得ない。

 

 

 言葉無くしばしの間沈黙が支配する野営地、寄せては帰す波の音とテントが春の海風に揺らされるハタハタとした音だけが僅かにこの状況に反旗を翻しているかの様だが、二人の男が押し黙り築かれたこの沈黙のテリトリーを破るに能わずなどとつい取り留めも無い事を考えてしまう俺は、我ながらどうしようも無いヤツだよってか俺だ出てこの場をどうにかしたいとは思っているんだよ、思っちゃいるけどその時不思議な事が起こったしてくれなきゃ俺の手には余るんだよ、何て事を思っていると来ましたよこの状況を変えてくれる一手が。

 

 それはテーブルに無造作に置いてあった俺のスマートフォンがブルブルと振動し始めたことに端を発する、まぁ要するに電話かメールの着信を告げるものなんだがな、しかしこの際はそのヴァイブレーションが居るかどうかも知れない神とやらの恩恵の様に俺には思われた。

 これがもし本当に恩恵だとしたらそりゃあ当然乗るしかないでしょうこの流れに、と言う訳で俺は速攻スマホに手を伸ばし着信相手が誰であるかを確認する僅かな時間も省いて画面をクリックする。

 

 「はいもしもしヒビキです!」

 

 電話の向こうの相手が猛士関係者なのか、それとも由比ヶ浜や雪ノ下達日常生活に属する人なのか誰かも分からないのに俺はヒビキを名乗ったけど、まぁしゃあない。

 

 『ようヒビキ久し振り元気そうで何よりだな。』

 

 受話器から流れるその声は、大人の渋味の中に甘やかでセクシーさを女性なら感じるんじゃねと思わせる程にカッコいい声音で、そして存在感や貫禄をも同時2感じさせるそんな声の持ち主。

 それはヒビキと呼んでくれたうえに久し振りと言ってくれた事から猛士関係者だとお判り頂けたことだろう。

 

 「あっ、その声ザンキさんっすか!?お久し振りです。」

 

 思い掛けない声の主の正体に俺の声は弾む、正直言って今の状況に於いてこの人の登場(と呼べるのか?)はとてもありがたい事だ。

 その証拠?に俺がザンキさんと呼んだ途端に財前さんの表情がガラッと、とは言わないが確かに良い方へと変化した。

 

 『その声ってお前な、相手の名前も確認せずに電話を取ったのかしょうがない奴だな、まぁトドロキの件やバケガニの事なんかもあった事だしそれも仕方の無い面もありはするか。』

 

 ザンキさんは呆れと苦笑の入り交じった声でそう言ってくれたが、ザンキさんはもう既に今日の出来事を知った上で更に俺がこの場に居合わせてるって事も合って連絡をくれたのだろう。

 こう言った些細な気配りをさり気なく出来たりするから、この人は齢四十を超えても若い女性にもモテるんだろうな。

 

「ええまぁそんな所でしょうかね、つかザンキさんにも既に情報が届いていたんですね、あっもしかして財前さんへの激励とかしてくださるつもりですかザンキさん、それじゃあ財前さんと変わりましょうか?」

 

 ザンキさん程の人の言葉ならば、自信を持てないでいる財前さんにそれを与えられる言葉を掛けてくれるんじゃないかと俺は心底から期待し、提案する。

 

 『ああその必要は無いよ、そうだな通話をスピーカーモードに切り替えて斬九郎と一緒にお前も聞いてくれ。』

 

 俺はそのザンキさんの提案に応え直様スマートフォンをスピーカーモードに切り替えた。

 切り替えた事をザンキさんへ伝えるとザンキさんは一言『ありがとう』と礼を述べ、財前さんに呼び掛ける。

 

 『斬九郎聴こえているか。』

 

 財前さんは今にも立ち上がり直立不動の姿勢を取らんばかりの勢いで『ハイっす!』と返事を返す、まぁ立ち上がっちゃいないけどチェアーに姿勢を正して座り直しはしたけどな。

 

 『……トドロキの事は聞いている、お前も大変だった様だなご苦労さま。』

 

 「いえっ、あっ、ハイッありがとうございますザンキさん!」

 

 ザンキさんのねぎらいに堅っ苦しい体育会系的な感じに財前さんは返事をし、スマホのスピーカーからはそんな財前さんの返事にザンキさんの苦笑する声が微かに聞こえて来る。

 

 『試験とは言え魔化魍退治を実践して清める事も出来たそうだな、良くやったな斬九郎。』

 

 「………っす。」

 

 更にバケガニを清めた事を評価され財前さんは感極まってか、言葉に詰まりその目尻には微かに雫が見える。

 今この時、財前さんはどんな気持ちなんだろうか、先のバケガニの変異種やあの黒い存在との思い掛け無い遭遇と自分が尊敬して止まないだろう師匠のトドロキさんの負傷、その影響から怖気づく心を奮い立たせようと財前さんはきっと自分なりに己に喝を入れようとしていたんだろうと思う、多分。

 それでも尚心に踏ん切りがつかなかった所に尊敬する師匠が更に尊敬し崇拝に近い思いを抱く存在からの評価だ、それが嬉しく無い訳は無いだろう。

 

 『ああ、とは言ってもお前達はこれから更に厄介な奴と渡り合わなきゃならないんだったな、どうだ斬九郎それとヒビキもだが怖いか?』

 

 単刀直入にスバリとザンキさんが俺たちに問う、それも当然だろう方やデビューから一年弱、もう片方は今日初めて実践を経験したばかりの未熟者二人。

 ここに居る俺達二人だけではなく、その未熟者にこの場を任せなきゃなら無い状況にある事を猛士の皆さんも嘸や危惧しておいでだろう。

 

 「そうッスね、怖いってか不安が有りますね……。」

 

 俺はザンキさんに問われた後思っていた事を口に出してみた、俺の素直な思いを聞きザンキさんのプフっと苦笑する声がスピーカーから微かに響く。

 方や財前さんは小さく『くっ…。』と呟く、自身の不甲斐なさと無力感から俯いて顔に影を落とし。

 

 『はっきり言ってくれるなヒビキ、お前に言う事も尤もだし中にはヒビキが言った事を危惧する者も居るかも知れないな、だがしかしな俺はお前達ならやれるだろうと思っているよ。』

 

 しかしザンキさんから返ってきた言葉は、俺達からすると意外や意外っ感じの思わぬ高評価だった。

 その言葉に財前さんもだけど俺も呆気に取られてしまい、返す言葉もない出て来ない。

 

 『何だ俺の言う事が意外だったか、まぁ確かにヒビキも自分で言った様にまだまだルーキーって言っても差し支えない程のキャリアだしな、しかしヒビキはついこの間カガヤキと一緒にツチグモの変異種の討伐を成し遂げているだろう。』

 

 ザンキさんはついこの間のツチグモ変異体の討伐を引き合いに出してそういうけれどあれは俺からすると……。

 

 「…ザンキさんそれって何か随分と根拠が弱いんじゃないかと思うんすけど、アレはカガヤキさんって立派なキャリアを積んだベテランの、俺の師匠と一緒だったから出来た事であって、俺一人ではアレを清める事が出来たかどうかとなると疑問なんですけどね。」

 

 『フッ、そうは言うがなヒビキ、俺もあのツチグモ討伐の記録映像を見せてもらったが、その映像の中見せたお前の機転や観察眼は中々に鋭い物があったと俺は評価しているんだけどな、それにカガヤキとの連携も見事だったぞ。』

 

 ザンキさんの俺に対する評価の言葉、それはとてもありがたい物で柄にも無く俺は感激の声を上げたくなる、まぁあげないけどな今は。

 

 『それから斬九郎、実はなトドロキのヤツはもう何ヶ月も前からお前には独り立ち出来るだけの実力があると認めていたんだよ、先月トドロキと飲んだ時に彼奴その事を嬉しそうに俺に話してくれてな。』 

 

 続いてザンキさんは財前さんに語り掛ける、その言葉に目を見開き『ほへっ』と気の抜けた声を発した。

 財前さんにとってトドロキさんがもう何ヶ月も前から自分の事をそんなにも高く評価していてくれた事が意外だったのだろうか、だが俺からするとトドロキさんのその評価には頷ける。

 先の記録映像で見た財前さんの、あの爆発的な力を知ればそう評価せずにはいられないだろう、但し問題もあるんだけどな。

 

 『だがな、同時に危惧もしていたんだよ、それはお前の精神メンタル面に付いてなんだが、トドロキは今のお前がかつての自分と同様に自分に自信が持てずこのままだと何時までも燻ってしまうんじゃないかのかともな……。』

 

 そう、今の財前さんの状態つか心境がまさにそんな感じだと俺も思う、トドロキさんの負傷離脱に対する自責の念に駆られているだろう今の心境。

 そしておそらくは財前さんに対してトドロキさんはその辺りの指摘もしていただろうし、財前さん自身もそれをどうにかしなければと努力もして来ていたと俺は思う、まぁ俺は財前さんの普段の鍛錬の様子をずっと見てきた訳でも無いから断定は出来ないがな。

 

 「師匠……。」

 

 『だが斬九郎、それでも彼奴は信じているんだよお前なら絶対にそれを克服して立派に役割を果たせる鬼になれるってな。』

 

 そう、今ザンキさんが言った事はトドロキさんの財前さんを信じているって言う言葉は紛れも無い真実だろう、だからこそトドロキさんはこの場を財前さんと俺に託したんだ。

 

 「財前さんさっきの、担架で運ばれて行くトドロキさんの言った事忘れちゃいないですよね、いや言葉だけじゃなくてその時のトドロキさんの表情もっすよ、あの時のトドロキさんの表情にはこの場を財前さんに託す事に対して何の不安も抱いていないってそんなカンジの表情でしたよね。」

 

 俺のこの発言に心底驚いたかの様にハッとした表情で財前さんは俺を見てくるってか熱い眼差しで俺の目を見つめている、やっべーなまじ財前さんってばイケメンだからちとヤバい方向に流れそうってそんな事思っとる場合かよ俺!

 大体が俺にそっち方面の気は無いからねマジで、今一瞬由比ヶ浜の友達のアノ眼鏡っ娘の愚腐腐ッて仄暗い嗤い声が聴こえた気がしたけどそれは気のせいだ。

 

 『それとな、こいつも序に言ってしまうがトドロキが独り立ちした時俺は斬鬼の名をトドロキに譲るつもりでいたんだが、その時は彼奴の意向でな俺に何時までもザンキでいて欲しいなんて願われて俺もそうしたんだが。

 それで俺が新たに轟鬼って名を贈ったんだがあの時の事を後に彼奴が告白して来たんだよ、実はあの時の自分には斬鬼の名を受け継ぐには荷が重かったとな、まぁ俺に何時までも斬鬼でいて欲しいってのは彼奴の本心からの言葉だっんだけどな。

 その彼奴が言ったんだよ斬九郎、お前になら斬鬼の名を継がせても良いだろうってな、お前の精神がしっかりと成長したのならその時は斬鬼の名を斬九郎に継がせてくれとな。』

 

 そして投げ掛けられる更なる財前さんにとっての爆弾発言、自らの師匠の名を自分に受け継がせるつもりでいると言う事実を聞かされた財前さんの今の心境は如何なるものか、それは財前さんのみが知るだな。

 

 『だからな、トドロキからの合格点も出ている事だし、まぁ正式な襲名は後日として今から俺がトドロキの代わりにお前に伝えるぞ、斬九郎たった今からお前は斬鬼の名を名乗れ、こう言われてお前も荷が重いなんて思うだろうがそれに打ち克つ精神を身に付けてくれ、轟鬼が認めた男がそれだけの力がある鬼だって事をお前が証明してくれ。』

 

 財前さん聞きましたよね、トドロキさんとザンキさんの二人の思いを、斬鬼と轟鬼二人の鬼の技と心を受け継ぐ人は貴方だって、二人はそう認めているんですよ。

 

 「財前さん、この思いに貴方はどう応えますか、俺も貴方と同じでした先代ヒビキさんとカガヤキさん、その二人から響鬼の名を受け継ぐようにと言われてマジでプレッシャーでしたよ。

 けどまぁそんでも何とかまだ半年ちょいですけどやって来れてますからね、だからっすね、やってみりゃ案外人生何とかなるんじゃないっすからね、何処かの中学生の女の子達もそう言ってますしね多分。

 あと序に俺もこれからは財前さんじゃ無くザンキさんって呼ばせてもらいますから。」

 

 さあ、財前さん改めてザンキさん、貴方はこれにどう応えますか。

 立ち上がりますかそれとも押し潰されますか、事此処に至ってはそれを決めるのは貴方だけっすよ。

 

 

 暫しザンキさんは沈黙しやがて。

 

 「ヒビキ君、ザンキさん俺………分かりましたっすよ、斬鬼の名を俺受け継ぎます!受け継いで轟鬼の名と斬鬼の名を汚さないだけの立派な鬼になります。」

 

 顔を上げ力強く決意を伝える一人の男の姿がここにあった、迷いを吹っ切り前を向き歩く事を決意した強い眼差しをスマホと俺へ向けて。

 その表情、もし俺が男じゃ無かったら惚れてたかもって思わず思ってしまう位にカッコ良かったっす。

 もう一度言うけど俺にそちらの気は断じて無い、此処試験に出るからシッカリ覚えておくように!

 

 「その決意しっかり聞かせてもらいましたよザンキさん、そんじゃあチャチャッと片付けに行きましょうか、当然バケガニにはディスクを監視に付けているんですよね。」

 

 俺はチェアーから立ち上がりザンキさんを促す、バケガニ討伐へ出向くべく。

 

 「了解ッすヒビキ君行きましょう、海に潜っているバケガニにはニビイロヘビを付けてますから大丈夫っす。」

 

 ザンキさんは立ち上がり左手に音撃真弦 烈雷改を持ち応える、ならばバケガニ捜索に割く時間はそれ程掛からないだろう、俺達は頷き合い行動に移る。

 

 「ザンキさんありがとうございましたっス、俺行きます!」

 

 『おう、気を付けてな二人共、それからな俺はもうザンキじゃ無いからな、これから斬鬼を名乗るのはお前だぞ。』

 

 先代ザンキさん、財津原さんからの言葉に力強く『ハイっす!』とザンキさんは応え、俺は通常営業通りに。

 

 「分かりましたそんじゃあ行ってきますシュッ!」

 

 と何時もの如く応えて出発の準備を再開する、新たに誕生した弦の鬼と共闘しバケガニの変異種を清めるべく。

 

 

 




折角ザンキさん生存ルートの世界線ですから、何とかザンキさんの出番を捻出してみました。
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