俺が伝説の鬼の名を襲名して良いのだろうか?   作:佐世保の中年ライダー

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清めの音と迎える終焉。

 

 背面飛行状態となったアミキリの俺が叩き斬ってやった翅の残った付け根部分を掴み、振り落とされない様に気を付けながら俺は烈火剣を奴の背面、奴の翅の生え際付近の甲殻に傾斜角を付けて突き刺す。

 烈火剣が甲殻を断ち割り肉を抉り深々と突き刺ささり、その痛み故か背面飛行状態であるにも拘わらずアミキリは又してもその身を激しく痙攣させる。

 

 「うぉっと、うっわッ!?ちょっ危ねえってオイ!」

 

 その激しさに俺は翅の付け根を掴んでいた左手を離してしまった、その間にもアミキリの痙攣は激しさが増して行き俺の身体もそれ動きに翻弄される、こんなに出鱈目に動かれたんじゃ何時俺の身体が弾かれてしまうか分かったもんじゃ無い、拙いぞこれは。

 そう思った俺は拙い動きになりながらも装備帯に戻した音撃棒烈火『阿』を左手に装備し、烈火剣を形成し先と同じ要領でアミキリの背に突き刺す。

 

 「せいッ!」

 

 先の『吽』と同様に凡そ俺の肩幅位の間を開けて甲殻と肉を抉り突き刺さる左手の音撃棒烈火『阿』のおかげで俺は暴れまくるアミキリの背に何とか安定と言えるのかは知らんけど、まぁさっきよりは余程安定した体勢を確保出来た。

 

 「ふぅ〜っ、此れで一息吐けるとはいかないんだよなぁ、何せこの状態はってと昔のぶらさがり健康器みたいなモンにぶら下がってるのと変わんねえし。」

 

 しかも遊園地の絶叫マシーン以上のスリルを味わってるのにシートベルトや安全帯やハーネスなどの安全具とか無しにだよ。

 まぁそれで烈火剣を二本突き刺されたアミキリの挙動が更に激しく身を悶えさせやがるし。

 より不規則なそれはまるでロッカーがライブでシャウトでもしている様にも感じられる、まぁ声は出せてないんだけどな。

 まぁでも十メートル超の魔化魍がシャウトとかやった日にはどんな現象が起こるか解ったもんじゃ無いし第一こんなデカイ奴が入れるライブハウスとか有りゃしねぇし。

 

 「それはさて置き、いい加減体勢を変えますかねッ………となっ!」

 

 軽く勢いを付けて身体を捻り足を上方へと、体操の吊り革競技の要領で上げてアミキリの甲殻に脚を着ける。

 

 「おっ!?コレって何かナウ○カがメ○ヴェに乗っかってる感じじゃね!?」

 

 但しそのナ○シカと違って俺はアミキリの後ろ側を向いている体勢なんだけどな。

 微妙に、いやかなりカッコ悪いかもだけど致し方無しですよ、そんなの気にしたら負けだし俺は悪く無い社会が、イヤ魔化魍が悪いんだ。

 

 「さて、此処からどうするかだよなって、ウオッ!?落ち着けよオマエさって言っても無駄ですねってか俺も言ってる場合じゃ無いわっ!」

 

 この状況では俺は烈火を掴んでいるのがやっとで、脚もコイツに着けて体勢維持に使わなきゃだから。

 

 「正に手も足も出ないとはこの事かっての、つうか手も足も出ないのに口は使えるんだよなぁ………っ口か!」

 

 そう手と足が出なくても俺には使える口がある、狙いをつけるにはかなり条件が劣悪と言わざるをえないけど。

 しかも狙うべきアミキリの翅に対して背を向けているに近い状態だし、先ずはその目標を視界に捉えられる体勢に身体を持って行かなきゃ始まらん。

 

 「しっかし、それも少しばかり厄介だろう……おっ!?いや此れなら少し楽になりそうだぞ。」

 

 何故楽になりそうなのか、それはアミキリの奴が何を思ってかは知らんけど、それ迄の背面飛行を止めてその飛行体勢を元の状態に近い、やや右側に(イヤそれでもカナリキツイけど)傾けた状態に戻したからだ。

 まぁ分度器や計測用のスラントで角度を測ったわけでも無いから傾斜角がどのくらいかは知らんけど。

 

 「それじゃあ今の内にさっさと動かなきゃなっ!」

 

 アミキリに突き刺した二本の音撃棒烈火、その内の一本右手用の『吽』を抜きとり左手の『阿』を確りと握り込み振り落とされない様に気を付けながら素早く向きを変え、そして。

 

 「もう一回っ、セイッ!」

 

 アミキリの甲殻に烈火剣を突き刺す、さっきは意識出来なかったけど多少安定した足場を得たからか硬い物を貫く手応えを感じながら。

 それによりまたしてもその身を捩らすアミキリ、しかし新たに体勢を変え右の烈火剣『吽』をアミキリに対して正面方向へ斜めに突き刺し左の烈火剣『阿』に後方へ斜めに突き刺したからな、これならさっきよりも抜け難くなってる筈だと思う。

 

 「まぁ釣り針とかみたいに返しが付いてないから絶対とは言えないけどな。」

 

 でも準備は整った、俺の視界にはアミキリの体躯の左右に位置する二対四枚の翅を少し首を傾ければその何方かを捉える事が出来る場に陣取れた。

 

 「ヨシ、それじゃ此処は右側の翅を狙ってみるかな……すぅ……。」

 

 一呼吸吐く事で気を漲らせて口部を開き発射体勢に移り、そして。

 

 「破ぁーーッ!」

 

 右の二枚の翅を目標に鬼火を放つ、その放たれる炎はまるで火炎放射器か怪獣映画に出でくる火炎放射の様に炎の尾を引き翅を目掛けて伸びゆく。

 然し激しい揺れの中では狙いも定め辛く上手く直撃させる事は出来なかった、なので更に続けて次は首を横に振りより広範囲に放てる様にしてみた。

 そして『豪ッ!』と伸び広がる紫色の火炎がアミキリの翅とその付近の空間を燃やす。

 

 「これでも散弾よりかは威力もマシだろう、どうだイケたか!?」

 

 声に出して状況を確認する、鬼火に焼かれたアミキリの翅の着弾点から嫌な色の煙と不完全燃焼っぽい色の炎を発しながら、遂にその部分からもがれ墜ちる。

 そして揚力を維持出来なくなったアミキリはそれでも墜ちまいと藻掻いている様だが、その抵抗も虚しくやがて右側方から墜落を始める。

 

 「おっと俺もこうしてちゃ拙いな!」

 

 堕ちていくアミキリの巨躯から音撃棒を抜き取り装備帯に収めて、其処から脱すべく立ち上がりこの時まで頑張ってアミキリを牽制していてくれたアカネタカとアサギワシに声を掛ける。

 

 「ご苦労さん、お前達もコイツから離れろよ!」

 

 ちょっと状況が状況だけに何時もの挨拶は出来無かったけど、二体を労うと直様アミキリの巨躯を数歩ステップを踏んでアミキリに一発蹴りを食らわせた、それは出来るだけ斬鬼さんの近くへとコイツが落下して行くようにする為だ。

 そして俺は蹴りの反動を利用してアミキリからの離脱の為に跳躍した。

 高度百メートルオーバーからのダイビングになるがまぁ何とかなるだろう、それ位は鍛えてますから。

 と言っても流石に周りの状況を確認しながらの降下からの着地は無理そうなので、此処で一旦カメラは俺から斬鬼さんへと移すことにする。

 

 

 

 響鬼君が空高く跳び上がりアミキリに取り付いてからそろそろ二分位が経過したっスかね、さっき迄は背を逆さにして飛んでいたアミキリが今はちょい斜めだけどそれでもさっきよりかは普通って言うかマシな感じの体勢に戻ってるし、響鬼君も大分楽になったんじゃないっスかこれなら。

 

 「響鬼君、気を付けて無事で降りて来るんスよ。」

 

 それにしても響鬼君は凄いっスね、俺よりも三歳も年下なのに立派に鬼の務めを果たしてるのは勿論っスけど、その場その場での判断力とか思考能力とかがマジで高いんじゃないかって俺は思うんスよね。

 例えば一度判断とかを誤っても、素早くリカバリーの方法とか考え付くいて俺にも指示とか出してくれるし、本当にマジで凄いっスよ。

 俺も響鬼君に負けない様に鍛えていかなきゃっスね、なんて言っても師匠や先輩方が言う様に鬼の役目は魔化魍を清めて人助けをする事っスから!

 そんな事を思い、決意を新たにしていた俺だったっスけどその時空の上のアミキリに異変が起こった事に気が付いたんスよね。

 

 「あっ!?アレって煙と炎っスよね、と言う事は響鬼君の攻撃が上手く行ってるって事っスか!」

 

 アミキリから煙と炎があがって間もなくだったっス、その時とうとうアミキリの飛行用だと思う翅が燃えながら吹き飛んで行って、そして遂にアミキリはカクンとなったかと思うと墜落し始めたっスよ、それとほぼ同時に響鬼君もアミキリから離れて飛び降りたみたいっス。

 このまま落下すると響鬼君は俺からわりかし離れた位置に、そして魔化魍はコッチの方に落ちて来ているっぽいっスねこれは、しかも何かでんぐり返しみたいに体位が入れ代わってコッチに顔向けてるし此れが響鬼君の言ってたその機会ってヤツなんスね。

 だとすると此処は俺が迎撃ってヤツをやんないとっスね、響鬼君が作ってくれたチャンスなんだから。

 

 「響鬼君、この好機無駄にはしないっスよッ……ハァーッ!」

 

 俺は烈雷改を大上段に構えてありったけの気を込めるっス、さっき響鬼君が指示してくれたおかげで気力は充分っスよ俺っ。

 

 「斬鬼さんお膳立ては終わりましたよぉ、後は任せますからぁーっ!」

 

 降下しながら響鬼君が大声で俺に任せるって言ってくれたっスよ、此処で応えなきゃ男じゃ無いよな。

 了解っスよ響鬼君、見ててくださいっス俺のありったけをぶつけるっスよ!

 空に掲げた烈雷改の刃からビシビシと紫電が迸ってるっスよ、四方に八方にビシビシとスパークしてるっス。

 そのスパークに呼応しているみたいにアミキリも俺の立つ此方側にどんどんと近付きながら落ちてくるっス、良ぉし此処だっ!俺は大上段から紫電を撒き散らす烈雷改をおおきく振りぃのッ。

 

 「ハァーっ、鬼剣術、雷神斬ッ唐竹割りィィぃッ!!」

 

 長く大きく伸びた雷の刃を俺は思いっ切り良く振り下ろしたっス。

 

 

 

 

 

 時間にして僅か数秒間のダイブ、しかし体感としては物凄く永い時間が掛った様な気がする、そうだなまるで時間そのものが引き伸ばされている様な感覚ってのかな此れが所謂走馬灯かって別に何が頭の中を過ぎっているって訳でも無いからチト違うか。

 

 「しゃぁっッとぉッ!」

 

 まぁ、そのダイブも終わり俺は海岸の岩場へシュタッと降着した、『シュタッと降着』がこの場合のポイントな。

 

 「……鬼剣術、雷神斬ッ唐竹割りィィぃッ!!」

 

 やや離れた場所から斬鬼さんの大音声が木霊する、その声に俺は顔を向けると天高く伸びた雷の刃がアミキリの巨体に向かって振り下ろされたところだった。

 雷神斬唐竹割り、斬鬼さんが先に見せた雷神斬の上段斬りバージョンだな。

 その威力は、見た所アミキリの巨体の尾部辺から全体の約四分の一位を断ち切る事が出来た様だ。

 

 「やっぱ凄えんだよなぁ斬鬼さん。」

 

 斬鬼さんを中心として左方向へ頭部を含む全体の大半が、右方向へは尾部がやがて岩場へと落着した。

 落着して暫くの間ビクビクと痙攣していた尾部だったが十秒程で力を失ったのかその動きを停めた、暫くすればコイツは消滅して土塊に返るだろうから取り敢えず放置する。

 なので頭部を含むアミキリの部位の大半を占める左方向のヤツを叩くべくそちらへと俺は駆け出す、また斬鬼さんも技を出し終えて構えを解き烈雷改を掲げて同じく左方向へ駆け出した。

 

 「どうやら斬鬼さんも俺と同じ考えみたいだな。」

 

 全体の四分の一を失ったってのに流石って評するのも何だけど、兎に角大型の魔化魍だけあってかなりしぶといわ。

 身体の大部分を失って平衡感覚にも影響を受けてるだろうに、それでもまだヨロヨロと残った脚を使い動こうとしているし此処まで来るともう一種の敬意まで感じてしまいそうだよ、いやしないけどな。

 まぁ、そんな事よりも斬鬼さんとの合流が先だよな、と言う事で俺も着地姿勢から立ち上がりアミキリへと向かい駆け出す。

 

 「セイッ!ダァリャァッ!」

 

 俺よりも先にうごき出した斬鬼さんがアミキリへの攻撃を掛ける、蹌踉めくアミキリの右脚へ烈雷改の刃を強かに叩き付ける。

 二撃、三撃、と袈裟斬りから返しの逆袈裟斬りと連撃を繰り出し右脚二本を斬り落とす事に成功し、遂にアミキリは己の巨体を支える力を失いガクリと右側へ傾きそして崩れ落ちる。

 

 「良しッ行くぞぉっ!」

 

 崩れ堕ちたアミキリの状況を確認し、気合の声を上げて斬鬼さんがアミキリの巨体の内懐へと入り込む。

 此処が最後の攻勢ラストアタックの刻と見てインファイトによる連打を繰り出し相手を圧倒するファイターの様に。

 

 「良し、俺も……そりゃーッ!」

 

 一連の斬鬼さんの行動を確認し俺はその場から三ステップで跳躍すると崩れ堕ちたアミキリの頭部付近に着床する。

 

 「よう、さっき振りだな、お前本当に凄いヤツだったけどいい加減もう付き合いたくは無いからな、此れで決めさせてもらうわ。」

 

 一言俺はアミキリに宣して腰の装備帯のバックル部の火炎鼓を右手で掴むと自分の立つ付近に取り付ける、グンとアミキリの体躯の大きさに合わせて大きく展開する火炎鼓。

 それとほぼ時を同じくしてグサリと刃が肉を抉る様な鈍い音が響く、これは斬鬼さんが烈雷改の刃をアミキリに突き刺した事により発した音だろう。

 

 「斬鬼さん、コッチは準備完了っすけどそっちはどうですか!?」

 

 俺は両手に改めて音撃棒を握り込みながら斬鬼さんに様子を尋ねる、アミキリが先程までの様に大きく動く事は出来なくなったとは言えどもそれでもまだ僅かながら動きを見せている状況だ、なので下方に位置取る斬鬼さんが音撃を放てる体勢にあるのかの確認を取る必要があるって思ったからな。

 

 「大丈夫っスよ響鬼君、此方も準備完了っ、何時でもイケるっスよ!」

 

 そして返ってきた応えに俺は若干の安堵を感じ、また初陣であるにも拘わらず此れだけやれる斬鬼さんに頼もしさも同時に感じていた。

 まぁ、斬鬼さんも準備が出来ているのなら後はやるべき事をやるのみだ、俺達のこの手でこの厄介な魔化魍を完全に清める。

 

 「良っし!それじゃあ行きますよ斬鬼さん、ハァーーーっ………。」

 

 斬鬼さんへ声を掛けたるとすかさず俺は音撃棒を上方へと高く掲げる。

 

 「了解っス、行くぞッ!音撃斬ッ雷迅疾走!」

 

 斬鬼さんが俺への返事と共に音撃の技名を口にする、そして間髪入れず奏でられ始める斬鬼さんの音撃。

 

 『ギュィィィーーン……』

 

 六本の弦を一つ爪弾き響き渡る斬鬼さんの清めの音、それは音撃弦の見た目に相応しくエレクトリックでメカニカルな響きをこの海岸に木霊させる。

 

 「破ッ!!」

 

 その気合の掛け声と共に斬鬼さんの音撃『雷迅疾走』がいよいよ本格的に始まる。

 

   弾!

 

         爪!

 

 斬鬼さんの清めの音が高らかに鳴り響くのに合わせ俺も掲げた音撃棒烈火を掛け声と共に打ち下ろす。

 

 「音撃打ッ猛火怒涛、ハぁーッ!」

 

 左右二本の音撃棒を交互に力強く火炎鼓に叩きつける、力を込めての左右の連打、連打。

 

 「ハッ!ハァッ!」

 

 「セィ!ハアッ!」

 

 鼓から響く俺の清めの音と音撃弦から爪弾かれる斬鬼さんの清めの音、その二つの音が海岸に響きながら魔化魍の体内を駆け巡る。

 斬鬼さんの『音撃斬雷迅疾走』その名に偽り無くその音色はまさに疾風の如く駆け巡る雷、ともすればそれはノイジーにも感じ取れるかも知れない程にスリリングでいて官能的にさえも聞こえる。

 それに俺の『音撃打猛火怒涛』が合わさる、一打一打に気合を込めて叩き付ける事で発する鼓の音はこの海岸の全てに染み渡るかの様に木霊する。

 

 「はぁーっ、そりゃぁッ!」

 

 「セイッ!ヤァッ!」

 

 二人の鬼が発する気合の声と清めの音はクライマックスへ向けていよいよ勢いを増し、そしてその時訪れる。

 

 「はぁー………………そりゃあッ!」

 

 最後の一撃、左右の音撃棒を同時に繰り出すべく気合を込める。

 

 「おぉーっ、紫電一閃ッ!」

 

 斬鬼さんの技名と共に奏でられ始める最後のワンフレーズ。

 

 

  撃! 

        迅!

 

 振り下ろし打ち鳴らされる一撃。

 

 爪弾かれ紡がれる最終フレーズ。

 

 訪れる終局の時、全てを出し切った二人の鬼は全身に清めの音を浸透させた魔化魍から素早く離れ距離を取り、二人同時にその魔化魍を返り見る。

 轟音を響かせ爆散して行く魔化魍、三人の鬼を散々に手古摺らせたイレギュラーなその存在は遂に消え去り自然界へと還ってゆく。

 

 「はぁーっ、終わりましたね。」

 

 「はいっス、終わったっスね。」

 

 アミキリ変異種、その消え逝く様を見届け口を吐くのは一つの終わりに対する安堵感。

 この厄介だった魔化魍を作り出したあの黒い奴の事とか懸念事項や不安感も有りはするけど、今は置いておこう。 

 此等に対する今後の方針などは猛士の首脳部に考えてもらう事としよう、まぁ今のところ俺達現場組はその場その場で適宜対処するしか無いし、現状有効的な対抗手段とかも思い付かないからな。

 

 「斬鬼さん、初陣お疲れ様でした。」

 

 「はい、お疲れ様でした響鬼君、今日は本当にありがとうございました。

 もし今日響鬼君が此処へ来てくれなかったら、俺一人じゃアイツを清める事なんて出来なかったっスよ。」

 

 「はい、どういたしまして!?」

 

 「何で疑問形が混じってんスか。」

 

 二人で互いの健闘を労いながらの会話は何処か締まらないものだが、それもまた一仕事終えた安堵感故にと言う事で。

 

 俺は「ふう。」と一息吐いて顔だけ変身を解くと、同じく斬鬼さんも一息吐いて「疲れたっスね。」と一言。

 

 「斬鬼さん…………全身の変身が解けてるっすよ。」

 

 事の最初から最後迄闘い抜いたからだろう、斬鬼さんはきっと俺以上の安堵感から気が抜けてしまったんだろう。

 

 「えっ!?ちょっ、何でっスか!?」

 

 斬鬼さんはアノ部分を手で覆い隠し焦りの声を上げる、まぁ何ですかねご愁傷様です。

 でもいくらこの場に誰も居ないからと行っても、流石にストーキングをさせる訳にも行かないだろうし、俺はアカネタカとアサギワシに頼んで野営地のテントから斬鬼さんの着替えを持って来てもらう様に頼むのだった。

 




漸く決着を見ました。
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