俺が伝説の鬼の名を襲名して良いのだろうか? 作:佐世保の中年ライダー
「…あの、どうもありがとうございました。」
俺はこの日お世話になったヒビキさんとカガヤキさんに頭を下げてお礼の言葉を述べた。
あの演奏の後暫く三人で話をしていたんだが、二人は修行の為に此処に来たんだから何時迄も部外者の俺が居たんじゃその修行の邪魔になるだろうからな。
「いやいや大したもてなしも出来なくてゴメンね、でも本当に麓まで送らなくても大丈夫なのかい。」
「はい、此処を下って行けば麓まではそんなに掛からないんですよね、だったら大丈夫っす。」
カガヤキさんはに送ってくれるって言ってるけど、彷徨っている俺を助けてくれて、その上コーヒーやパンも分けてもらった上に俺の話まで聞いてくれて…そのお陰で俺は何だか少しだけ気持ちがスッキリした気分になれたし。
何れ機会があれば今日のお礼をちゃんとしなくちゃな、やっぱり菓子折りとか用意したほうが良いのかな、そう言うのよく解らんから後でググってみるか。
それに何よりもそんな事でヒビキさんとカガヤキさんの修行の妨げにはなりたくは無いからな。
さっき見てて思った印象だけど何だか太鼓を叩き続けるのってめっちゃ体力が必要な感じがした、だから休める時は休んでもらいたい、そして俺もずっと休んでいたい。
そう閉店セールと銘打ちながら何時まで経っても閉店しないお店の様に終わることの無い休みがずっと続けばってな。
『来たるべき夏の奴等に対しての備えての調整の為の修行』ってヒビキさんが言ってたけど、きっと夏に大きなイベントでもあるんだろうな、家に帰って調べてみよう。
「本当にありがとうございました、あの夏に向けて頑張って下さい。」
もう一度助けてもらった礼と夏のイベントに向けての激励の言葉を贈って、俺は二人と別れ駅へ向かう為に麓を目指しその場を辞した。
八幡がヒビキとカガヤキの野営地を去り行く後ろ姿を見送る二人だが、その八幡の後ろ姿を見つめるカガヤキこと安達明日夢は何か妙な胸騒ぎの様な物を感じていた。
「やっぱり少年を送って行くか迷ってるのかカガヤキ。」
ヒビキこと日高仁志は、自らの弟子にそう尋ねた。
己の弟子にそのような事を尋ねてはいるがヒビキ自身も何となくだが、少年八幡をちゃんと麓まで送っていくべきでは無いかと思案しているのだった。
「そうですね本当はそうしたい所ではあるんですけどあの子は、八幡君は僕の見立てだとすごく律義な少年だと思うんですよね、だから此処で僕らが送って行くなんて言ったら、自分のせいで僕達の修行の妨げになった…なんて考えてしまう様な子じゃないかなと思うんです。」
カガヤキが短い時間で感じ取った自らの八幡評を師匠に告げる、その評価を聞いたヒビキもまた『なる程確かにそんな感じがするな』とカガヤキに同意する、だとすれば、どうするか。
「だからこっそりとディスク達をボディガード代わりに付けたらどうかと思うんですけど、どうですかね、さっき森の中で何かしら嫌な雰囲気がしましたからね。」
「うん、それは良いなグットアイデアってヤツだな、杞憂に終われば良いけど備えあれば憂い無しって言うしな、早速やってみるか。」
「はい。」
決断すれば後は早かった、二人は持参したトランクケースを開く、其処には数十枚の金属製の円盤が収納されていた。
その円盤にカガヤキは懐から取り出した、鬼面の装飾が施された音叉のような物を軽く滑らせる様に触れさせる、するとその円盤が空へと舞い鳥や動物を模した形へと姿を変えた。
賑やかに軽やかに動くそのからくり仕掛けの動物達にカガヤキは『あの子の事を頼んだよ』と伝えると、了解したとばかりにその動物達『ディスクアニマル』は行動を開始した。
「皆よろしく頼んだぞ、行ってらっしゃい、シュッ!」
野営地を後にしたディスクアニマル達は三体程を八幡の護衛に付け、ただし八幡に感付かれない様に一定の距離をとってはいるが、残りはほぼ等間隔置きに待機する危急の際の伝令役として配置、有事の際に伝言ゲームの様に合図を送り早急にヒビキとカガヤキにそれを伝える為に。
ヒビキさんとカガヤキさんの元を離れ俺は駅へ向かう為に、森の、いや林の中を歩き進む。
「結構鍛えてます、シュッ!…ってこうだったかな?」
歩きながら俺はヒビキさんとカガヤキさんがやっていた、あのちょっと変わったポーズを真似る。
「あっ、いやこうだったかな…よろしくな、シュッ!。」
ヤバい何かあのポーズ、妙に真似たくなるんだけど、もしかして中毒性があるのかアレ、って…んな訳ゃ無えよな。
「けどヒビキさんとカガヤキさんか…世の中には、あんなに温かい大人の人も居るんだなぁ…。」
なんてあの二人のおじさん達のことを思い返しながら林を進む俺だが、二人の元を離れてどれ位の時間が過ぎただろうか……何だか俺は妙な感覚に囚われ始めた。
何か良く無い、学校で俺の事を嘲笑する同級生達のそれとは全く違う悪意、と言えばいいのか何なのか…中々判断が付かないが、あまり良く無いって事は何となくだが理解が出来る、一人ボッチの道を征く俺だからこそ感じられる悪意の様な物、ボッチ故に誰も助けてはくれないからな、常に我が身の安全は自分で守らなければいけない訳だ。
リスクヘッジは万全だ「八幡はやれば出来る子だもんね。」なんて昔は母ちゃんからも言われていた位だしな、はてその母ちゃんにそんなふうに言われなくなったのはいつの頃からか……ぐすん。
「何て、現実逃避してる場合じゃ無さそうだよな……。」
周囲気を配って、何時でもダッシュで逃げられる体勢で居なけりゃな。
首を前後左右にゆっくりと動かし、更に身体も同じくゆっくりと振り動かす、360度全天周囲モニターなんて便利なもの俺には無いからな、そうやって辺りを覗いながら進む。
「…ゴクッ…何も、居ないよな?居なくていいからね……。」
参ったな、此処はそんな山深い場所って程でもない筈なのに、俺は何だか人界とは隔絶された深山幽谷にでも迷い込んだみないな気持ちに苛まれる、何かこう水墨画とかに描かれる様な…けど深山幽谷なら出てくるのは多分修行する仙人とか修験者とかだよな、でも今俺感じているソレは仙人なんて立派な人の雰囲気じゃ無い、もっとおぞましいって言うか邪悪って言うか邪気ってかそんなもんだと思う…。
「…ゴクッ…はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ…。」
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい、怖い怖い怖い怖い怖い!
もう何もかもが怖い、自分が踏みつけた枯れ枝が割れて立てる音も、葉っぱがカサカサと鳴る音も…。
『ヴァサッヴァサッッ!!』
「うわぁーっ!?」
おそらくは鳥が羽ばたいた音だったんだろう、だが俺はそうとは気付かずに思わず手を頭の上に運び抑え、目を瞑り身を屈めながら恐怖のあまりに情け無く声をあげる。
「ひっ…何だよ、何なんだよぉ、もう勘弁してくれよぉ…。」
怖くて俺はきちんと目を開く事も出来ずに、薄目で周りを覗うがそんな状態でまともに周りが見える筈も無く、だからその時俺の身に起ころうとしていた事態に気が付かなかった。
薄目でちょっと身体を屈めた状態の俺の胸元にその時何かが、突進して来たんだが、それに気付かずに俺はそいつに突き飛ばされた。
「うわァァーっ!?」
ドサッと俺は突き飛ばされた衝撃で尻もちをつき、我に返り目を開いて俺が元居たと思しき場所を見た。
「…なっ…何だよ、アレ…!?」
其処には…何と形容すべきか、すこしくすんだ白色のちょっとこ汚い感じの綿菓子の様な、野太いロープの様なよく解らない物が何処かかしら飛来して来ていたようだ。
もし、俺が其処に居たとしたら…俺はあの綿菓子ロープに絡め取られていたいただろうな……。
呆然と俺はその綿菓子ロープを見る、見ているしか出来なかった、あまりの事に思考回路がフリーズし、脳が身体に対しすべき行動の命令伝達を出来なくなっいたんじゃないかと思う…多分。
どれ位の時間だったのだろうか、おそらくはほんの数秒程度だったと思う。
俺が綿菓子ロープを見ていたのは、ガクガクと恐怖に体を震わせて「やだよ…何だよコレ…何なんだよ…」意味無く何度も同じ言葉を吐き出していた俺だったが、俺の太腿の上に何かがいる事にふと気が付いた、そして俺はソレを見る為に視線を自分の太腿へと向ける。
ソレは尻もちをついた体勢のままでいた俺の太腿の上で小さくピョンピョンと飛び跳ねていた、まるで自己主張をしているかの様に『おい、早く気付けよ。』とでも俺に言っているかのように。
「な…熊…の、ロボットなのか!?」
それは確かに熊の様な形をしていた、体長凡そ10CMほどの大きさの、メカニカルな見た目の小さな碧色の熊。
その熊は機械音なのかそれとも音声機能を持っているのか、何だか変な音を発している。
もしかして、いやしなくとも何となくだが理解出来た、俺を押し倒してあの綿菓子ロープから助けてくれたのはこのチビメカ熊なんだって…。
『…口惜しや…鬼の式か…。』
チビメカの存在に俺が気を取られていると、何処かかしらから男の人の声が聞こえた、その声はとても禍々しく陰湿ってかんじで無気味な印象を抱くには充分って感じた。
「!?」
俺はキョロキョロと辺りを覗う、その声の主の居場所を確認すべく、そしてその姿は意外な場所にあった、いや場所だけでは無い、その声の主と思しき存在さえもが意外なものだった。
「なっ、な、に…!?」
その存在は俺がへたり込んでいる位置から十数メートル程離れた、比較的大きな巨木って程じゃ無いけどそれなりにデカい木の上、地上から7〜8メートル位の高さの太い枝の上に立っていた。
そして更に意外な事実があった、さっき聞こえてきた、俺が聞いた声は確かに男の人の声だった筈だ、にも関わらずそこに居たのは…とても恐ろしく無気味な雰囲気を纏った、女の人だった…。
その男声の女の人は嫌らしくも不気味な笑みを湛えた表情で俺を見やり、何かを言おうとしたのか口を開き始めたところに何かが音を発しながら飛来してその人を攻撃し始めた。
その何かは赤い色をした小さな鳥のように見える、もしかしてそれはこのチビ熊ロボの仲間なのか、羽を羽ばたかせ滞空し嘴で突く様に男声の女を牽制するように攻撃する赤い鳥ロボ。
その嘴攻撃に嫌気がさしたのか男声の女は堪らず木の枝から地面へと飛び降りた…マジかよ7〜8メートルの高さから平然と飛び降りるなんて普通の人間ならあり得ないだろう!
『ええい、鬼の式めが!』
腹立たしげに男声の女は赤い鳥ロボを振り払おうと腕を無造作に振り回す。
「良いぞ頑張れ鳥ロボ!」
何時しか俺は声を出して赤い鳥ロボを応援していた、この不気味な男声の女から俺が逃れるには何としてもこの赤い鳥ロボに頑張ってもらわなきゃだ。
しかし、応援虚しく赤い鳥ロボは、何処から現れたのか男声の女の仲間と思われる男の突然の攻撃の前に撃墜されてしまった。
『何を遊んでいる、早くその人の子を我が子の元に運ぶのだ。』
その男の口から発せられたその声は妙に色っぽい感じがする女の物だった、妖艶とでも言えばいいのか…淫らでそしてやはり悍しく感じられるそれは、男の声帯から発せられた、何か男の声帯から発せられたって思うと…俺は場違いにも『ああ化け物にもオネェキャラとか居るんだな』…なんて思ってしまい、若干緊迫感が欠けてしまった。
けどその緊迫感を欠いてしまったのはほんの短い時間だった、何故なら二人合流したその男と女は示し合わせたか、同時に俺へと向き直り、再び気持ちの悪いニタリ顔で俺へと向かって来た。
「く、る…な、来るなよ、あっ…あっちに行けよぉ!?」
尻餅をついたまま、逃れる事も出来無い俺に迫りくる男と女、ただ情けなく来るなと言うだけだ。
徐々に俺との間合いを詰める男と女のその顔は、何か愉悦に歪んで見える。
『人の子よ我が子の糧となるのだ。』
そう言ったのは男か女かもう俺には解らなかった、俺にはもう為す術も無くただ恐怖に呑み込まれてしまうだけ…しかし俺は気が付かなかったんだが、まだその絶望的状況に於いて諦めて無い存在があった。
それは…俺から見て右手上方から左下方へと急降下して来た、それは…それはつい今しがた撃ち落とされた筈の赤い鳥ロボだった。
鳥ロボは再び羽ばたいて、不気味な男と女へと立ち向かったのだった。
それだけじゃない、何処からかは知らないがおそらくは鳥ロボと熊ロボの仲間だろう…犬、いや狼と言うべきか。
瑠璃色の狼ロボ、その狼ロボは鳥ロボに加勢し男と女を攻撃している、ヒットアンドアウェイ、攻撃を加えては距離を取り、また接近してはチクチクと攻撃。
小さな身体で自分より遥かにデカい相手に向って、懸命に戦っている、そして更に俺の膝の上に居た熊ロボがその小さな手で俺の膝をトントンと叩く、まるでさっきのヒビキさんとカガヤキさんのあの独特なポーズにも似た挨拶の様な素振りを見せ、機械音声を発した。
その音はまるで俺に此処から逃げろと言っている様にかんじられる。
熊ロボもまた男と女の元へ向かう…熊ロボお前も戦うのかよ。
小さなチビロボアニマル団は健気に、きっと俺を逃がそうと戦ってくれているんだ…なのに俺は、俺は、あいつらに守られるだけ、動く事も立ち上がる事も出来無い…………。
本当に出来ないのか、何か、でも何が出来る俺に…俺に出来る事……。
相変わらず尻を地に付けた体勢で、チビロボアニマル団と不気味な男と女との戦いから目を離さずに、俺は手を地に這わせる。
その時俺の左手に何かが触れた、その何かが何なのかを俺は目視で確認した。
それは長さが1メートル弱程、太さが12〜13センチ程の割と太い木の枝、
ゴクリと唾を飲み込み俺は意を決してその枝に手を掛け、握りこんだ。
こんなもんであの化け物の様な不気味な男女に対し何が出来るって訳も無いだろうけど、あいつらが頑張って戦っているんだ、俺を逃がす為に、だったら俺だって!
膝はガクガク、身体はブルブル震えていて、へっぴり腰の腰砕けなザマで、手にした枝も満足に持ち上げられ無い。
こんな体たらくで何が出来るってんだよ俺、よくよく考えてみたらチビロボアニマル団は俺を逃がす為に牽制をしてくれてるんだよな多分、だとしたら俺が此処からさっさと逃げてしまえば、チビロボ達だってもしかしたら撤退してたかもなのに…全く何やってんだよ俺、
「何やってんだよ俺ッ、やるんだよぉぉっ!」
なけなしの勇気を奮いたたすべく、声を出してみる、それで何が変わるかなんて知るもんかよ!
そう意気込んで木の枝を振り上げる。
「いやその必要は無いよ八幡君、よく頑張ったね!君は凄い子だよ。」
俺の手の甲にその手を重ね、何時の間にか駆け付けてくれたカガヤキさんが、一言そう言ってくれた、けど。
「えっ…カガヤキさん!?何で…。」
何で此処にカガヤキさんが居るんだ。
「僕だけじゃ無いよ、ほら。」
そう言ってカガヤキさんが指で指し示す方向に俺は顔を向ける、その方向に見えたもの…それは。
「だぁぁりゃあぁっ!」
全速力?で疾走し不気味な男女へと飛び蹴りを叩き込むヒビキさんの姿があった!
ズザザザザァーッ!と蹴りによって吹き飛ばされる不気味な男女…マジか、嘘だろう。
「よっ、待たせたな少年。」
着地し、体勢を立て直したヒビキさんは俺にあのポーズを決めて、一言。
「…ひ、ビキさん…?」
俺は、途切れがちにその名を呼ぶ。
「はい、ヒビキです。」
俺の問い掛けにヒビキさんは飄々とした調子で応える、其処には何も気負った様子など感じられない。
「どうやらツチグモみたいだな。」
「ですね、間違いなく。」
「こうなると因縁だよなカガヤキ、覚えているか、お前と初めて会った時もツチグモだったよな。」
「はい勿論です、屋久島でヒビキさんに助けられたあの日の事を僕は一生忘れませんよ。」
俺には今の一連のヒビキさんとカガヤキさんのやり取りの意味など殆ど理解出来ない、ただ分かるのはそれが二人の出合いにまつわる出来事だってのは何となく分かったけど。
「カガヤキ…少年の事任せたぞ。」
「はい、任されました。」
ヒビキさんは、カガヤキさんへそう言うと自身が蹴りによって吹き飛ばしたあの不気味な男女を睨めつけている。
不気味な二人は既に立ち上がり、忌々しげにヒビキさんを睨み付けている。
『鬼か…。』『鬼め…忌々しい。』
何だ鬼って、何の事を言ってるんだ、俺には不気味な二人が言っている意味が分からない、それを言うなら寧ろあんたらの方が、そんな事を考えていると俺の目の前で信じられない事が起こった。
『我が子の為に消えろ鬼め。』
不気味な二人はヒビキさんにそう言うと、その姿を異形に変えた!
「うわァァァァっ!!??」
俺はあまりの事に大声で喚いてしまった、まさか人?がいきなり姿形を変化させるなんて思いもしていなかったから。
「大丈夫だよ八幡君、ヒビキさんは負けないからね。」
俺の背を支え、カガヤキはまるで心配する必要も無いとばかりにそう俺に言うけど、あんな物を見せられたんじゃとても…。
不安に怯える俺など関係ないとばかりに事態は進展する、異形と化した二人を油断なく睨めつけているヒビキさんは、どこかしらから取り出した、何か金属質の物を手に持っていた。
それをヒビキさんは自分が立っているすぐ側の木に軽く叩きつけた、たちまちに響く澄んだ金属の音色。
そんなに大きな音では無いが、その音色はまるでこの場に溜まった良く無い何かを浄化でもしている様に俺には感じれた。
『キーン』と響くその金属の何かを、ヒビキさんは静かに己の額の辺りに持って行く……。
そして……。
ヒビキさんの顔の辺りに陽炎のような揺らめきが起こり、更に紫色の炎が発生した。
その炎は激しく燃え盛りヒビキさんの全身を包み込み更にその勢いを増す。
その勢いはまさに業火、その業火の中からヒビキさんの声が響く。
『はぁぁーっ………たぁッ!!』
その炎をまるで気合でも込めたかの様な掛け声と共に、腕を振るいかき消す。
其処に居たのは………ヒビキさんではなく、紫色を主体とした体色の筋骨隆々たる体躯にプロテクターを装着したかの様な身形の額に二本の尖った角を持つ。
まさにその姿は鬼とでも形容するしか無い異形。
人の身で在りながら、人を大地を護る為に、己を鍛えて鍛えて鍛えた先に辿り着く境地。
影ながらこの世を護り清める、異形の鬼。
ヒビキさんのもう一つの姿、その名は『響鬼』
熊型のディスクアニマルはオリジナルです。
名は碧熊(アオイクマ)
小町の中の人悠木碧さんに因んで命名しました。