1話
~CiRCLE~
昨日も庄司くんは姿を見せなかった。
つぐみ「このまま庄司くん出てこなかったらどうしよう…」
紗夜「羽沢さん?どうかしたのですか?」
つぐみ「紗夜さん。実は…」
紗夜さんにここ最近の出来事を話してみた
紗夜「なるほど…最近、庄司さんを見かけないのはそんなことが…」
つぐみ「どうすればいいのか分からなくって…」
紗夜さんは少し考え込んでいる
紗夜「こればっかりは本人の心の整理が必要だと思います」
つぐみ「心の整理…」
紗夜「はい。今の庄司さんは精神的に不安定になっていると思います。ですのでまずは、話を聞いてみた方がいいかもしれませんね」
つぐみ「分かりました。ありがとうございます!紗夜さん」
話をするためには、まずは庄司くんを部屋から出す必要がある。でも…どうしたらいいのかな?
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~羽沢珈琲店~
つぐみ「ただいま」
母「お帰りなさい…」
つぐみ「お母さん、庄司くんは?」
お母さんが首を横に振る。今日もダメだったみたい…
父「このままだと、死んじまうぞ」
つぐみ「でも、どうしたら…」
「羽沢さん!調律終わりました~」
調律屋さんが私のキーボードを持ってきてくれた
つぐみ「ありがとうございます」
母「せっかくだから、何か弾いてみたら?」
考えても仕方ない何か弾いてみよう
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家族…僕はそんな幻想を見ていた…
僕は義父さんを…羽沢さんを拒絶してしまった…
羽沢さんにはこれ以上迷惑をかけられない
どんな顔をして会えばいいのか分からない…
段々、こんな自分が嫌になってくる…もう何もかもどうでもよくなってきた
♪♪♪♪~
この曲は青い栞…
よく母さんが弾いてくれた曲……
音の正体が気になった僕は、部屋から出る
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今度のライブに向けて少しでも練習しないと…
あ!間違えちゃった…いつもここで間違えちゃう。今度こそ!
♪♪♪♪~
もう一度、弾こうとした瞬間、階段の方から視線を感じ振り向いてみる
服の裾が少し見えている
つぐみ「庄司くん。あ!」
声をかけると庄司くんは二階に逃げて行った
父「あとすこしだったな…」
母「ようやく出てきたのに」
その後、同じ曲を弾いてみたけど庄司くんは部屋から出てくることがなかった…
~翌日~
巴「出てきたのか⁉」
つぐみ「うん!でも、あと一歩のところで…」
ひまり「逃げられたの?」
つぐみ「うん」
蘭「つぐみ、なにをしたの?」
つぐみ「えっと…確か曲の練習をしていただけだよ」
ひまり「何の曲を練習していたの?」
つぐみ「“青い栞”だけど…」
巴「モカ。さっきから黙っているけど、どうかしたのか?」
モカ「いやぁ~なんで練習中に出てきたんだろう」
ひまり「確かに…」
巴「取り敢えず、今日こそ出てきてもらわないとな」
つぐみ「うん。みんな少し提案があるんだけど…」
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~羽沢珈琲店~
…今日も嫌な雨が降っている。
声が出ないのは分かっているけど…あの歌を口ずさむ
やっぱり、聞こえるのは窓を叩く雨の音だけ
はぁ…僕はどうしたらいいんだろう…
♪♪♪♪
またあの曲……今度は誰かが歌っている
その声に導かれるように部屋を出て下の階に降りていくと――
巴「よし!捕まえたぜ!っておい!大丈夫か?」
巴さんに捕まってしまった。5日間飲まず食わずのため抵抗する力は僕に残っていない
ひまり「ちょっと!顔色が!」
蘭「すぐ病院に連れて行こう!」
つぐみ「う、うん。お父さん車を早く!」
父「お、おう!」
少しふらつくだけなのにみんな大げさ…
モカ「しょ~くんちょっとおでこ触るよ~。う~ん…少し熱いね」
ひまり「熱もあるみたい!急がないと!」
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~病院~
医師「栄養失調に脱水症状ですね…」
つぐみ「そうですか…」
医師「今は点滴で栄養補給をしています。ご両親少しこちらに…」
先生とお父さんたちが病室を後にして、私と庄司くんの二人きりになった
庄司くんの手を握るといつもより細く、所々傷ついていることに気が付いた
そっと袖をまくってみると…切り傷や痣が残っていた。
つぐみ「辛かったね…こんなに状態になるまで必死に耐えて…」
結局、庄司くんは目を覚ますことはなかった
もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?
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羽丘
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花咲川