こえ無き声を届けたい   作:hirag

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2話

~翌日 病院~

 

モカ「しょーくん。目を覚まさないね…」

巴「医者によると、命を落とす寸前だったらしい」

 

ひまり「5日間も食べていないからね」

蘭「どうしてそこまで思い詰めていたのだろう?」

 

つぐみ「わからない…けど。こんな体になるまでずっと耐えてきただし精神的にも追い詰められていたんだと思う」

 

モカ「この傷跡は酷いね…」

蘭「早く目を覚ましてほしいね」

 

巴「だな。待つことしかできないのが心苦しいが…」

つぐみ「庄司くん。お客さんも紗夜さんや沙綾ちゃん…みんな庄司くんが帰って来るのを待っているんだよ。だから、目を覚まして…」

 

□□□□□□□□□□□□

 

息苦しい…まるで水の中にいるみたいだ。

 

それに何も見えない…真っ暗だ

 

暗闇の中で微かにピアノの音が聞こえる…この弾き方は――母さん?

 

いや、母さんにしては少しミスがある。

 

それに、あの時と同じ音…

 

必死に手を動かすが何もつかめない。でも音に交わりながら微かに声が聞こえる

 

『みんな…庄司くんが帰って来るのを待っているんだよ』

 

みんな…そうだ…お店の常連さん。Roseliaのみなさんに山吹さん、千聖さん。

 

それに…Afterglowのみんな。

 

この町で出会った人たちが僕の帰りを待っているんだ

 

□□□□□□□□□□□□

 

目が覚めると夜になっていた。わずかな月明かりが部屋を照らしここが病院だと分かった

 

右腕には点滴。左手には――

 

つぐみ「スゥー…スゥー…」

 

つぐみさんが手を握りながら眠っている。周りを見渡すとお見舞いの品がたくさん置いてある

 

スマホの電源を入れて日付を確認する。

 

6月30日の19時…

 

僕が寝込んで3日は経っていたみたい。

 

つぐみ「う~ん。眠ちゃってた…あれ?庄司…くん…」

 

ギュッ!

 

つぐみ「心配…したんだから…///」

 

声を押し殺しながらつぐみさんは少し涙目になりながら、僕に抱き着いてきた

 

あぁ…こんなにも心配してくれる人がいるなんて…

 

僕があの時アイツが見えたのは幻影だったのだろうか…

 

明日、羽沢さん達に僕の過去を打ち明けよう。打ち明けてこのうやむやな気持ちを晴らそう

 

仮に声が戻った時のために口を動かす練習をしよう

 

_________________

~翌日~

 

医師「体温と血圧ともに正常だね。この様子だと明日には退院できるでしょう」

 

点滴の針を抜かれて普通のごはんをまた食べれるようにみたい

 

義父「良かった…」

 

医師「今回は奇跡的に助かりましたが、二度とこんなことはしないように」

 

コクリ

 

医師「お義父さんも庄司君の事を考えて行動をしてください」

義父「はい…気を付けます」

 

医師はそう忠告してからカーテンを閉め病室から出て行った

 

義父「すまなかった。お前を守るって言ってたのに逆に追い詰めちまった」

 

義父の肩に僕はそっと手を置き、首を横に振る

 

[大丈夫です]と口を動かし伝えるが…

 

義父「え⁉なんて?」

 

伝わらなかったみたい…

 

義父「おっと…もうこんな時間。すまない、そろそろ店に戻らないと…あ!これお前宛てに封筒が入っていたからここに置いていくぞ」

 

コクリ

 

 

そう言い残し義父も病室を出て行った

 

封筒の中に鍵と手紙が入っており見てみると…実家が取り壊されると書いている

 

一週間待つから最後に見に来ないか?っとも書かれている。

 

この前の僕ならこの手紙を捨てていたと思う。

 

コツコツ…

 

足音が複数聞こえる。――4…5人かな?

 

つぐみ「庄司くん?」

巴「お!本当に起きているな!」

 

モカ「久しぶり~」

蘭「顔色は良くなっているみたいだね」

 

ひまり「本当に良かった~!」

 

Afterglowのみんながやってきた

 

つぐみ「はい、これ」

 

つぐみさんからスケッチブックとペンを受け取り、謝罪の言葉を書き皆に見せた

 

ひまり「もう!本当に心配したんだから!」

蘭「あの時は本当に焦った…」

 

巴「まあまあ、生きていたんだし良かったじゃないか!」

モカ「一番心配していたのはつぐだったけどね~」

 

つぐみ「ちょ、ちょっとモカちゃん!」

ひまり「ずっと手を握っていたもんね」

 

つぐみ「ひまりちゃんも⁉」

 

つぐみさんがそんなに心配してくれたんだ…

 

紙とペンを横に置き、口を動かしある言葉を呟く

 

モカ「お?しょーくんいまなんて?」

巴「うん?なんだなんだ?」

 

もう一度口を動かすと――

 

ひまり「さい…え?もう一回!」

 

再度、口を動かす

 

蘭「ごめん…全然分からない」

 

やっぱり、誰にも伝わらないか…そう思い肩を落としていると・・・

 

つぐみ「ありがとう?」

蘭「え?」

 

どうやらつぐみさんだけには伝わったみたい。

 

巴「本当にそう言ったのか?」

 

コクリ

 

モカ「おぉー!流石つぐ。ずっと一緒に居るから分かるんだねぇ~」

つぐみ「そ、そんなことないよ!私だってさっき分かったばっかりだし…」

 

蘭「ところでいつ退院するの?」

 

『明日のお昼には退院の予定です』

 

ひまり「もう退院なの?少し早くない?」

巴「確かに…あ、でも5日間も点滴で栄養摂取していたからそんなもんじゃないか?」

 

モカ「そんなものかな~」

ひまり「ねぇ、退院したら何処か行かない?」

 

『遊園地、行ってみたいです』

 

巴「遊園地か…いいんじゃないか?」

蘭「うん。悪くないね」

 

モカ「何時にする?」

ひまり「来週はテストがあるから再来週かな?」

 

つぐみ「庄司くんはそれでいい?」

 

コクリ

 

しばらくみんなと楽しい時間を過ごした

 

結局、この手紙の事を何も話せなかった

 




次回作についてですがテーマは「表と裏」です
主人公とヒロインは表では関りが少ない感じだが裏では…

ような感じで書こうと思っています。

投票の参考になれば幸いです

もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?

  • 羽丘
  • 花咲川
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