帽子…良し!カバンも良し!時計も…
壊れた懐中時計を懐にしまう。
この時計を手にして以降、不思議なことにパニック障害を起こすことは一度もなかった
父さんが何度もこの時計を直そうと提案してきたけど僕は断った。
これは僕にとっては両親の形見…針もあの日…あの時間を忘れないようにしたかった
部屋を出て、扉にかけているホワイトボードに“お出かけ中”と書く
これで良し!これで父さんと母さんが心配しないと思う
つぐみ「庄司くーん!準備できたー?」
下の階からつぐみさんが呼んでいる
懐を触り、しっかり時計が入っていることを確認して下の階に降りる
蘭「あ、降りてきた」
ひまり「準備はできた?」
コクリ
巴「よし。じゃあ、早速行くか!」
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~電車内~
夏休みのシーズンだから電車内はそこそこ席が埋まっていた
つぐみ「中々、席空かないね」
モカ「どこも夏休みだからね~」
蘭「お店の方は大丈夫なの?」
巴「言われてみればそうだな…」
『大丈夫ですよ。助っ人呼んでいるので』
「「「「助っ人?」」」」
―羽沢珈琲店―
イヴ「イラッシャイマセ~」
紗夜「い、いらっしゃいませ」
リサ「あれ?紗夜。何やってるの?」
紗夜「庄司さんに頼まれたので…」
友希那「外せない用事ってこれだったの?」
紗夜「すみません…」
リサ「まぁまぁ、別にいいじゃん!」
友希那「そうね。何かおすすめはあるかしら?」
紗夜「新商品の冷やし羊羹はいかがですか?」
リサ「何それ美味しそう。じゃあアタシはそれを一つ」
友希那「私も同じものを…」
紗夜「かしこまりました」
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~遊園地~
ひまり「ついた~!」
巴「さて、楽しむぞー!」
つぐみ「まずは何から行く?」
蘭「混んでいないところから行こう」
モカ「さんせ~い。しょーくんもそれでいい?」
コクリ
パーク内の地図を見た感じだとジェットコースターが一番近い
絶叫系…なんだか面白そうだ
『あれに乗りませんか?』
巴「あれか…」
モカ「いいね~」
蘭「あたしはここで待ってるから…」
ジェットコースターを指さした時から少し青ざめている
モカ「あれ~もしかして蘭ビビってる?」
蘭「はぁ~!!ぜ、全然ビビってないし」
モカ「じゃあ、乗れるよね~」
蘭「の、乗れるし…」
ひまり「じゃあ、早く行こう!」
つぐみ「うん」
コクリ
―15分後―
「次、6人どうぞ」
巴「ようやくだな」
つぐみ「蘭ちゃん。大丈夫?」
蘭「だ、大丈夫だから…」
そう言いつつ美竹さんの足が震えていた…
「荷物はこの中に入れてください。貴重品はこっちに」
箱の中にカバンと懐中時計を貴重品ボックスに入れる
時計を預けてからなんだか少し不安になってきた…
ひまり「そう言えば、ペア分けしてなかったけど…」
巴「適当でいいんじゃね?」
僕の座席は一番先頭、隣には――
つぐみ「一番前だね。あはは…」
後ろには美竹さんと宇田川さん。青葉さんと上原さんのペア
「では、いってらっしゃい!」
係員の言葉を合図にジェットコースターは動き出した。
段々、上に向かって行く。不安になり咄嗟に羽沢さんの手を握った
つぐみ「ちょ、ちょっと庄司く…きゃあぁぁー」
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モカ「面白かった~」
巴「大丈夫か?蘭」
蘭「全然、大丈夫じゃない…」
ひまり「つぐ。顔が赤いけど大丈夫?」
つぐみ「う、うん…大丈夫…」
巴「あれ?庄司も顔が赤いぞ」
結局、最後までつぐみさんと手を繋いでいた
でも、不思議だ。時計を手放してからあった不安を感じられなかった
それより、違う感情が…この気持ちは――
蘭「大丈夫?まさかまた⁉」
僕は首を横に振った
ひまり「よーし!次行ってみよう!」
モカ「次はあれかな?」
青葉さんがコーヒーカップを指さした。
あれって確か、回るやつだったような…組み合わせによっては地獄を見そう…
―数時間後―
あの後、宇田川さんとコーヒーカップに乗り、高速で回されて吐きそうになったり
お化け屋敷を入ろうとしたときは、青葉さん以外全然乗り気じゃなかった
特に美竹さん…
結局、全員で入ることになり終始美竹さんが僕の腕をガッチリホールドして歩きにくかった
宇田川さんは最初の方は大丈夫そうだったけど、最後は上原さんと一緒に先に走っていた
うん。去年の夜の学校に忍び込んだ時がどんなに大変だったのか、身をもって知った
もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?
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羽丘
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花咲川