こえ無き声を届けたい   作:hirag

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今回からは蘭編です。
製作の段階でつぐみ編より長くなりそうです

本編どうぞ( ゚д゚)ノ


蘭編
1話


~美竹家~

 

美竹父「どうした?今日は出来が悪いぞ」

蘭「……」

 

美竹父「蘭?」

蘭「え!?な、なに……」

 

美竹父「いや、何でもない。庄司君の事が気になるのか?」

蘭「べ、別に…」

 

あいつが引き籠ってもう4日経つ…

 

つぐみによれば食事も碌に摂っていないらしい

 

美竹父「お前らしくないな。取り敢えず今日はもうここまでにしよう」

蘭「うん…」

 

_________________

 

~蘭の部屋~

 

ここ最近、作曲も華道もやる気が起きない……

 

気が付けばいつもあいつの事ばかり考えてる

 

外を眺めると雨が降っている

 

そう言えばあいつは雨が嫌いって言ってたっけ…

 

蘭「らしく…ないか……」

 

それに心に靄がかかったみたいで嫌な気分になる

 

助けてあげたいけど…あたしには何が出来るの?

 

Pipipi…

 

リサさんからだ

 

蘭「もしもし…」

リサ『もしもし!蘭。最近元気ないけど、どうかしたの?』

 

蘭「実はあいつが…」

リサ『あいつ?』

 

リサさんに庄司の現状とあたしの気持ちを話してみた

 

リサ『ふ~ん…そんなことがね…』

蘭「どうしたらいいのか分からなくて…」

 

リサ『その気持ちは蘭自身で気が付かないとね。アドバイスするなら偶には力ずくで解決するのもいいと思うよ』

 

蘭「力ずくですか?」

リサ『蘭の気持ちを伝えればきっと何とかなるよ』

 

 

気持ちを伝える……

 

蘭「わかりました」

リサ『また今度、話を聞かせてね☆』

 

あたしはあいつの話を聞いておかしいと思った…

 

庄司はあたしのことを“幸せ者”って言った

 

それと同時に“自分も生活が充実している”って

 

生活が充実しているならあたしの事を“幸せ者”なんて言わないはず…

 

 

_________________

 

~羽沢珈琲店~

 

つぐみ「蘭ちゃん…本当にやるの?」

蘭「うん…このままにしていられないから」

 

あたしはつぐみのお父さんから庄司の部屋の鍵をつかった

 

部屋の中は真っ暗…それとビリビリに引き裂かれたスケッチブックが散らかっていた

 

部屋の隅には布団に包まっている庄司がいた

 

蘭「あんたはいつまでそうしているつもり?」

 

庄司はあたしをみているけど、少し怯えている

 

つぐみ「庄司くん…外に出ようよ」

庄司「──ッ⁉」

 

つぐみが手を指し伸ばすと庄司はその手を払った

 

蘭「つぐみ!」

 

蘭「大丈夫?」

つぐみ「う、うん…」

 

_________________

 

頭が痛い···気持ち悪い。吐きそうだ

 

立ち上がろうとしても手足に力が入らない

 

目も霞んできた···

 

意識が朦朧としたその時──

 

美竹さん達が部屋に入ってきた

 

あいつに見つからなかったのか。二人共暴力を受けた形跡がなかった

 

蘭「あんたはいつまでそうしているつもり?」

 

いつまで…僕はもう一歩も外に出ないつもり…

 

つぐみ「庄司くん…外に出ようよ」

庄司「──ッ⁉」

 

羽沢さんが手を指し伸ばしてくる…でも、その手を僕は振り払った

 

蘭「つぐみ!」

 

その手を掴めば…あいつの所に連れていかれる!もう痛いのはイヤだ!

 

蘭「大丈夫?」

つぐみ「う、うん…」

 

もう…嫌なんだ……僕は、生きていても何の意味もない…

 

蘭「庄司…」

 

美竹さんが声をかけてくる……

 

蘭「あんた…外の世界が怖いの?」

庄司「──ッ⁉」

 

僕は顔を上げた。そこには怒りではなく…少し寂しそうな顔をしていた

 

蘭「この前、あんたはあたしの事を“幸せ者”って言った。あんたはどうなの?」

 

僕は……

 

蘭「声が出せなくても今の生活が充実しているのでしょ?」

 

そんなことはない……僕の生活はまやかし…幸せなんてない

 

蘭「なのにどうして…あんたはあの時、泣いていたの?」

 

え⁉僕が泣いていた?

 

蘭「人には幸せになる権利がある。あんたにも勿論その権利はある」

 

幸せになる権利…

 

近くにある紙に文字を書き美竹さんに見せる

 

『声が出せないこんな僕に幸せなんて…』

『僕にとって歌うことが幸せだった』

 

声が出ない僕にはもう何もない…

 

蘭「だったら、あたしがあんたを幸せにしてあげる」

つぐみ「ら、蘭ちゃん⁉」

 

え⁉

 

蘭「あんたが幸せに思えるその日まであたしが導いてあげる。だから、あたしを信じて…」

 

美竹さんは真っ直ぐな目をして、僕に手を指し伸ばしてくる

 

僕を導いてくれる その言葉をもう一度信じてみよう

 

 

蘭「下の階に行こう。みんな待ってるし、それに…」

 

ぐぅぅ~

 

つぐみ「お腹も空かせているみたいだね」

蘭「四日間も食べていなかったらそうなるよ」

 

二人に手を引かれながら部屋の外に出る…

 

下に降りると、あの臭いもあいつの姿もない。居るのは……

 

モカ「おぉ~しょーくん久しぶり~」

巴「ようやく出てきたな」

 

ひまり「心配していたんだからね!」

義父「庄司…すまなかった……」

 

お義父が頭を下げている…僕には何故頭を下げているか分からない…

 

ここにあいつが居たはずでは……

 

つぐみ「もう!これに懲りてお酒も控えてね!」

義父「そうします!」

 

ぐぅぅ~~

 

義母「あらあら…直ぐに用意するわね」

蘭「ここにはいないけど、湊さんや沙綾、千聖さんに沢山の人があんたの事を心配していた。それに…」

 

それに?

 

蘭「あんたがいて、あたしたちのいつも通りなんだから…そのことは忘れないで…///」

 

最後も部分は聞き取れなかったけど美竹さんの頬が少し赤かった

 

後日、メンタルケアのために病院に通い…羽沢さん達に僕の過去について事細かく伝えた

 

結局、僕が見たアイツは…過去の状態と重なり僕は幻覚を見ていたことを知った

 

 

_________________

 

おまけ

 

~???~

 

???「Guten Abend(こんにちは)ドクターマシャコフ…」

マシャコフ「おぉ!どうしたんだい?ドクター」

 

禿げた頭を掻く老人と白髪の青年が会話をしている

 

???「諸事情で母国に…()()に帰ろうと思います」

マシャコフ「ふむ…そうか…いずれその時が来ると思っていたがこんなに早いとは」

 

老人は少し物寂しそうにそう言った

 

???「申し訳ございません…」

 

マシャコフ「謝らなくていいよ。君はこの7年わたしの傍で腕を磨いてきた。その腕を今度はここ”()()()()()()”でなく日本で振るうといい」

 

???「感謝します!」

マシャコフ「出立はいつかね?」

 

???「明後日にしようと思っています」

マシャコフ「そうか…寂しいな。患者のみんなになんていえばいいのかな?」

 

???「すでに伝えています」

マシャコフ「相変わらず手際が良いの~()()()()()()()

 

???「その呼び方は辞めてください。でも、本当にお世話になりました」

 

マシャコフ「こちらこそわたしは君のような弟子を取ってよかったドクター」

 

???「ありがたいお言葉です。Auf Wiedersehen(さようなら)、偶には日本に来てください」

 

マシャコフ「ハハハ…それもいいの~その時は案内頼むよ。そうだ!」

 

老医師は立ち上がり青年に一冊の本を渡した

 

マシャコフ「わたしの本をあげるよ。これで…」

???「”学びは怠るな”ですか?」

 

マシャコフ「その通りだ。怠けは腕を鈍らせる。精進したまえ」

???「ありがとうございます」

 

青年は軽くお辞儀をしてその場を後にし、携帯を取り出した

 

???「あぁ、俺だ。そっちの状況は?」

『特に問題なしだぜ相棒。いつ帰れる?』

 

???「そっちに到着するのは来週あたりになりそうだ」

『了解、”井ノ島”付近で合流でいいか?』

 

???「そこでいい」

『ところで腕の方はどうだ?』

 

???「大分馴染んできた。心配は無用だ。じゃあな」

 

ピッ・・・

 

一方的に電話を切り、青年は外を眺めながらこう呟いた

 

???「7年ぶりの日本だ。元気にしているかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──蘭。

 

 

 

 

 




ここでお知らせです

蘭編限定のオリキャラを二人追加予定です。勿論物語に大きく関係することになります

ドクターブルー?義手?っといろいろ気になるキャラに仕上がっています。次回をお楽しみに!!

もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?

  • 羽丘
  • 花咲川
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