こえ無き声を届けたい   作:hirag

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5話

 

~翌日~

 

スーツケースに必要なものを詰め込む。

 

服や薬、本にスケッチブック等々、病院を出るときに比べたら荷物が多くなっていることに気付いた。

 

服も本も、みんなと買ったもの…この一つ一つに大切な思い出がある

 

みんなといるここが僕の居場所…

 

お義父さんに内緒で買った。スタンガンと小型の催涙スプレーを懐に忍び込ませる

 

準備ができ、部屋に飾っている一枚の写真を見つめる

 

退院した時にAfterglowのみんなと撮った写真とこの前、井ノ島で撮った写真

 

ここに帰って来るのはいつになるか分からないけど

 

僕は絶対に帰って来る。その時、笑って帰ってこよう

 

_________________

 

 

義父「美竹さん、息子の事をよろしくお願いします」

 

美竹父「お任せください。出来るだけのことはやってみましょう」

 

蒼「もしもの時はお任せください」

 

義父「先生にもそう言っていただけると安心できます」

 

蘭「早く車に乗った方が…」

美竹父「そうだな。蒼、運転頼む」

 

蒼「了解。叔父様…」

 

荷物を詰め込み、車に乗り込む。

 

蒼「シートベルトは絞めたな?よし、出すぞ」

 

コクリ

 

蘭「……」

美竹父「……」

 

蒼「……」

庄司「……」

 

き、気まずい…車の中では会話がない。聞こえてくるのはニュースぐらい

 

『先ほど○○遊園地で観覧車が落下する事故が発生しました』

 

美竹父「とんでもないことが起こったな」

蒼「あぁ、もしかしたら…」

 

Pipipipi…

 

唐突にカーナビに着信が表示された。

 

蒼「すまない。少し出るよ」

 

車を路肩に止め、蒼さんが電話に出る

 

蒼「はい」

 

『先生!今どこに居ますか?急患です!酷い出血で!』

 

蒼「遊園地の件だな?」

 

『はい!他の先生にも手伝ってもらっていますが人手が足りません!』

 

蒼「分かった直ぐに向かう!」

 

ピッ!

 

蒼「ってことだ。すまない。叔父様後は頼みます」

美竹父「あぁ、行ってこい」

 

蒼さんは車を降り、走って病院に向かって行った

 

蘭「昼も夜も関係なし。いつも電話が来たら直ぐ走っていく。医者も大変だね」

 

『寂しいのですか?』

 

蘭「そ、そんなことは無いけど。偶にはゆっくり休んでほしい。そう思うだけ…」

 

なんでだろう?すごくもやもやする。この気持ちは何だろう?

 

 

 

~美竹家~

 

美竹父「蘭の隣の部屋が開いてるからそこを使うといい」

 

コクリ

 

蘭「足りないものがあったら取って来るけど?」

 

『ハンガーをお願いします』

 

蘭「わかった」

 

部屋の中はこの前使った部屋より少し広い、スーツケースを部屋の隅に置き窓の外を眺める

 

_________________

 

 

庄司を家で暫くの間預かることになった。最初はお父さんが反対すると思っていたけど…

 

意外と乗り気だったことに驚いた。

 

蘭「庄司。ハンガー持ってきたよ」

 

部屋に入ってみると庄司は外を見ていた。ここからだと病院と学校しか見えないのに

 

蘭「何か見えるの?」

 

庄司は首を横に振る

 

『この前は良く見えなかったので…』

 

蘭「そう…何かあったら遠慮なく呼んで、隣の部屋にいるから」

 

コクリ

 

踵を返し、部屋を出ようとすると──

 

蘭「え⁉ちょ、ちょっと!」

 

庄司があたしの服を引っ張ってきた

 

『もう少しここに居てくれませんか?』

 

追われていることや不慣れなことばかりで不安なんだろう

 

蘭「すこしだけなら…いいけど」

 

しばらく庄司と一緒に居たけど、偶にチラチラこっちを見たと思うとペンを動かしていた

 

そんなこと気にせず、あたしは作詞をすることにした

 

_________________

 

 

ー数分後ー

 

 

蘭「う~ん…違う…こうじゃない」

 

美竹さんは作詞をしているけどなかなか思いつかないみたい

 

そうだ!美竹さんに聞きたいことがあるんだった

 

『美竹さんあなたはどうして音楽を続けるのですか?』

 

蘭「なんでって…「いつも道り」であり続けるため」

 

『いつも通り?』

 

いつも通り…美竹さんの口癖の“いつも通り”それにはどんな意味が込められているのだろう

 

蘭「庄司は変わることが怖くない?」

 

『変わること…』

 

蘭「あたしは怖かった。変わらない、変えたくないものが多すぎて。皆とぶつかることも逃げていた。何もかもこのままの方がいいって…」

 

庄司「……」

 

蘭「でも、ケンカして本当の意味でみんなの事を信頼できた。Afterglowは『変わらない』ことの証であり、『変わることが出来る』証。5人でいられる大切な居場所だからあたし達は音楽を続けてられる」

 

5人でいられるための居場所…

 

蘭「それがあたしにとって“いつも道り”」

 

『僕は変れますか?』

 

蘭「それは分からない。でも、あたしはまた変わることが出来た」

 

──!?

 

美竹さんは僕に抱き付きこう囁いた

 

蘭「あたしはあんたの事が好き…この世の誰よりも…」

 

こ、これって告白⁉ど、どうしたら…

 

蘭「そ、そういうことだから···返事は今じゃなくていいから…///」

 

そう言い残し、美竹さんは逃げるように部屋を出ていった

 

もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?

  • 羽丘
  • 花咲川
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