正明「おら!」
もうどれぐらい殴られ続けたのだろう……口の中の血の味も分からない
もう何も感じなくなってきた。
縄が食い込みも腹部の痛み……太股に刺さったナイフも潰れた右目の痛みすら気にならなくなった
正明「ふぅ~少し一服でもするか……」
そういいアイツは部屋を出て行った
蘭「庄司……」
声が聞こえ顔を上げてみると美竹さんは目を覚ましたみたい……
心配そうに僕の事を見ている。心配をかけないように僕は笑顔を見せた
連絡手段もなし、出口はあの扉……どうにかして刺さったナイフを抜いて美竹さんの縄だけ切って逃がさないと……
腕を下の方に、足を上げ、足掻いてみる……
ギシギシッ! ……ポタ……ポタ……
赤い滴が絶間なく滴り落ちるだけでビクともしない
蘭「──ダメ! それ以上動いたら──」
死ぬかもね。でも
僕の命はどうせ助からない……それなら、この事を誰かに伝えることが出来る彼女を逃がせば……
美竹さんは助かるし、アイツも捕まる。
ダメだ全然……緩まない……どうしたら
⁇「あぁ~大分酷くやったものだね」
聞き覚えがある声が聞こえてきた。確かこの声は……
冨田「やぁ、久しぶりだね。笹野君」
冨田先生⁉どうしてここに……
正明「遅いぞ冨田」
冨田「すまない。警察の追手を巻くのに手がかかってね」
警察?
どうして冨田先生が警察に……そしてコイツと一緒にいるんだ
冨田「にしても……派手に痛めつけたね」
冨田医師が僕の身体を隅から隅まで診ている
正明「これはあくまで教育だ。コイツをどうしようと俺の勝手だろ?」
冨田「その辺はどうでもいいが……あまり体を傷つけないでくれないかな? 売れなくなっちゃうだろ?」
売る? この人は何を言っているんだ?
冨田「さて、正明。今回はご苦労様」
正明「おう! 早く金をくれ! そこの女の分も合わせてな」
冨田「はいはい……全く君はせっかちなんだから、褒美を上げるよ──
永遠の眠りをね──」
大きな音が部屋全体に響き渡った。音の正体は冨田医師の右手に握られていた拳銃だった
正明「お……ま……え……どういう……つもりだぁ……⁉」
冨田「どういうつもり? これは私の計画だよ! 君を殺すことがね!!」
どういうことなのか僕には分からない。どうして冨田医師がアイツを殺そうとしているのか
正明「貴様──!!」
アイツが冨田医師に殴り掛かる──が
冨田「おっと! 危ない!」
軽やかに躱し、冨田医師はアイツの両足を撃ち抜いた
正明「あがぁぁぁぁ!!」
悲痛な叫びが聞こえる。冨田医師が僕の方に向き直り話始めた
冨田「君は運がなかったね。こんな奴の子供として産まれてね。君の母、美智子もこんなバカより私を選べばあんな目に遭わなかったのに……」
あんなこと? どういうこと?
正明「お前……まさか……」
冨田「僕は美智子を愛していた。この手にいれたかった、ふと僕はこう思った。手に入らないなら奪えばいいとね。僕が治療しこんな男を捨てさせようと···」
この人の言っていることがわからない
冨田「でも、誤算だった···彼女が死んでしまうなんて思わなかった。庄司くん、君は美智子とよく似ている。その目に髪、顔は整形すれば何とでもなる」
今わかることは、この男が冨田医者が···イヤ、冨田がお母さんを殺した!!
正明「お前……! 美智子を創る気か!」
冨田「ククッ! そうだとも! 美智子の生き写しがそこにあるならどんな手を使ってでも手に入れるさ! 性別はこの際目に瞑ろう……あの時、羽沢が来なければ君は私の物になったのに……さて、仕上げをしよう。もう一度君を僕の手に!」
く、狂ってる……コイツは私利私欲のためにお母さんを殺し、僕たちを不幸にした
今すぐに殴り掛かりたでも、動けない……
冨田「さて···」
カチャ!!
蘭「──ッ⁉」
庄司「──!?」
冨田は美竹さんの方に振り向き歩み寄る
冨田「君には怨みは無いが、知ってしまったには消えてもらうよ」
拳銃が美竹さんの頭に突きつけられる
動け……
動け……動け……
どうしてこの体は動かない! 守りたい人が···大切な人が目の前にいるのに!
動け動け……動け!
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け──!
また僕は大切な人を失うのか···
諦めかけたその瞬間──
風を切る音と固いものが壁に当たる音が、聞こえ顔を上げると縄が切れていた。
周囲を見渡すと、あいつが···父が血塗れになりながら僕を見ていた
『ありがとう。お父さん』
口でそう伝え、太股に刺さったナイフと抜き、最後の力を振り絞り冨田に向けて投げる!
冨田「うぐぅ! なんだと⁉」
投げたナイフが放物線を描きながら冨田の背中に刺さった
「警察だ!」
宗太「冨田直樹 傷害、人身売買、臓器売買の罪で逮捕する!」
冨田「っく! こんなはずでは……」
冨田は手錠をされ連行され、美竹さんは解放された
蘭「庄司!」
宗太「早くタンカーを! 救命医も呼んで来い!」
「はい!」
警官が部屋を出て行き、宗太さんは父を見にいく
宗太「こっちは手遅れか……」
蘭「庄司! 庄司!」
ああ……美竹さんの声が聞こえる……よかった……無事みたい
ひどい顔だ···涙の所為で折角の美人が台無しだよ……
蘭「死なないで! まだアンタから答えを聞いてないのに!」
こたえ……ああ……そういえば伝えられなかったっけ
右手に付いた血で床に文字を書く
【すきだよ】
夕日が僕たちを照らす。ああ……綺麗だ……僕が最後に見る景色
ああ……もうだめだ……眠たくなってきた。
これでぼくもお母さんのところに家族の元に逝ける
もう思い残すことはなにもない……
美竹さんと向き合い、感謝の思いを口に出す
[ありがとう。こんな僕を好きになって···く···れて···]
蘭「え···いまなんて? 庄司? ねぇ、目を開けてよ! 庄司──ッ!!」
もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?
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羽丘
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花咲川