こえ無き声を届けたい   作:hirag

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3話

ーある日の休日ー

 

この日、あたし達はいつも通り練習を続けていた

 

そして、練習が終わりいつものように片づけをしていた時――

 

ひまり「ねぇ、この後みんなでつぐの所に行かない?」

 

庄司がいなくなってからつぐの所に行くことが少なくなっていた

 

あそこに行けばあいつがいる。そう思って足を運ぶがあいつは何処にもいない。それがとても嫌だった。だから、行くことが少なくなった

 

蘭「あたしはパス…」

モカ「ごめん~あたしもパスかな~あ、もう時間だからお先に~」

 

そういうとモカは足早にスタジオから姿を消した

 

巴「なぁ、モカについてなんだが最近すぐにいなくなるが、何か知らないか?」

つぐみ「そういえばこの前、こころちゃんのお家の近くを歩いているところを見かけたよ」

 

蘭「なにそれ。モカがあたしたちに隠し事をしているってこと?」

ひまり「たまたまなんじゃないの?」

 

巴「たまたまって言ってもな・・・最近あそこらへんにモカの気が引くものなんてあったか?」

つぐみ「わからないけど・・・取り敢えずこっそりついて行ってみない?」

 

 

______________________

 

つぐみの提案でモカの後をついて行ったけど、音楽店に寄ったり山吹ベーカリーに寄ったり・・・

 

いつもと変わらない様子だった

 

巴「なんだか・・・いつも通りの感じだな」

つぐみ「気のせいだったのかな?」

 

蘭「あ、出てきた」

ひまり「なんかいつもより多く買ってない?袋パンパンだけど・・・」

 

???「おい!そこの君たち!」

 

男の声が聞こえ、あたし達は振り返ってみるとスキンヘットに巴の身長を優に超える大男がいた

 

ひまり「わ、わたし達ですか?」

大男「そう 君たちだ。君たちはこの子を知っているかな?」

 

大男は一枚の写真を見せてきた。そこには小さな男の子と女の子が写っていた

 

つぐみ「この写真は・・・」

大男「男の子のほうを探しているのだが、何か知らないかね?名前は笹野庄司」

「「「「――⁉」」」」

 

あいつを探している。この人もしかして・・・

 

巴「し、知らないですね。なぁ?みんな」

ひまり「う、うん」

つぐみ「私も知らない」

 

大男「むぅ・・・ここも空振りか。ありがとう君たち」

 

そう言い残し、大男は去っていった

 

つぐみ「お、大きな人だったね」

巴「あぁ、2mぐらいありそうだったな」

 

蘭「あの人、庄司を探していた」

ひまり「そ、そうだよ!これって警察に知らせたほうが!」

 

巴「あぁ、それにさっきの写真。あの女の子って・・・」

 

あの写真に写っていた女の子は――

 

つぐみ「あ、いたよ!」

 

つぐみが指をさす方向をみるとモカが大きな屋敷に入っていた

 

ひまり「ここって・・・」

つぐみ「こころちゃんのお屋敷だよね?」

巴「どうしてモカがこんなところに・・・」

 

こころ「あら?蘭じゃない?それにみんなも!どうしたの?」

蘭「こころ・・・モカが屋敷に入っていったけど・・・」

 

こころ「今日も彼に会いに来ていたんだね」

蘭「彼?」

 

こころ「あれ?知らなかったのかしら?庄司がここにきて2週間ほどずっと来ているわよ」

 

つぐみ「え⁉」

巴「いまなんて・・・」

 

ここに・・・庄司が・・・いまそう言った

 

こころ「2週間ほどずっと来ているわよ」

ひまり「そうじゃなくて!庄司くんがここにいるの⁉」

 

こころ「ええ居るわよ!会いたいのならいいわよ。わたしはいまから笑顔を届けにいくから」

 

こころは足早にあたしたちの前から去っていった

 

ひまり「どうするの?」

蘭「会いに行くに決まってる」

巴「聞きたいこともいっぱいあるしな」

 

あたし達は黒服の人に付いていき中庭にたどり着いた。そこには――

 

モカ「そうそうーそこはそうして・・・おーやればできるじゃ~ん」

 

中庭にはモカと勉強をしている庄司がいた

 

つぐみ「庄司君!!」

庄司「――!」

 

つぐみの声に驚いた庄司はあたし達を見て俯いた

 

つぐみ「ずっと心配してたんだよ。どうして何も連絡してくれなかったの?」

 

巴「町のみんなが必死に探していたのだぞ」

ひまり「でも、無事でよかった!」

 

蘭「モカ。ちょっとこっちに来て」

モカ「はいはーい~」

 

あたしはモカを連れて4人から見えないところに移動した

 

蘭「モカ、どういうことなの?どうして何も話してくれなかったの?」

モカ「モカちゃんも偶然ここにいるのを――」

 

蘭「とぼけないで!」

モカ「――⁉」

 

蘭「さっき、こころから聞いた。2週間ずっと来ているって、どうして黙っていたの?」

 

モカ「蘭に隠し事はできないね~」

 

蘭「そんなにあたし達を信じられなかったの⁉あたし達を頼りなかったの⁉」

モカ「・・・」

 

つぐみ「蘭ちゃん!モカちゃん」

ひまり「二人ともやめて!」

 

巴「庄司から話は聞いた」

 

つぐみ達が庄司を連れてきた

 

『美竹さん。心配をかけました』

 

ひまり「モカは庄司君のメンタルケアをしていたの!」

モカ「しょーくんは熱を出すし、物を投げてくるしホント手間がかかったよ~」

 

『ごめんなさい』

 

モカ「そんな状態のしょーくんにみんなと合わせるわけにはいかないでしょ~」

蘭「・・・ごめん。モカ・・・」

 

巴「とにかく無事だとわかってよかった」

ひまり「私、みんなに連絡してくるね」

 

モカ「じゃあ、しょーくんの勉強の続きをしようか」

つぐみ「そういえばどうして庄司くんは勉強をしていたの?」

 

モカ「ああ、それはね。しょーくんも学校に通うことが決まったからね」

巴「ヘェーよかったじゃん」

 

蘭「ここら辺って女子高しかないけど・・・どこの学校に行くの?」

 

庄司は紙に学校名を書き始めた。そして、書き終えた紙をあたし達に見せる

 

 

『羽丘女子学園』

 

 

巴「は、羽丘!」

つぐみ「どうして羽丘なの?」

 

『数日前に羽丘女子学園の校長先生に誘いを受けました』

 

モカ「あれだよ。少子高齢化ってやつ~?生徒数が少なくなっているから試験的に編入しようと思っているみたい」

 

巴「なるほど・・・」

モカ「さてさて、そろそろ時間だから帰ろうかな~」

 

ひまり「お待たせー!みんなに伝えてきたよ。えっと・・・どういう状態?」

蘭「帰りながら話す・・・庄司帰ろう」

 

あたしの言葉を聞いた庄司は驚いていた

 

『帰っても大丈夫なのですか?』

 

つぐみ「お父さんもお母さんも、みんな庄司くんが帰ってくるのを待っているよ」

 

蘭「多少、怒られるかもしれないけど、誰もあんたを殴ったりしない」

 

ひまり「そうそう。だれもなぐ・・・あ!そういえばあの大男!」

 

巴「そうだった!なぁ、庄司。2mぐらいの大男がお前を探していたけど誰か知っているか?」

 

庄司は首を傾げて深く考えていた。しばらくすると庄司は首を横に振った

 

______________________

 

~羽沢珈琲店前~

 

つぐみ「大丈夫だよ・・・」

モカ「いつも通りの感じで入ればいいんだよ」

 

店の前まで帰ってきた庄司の手は少し震えていた

 

蘭「開けるよ」

 

あたしが店の扉を開けると――

 

中にはさっき会った大男がカウンター席に座っていた

 

もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?

  • 羽丘
  • 花咲川

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