こえ無き声を届けたい   作:hirag

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4話

 

宇田川さんから聞いた大男が僕たちの目の前、正確に言えばカウンターに座ってお義父さんと何か話している

 

そして、大男は僕たちに気が付き振り向き目を見開く。

 

大男「おお!庄司ー!」

 

大男は近づいてくる。僕と大男の目の前に美竹さんたちが間に入った

 

大男「む・・・君たちはさっきの・・・」

蘭「庄司は渡さない!」

 

美竹さん達は大男を睨むが、大男は茫然と佇む

 

大男「何か誤解しているみたいだ」

義父「まぁまぁ・・・みんな取り合えずこっちにおいで。それと庄司・・・」

 

お義父さんに名前を呼ばれビクッとした

 

義父「お帰り・・・それとすまなかった。お前のことを考えず酒に吞まれてしまった」

 

頭を下げるお義父さんすると大男はお義父さんの頭に手を置く

 

大男「お前がやったことはもう取り返せない。これからは庄司のために色々してやることだな」

 

巴「あんた何者なんだ?庄司のことを知っていたり、つぐのお父さんと親しい感じだし・・・」

 

大男「おっと!名乗り忘れていたな。俺の名前は尾上 雄二。そこにいる庄司の伯父だ」

 

雄二伯父さん。3年前に比べて凄く痩せてるような・・・

 

蘭「伯父・・・」

つぐみ「庄司君本当なの?」

 

僕は静かに頷いた

 

雄二「久しぶりだな、庄司」

 

伯父は屈み僕の髪をわしゃわしゃと撫でてきた

 

雄二「さてと、羽沢。俺はもう帰る」

義父「もう帰るのですか?」

 

雄二「あぁ、甥の顔を一目見ただけで満足だ。あぁ、言い忘れていた。あいつはもうお前を追ってこない。安心しろ。あとこれ渡しておく」

 

伯父さんから一枚の紙を渡された。紙には住所と電話番号が書かれていた

 

雄二「何かあれば連絡してきな」

 

伯父さんは店を出て行った。その後、時間も遅いため美竹さん達も帰っていった

 

伯父さんはいったい何をしに来たのだろう?

 

______________________

 

迷惑をかけた人達に謝りって、三週間が経った。僕は特別編入の形で羽丘に入学する事ができた

 

担任『みんなー静かに!多分さっき校長先生から聞いたと思うけど、我が校初めて男子高生がクラスの一員になります。じゃあ、羽沢君入ってきて!』

 

教室の扉開ける

 

教卓の前に立ちクラスを見渡すとつぐみさん達の姿を見つけた

 

担任「彼が羽沢庄司君。試験的に1年と半年しかいないけどよろしく」

 

ヒソヒソ・・・

 

クラスのみんなに向かって軽く会釈をした

 

担任「静かに!羽沢君はある事情で話せなくなっちゃて…みんな。羽沢君が何か困っていたら助けてあげてね」

 

「はーい!」

 

担任「じゃあ、席は・・・青葉さんの隣が開いているわね」

 

青葉さんの右隣の席に着いた

 

モカ「これからよろしくね~しょー君」

 

『こちらこそよろしく。青葉さん』

 

担任「じゃあ、夏休み開けて早々だけど課題を提出してね」

 

こうして僕の学園生活が始まった。1年と5か月しかいられないけどこの青春を満喫しないと

 

 

ー放課後ー

 

ひまり「庄司くん。お疲れ!どうだった?」

 

『みなさん。いい人でした』

 

蘭「いい人って、質問攻めされてしんどくなかったの?」

 

『賑やかなのはいいことです』

 

去年と比べたら楽しい時間に感じた

 

モカ「リサさん達が来るとは思わなかったねー」

 

お昼休み、みんなと屋上でご飯を食べていたら今井さんと湊さんまでやってきて、和気藹々と食事を楽しんだ

 

巴「なぁ、アタシたちはいまから練習に行くけど、庄司はどうするんだ?」

 

モカ「そういえば、しょー君はあたし達の練習しているところ見たことないよね?」

 

練習しているところは見てみていたけど・・・ちょっと疲労感が・・・

 

つぐみ「でも、庄司君は編入初日で色々あって疲れているんじゃないかな?」

 

こくり

 

巴「確かにそうかもな。じゃあ、また後でな」

モカ「じゃあね~」

 

みんなとそれぞれ別れの挨拶を済まし真っ直ぐ羽沢珈琲店に向かう

 

ふと思えば、一人でこうして昼間を歩き回ったのいつぶりだったかな?

 

いままでアイツの存在にビクつきながら街を歩いていた

 

⁇「庄司!」

 

誰かに呼ばれて振り向くと雄二伯父さんが買い物袋を両手に抱えていた

 

雄二「いま帰りか?お疲れさん。よかったら家に来るか?この近くなんだが・・・」

 

伯父さんとは3年ぶりだし、色々聞きたいことがいっぱいある

 

『5時までなら』

 

伯父「おう!わかってる。お前と二人きりで話したいことや渡したいものもあるし」

 

僕はお義父さんにメールを送信して、伯父さんの家に向かった

 

 

ー雄二宅ー

 

雄二「さぁ、上がってくれ!」

 

リビングには二人用のソファーに大型テレビ、食卓も綺麗に整頓されていた

 

雄二「まぁ、取り合えずコーヒーでも飲め」

 

伯父自ら惹いたであろうコーヒー。苦みが強い・・・香りが薄い・・・

 

雄二「さてと・・・お前に渡すものがまずはこれ・・・」

 

懐中時計・・・僕が家に置いてきた物だ

 

蓋裏には家族の写真が入っていた

 

雄二「あの野郎をぶん殴りに行ったときに回収してきた」

 

伯父は力こぶを見せつけてくる。3年前の伯父に比べるとかなり筋肉質になっていた

 

『この3年、何していたの?』

 

伯父「ちょっと自衛隊に入っていた。まぁ、小似合わず辞めちまったがな」

 

『今の仕事は?』

 

雄二「今か?近々バーテンダーとして働こうと思ってんだ。良かったらお前も来いよ」

 

『まだ未成年だよ』

 

雄二「こまけぇ事はいいんだよ」

 

全然細かくないと思うけど

 

雄二「あぁ、忘れるところだった。コイツを渡すの」

 

伯父は戸棚から二枚の五線譜を取り出した

 

五線譜に書かれていた曲は・・・

 

雄二「こいつは言わなくても分かるな?」

 

この曲はよく母さんが聴かせてくれた曲

 

雄二「俺が持っていても意味がねぇからよ。お前が持っていた方が美智子も喜ぶだろう。それとこれはおまけだ」

 

今度少し分厚い本が出てきた。題名は「初心者でも分かるピアノの引き方」

 

雄二「時間が掛かてもいいから、1回だけお前の手でこれを奏でてくれないか?」

 

これを僕が・・・

 

とにかく鍵盤の押し方はつぐみさんに・・・いや、これはこの前迷惑かけてお返しの為に秘密にしておこう

 

雄二「ふむ、やっぱりアイツみたいに美味しくないな」

 

伯父は顔を顰めた

 

『今度、お店の方にきてくれたら美味しいコーヒーを淹れるよ』

 

雄二「楽しみにしとくよ。さて、そろそろ帰さないと羽沢に怒られそうだ。特に青葉って子がな」

 

青葉さんが?どうして・・・

 

雄二「うん?どうしてって顔をしているな。忘れていても仕方ないか。お前は小さかったからな…」

 

伯父は僕の顔を見て、何かを察していた

 

雄二「あの子は…」

 

伯父が何か言いかけたがインターホンが鳴りだした

 

伯父がのぞき窓から外を見ると――

 

雄二「お迎えが来たようだ。さぁ、今日はもう帰りな」

 

伯父の家を出てみると青葉さん一人だけここに来ていた

 

モカ「しょーくん。迎えに来たよ~」

 

『青葉さんがどうしてここに』

 

モカ「雄二さんから連絡が来たからね。あたし~しょーくんのコーヒーが飲みたいな~」

 

相変わらずこの人はマイペースだなぁ~

 

『とびっきり美味しいの淹れますよ』

 

 

もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?

  • 羽丘
  • 花咲川
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