こえ無き声を届けたい   作:hirag

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5話

 

伯父から五線譜をもらってから二週間が経った。

 

僕はつぐみさん達に隠れてキーボードを弾きに来ていた

 

曲も比較的スローテンポで、指の動きにも慣れてきた。後はリズムを乱さないように…

 

ピピピピ・・・

 

休憩時間を知らせるタイマーがけたたましく鳴る

 

いいところだったのに…

 

一度フロントに戻って自販機で缶コーヒー買いソファーに座り込む

 

まりな「お疲れ様庄司くん。思い出の曲は弾けた?」

 

まりなさんが僕の隣に座り訊ねてきた。僕は首を横に振る

 

まりな「そっか・・・まぁ、練習すればいつか演奏できるよ」

 

カランカラン

 

来店を知らせるドアベルが鳴る

 

ひまり「こんにちはー!まりなさん!」

 

やってきたのは上原さんだった

 

まりな「いらっしゃい。あれ?今日ってAfterglowの予約してたっけ?」

ひまり「え!?一昨日に予約を入れていたのですけど・・・」

 

まりな「え⁉ちょっと確認するね!」

 

まりなさんは急いでカウンタ―に戻り、パソコンを操作している

 

ひまり「あれ?そういえば、庄司くんはどうしてここにいるの?」

 

えっと・・・なんて答えよう…唐突過ぎて言葉が思い浮かばない

 

蘭「ひまり?まだ時間かかりそうって・・・なんでアンタがいるの?」

巴「店にいないと思ったらこんなところに居たんだな」

 

美竹さん達もやってきた。どうしよう・・・

 

まりな「みんな!ごめん!予約入れ忘れていたみたい・・・」

ひまり「えー!!どうしよう・・・」

 

つぐみ「今日がダメなら明日にすればいいよ」

モカ「まりなさん。明日、何時ぐらい空いてますか?」

 

まりな「えっと・・・言いにくいんだけど・・・明後日まで予約が埋まってて・・・」

モカ「あちゃー・・・ひーちゃんやっちゃったね」

 

みんなが困っている。僕の予約時間はあと二時間ほどある

 

『まりなさん。僕の部屋を上原さん達に譲りたいのですが、できますか?』

 

まりな「できるけど・・・いいの?まだ二時間もあるけど・・・」

つぐみ「あれ?どうして庄司君がここにいるの?」

まりな「思い出の曲を練習しに来ていたんだよね?」

 

まりなさん・・・どうして言ってしまうのかな・・・

 

ひまり「思い出の曲?」

巴「それは後で聞こうぜ。せっかく庄司が譲ってくれたのに時間が無くなっちまう」

蘭「いいの?あんたが予約していたのに?」

 

『僕が予約したんです。どう使っても僕の自由でしょう』

 

つぐみ「そうかもしれないけど・・・」

巴「まぁまぁ、庄司がこう言っているんだし、言葉に甘えて使わもらえばいいじゃないか!」

 

みんなとスタジオに入り、自分が使っていたキーボードを部屋の隅に移動させた

 

ひまり「じゃあ、時間もあまりないし早く始めよう」

 

 

ー1時間後ー

 

♪♬♪♫~

 

モカ「ふぅ~そろそろ休憩しない?」

つぐみ「確かにちょっと休憩したほうがいいかもね」

 

巴「だな。それにアタシは気になることがあるんだが・・・」

蘭「あたしもずっと引っ掛かりことがある」

 

ひまり「私も・・・」

 

え?なに?なんでみんな僕の事を見ているの?

 

モカ「ねぇ、しょー君どんな曲弾いていたの?」

 

『昔、母が聞かせてくれた曲です。まだまだ全然弾けませんが』

 

蘭「ちょっと・・・聞いてみたいかも」

ひまり「私も!」

 

『羽沢さんに比べて僕は下手だよ』

 

つぐみ「下手でも庄司くんが引く曲聞いてみたいかな?」

巴「ほら!弾いてみなよ!」

 

宇田川さんにキーボードまで誘導された

 

腹をくくり五線譜を置きキーボードにそっと指を置く

 

♪♪♬♪♫~

 

さっきと同じように指を運ばせる。しかし、視線のせいか上手く弾けない

 

チラッとみんなの方を見ていると美竹さんと宇田川さんは腕組みをしていて、羽沢さんと上原さんはハラハラしながら見ている。

 

だけど青葉さんが微かに口を動かしているように見えた

 

曲を弾き終え、一息つく

 

ひまり「この曲・・・どこかで聞いた覚えがあるんだけど・・・」

巴「う~んどこで聞いたんだっけ?つぐは知ってるか?」

 

つぐみ「私も何処かで聞いたことあるけど・・・曲名までは・・・」

 

蘭「聞いた感じだと子守歌みたいだけど・・・モカは何か知ってる?」

 

モカ「う~ん・・・聞いたことないかな~」

ひまり「ああ!もうこんな時間!急いで片づけないと」

 

巴「もうそんな時間か。あんまり時間がなかったけど庄司が予約してくれていて助かったぜ」

モカ「ひーちゃんは今度はしっかり予約しておいて~」

 

ひまり「う~返す言葉がないです・・・」

蘭「じゃあ、あたしと庄司は予約入れてくる」

 

つぐみ「うん。掃除の方は私たちで済ませておくよ」

 

僕と美竹さんはスタジオを出て、次の予約をするためにカウンターに向かう

 

まりな「お疲れ様!どうかしたの?」

 

蘭「まりなさん。予約を入れたいのですがどの日が空いていますか?」

 

まりな「ちょっとまってね・・・あ、ちょうど明後日の5時の予約が取り消しになったからその時間帯だ空いているね」

 

蘭「じゃあ、その時間帯お願いします。あんたは?」

 

予約が埋まっているのならまた空いている日にすればいいし、急いでいるわけでもない。僕は美竹さんとまりなさんに予約をしないことを伝えた

 

まりな「OK!しっかり予約入れたからね」

蘭「ありがとうございます」

 

まりなさんに頭を下げ、スタジオに戻ろうとしていたが・・・

 

蘭「ちょっとこっちに来てくれる?」

 

僕は頷き、美竹さんの後ろに付いて行きソファーに座った

 

蘭「あんた、最近あの男の人の所に行っているけど大丈夫なの?」

 

あの男?伯父の事を言っているのだろう。確かにあの日以降たびたび伯父さんに会いに行っている

 

蘭「唯一残された親族って言うのは分かるけど・・・あの人あまりいい気がしなんだけど」

 

確かに伯父さんの見た目は怪しいけど・・・みんなそんな風に思っているのかな

 

『怪しいですがいまは頼れる身内です。心配いりません』

 

蘭「それならいいけど・・・」

ひまり「二人ともー」

 

巴「そろそろ帰ろうぜ」

 

美竹さんと会話をしていると片づけを終えたみんながスタジオから出てきた

______________________

 

つぐみ「じゃあ、みんなまた明日ね」

巴「また、学校でな。庄司」

 

羽沢珈琲店の手前の十字路でみんなそれぞれ帰路につく

 

そして僕は来た道を引き返そうとする

 

つぐみ「今日も伯父さんの所に行くんだね?遅くなるようだったら連絡入れてね」

 

つぐみさんが家に入るのを見届けて伯父さんの家に向かう・・・その途中で

 

「しょー君~」

 

何処からか声が聞こえてきた。見渡してみるが僕を呼ぶらしき人が見当たらないけど・・・脇道から手招きをする手だけが見えた。不思議に思いその方向に足を進める

 

脇道に差し掛かった瞬間腕を引っ張られた

 

声の正体・・・腕を引っ張ってきたのは青葉さんだった

 

モカ「えへへ~びっくりした?」

 

ビックリしすぎて固まってしまっていた

 

モカ「今から伯父さんの所に行くんだよね。あたしも一緒に行ってもいいかな?」

 

『伯父さんの所行っても、今日の出来事を伝えるだけですよ』

 

モカ「いいよ。ほら、早くしないと日が暮れちゃうよ」

 

青葉さんに腕を引かれたまま、伯父さん家に向かった

 

______________________

 

雄二「そうか・・・等々バレちまったか。まぁ、隠し事はあまりよくないし仕方ない」

 

僕たちの話を聞きながら、伯父さんは苦いコーヒーを注いていた

 

雄二「それでモカちゃんは演奏を聴いてどう思った?」

モカ「中々様になっていたよ。それに・・・」

 

雄二「それに?」

モカ「ううん…何でもないです~う~ん・・・このコーヒー美味しくないね~」

 

青葉さんが誤魔化すように伯父さんの淹れてくれたコーヒーの感想を述べる

 

驚いた様子の伯父さんが慌ててカップを確認する

 

雄二「おっと!俺のと間違えたようだ!すまねぇ・・・っておい!庄司!何してんだよ!」

 

試しに伯父のコーヒーを飲んでみたが、なんだろう…すごく甘い。甘すぎてじゃりじゃりしてる

 

モカ「雄二さん。もしかして甘党ですか?」

雄二「あはは・・・お、おっと!もうこんな時間だ!ささ、もう帰りなさい」

 

伯父さんは少しはにかんだが、僕たちに帰るように促してきた

 

時計を見てみるともう17時を過ぎていた

 

モカ「そうだね。そろそろ帰ろうか。しょー君」

______________________

 

青葉さんと二人夕暮れを背に歩く。もうすぐ羽沢珈琲店の近くにきた

 

モカ「いのちの名前」

 

青葉さんが足を止め振り返ると同時に言葉を漏らした

 

モカ「さっきしょー君の弾いていた曲は『いのちの名前』だよね」

 

確かに僕が引いた曲は「いのちの名前」どうして青葉さんがこの曲の名前をしているんだろう

 

『どうしてこの曲の名前を?』

 

モカ「どうしてでしょ~?それより、来月の文化祭に何しようね~」

 

青葉さんに誤魔化された。結局その後、お店の前で文化祭の話をするだけで曲の事は分からず終いだった

もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?

  • 羽丘
  • 花咲川
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