酒井「笹野くん朝食の時間ですよ」
いつも通り…決まった時間にご飯を食べ、決まった時間にリハビリに向かうはずだった…だが今日は違ていた
珍しく冨田医師が僕のところに来ていた
冨田医師「笹野くん、いいことと悪いことがある…落ち着いて聞いてね」
コクリ
冨田医師「まずいいことは、リハビリも順調だからいつでも退院出来るよ」
良かった。多少ふらつくこともあるけど、なんとかなったみたい
冨田医師「悪い話はこの前、君に教えてもらった住所に行ったけど…」
冨田医師が言葉を詰まらせた。家に何かあったのかな?
冨田医師「売却物件になっていたよ。つまり…
家が無くなった…唐突な出来事で何も考えられなかった
冨田医師「これから君はどうする?このままだと孤児院に行くことになるよ…それが嫌なら一応当てがいるけど…まぁ、あと一週間…ゆっくり考えなさい」
冨田医師はそう言い残し去っていった…
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翌日
昼食を食べた後、僕はボーっとしていた。
家が無くなったってことは、お父さんはどうなったんだろう?
それに…あれはどうなったんだろう?
孤児院はなんか嫌だし…かと言って先生にこれ以上迷惑をかけるわけには……
冨田医師「やぁ、笹野くん いま大丈夫かな?」
冨田医師が訪ねてきた。どうかしたのだろうか
冨田医師「君を引き取りたい人が会いに来たんだけどいいかな?」
コクリ
冨田医師「大丈夫だ。中に入ってくれ」
冨田医師の口調が変わった。それにしても見つかるのが速いような……
⁇「久しぶり、笹野君」
そこにはガタイがいい男性が立っていた。
冨田医師「この人は羽沢、僕の高校時代からの友人だよ」
はざわ……?最近聞いた名前だ。でも、あの子とは苗字が同じなのかもしれない
羽沢「前に君のお母さん…美智子(みちこ)さんとは幼馴染で小さい頃よく会いに来てくれたけど覚えているかな?」
この人はお母さんの事を知っているみたいだけど記憶にない……
冨田医師「こいつは君のお母さんに告白したけど、振られたんだよな」
羽沢「あの話は堀り返すな!それより、君の話を娘や冨田から聞いた…災難だったね」
怪しい···本当にお母さんのことを知っているのかな?
そうだ!試してみよう。スケッチブックとペンを手に取り、文字を書き込む
『お母さんの口癖は?』
本当にお母さんのことを知っているなら分かるはず……
羽沢父「美智子の口癖? 確か…『悪い事の後には良い事がある』 だったっけ?」
昔よくお母さんが落ち込んでいるときに言っていた口癖だ。どうやら本当にお母さんの事を知っているみたいだ……この人は信用できる
冨田医師「本題に入ったらどうだ?」
羽沢父「そうだな、庄司君…家に来ないか?」
え⁉ この人は何言っているだろう?
羽沢父「君のお父さん…正明(まさあき)の事は良く知っている、今頃君を探し回っているだろう。それにもしものことがあっても俺が君を守ろう」
確かに
『僕を殺しに来るかもしれないのですよ?』
そう。僕が恐れていることは、僕がいることで羽沢さんに迷惑がかかること···
羽沢父「関係ないさ、さっきも言ったが何があっても君を守り通すよ」
羽沢さんが手をさし伸ばしてきた。
不思議な感じ。
さっきまで怪しい人だと思っていたのにいまはそう感じない、それどころかむしろ安心する。
羽沢父「これからよろしく庄司くん。いや、庄司」
さし伸ばされた手に僕はそっと手を置いた。
よろしくお願いします――羽沢さん
もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?
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羽丘
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花咲川