羽沢家に引き取られて1日が経った。つぐみさんは学校に行き、お義父さんとお義母さんはお店の方にいる。
僕は部屋にあるベットの上で横になっていた。
暇だ…ただただ暇だ…
このままでいいのかな?ただ、この家で何もせず暮らしていくのは気が引ける…
せめて何か手伝えることはないか聞きに行ってみよう…
~羽沢珈琲店~
お店に降りてみると、お客さんがそこそこ入っていた。
厨房に向かいお義父さんに聞いてみた。
『何か手伝うことありませんか?』
羽沢父「手伝うことねぇ~う~ん」
羽沢母「ちょうどお客さんの注文も区切り着いたし、コーヒーの淹れ方を教えたら?」
羽沢父「そうだな!良し、じゃあ早速やるか」
コーヒーのマグカップを並べ、お義父さんの指示を待つ
羽沢父「よし、まずは豆を挽く工程から行こうか」
専用の器具にコーヒー豆を入れ挽いていく
思った以上に難くて動かない
羽沢父「思った以上に力がいるだろう?」
コクリ
羽沢母「美智子も最初は苦戦していたわね」
『お母さんもやっていたのですか?』
羽沢母「えぇ、美智子は元々この家の近くに住んでいてよく手伝いに来てくれていたわ」
お母さんもここで働いていたんだ。初めて知った
羽沢父「ほら、手が止まっているぞ」
お義父さんに指摘され、再び豆を挽き始める。これは大変だ
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~つぐみside~
まさか、庄司くんが家族になるなんてビックリしたな
つぐみ「は~」
蘭「つぐみ、どうかしたの?」
つぐみ「え⁉」
知らない間にため息をついていたみたい
モカ「つぐがため息とは珍しいですな~」
巴「どうかしたのか?」
ひまり「悩みがあるの?」
つぐみ「ううん、なんでもないよ」
庄司くんが家に住んでいる なんて言い出せないよ
巴「そうか、それならいいだが…」
蘭「それより、今日はどうする?」
モカ「しょ~くんのところは別にいいんじゃない?」
巴「だな、偶にはゆっくりしてもらった方がいいだろうし」
そっか。まだみんな、庄司くんが退院したこと知らないんだ
ひまり「あ、それなら久しぶりにつぐのところ行かない?」
つぐみ「え⁉」
モカ「いいですな~」
蘭「悪くないね」
巴「よし、決まりだな」
ど、どうしよう…庄司くんがいるなんて益々言いにくくなったよ
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~庄司side~
羽沢父「もう少しゆっくり全体的に真ん中から外側に注ぐこと」
豆を挽き終え、今度はすりつぶした豆にお湯を注いでいた
思っていたよりコーヒーを入れるって難しんだな
羽沢母「じゃあ、次は風味を出すために少し多めに注いでみて」
指示道理、少し多めに注ぐ。すると中央に小さな円が出来てきた。見ているだけでも面白いな~
羽沢母「ストップ!膨らんだのが収まるのまで少し待って」
ケトルを元の位置に戻し、少し待つ。心なしかコーヒーのいい香りが漂ってきた
羽沢父「そろそろかな?中央がくぼみ、表面の泡の層が崩れないうちにさっきと同様に注ぐ」
お湯を注ぐとさっきとは違い白い泡が立ってきた
羽沢父「よし、そんなもんだな。ドリッパーを外してカップに注ごうか」
ドリッパーを外し、温めておいたコーヒーカップに注ぐ、コーヒーのいい香りが店全体に広がる。
そこでお義母さんがタイマーを止める
羽沢母「3分30秒…まぁまぁの時間ね」
羽沢父「そうだな。でも、初めてにしてはいい時間だな」
何の事だろう?首を傾げていると――
羽沢母「コーヒーを入れる時間よ。大体は2分半から3分までがいいのよ」
羽沢父「このまま練習すれば、うまいこと行くだろう。よし、庄司はしばらくの間コーヒーの練習をしなさい」
つぐみ「ただいま」
つぐみさんが帰ってきたようだ。時間を見るともう15時半だった
羽沢父「早速だな。ほら行ってこい」
叔父さんに背中を押されて、厨房を出る。すると――
蘭「え⁉」
モカ「なになに?おぉ~」
巴「な、なんで庄司が…」
ひまり「此処にいるの⁉」
美竹さん達は驚いている。どうやらつぐみさんは僕がここにいることを伝えていなかったようだ
つぐみ「庄司くん⁉その格好は…」
僕の服装は部屋着に羽沢珈琲店のエプロンを付けている状態
羽沢父「庄司がどうしても手伝いたいって言ってな」
つぐみ「そうなんだ」
蘭「それより、どうして庄司がここにいるの?」
巴「そうだ!どうゆうことなんだ?」
つぐみ「えっと…」
羽沢父「俺が説明するよ」
つぐみさんにはまだ詳しいことも話していないから説明できないよね
5分後~
ひまり「そういう事だったのですね…」
モカ「ちなみにしょーくんのお母さんは…」
『一年前の事故で亡くなりました』
つぐみ「だから、お父さんは庄司くんを引き取っただね?」
羽沢父「あぁ、この子は今まで辛いことがあり過ぎた。だからその分幸せにしてあげたいんだ。だからみんなこの子と仲良くしてくれないか?」
蘭「大丈夫ですよ…庄司はもう友達ですから」
巴「蘭の言う通りですよ。庄司はもうあたし達の大切な友達ですから」
友達――懐かしい響き。僕には友達と呼べる人が少なかった
羽沢父「良かったな!庄司!」
あの地獄のような生活から一ヶ月、あの生活が嘘のようだ。
今の僕には本当の家族と友達がいる。この大切な二つを失わないようにしないと···
『さぁ、ご注文は?』
蘭「あたしはコーヒー…ブラックで」
ひまり「私はコーヒーとパンケーキ」
モカ「あたしもひ―ちゃんと同じので~」
巴「アタシもコーヒーで」
つぐみ「すぐ用意するね…って…え⁉庄司くん?」
つぐみさんを椅子に座らせる
つぐみさんは帰ってきたばっかりだ。さすがに無理させるわけにはいかない
半年ほど前に倒れたって聞いたし、また倒れたら大変だ
蘭「座っていろってことじゃない?」
コクリ
つぐみ「でも…」
巴「まぁ、折角だから言葉に甘えればいいじゃないか」
つぐみ「じゃあ、お願いするね」
厨房に戻り、先ほどの手順を思い出し、手を動かす
僕は昔から覚えることが得意だ。特に体を動かすことについてだけど……
仕上げにカップにコーヒーを注ぐ。
羽沢母「3分ジャスト…すごいわね。うん!さっきより上手になっているみたいね。じゃあ、あの子たちに出してきなさい」
羽沢父「運べるか?」
コクリ
羽沢母「あまり無理しないでね」
トレーにコーヒーカップ5つ、パンケーキ2つ乗せて運ぶ
みんながいるテーブルに近づくと宇田川さんとつぐみさんがコーヒーカップとパンケーキを取り並べ始めた
つぐみ「乗せ過ぎだよ」
巴「ただでさえ病み上がりなんだから無理はするな」
またみんなに心配をかけてしまったようだ。それより
『ありがとうございます。コーヒーどうですか?』
蘭「うん、悪くないね」
モカ「もしかしてしょーくんが入れたの~」
『そうです、初めての淹れてみました』
ひまり「全く気が付かなかったよ」
つぐみ「うん!香りもしっかり出ているし、美味しいよ」
上手くいったようだ。よし、この調子で頑張るぞ
もしも主人公(庄司)が学校に通うなら?
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羽丘
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花咲川