雲居の空   作:くじぃらぁす

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あなた達の笑顔を守りたい

────時間の流れは早く、あの日から早くも一年が過ぎていた。

忘れることなんてできない、でも今は二人の感謝を素直に受け止めることができている。

真菰さんにはこの一年、たくさん助けてもらった。あの時も真菰さんがいてくれたから乗り越えることができた。

 

「夜去、今日の任務終わったから泊まる所にいこっか」

あれからは二人で任務を行ない、真菰さんが鬼の首を斬り僕はその手助けをしている。

この一年でたくさんの鬼に会い、倒してきた。

錆兎さんと義勇さんも同じように倒し、つい先日下弦の鬼を倒して柱になったと聞いた。

やはり二人はどんどん先に行く。背中を追いかけて、追いかけて、並んだと思ってもまた離される。

 

「ついた〜」

藤の花の家紋の家には泊まらせてもらうことになった。

鬼殺隊員の人とはよく一緒になることがある。そんな時、真菰さんは誰とでも仲良くなることができるのですごいと思う。

玄関に行くと履物が置かれていた、もう先に隊士の人がいるんだと思う。真菰さんはとても嬉しそうだ。

その隊士の人とは寝室が別だったこともあり、なかなか顔を合わすことができない。

そしてお風呂に入り、晩ご飯の時間まで真菰さんとお話をしたりしていた。

 

「ご飯の準備ができました」

二人で、ご飯を準備してくれている部屋に急いだ。

 

「仲良くなれるかなー。女の子だったら嬉しいな」

真菰さんはどんな人とでも仲良くなれるから大丈夫だと思うけど。

仲良くなった男の人は、全員真菰さんを好きになっているんだと思う、だから僕はいつもその人達に押しのけられる。

僕は嬉しい、真菰さんが男女関係なくみんなから好かれていることが。

 

「大丈夫ですよl仲良くなれます」

真菰さんが障子に手を開けようとした時、聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた。

 

「しのぶ、隊士の方とは仲良くしないとダメよ」

 

「別にいいでしょ、姉さん。私は姉さんだけいればいいの」

 

「あらあら、可愛いこと言って」

 

「頭を、撫でないで!」

そして中からおしとやかな笑い声が聞こえてきた。

この人達といる時の姉さん達は、どこか嬉しそうで楽しそうだった。

この障子を開けると二人に会えるのかな、普通に接することができるだろうか。

気付けば、障子にかけている真菰さんの手を握っていた。

 

「どうしたの夜去??

緊張してる珍しいね」

心を落ち着かせ、真菰さんと一緒に障子を開けた。

そこに蝶の髪飾りをつけた二人はいた。とても優しかった二人笑顔がとても似合う二人。

ずっと会いたかった、カナエさん、しのぶさん。

溢れ出しそうな涙を堪え二人に近づいていく。

 

 

真菰さんが真っ先に二人に近寄り挨拶をしている、名前を名乗り、階級を言った。

カナエさんが柱というのを聞き真菰さんがすごく驚いている。

僕の階級は己、真菰さんは丁になっている。

しのぶさんは僕と同じ歳なのに、僕たちより階級が上の丙だ。

カナエさんと真菰さんは階級なんて関係なく、年齢が近いこともありすぐに意気投合してしまった。

ご飯を食べ終わると二人からは、少し大人の話をしてくるから子供の二人はここで待っててねとニコニコしながら言われた。

しのぶさんは額に青筋を立てていた、僕も少し子供扱いされたことが嫌だった。

二人はどうせ恋の話をしてくるんだと思う。真菰さんはそう言う話が好きで、カナエさんもまたそういう話が好きだったから。

 

「待って…

二人にしないでください」

つい口に出してしまった、怒った時のしのぶさんはとても怖いんだ。

しのぶさんを怒らせたと思い真菰さんとカナエさんは一目散で部屋から出て行った。

僕は怒った顔を見ることができるのが嬉しかった、あの日からしのぶさんは一度も怒らなくなった。

 

とても辛そうだった、どんどん遠くにいってしまうしのぶさんに手を差し伸べることができなかった。

僕が子供だったから。

胡蝶カナエになってしまった、胡蝶しのぶを失わせない。

絶対にあなたの大切なカナエさんを守る、貴方に二度とあんな思いをさせたくない。

 

「何、笑ってるの!」

 

「なんでも、ありません

そんなに怒ると老けてしまいます」

 

「なかなか言ってくれますね

私の方が階級は上ですけど」

 

「ごめんなさい」

素直に謝るとしのぶさんは笑った。

あなたのその笑顔が好きだった、時々見せてくれるその表情が。

 

 

「いつになったら戻るの!!!」

 

「二人のところに行きますか?」

女性二人が話しているところに行ってもいいんだろうか。

でもこのままじゃ本当にまずい、待たされることがしのぶさんは嫌いだから。

やっぱり行こう、しのぶさんの手をとり二人で歩きだした。

 

────

何故だろう、私は男性があまり好きではないが、夜去だけは違った。

同じ歳だと言われたが、そんな気が全くしない。

とても昔に会ったような、どこか懐かしい気がした。

私と姉さんは辛い思いをさせてしまったのだろうか、夜去は私たちを見て涙を堪えている気がしたから。

 

姉さんはいつも笑顔で誰にでも優しい、そんな姉さんと私は違い短気で可愛げなんて全くない。

だから他の隊士の人とも仲良くなることができない。

でも私はそれでもいいと思っている姉さんと蝶屋敷のみんながいてくれれば。

短気の私なんて受け入れてくれるのは、姉さんと蝶屋敷のみんなだけだと思った。

でも夜去は違った、怒った私にも姉さんのように接してくれる。

夜去となら、もしかすると友達というのになれるのかもしれないと思った。

 

夜去に手を握られた時、ものすごく恥ずかしかった。

男性に手を握られるなんて、嫌なものだとばかり思っていた。あまり嫌という感じはしない。

私はそこまで男性のことを毛嫌いしていたわけではなさそうだ。

でも姉さんが時々言っていた、好きな人に握られるのは違うのかもしれないねと。

 

────

しのぶさんとカナエさんが泊まる予定の部屋に二人はいる。

これは僕が開けてもいいものなのだろうか。

 

「しのぶさん、開けてくださいよ」

 

「一緒に開けませんか?怒られるなら二人での方がいいでしょう」

そんなことないと思うけど、だってカナエさんは優しいし、真菰さんも怒った時はあの時だけだけだから。

 

障子を開けると、布団の上に座り恋の話で盛り上がっている二人がいた。

 

「なんで、夜去来ちゃったの!」

「待ってって、言った!」

 

「結構、待ちましたよ」

 

「夜去、今日は一緒の部屋で寝てあげないからね」

それを聞いてるカナエさんはとても嬉しそうだった。

真菰さんとは同じ部屋で寝ないことになったので、僕は別の部屋に布団を敷いてもらった。

今まで寝るときには隣に真菰さんがいた、でも今日はいない。

落ち着かない、それに寝れない。

 

 

「全然、寝れない…縁側で暖かいお茶でも飲もう」

暖かいお茶を入れて、縁側に向かうと長い髪を蝶の髪留めで留めている女性がお月様を見ていた。

あの日もこんな感じだった、蝶屋敷に泊まった時なかなか寝付けなかったので縁側に行くとカナエさんがいた。

その時にカナエさんの想いと、夢を聞いたんだ。

 

「こんばんは、夜去君

真菰さんがいないから寝られないんですか??」

 

「私が一緒に寝てあげましょうか?」

真菰さんがいないと寝れないということは認めたくない、カナエさんには満面の笑みで問いかけられる。

そんなことをしたのなら僕に明日は来ないだろう。

 

「大丈夫です、しのぶさんに…」

口に出すだけで怖くなってきた、やめておこう。

少しの沈黙が続いた後、カナエさんが口を開いた。

 

「夜去君になら話してもよさそうな気がします

不思議です、今日初めて会ったのに」

初めてカナエさんから、その想い、夢を聞いた時は意味がわからなかった。

何故鬼に寄り添ってあげないといけないのか、なんで鬼と仲良くなりたいと思っているのか。

でも今ならわかる。

 

「カナエさん、僕から少しだけいいですか?」

カナエさんはなかなか話せずにいる、鬼殺隊、それに柱がそんな夢を口にしたらなんて思われるかは目に見えている。

僕にも夢を否定されると思っているんだと思う。

 

「はい…いいですよ」

 

「僕はある人に言われました

鬼も元は人間、だから鬼にも寄り添ってあげてって」

その言葉を言われるまでは、鬼を一方的に恨み鬼の気持ちなんて考えたことなんてなかった。

カナエさんに鬼と仲良くなりたいと言われた時、僕はなれますとは言えなかった言いたくなかった。

でも今は違う、その言葉はすぐにでも返せます。

 

「カナエさん、優しい心を持った鬼はいます

いつの日か夢は叶います」

優しい心を持った鬼に僕は二度も会った。

いつの日かを迎えてもらうためにも絶対に助ける。

前はお別れなんてできなかった、今度はお別れなんてしなくてもいいように。

 

「私の夢を知っているんですか?」

 

「カナエさんにとても似た人を知ってます……」

「その人はとても笑顔が似合う人で、誰にでも優しい人でした

お花のような人だったんです」

 

「鬼の気持ちににまで寄り添ってあげられる誰よりも優しい人で、強い人でした。

僕もその人のようになりたいと思っています」

憧れた、カナエさんのように相手の気持ちによりそってあげられるようになりたいと今でも思っている。

 

「その人は、偉大な人ですね

私もそんな人になりたいな」

もうなってるんです、それはカナエさんだから。

涙を流しながら、月を見上げている横顔はとても綺麗だった。

顔が熱くなったこともあり、僕は下を向いた。

 

────

夜去君には全て話してしまいそうだ。

何故かはわからない、でもいつかも話したことがあるようなそんな気がしたからかもしれない。

でもあの言葉を口に出すことはなかなかできない。柱の私がそんなことを言ったなら失望されると思ったから。

私は異常だと思う、鬼に大切な家族を殺されたのに仲良くしたいと思う人はいないだろう。

誰も認めてくれなかった、妹であるしのぶにさえ怒られる。

でも夜去君は違った。

 

初めてだった、優しい心を持った鬼がいるといってくれた人は。

そして私の夢は叶うと言ってくれた、私の夢を知っている理由のが不思議だ。

でも今は考えることができなかった、初めて認めてくれる人がいて嬉しいという思いで一杯だった

 

落ち着くとやはり夢を知ってるのが気になり聞いてしまった。

私に似ている人を知っているからだと言ってくれた、その人の話をしている夜去君は嬉しそうだった。

私も夜去君の憧れの存在になりたいな。

 

 

 

 

 




きたああああ、ヒロイン人気の胡蝶姉妹。

日常回を少し書いてもいいですか?三人との日常もあります

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