雲居の空   作:くじぃらぁす

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日日是好日

カナエさんごめん、もう少し早く見つけることができたなら辛い想いはさせなくて済んだ。

入夜さんに、時の呼吸の二つの型を教えてもらっていて良かった。

あの型がないと、カナエさんをまた失っていた、使ったことに後悔は全くない。

 

「君が柱を守る柱に?面白いこと言うね」

童磨が笑っている、笑われて当然だ。

柱の皆さんに追いつけるのはいつなんだろう、そして隣に並んで戦える日は来るんだろうかと思う。

でも一度決めたら、絶対に諦めない。

(夜去、一度決めたらどんなことがあっても諦めないで、途中で逃げ出したり、後ろを向くこと中途半端なことは許さないわよ)

大切な姉さん達と約束したんだ。

 

「夢は人を変えます、貴方に夢はないんですか?」

 

「ないなぁ、夢なんて俺はいらないかな」

その言葉にとても腹が立った。夢が持ちたくても持てない、わざと持たない人たちを知っている。

先のない未来に二人は夢なんて持たないと決めていたんだ。

未来の話を聞きたかった。

 

「夢を持ちたくても、持てなかった人もいます

未来に自分たちはいないから、生きられないから」

 

「だったら、鬼になったら?ずっと生きていられるよ」

なれるわけがない、自分の親が鬼に殺されたんだから。

二人は何があっても鬼になんてならない。

もういい、この鬼と話すのは疲れる。

 

「早く殺しに来ないと朝になりますよ?」

 

「そんなに、救済して欲しいならしてあげるよ」

 

 

「血鬼術 蓮葉氷」

この蓮の花の氷に触ったら、触れた場所が凍結する。

童磨は確かに動きが速い。でも時の呼吸を使った僕から見たら遅い。

 

「時の呼吸・二ノ型 朝明の風」

氷がカナエさんに当たらないように‘斬る。

 

「そんなのしかできないの?君弱いよ。カナエさんの方が強いし、かっこいい」

童磨の顔から笑顔が消えた。君にも怒りという感情があったのかな、それなら良かったね

 

「すごく癪に触るよ君は。名前を聞かせてよ、忘れないから」

 

「怒りの感情があったんだんですね

明月夜去」

 

「血鬼術 結晶ノ御子」

「血鬼術 冬ざれ氷柱」

「君は守ることができるかな?カナエちゃんを」

自分の分身を出して、そこから他の血鬼術も使うことができるのか。

絶対に守る、カナエさんにあれほどまで言わせたんだ。

連れて帰るんだ、しのぶさんの元に、蝶屋敷の皆さんの元に。

 

「時の呼吸・四ノ型 可惜夜」

周りにいる者の時間の流れを遅くさせる型

今、童磨は分身がたくさんいるから安心している。

童磨に斬りかかろうか悩む、人間の痛みを感じて欲しい。

分身から出されている、氷の柱を全部切り落とし、童磨の首を狙いに行く。

首に刀が当たり、静かな夜に嫌な音が響く。

 

「君はなんなんだ。どうやって、あれほどいた分身、氷柱を破壊した」

「それに今、僕の首まで迫っていた。全く見えなかった」

童磨の目でさえ追えない速さで動いている、ただそれだけのことだ。

僕は時の呼吸を使わないと追いつけない。でもカナエさんは普通の状態でこれをしていた。

やっぱりすごい弱くなんて絶対にない。

 

「君首が斬れないでしょ?今のでわかった」

「君は救済しなくてもいい。カナエちゃんだけは絶対に救済していくよ」

絶対にさせない、連れて帰るんだ、みんなのところへ、大切なあの場所へ。

童磨は笑っている、何か作戦があるのか。隙を見せるな、安心するな。

 

「これは、どうかな?」

「血鬼術 凍て曇」

この氷の中で目を開けていたら、眼球が凍ってしまう、それに肺も凍りつく。

カナエさんをもっと遠くに逃がさないと。

前が見えない、どこにいるかわからない。いくら周りの時間を遅くしても冷気だけは止められない。

肺が凍り始めている、息をするのが辛い。それでもこの痛みに今耐えられる、守りたい人がすぐ目の前にいるから。

 

「夜去、どこにいるの?」

聞こえたのは来てほしくなかった人、止めるって約束したのに。

今は二人と朝をここから遠くへ行かせないと。

声を発するのが辛くても真菰さんと朝に届くように、痛みを隠して叫ぶ。

 

「真菰さん僕は大丈夫です、カナエさんを遠くへ連れて行ってください」

前が霞んで見えなかったけど、遠くに離れていく気配が感じ取れた。

来てくれて良かったのかもしれない、真菰さん、朝ありがとう。

 

「辛いよね。肺が凍ってしまったら、息をするだけで辛いだろう。そこで倒れてな」

「もう一人、可愛い子が来たから。二人とも救済してあげよっ」

 

「なんで辛いのに立つの?」

守らないといけない人がいる、絶対に行かせられない。

二人の元へ向かう足を失ったとしても、見たい人の笑顔を見るための目が凍結してでも、大切な人達と繋ぐ手を失ったとしても。

それでも僕は守り抜く。

自分に誓い、未来の皆さんと約束をしたんだ。

 

「これで終わらしてあげるよ」

「血鬼術 枯園垂れ」

近接技を使う今しかない、ここで童磨を退かせる以外に助けられる道はない。

 

「時の呼吸・五ノ型 日日是好日」

斬った相手の部位に時間をかける型、時間をたくさんかける分寿命をたくさん使う。

朝までの残り時間をかける、それまで斬られた部分は再生しない。

少しでも人間の痛みを思い出してほしい。

そしてわかってほしい失う怖さ辛さを、それを背負って戦っている鬼殺隊がどれほど偉大なのか。

 

日輪刀を持っていた方の手に扇が当たった、氷始めているもう少しだけ動いてほしい。

扇を当てられながらも、何とか童磨の右腕を切り落とした。

今片腕だけではダメだ、ここで退かせないと二人の方へ行ってしまう。

 

もう片方の腕にも刃が入ったが斬れない、腕が凍り動かない使えなくなってもいい、だからあと少しだけ動いて。

扇が顔の前まで来たこの距離はもう避けられない、二人は遠くに逃げてくれただろうか。

扇が顔の前で止まり目の前には桃色の日輪刀がある、それはカナヲ姉さんからもらった日輪刀に何処か似ている。

 

そして童磨の左腕に食い込んでいた刀が自由になる。

一人では斬れない、でも仲間となら斬られた。

鬼は後ろに退いた、表顔には先程までの余裕はなく冷や汗すら流れている。

 

「なんで、再生しない。何をした」

「なぜ助けに来たの、死ぬかもしれないのに」

 

「大切な仲間だから」

カナヲ姉さんの言ってくれたように、仲間は助けに来てくれた。

仲間を信じていなかったのではない、ここに呼ぶことができなかったのは僕が自分を信じれていなかった。

また失ったらと思うと、怖くて怖くて仕方なかった。

よく夢を見る、僕が関わったことで生きていた人も全員いなくなる夢。

大切だった人は全員いなくなり、そして大きな屋敷で一人でいる夢だ。

 

「明月夜去、次会った時は必ず殺す」

鬼の言葉は全く怖くなかった。

 

「帰りましょう」

二人が笑っていることが奇跡のようだ。

真菰さんが冷えきった腕を温めてくれ、カナエさんはずっと涙を流しながら手を握ってくれているが感覚はない。

 

鬼殺隊員がたくさん走ってきている、まだ日h昇っていない。

早く童磨を退かせることができてよかった、この人達が殺されていたかもしれない。

カナエさんが見せていた涙を拭き、隊士の皆さんに指示を出している。

 

「カナエさんは強がりです」

 

「どうしたの、夜去?」

 

「秘密です」

 

「なに、なに!?気になるよ」

この話は先にしのぶさんに聞かせてあげないと、真菰さんにはまた今度だ。

 

「カナエちゃん、夜去と何があったの??

なんで、顔赤くなってるの!?」

やっぱり恥ずかしかったんだ。

 

息をするのが辛い、腕に感覚がない。痛みで今すぐにでも倒れそうだ。

しのぶさんは笑顔を見せてくれるだろうか。

早く会いたい、しのぶさんの本当の笑顔をもう一度見たい。

 




次回、しのぶさん視点。

日常回を少し書いてもいいですか?三人との日常もあります

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