翌日、咲夜姉さんのお葬式が行われ親しかった人達が来てくれた。
その日は、カナヲさんとアオイさんが作ってくれた夜ご飯をみんなで食べた。
これほど賑やかなのは久しぶりだ。僕はそれが嬉しくて気付けば笑っていた。
みんなも僕の笑った顔を見て安心したようだった。
「夜去ちょっと」
カナヲさんが呼んでいる、カナヲさんとアオイさんはよく僕の面倒を見てくれた。
しのぶさんと咲夜姉さん、カナエさんと輝夜姉さんが仲が良かったからだ。
二人は僕のことを弟のように思ってくれいる、僕もまた姉のように思っている。
「もしよかったら、蝶屋敷で一緒に暮らさない?」
カナヲさんとアオイさんは、僕が一人になったら呼ぼうと考えてくれていたらしい。
嬉しかった、この屋敷で一人でいることを考えるととても寂しい、でも僕は断ることにした。
「ありがとうございます。でもこの時屋敷を守らないと、姉さん達との思い出の場所だから」
「うん、夜去はそう言うと思った、でもアオイときよとすみとなほと毎日来るからご飯はみんなで食べよ」
僕はとてもその言葉が嬉しくて、笑みがこぼれた。
かわいいと言って頭を撫でられてすごく恥ずかしい、すぐにでも顔を隠したい。
カナヲさんとアオイさんはまた明日来るねと言ってその日は蝶屋敷に帰った。
その夜、義勇さん達から姉さん達が使っていた日輪刀と羽織を渡された。
鬼殺隊員はそれぞれが自分の日輪刀を持っている。でも姉さん達だけは違った。
輝夜姉さんは先代から受け継いだと言っていたし、咲夜姉さんは輝夜姉さんから受け継いでいた。
それと二人は刀を二つ持って任務に行っていた、だから一度聞いたことがある、なんでふたつ刀を持っているのと。
二人は言っていた、この日輪刀は大切な人を守るために抜くんだと。
僕はその日輪刀をぎゅっと抱きしめてその日は寝た。
目が覚めると和室に立っていて、ここはすぐに現実でないとわかった。
真ん中の机の上に木箱が置かれている以外に何もなく、木箱を開けると時の書と書かれた書物が入っていた。
僕はその書物を呼んで姉さん達が痣が出ていないのに衰弱した理由、日輪刀を二本持っていた理由、そして僕を継子にしてくれなかった理由がわかった。
「姉さん達は、僕に時の呼吸を使わさせないようにしていたんだね」
これを使ったらみんなを助けれるかもしれない、でも姉さんたちは教えなかった。僕に生きてほしいから。
その書物を読み終えると目が覚めてしまった。みんなは寝ていた、まだ日も登っていない。
履物を履き、姉たちの着ていた羽織と日輪刀を持ち、二人の姉が好きだった庭に植えられているヤドリギの木の下にきた。
姉さんたちの羽織は晴れた日の青空を連想させる。
花に花言葉があるように、木にも木言葉があり、ヤドリギの言葉は困難に打ち勝つだ。
「姉さんたちは僕には時の呼吸の才能がないと言ってたけど嘘だったんだね」
僕も昔は稽古をつけてもらっていた、でもある日いきなり言われた。才能がない時の呼吸を使うのは諦めてと。
僕がどれほど絶望したことか、みんなから与えてもらってばかりで僕は何も返せない、そう思ったから。
その日、初めて輝夜姉さんから本物の日輪刀を持ってみると言ってもらい持たせてもらった、するとその日輪刀の刃の部分は透明になり柄の部分しか見えなくなった。
それを見た二人から才能がないと言われたし、次の日から稽古していても関心すら示されなくなった。
でもそれは二人の姉の優しさで、僕には時の呼吸の才能があったんだ。
「みんなを助けたい、僕が戻ったところで助けられないかもしれない。でも過去に戻って未来を変える、みんなを助ける努力をしたいです」
「僕は悪いです、二人の願いを叶えさせなくするんだから」
姉さんたちが望んでいたように長生きや普通に生きていくことはできないかもしれない、でも幸せは長さでは決まらない誰といるか、誰と何をするかだと思う。
「夜去、夢はないの?夢を持つことは大事なことよ」
とよく言われた。僕は夢というのがあまりわからなかった、だから姉さんたちにはないのと聞くと二人は夢は持たないと言っていた。
今僕には夢ができたんだ。
姉さんたちが普通の夢を持つことができて、寿命のことなど誰も気にしなくてよくて、鬼殺隊のみんなが大切な人と笑い合っている未来で僕も一日一日を生きるという。
伝えたいことは全部伝えることができた。二人には届いていると思う、だっていつも近くにいると言ったから。
「夜去、一度決めたらどんなことがあっても諦めないで、途中で逃げ出したり、後ろを向くこと中途半端なことは許さないわよ」
「大丈夫あなたならみんなを助けられる、だって私たちの弟、明月夜去だもの」
「頑張って」
前のように姿は見えなかったけど、でも確かに二人はそこにいた。そして二人に背中を押された、けっして大きくない、細い手で。
この手で沢山の鬼と戦い、多くの人を助け、僕の心まで救ったんだ。改めて姉さんたちは偉大だと思った。
今、姉さんたちはどんな気持ちで送り出しているのか考えると胸が痛い。だから決めた、どんなことがあってもここに、戻ってこようと。
「行ってきます」
日は昇り始めて、戻るとみんな起きて朝食の準備をしていたので僕も手伝った。
食べている時に、多分この事を知っているであろう義勇さん実弥さん天元さんに後でお話しがありますと伝えた。
三人は今じゃダメなのかと言っていたが、炭治郎さんたちは多分このことを知らない。だから心配をかけさせたくないから、後でお願いしますと言った。
炭治郎さんたちは少し戸惑っていたと思う。
「どうしたんだ」
四人になり沈黙が続いている中、最初に声を出したのは天元さんだ。
「僕には時の呼吸・一の型 遡時というのが使えて時間を戻ることができるんですよね?」
姉さんたちでさえ使えなかった型がなんで僕に使えるかはわからない。それが使えたのは初代、時の呼吸の使い手だけみたいだ。
三人は度肝を抜かれたようだった。
僕はあの書物に書いてあることが事実であるということを改めて確信した。
姉さん達は僕にあの書物を見せないために、現実世界の書物を燃やしたらしい。
でもその書は写しで、本物は日輪刀の中にあったみたいだ。
「使えたとしてどうする」
実弥さんが低い声で聞いてきた。
「僕はみんなを助けれるなら助けたい。だから戻りたいです」
みんなを助けるなんて無理なことだと思う、戻れる時間も八年と書いてあった。
それより前に亡くなった人たちは助けられない、でも助けられる命は確かにあるはずだ。
「夜去、お前は時の呼吸が寿命を削って使う呼吸だということを知っているのか?その型を使ったら鬼の首は切れなくなるなるんだぞ。戻ったところで何ができる」
義勇さんから、いつにもなく流暢に言葉が発せられた。
その型を使って戻った時点で筋力が低下して鬼の首を切るほどの力はなくなる、でも鬼の首が切れなくとも勇敢に戦っていた人を僕は知っている。
僕も姉さん達のように寿命を削って時の呼吸を使えば、鬼の首は切れなくともみんなを守ることができるかもしれない。
「それでも僕は行きたい。痣のことなんて誰も気にしなくてよくて、大切な人と鬼のいない平和な世界で笑って生きていてほしい」
義勇さん実弥さん炭治郎さんは痣のせいで夢を持つことを諦めている。天元さんは自分が戦えなかったことを悔いている。
大切な人を失いそれでも懸命に生きている人だってたくさんいる。
大切な人と未来を生きてほしい、今日が終わって明日が来てそんな日々を送ってもらいたい。
しばらく沈黙が続いた、そして部屋の外で話を聞いていた炭治郎さん達が飛び込んできた。
その目には、涙が浮かんでいて何も言わずに僕を抱きしめた。すごく暖かくて太陽のような人だ。
そんな人が家族を殺されて、自分も寿命のせいで大切な人をおいていかないといけない、そんなことあっていいわけないじゃないか。
「夜去は明月たちの弟だ、あいつらと同じように俺たちがどれほど止めても自分の決めた道は進み続けるだろ」
「行け、俺は止めない。派手に送り出してやる」
天元さんはいつもそうだ、僕の背中を真っ先に押してくれる。
「そうだな、あの二人には止めて欲しいと頼まれた。でもお前たちが一番わかっているだろ、夜去を止められないことなんて」
「男に生まれたなら、前だけを向いて進むんだ、そしてどんな苦しみにも耐えろ」
また言われた、でもこの言葉が僕に勇気をくれる
「行くのは許す。でも俺たちと約束しろ、必ず戻ってくると」
この約束は絶対に守らなくてはならないと思った。そして指切りを実弥さんとした。
それから時の呼吸は、上弦の鬼以外には使わないことを約束した。
まだこの事を伝えないといけない人がいるんじゃないと炭治郎さんに言われた。
僕のことを一番心配してくれている人で、姉のような人だ。
絶対すごく反対されると思う、でも精一杯の気持ちを伝えよう。
みんなに背中を押されて、僕は蝶屋敷に走った。
────
「大きくなったな、夜去は」
「そうだな宇髄、初めて会った時は、喋らないし笑わなかった、ずっと明月たちの後ろに隠れていた。」
「大きくもなったし、強くなったよあいつは」
「宇髄に不死川、夜去はあまり大きくないと思うが」
「富岡さん、身長の話じゃないと思いますけど」
「じゃあ、なんのことだ炭治郎」
炭治郎、善逸はもちろんのこと、伊之助までもが呆れてしまった。
僕もヒロインというのを入れたくなりました。誰が人気あるのかなー?
-
しのぶさん
-
カナエさん
-
真菰ちゃん
-
カナヲさん
-
蜜璃さん