今日も木を切りに行かないといけない、俺と無一郎の二人が生きていくために。
木を切るのはとてもしんどい、でも生きていくには働かないといけない。
夜去さんを一人にしていくのは申し訳ないけど行かないといけない、夜ごはんは少しでも良い物を食べてもらいたいから。
「夜去さん、俺と無一郎は木を切りに行ってきます。小さい家ですがゆっくりしていてください」
「僕も二人と一緒に行っていいですか?」
「いいですけど、腕は大丈夫なんですか?」
「ほら、もうこんなに動きますよ」
無理しなくていいのに、痛いと言っていいのに、夜去さんは相手のことを一番に考えている。
父さんのようだ、俺も本当は父さんに憧れていた、無一郎と同じように。
でも無一郎を守るために、母さんや父さんの事を悪く言った、ごめんなさい。
「行きましょう、どっちですか??」
父さんも俺と無一郎の手をこんな風に繋いで連れて行ってくれていた。
今からでも俺は父さんのようになれますか?母さんのように優しくなれますか?
無一郎は人のために無限の力をだせる、兄として弟が誇らしい。俺は無一郎のようにはなれないとわかっている。
でも俺も憧れてもいいんだろうか沢山の人を助けるということに。
「夜去、逆だよ。こっち、こっち」
木を切る場所に着くと、なぜか夜去さんも一緒に木を切ることになった。
腕が心配だ傷が開いてしまわないか、無一郎は夜去さんを見て笑っていた。
「全然切れませんよ。僕のだけなんか切れ味悪くないですか」
「二人で何かしましたか?」
「してませんよ、夜去さんの力がないんですよ……」
「有一郎さんは味方だと思ったのに!二人みたいに僕もしたいですよ」
「手伝いましょうか?」
「はい!よろしくお願いします」
三人で一つの木を一緒に切った。いつもは苦しくて、しんどいだけの時間が今日はとても楽しい。
こんな時間を過ごしたのはいつぶりだろう、母さんと父さんが生きていた時以来だ。
無一郎の笑顔を久しぶりに見た、やっぱり俺は無一郎のことがとても大切だ。
自分の命を失っても、何をしてでもお前を守りたいんだ。
無一郎と夜去さんが持ってきたご飯を食べながら笑っている光景を見て俺も嬉しくなった。
そこに俺はいなくてもいい、俺は二人の笑顔を見ているだけで幸せなんだ。
「有一郎さんも来て、一緒に食べようよ」
「俺はいけません、二人の元へは」
二人は眩しすぎる、俺が二人の横に立つことは許されない。
無一郎には守りたいという理由でもたくさんひどい事をしてきた、俺の事は嫌っているだろう。
「じゃあ、僕たちが行きますよ」
「有一郎さんが何に悩んでいるか聞かせてくれませんか?僕でよければですけど」
なんでここまで優しくしてくれるんですか夜去さんは。あまね様もそうだった、何度怒鳴っても、水をかけても通ってくれた。会えるならば謝りたい。
「無一郎は人を助けるために無限の力を出せるやつなんです。でも俺にはそんな力はないんです、俺はどうしたらいいんでしょうか?」
「兄さん、そんなことないよ」
そんなことあるんだ、俺は選ばれた人間ではない、でも無一郎は違う。多くの人を助けることができるすごいやつなんだ。
俺のことは気にしなくてもいいから。
「そんなことありませんよ」
「どういうことですか?」
「有一郎さんも、さっき無限の力を出していましたよ?」
俺がいつそんな力を出していた、そんなわけない俺は冷たいやつなんだ人を助けるために力なんて出せるはずがない。
「大切な弟を助けるために出していました。間違いありません、あの場で貴方が誰よりも強かった。選ばれた人間でなくてもいいんです」
「無一郎さんが自分を守れない時、有一郎さんが無一郎さんを守る、そうすれば二人は無敵ですよ」
夜去さんは胸に響く言葉をたくさん投げかけてくれる、夜去さん以外の人から言われたら信用できないような言葉でもこの人から放たれた言葉なら信じられる自分がいる。
俺が無一郎を守るために力を出せていたんだ、俺の進む道が見えてきた気がする。
「兄さん、二人で鬼殺隊に入ろうよ。二人ならできるよ、沢山の人を守ろうよ」
「考えが甘い!と今までは言っていたが、そうだな」
「二人で頑張ってみるか、昔のように」
父さんが生きていた時は重たい木を二人で協力して運んでいた。
でもそれをいつからか自分一人で運んでいた、昔は疲れなかったが今は疲れるのは協力していなかったからだ。
「僕も二人を守りますから。安心してください」
「夜去さんも守れるように頑張ります。木を切れない人は少し不安ですから」
「僕も夜去と兄さんを守れるように強くなる!」
「木を切れないのは……あれはなしです」
そんなに悔しかったのか、夜去さんは俺たちより手足が細いから仕方ないよ。
でもあの細い手足であんな力を出せるなんてやっぱりすごいんだろうな。
俺も貴方のようになりたい、憧れてしまった。貴方は俺の英雄だ。
「やっと笑った。もう悩みは大丈夫ですか?」
「もう大丈夫です。俺は夜去さんのようになりたい」
「僕も僕も。夜去みたいになりたい」
「照れてしまいます、僕よりすごい人なんて鬼殺隊にたくさんいますよ?」
「いいえ、貴方がいいんです」
他の誰でもない夜去さんのようになりたいんだ。困っている人を助けれる、相手の事を思いやることのできる人に。
「そうですか、なら僕は二人を応援します」
この人が沢山の人に好かれる理由がわかる。とてもかっこいい、顔だけでなく心まで。
そして相手の閉じてしまった心を開いて照らしてくれる太陽なんだ。
さっきの女性、そして蝶屋敷という所にいる女性の気持ちに夜去さんは気付いているのかな?
貴方たちはすごい人に恋をしましたね、太陽に恋をしてしまったんだ。
この人を好きになってしまうのはしょうがないことだと思う、恋愛感情ではないものの無一郎と俺も……
太陽は絶対に誰か一人のものにはならない、誰かがこの人と結ばれる日は来るのだろうか。
「夜去さんは、絶対にたくさんの人に好かれています。その中の二人に俺と無一郎も入っています」
「そうかな??二人からそう言ってもらえると嬉しいな」
やっぱり気付いていないんだ、この人は恋というものに疎いんだ、鈍感とも言える。
「夜去さんは恋を知った方がいいですよ」
「恋ぐらい僕も知ってますよ!一緒に街に出かけたり、ご飯を食べに行ったりするんです」
「知ってましたか、てっきり」
「僕も恋を……してみたいとは思います。でもできない、してはいけないんです」
どうして、そんな暗い顔をするんですか、貴方には明るい顔が似合うのに。
自分が女性から好かれていないと思っているのだろうか、絶対にそんなことはないのに。
「恋してはいけない人なんていませんよ!」
そんなに無理をして笑わないでほしい、何故できないかは言ってくれなかった。
何か隠していること、一人で抱え込んでいることがあるんだ。
いつか夜去さんの抱えている事を俺も一緒に抱えられるくらい強くなろう。
「日も落ちてきましたから、そろそろ戻りますか?」
今日は木を切ったお金で、食材を買いに行って夜去さんに美味しいものを食べてもらおうと思ったのに。
家にあるものではいつものようなご飯しか作れない。
「街に行って食材を買ってきます」
「いいですよ、二人と食事できたらそれでいいです」
「帰りましょう」
この歳になって男が手を繋ぐなんて恥ずかしいことなのかもしれない、でもこの人とは手を繋いでいたい。
無一郎も絶対に同じことを考えている。
一緒に夜ご飯を作った。質素なものだったけど、夜去さんは美味しいと言って食べてくれた。
三人で布団を敷いて一緒に寝た、今日はすごく楽しかった。今日という日は、俺の宝物だ。
「夜去さん、俺たち二人で鬼殺隊に入ります。いつか二人で会いに行くので待っていてください」
「はい、ずっと待ってます」
「夜去、またね。すぐに会いに行くから、また一緒にご飯食べよ」
「食べましょう、また一緒に」
「二人なら絶対に大丈夫です」
次から鬼滅の本編に行きます!!!
日常回を少し書いてもいいですか?三人との日常もあります
-
イーオ
-
ヨロシクナイ