雲居の空   作:くじぃらぁす

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夢幻泡影

有一郎さん、無一郎さんと会って半年が経った。二人は鬼殺隊に入ったかな、早く会いたいな。

炭治郎さんと禰豆子の家族が鬼に殺されてしまう日、そして禰豆子さんが鬼にされてしまう日がもうそこまで来ている。

二人から話は聞いていたが、どんな鬼に襲われたかは分からなかった。

人間を鬼にできるというのは鬼の中でも位が高い鬼だと思う。

僕一人じゃ守れる命も守れない。でも明日、僕の知っている人達はみんな任務がある。

真菰さんとしのぶさんとカナエさんは共同の任務が明日はある、下弦の鬼と同等の鬼と言っていたけど三人なら絶対に大丈夫だ。

三人以外に話せる人といえば、今はまだ二人しかいない。

錆兎さんと義勇さんに相談を聞いてもらうために、水屋敷に行くことにした。

 

 

「錆兎さん、義勇さんいますか?」

中から走ってくる音が聞こえる、そんなに急がなくてもいいのに。

僕を待たせないようにしてくれているんだと思う、二人は本当に優しい。

 

「どうした?泊まっていくか?」

 

「少し相談したいことがあって来ました。泊まりたいですけど、蝶屋敷の皆さんに帰って来いと…」

 

「夜去も大変だな。俺たちも夜去と一緒に少しは過ごしたい」

錆兎さんと義勇さんにそう思ってもらえているなら嬉しいです。

今度水屋敷で一週間ぐらい泊まりたいな、説得するのはとても大変だと思うけど頑張ろう。

 

「それで相談とはなんだ?真菰や胡蝶たちにも言ってないのか?」

 

「三人には言えませんでした。明日任務もありますし」

三人に心配をかけていつも通り戦えなかったら大変だ。

人はその時の心の持ちようで、強い相手に勝てることもあるし、また逆もまたありえる。

三人にはいつも通り任務に行って欲しい。

 

「俺たちが先か、勝ったな」

何に対しての勝ったなのだろう、蝶屋敷の皆さんと何か勝負でもしてるのかな。

 

「二人は明日、任務はありますか?」

 

「義勇と俺で明日は東の方に行かないといけない。合同の任務だ、鬼が最近多く出ているらしいから柱の俺たちが行く」

東の方なら炭治郎さんの家に来てもらえるかもしれない。

 

「明日、ある家族が襲われてしまうんです。僕は先に向かっているんで、錆兎さんと義勇さん来てくれませんか?

「お願いします、僕一人だと守れる命も守れない」

 

「夜去、成長したな。助けを求めることを、前までは絶対にしなかっただろう」

「わかった、二人で行く。それまで守れるか?」

今は仲間を信じている、自分を信じている、それを教えてくれたのは鬼殺隊の皆さんだ。

なぜ襲われると知っていると二人は聞いてこなかった、二人からしたら僕の話は信じることも難しいはずなのに。

 

「ありがとうございます!絶対に守ります」

二人にそう言われたんだ、絶対に守る。

 

「よく言った、ご飯食べていくか?」

何が出てくるかはもうわかる、絶対に鮭大根だ。

二人の作る鮭大根はとても美味しい、食べて行きたいな。

──

「どこいくの?女性のところ?」

 

「三人とも顔が怖いですよ。錆兎さんと義勇さんの所ですよ」

 

「お昼には絶対帰って来てね?お昼ご飯作って待ってるから」

 

「もし食べていかないか?って言われても」

 

「ダメ、戻って来て」

 

「はい…」

──

三人には俺たちが伝言を伝えておくから大丈夫だと言われた。

本当に大丈夫かな、帰って怒られないといいけど。

カナエさんもみんなには優しいけど僕にだけたまに怒る時あるからな。優しい人の怒った時が一番怖い。

しのぶさんは…考えないでおこう。

真菰さんはいつも怒られる時、守ってくれるから好きだ。夜寝る時、手を繋がないと機嫌が悪くなるけど。

 

「夜去、たまには水屋敷に来い。俺たちは胡蝶や真菰のようにはしないぞ?」

 

「どういうことですか??」

 

「まだ夜去には早いか。子供だもんな」

 

「二人もそう言うんですね。もう、いいですよ」

でもいいか、二人にこうして甘えることができるなら子供でも。

 

三人でご飯を食べてお昼寝をしていたら、夕方になっていた。

これは嫌な予感がする。蝶屋敷のみんなはご飯の支度をしてもうすぐ食べる時間だ。

絶対に怒られる、少しでも怒られない方法はないかな。

二人が一緒に来てくれれば少しは怒られなくて済むかも。

 

「錆兎さん、義勇さん」

 

「すまない、俺たちは今から用事がある」

え?嘘だよ、絶対用事ないよね。三人が怖いからだ、二人がいないと僕はどうなるの。

帰ろう、何かお土産でも買って。

 

 

蝶屋敷になかなかは入れない、前にもこんなことあった。

あの時は過去に戻りたいと伝える時だったな、あれからすごく時間が経った。

未来はどんな感じなんだろう、みんな元気かな。

待っててください、みんなを絶対に未来に連れていくから。

玄関の扉を音が鳴らないようにゆっくりと開け、履物を脱いでいた、

 

「お帰り、遅かったね?」

背筋が凍った、声にいつもの優しが感じられない。

三人とも無理に笑わないで、怒った顔の方がまだましだよ。

 

「ただいま、遅くなってごめんなさい」

 

「早く帰ってきてって言ったよね?私たちはとても心配なの、夜去はいつかいなくなってしまいそうで」

「私たちから見える場所にいてよ、側に蝶屋敷にずっといて、私たちから離れないで!」

「私たちが夜去の分も戦うから、任務にも行くから」

三人にこんな思いをさせていたのか、本当にごめんなさい。

でもそれはできない、僕にも守りたいものがたくさんあるから。

 

「本当にごめんなさい、辛い思いをさせてごめんなさい」

「でも、それはできません。三人にだけ、皆さんにだけ戦わせて自分だけ戦えないのはもう嫌なんだ」

「そんなに泣かないで、帰ってくるから絶対に」

 

「もう知らない、任務にでも何処へでも行けば」

僕は三人に嫌われてしまったのかな、それもそうか約束破ったんだもん。

これが喧嘩というものなのかな、謝りたい。今日の間には仲直りしたい、明日から離れ離れになってしまうから。

 

その日三人には話を聞いてもらうことができなかった。部屋の前まで行った時三人の泣いている声が聞こえた。

僕は心配ばかりかけてしまう、ごめんなさい。

 

「カナヲさん、アオイさん三人が戻ったらこれを渡しておいてくれませんか?」

昨日のお土産の中に、手紙を入れておいた。三人は今日の夜から任務なのでまだ寝ている。

 

「そういうのは自分で渡した方がいいですよ」

 

「渡したかったんですけど、少し仲違いしてしまいました」

帰ってきたら三人と仲直りして、たくさんお話をしよう。

 

「行ってきます、アオイさん、カナヲさん」

 

「はい、帰ってきてくださいね。蝶屋敷のみんなで待ってます」

「夜去、絶対に戻ってね」

絶対に戻ります、未来の二人とも約束したから。

行ってきます。真菰さん、カナエさん、しのぶさん。

 

──

なんであんな酷いことを言ってしまったんだろう。

任務にでも何処へでもいけばなんて思ってない。離れてほしくない、私の横にいてほしい。

ただの嫉妬だ、富岡君と錆兎君に嫉妬してしまっていた。男子同士なのに、仲良くしているのを想像すると心がとても痛い。

誰かが夜去と結ばれた時私は喜べるのかな。でもそんなことはないと心の中で安心している。

夜去は絶対に一人を選ばない、私も夜去以外の人を選ぶ気は全くない、他の人なんて嫌だ、夜去がいい。

それほどに貴方のことを想ってしまっている。

 

「カナヲ、夜去は?」

 

「さっき出かけて行きましたよ」

こんな朝早くにどこに行ったんだろう。昨日あんなこと言ったからかな、帰ってきてくれるよね。

謝りたい、昨日何度も部屋の前で謝っている夜去の声をずっと聞こえないふりしていた。

 

──

姉さんと同じことを言おうとした、何処にでもいけばいいと。でも姉さんが先に口に出したから私は言わずに済んだ。

私もそんなこと思っていないように、姉さんも思っていないはずだ。

姉さんの言うように、私たち三人は思っている。離れないでずっといてほしいと、見える場所にいてほしいと。

貴方はいつかいなくなってしまいそうだから、ずっと見ていないと感じていないと不安になる。

こんなにも好きになる人がこの先の人生で現れるのだろうか。いや絶対に現れないし、現れなくていい。

そんな人、夜去だけでいいんだ。

 

「アオイ、夜去は?」

 

「今、出掛けましたけど」

どこに行ったの、帰ってくるよね?心配で胸が押しつぶされそうだ、今日の任務大丈夫かな。

部屋の前で謝っている夜去をずっと無視していた、素直になれなかった。

ごめんなさい、帰ってきたらたくさんお話ししたい。

 

──

カナエちゃんは少し強く言いすぎと思ったが、私も同じことを言おうとしたからそんなこと言えない。

夜去はいつになっても、一人で抱えていることを話してくれない。私は信用されていないのかなと思ってしまう。

ずっと一緒にいるって決めたのに、夜去から離れていったらどうしようもないじゃん。

消えてしまいそうなんだ夜去は、目を離してしまうと。だから見えるところにいてくれないと不安になる。

夜去の全部が好きだ。そう言ったら嘘のように聞こえるかもしれないけど、その言葉以外に見つからない。

最初は弟のような存在だと思っていた、でもそれがいつの日か好きと言う感情になり、それが大好きになり、今は愛しているという感情になった。

夜去がいなくなったら、もう私は恋という感情はいらない。だって夜去以外の人に恋は絶対にしないから。

 

「夜去、こんな朝早くからどこ行ったの?」

寝る時、夜去から珍しく繋いでくれた手を昨日は離してしまった。

嬉しかったのに本当は繋いでいたかった、どんな顔をしていたんだろうか。

そのあとは謝る声が何度も聞こえたが、私は寝たふりをしていた。私も謝りたい。

 

「夜去、戻ってくるよね?」

神様一度だけでいい、私の願いを叶えてください。

夜去を私の元に戻してください、お願いします、お願いします。

 

 

 

 

 

日常回を少し書いてもいいですか?三人との日常もあります

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