雲居の空   作:くじぃらぁす

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一生の宝物

「入夜さんって誰なの!?その人に膝枕してもらったんだね、その人が好きなんだ…」

何故か僕は三人に正座させられている、朝起きると同時にカナエさんの部屋に連れてこられた。

アオイさんがさっきからご飯ができたと言ってるのに…それにお腹が空いた、三人は空いてないのかな…

最近はよく入夜さんに会うために、あの場所によく行っている。入夜さんが泣いていたから、一人にさせたくないんだ。

 

「カナエさんそれは……えっと…してもらいましたけど…慰めてもらっただけですよ…」

「入夜さんは僕にとっても大切な人です」

僕にとっても姉さんにとっても大切な人だ、そして助けたい人。

ずっと一人で苦しんでいる、大切な人を助けれなかった事を後悔している。

 

「嬉しかったんでしょ?あんなに嬉しそうな夜去を私たち見たことない」

「私たちより好きなの?」

 

「恥ずかしかったんです、どっちかなんて選べません」

嬉しかったというか恥ずかしかった、どちらも好きという選択肢はないのかな。

一人なんて選べない僕はみんなの事が好きだ、手を差し伸べ救ってくれたみんなが大好きで憧れなんだ。

 

「私も膝枕した事ないのに!最近、夜去手繋いでくれないし…」

 

「それも恥ずかしいんですよ…」

真菰さんがもし普通の女の子の生活を送っていたら、そろそろお見合いとかをする年齢だと思う。

僕が夜に眠れないという理由で真菰さんの手を繋ぐのは違うと思った。

真菰さんもいつか好きな人ができてその人と手を繋ぐ時がくると思う、その手を繋ぐ相手は僕ではない。

 

「私たちのこと本当に愛してるの!?手紙に書いてたよね?本当なら証明してよ」

 

「絶対に書いてません」

「それに、どうやって証明するんですか?言ってくれれば僕にできることならします」

愛してるなんて書いてない、それはだって恋人とかに言うやつだと思う。僕は恋人にはなれないし、なってはいけない。

恋人とかなら口付けをしたりするって有一郎さんが言ってたな、でも僕たちは違うし。何をしたらいいいか全然わからない。

 

「自分で考えて!アオイたちに聞くのもダメ」

絶対に無理だ、他に頼る人いないし。

錆兎さんと義勇さんに聞いてみようかな…やっぱり二人に聞くのはやめておこう、また三人に怒られるから。

一日猶予があるなら街にでも出てみようかな、何か手掛かりがあるかもしれない。

 

 

やっぱり街には人が沢山いる、お店も沢山あるし。

贈り物とかがいいんだろうか、日頃の感謝の気持ちも込めて。でも何を贈ろうかな…

何をあげたら喜んでくれるかな、女性が喜ぶものなんてわからないし…

 

「ごめんなさい!前を見ていませんでした、大丈夫ですか?」

下を向いて考え事をしながら歩いていたこともあり女性に当たってしまった、それに情けないことに僕の方が転んでしまった。

天元さんにたくさんご飯食べろと言われたから、頑張ってご飯食べているのに。

どんどん細くなっているような気もするし、もしかすると時の呼吸の影響かも…

 

「私の方こそ、ごめんね!大丈夫??」

聞き覚えのある声、その女性が僕の手を取ってくれたことで誰かがわかった。忘れるはずがない、桃色の綺麗な髪の女性。

顔を上げたくない、僕は泣いていると思うから。見られてしまったら転けて泣いている人と思われてしまう。

鬼舞辻無惨との戦いの前の日もご飯を三人で食べに行った、また一緒に行きたいですと言いたかった。

二人はその言葉を待っていたのに言えなかった、それは恥ずかしかったからだ。

また次に言えると思っていた、でも次なんてなかった考えが甘かった。二人の聞きたい言葉を僕はずっと言うことができなかった。

 

「大丈夫です、本当にごめんなさい」

 

「泣いてるよ!痛かったんだね…私、普通じゃないから……」

泣いてるのは貴方に会えたから、蜜璃さんにもう一度会えたからなんだ。今はまだその事は言えない。

蜜璃さんは普通の人と私は違うと言っていた。そんな事ないよ、蜜璃さんは食べる事が好きで、髪の色が綺麗な桃色の普通の女性だ。

みんなを笑顔にできる、仲間の事を大切にできる心優しい人。

僕は小芭内さんと蜜璃さんと食べるご飯が大好きだった、二人やみんなが大切な人と食べるご飯の美味しさを教えてくれたんだよ。

 

「僕は普通の女性だと思います。普通でも貴方はみんなを笑顔にできる女性です、僕はその事を知っています」

「泣かないでくださいよ、僕が泣かせたみたいじゃないですか…」

周りにいた人にすごく見られている、泣いてるのを見られるのは嫌だよね。

僕の羽織を蜜璃さんにかけて二人でその場所から離れることにした。

 

「君、鬼殺隊の隊士なのね!名前はなんて言うの??」

「私は恋柱・甘露寺蜜璃って言うの!情けないところを見せてごめんね!」

日輪刀を見たから気付いたんだ、やっぱり柱になってるんだ。柱の方たちには一生追いつけないのかな…最近は昇級できてないから。

もしかして今日、小芭内さんとご飯でも食べに行く予定とかあったのかな。

 

「明月夜去と言います」

 

「夜去??あぁぁ!しのぶちゃんとカナエちゃんの…」

どうしてそんなに驚くの。びっくりして心臓が飛び出るかと思った。

 

「今から柱の人とご飯を食べに行くんだけど、夜去も行かない?」

相手は絶対に小芭内さんだ、一緒に行きたい。

でも涙を堪える事が絶対にできない、だから言ってしまうと二人に変な人だと思われてしまう。

返事ができずに下を向いていると、蜜璃さんに行くよと言われ強制で連れて行かれた。

 

「僕はお邪魔ではないですか?」

僕は思っていたんだ、二人の邪魔をしていたのではないだろうかと。

小芭内さんは蜜璃さんが他の男性が関わっていると怒っていた、だから僕も本当はいない方が良かったと思う。

 

「邪魔じゃないよ!伊黒さんも大丈夫だと思う!」

前はそうでも今は違う気がする、蜜璃さんと関わっているだけで僕は小芭内さんからいいようには思われないだろう。

けど蜜璃さん言ってたな、小芭内さんも僕をご飯に連れて行きたがっていると恥ずかしいから自分で誘えないんだと…

二人がそう思ってくれている事が本当に嬉しかった、でもやっぱり僕は邪魔だったと今は思う。

小芭内さんが蜜璃さんを好いている事がわからなかった、あの時は恋というのがわからなかったけど、今ならわかる。

 

「伊黒さ〜ん!」

 

「甘露寺どうした遅かったな。それより手を繋いでいるのは誰だ!?」

やっぱり小芭内さん機嫌が悪いよ、前に他の人に向けていた目を僕が向けられたのが悲しい。

そう思っていると小芭内さんは前のような優しい目を僕に向けてくれた、なんで僕のことを知らないはずなのに。

 

「夜去って言うの!可愛いでしょ!?」

 

「可愛いな…それに何故だか懐かしい感じがする。夜去は俺と会ったことがあるか?」

二人によく可愛いと言われた、揶揄われているようで少しだけ嫌だった。頭も撫でられたし、いつか二人の身長を追い越してやろうとも思ったな…

 

「私も思ってたの!夜去また泣いてるよ?どうしたの?」

 

「どうして泣いてるんだ??どうしたんだ??」

 

「可愛いはやめてください、本当になんでありません、僕たちは会っていません」

僕の幸せを心の底から願ってくれた優しい二人、たまに意地悪をされるけど僕は二人が大好きだ。

伝えたい言葉がたくさんあった、今度は絶対に伝える。

絶対に変な隊士と思われてるよ、会っていきなり号泣する変なやつと思われてる。

 

「甘露寺に夜去いつもの定食屋でいいか?」

 

「私はいいよ!夜去もいいでしょ?」

いつも三人で行っていた所かな、僕は一人で食べれなかったから二人のを分けてもらっていたな…

最後に行ってからすごく時間が経った、でも三人で食べたあの味を忘れた事なんてない。

 

「はい、願いします」

 

 

「夜去、一人で食べれないよね?私と伊黒さんのを半分にしてあげる!」

 

「そうだな、一人で全部は食べられないだろう」

今なら食べれますよ、昔は食べられなかったけど。

それになんで二人がその事を知ってるんだろう、記憶はないはずなのに。

 

「食べれます、見ててください」

食べてやる、成長した姿を見せてやるんだ。二人にはわからなくてもいいから僕の成長した姿を見てもらいたい。

出てきた定食を見て先程までの威勢は消えた、こんなに多かったかな?絶対に食べれないと思った。

それでも頑張って食べようとはしたが食べられなかった、二人は先に食べ終わり僕の事を見ている。

食べている僕のことを見ている蜜璃さんと小芭内さんはいつも笑っていた。前のように二人が笑っている、その光景が懐かしく嬉しい。

ここの定食屋は残すと怒られるんだよね、食べないとと思うけどが箸が進まない。

 

「無理でした…ごめんなさい…」

 

「やっぱりね。もう、私が食べてあげる」

 

「今度からは俺と甘露寺の分を半分にしてやる」

今度…また一緒に来てもいいのかな、二人の邪魔じゃないのかな僕。

 

「二人の邪魔じゃないですか?」

 

「全く邪魔じゃない、夜去も連れて行きたいんだ」

二人にそんな風に思ってもらえる僕は本当に幸せ者だ。

やっぱり僕は小芭内さんと蜜璃さんのことが大好きだ、今度はたくさんお話しをしたい。

今日街に出てきてよかった、なんで街に来たんだっけ…

 

「小芭内さん蜜璃さん、愛してるとか大好きという感情を証明できる方法を知りませんか?」

忘れていた、どんどん時間がなくなっている。二人なら何か知っていると思う、自分で考えてと言われたがもう無理だ。

 

「きゃぁぁ、キュンキュンするわね!!どうしたの!?誰かそういう人がいるの?」

二人も知ってる人ですよ、キュンキュンはしません、バクバクします。

早く証明しないと、また怒られてしまうから。

 

「証明してと言われたので…何か知りませんか?贈り物がいいかなと思ったんですけど…」

 

「簪とかどう?大好きな人に贈るのにはいいと思うよ!」

簪を贈ったら三人は許してくれるかな、蜜璃さんが言うなら間違いない簪にしよう。

本当に助かりました、まだお話しをしたいけど今日はもうできない。

 

「二人と食べるご飯はとっても美味しいです。僕はまた二人とご飯を食べに行きたいです」

ずっと言えなかった、いつか言いたかった言葉。

僕の幸せを願ってくれた二人には伝えないといけない、幸せですと。

 

「小芭内さん、蜜璃さん。僕は本当に幸せです」

 

「そうか…」

「うん!」

 

 

──

「甘露寺も俺と同じで夜去のことを懐かしく感じるか?」

 

「うん、なんでかはわからないけど…一目見た時からすごく大切な人と感じたの…伊黒さんも同じ?」

 

「俺もとても大切に思ってしまう、会ったこともないのに。それにこの定食屋の事も何故か知っていた」

 

「そうそう!夜去とは定食を分けていたような気がする」

「夜去、好きな人見つけたのかな?その人に会わないと!私が見てあげるって言ったような…」

 

「不思議だな…でも俺は夜去の幸せを心の底から願ってしまう、こんな感情初めてだ」

 

「私も同じ、夜去には幸せになってほしい!」

 

「また三人で食べに行こうか」

 

「行こっ!伊黒さんと私と夜去で」

 

「夜去の幸せですという言葉を聞いた時から涙が溢れ出すんだ甘露寺」

 

「私もだよ伊黒さん…なんでだろう…すごく嬉しいの」

──

 

「ただいま戻りました」

選んでいたら夕方になっていた、帰りが遅くなると前みたいに怒られてしまうから危ない危ない。

カナヲさんとアオイさんにも最近は帰りが遅いと怒られ始めた、今は一応二人よりは歳上なんだけどな…

 

「おかえり夜去、答えはでたの?」

 

「はい!カナエさんとしのぶさんと真菰さんにこれを」

悩んだ三人にどれが似合うのか、気に入ってくれるといいけど。今は付けれなくてもいつかそれを付けて外に出掛けてほしい。

お店には恋人で買いに来ている人が多かったから、男一人の僕はすごく浮いていて恥ずかしかった…

 

「夜去、簪はどんな人にあげるものか知ってる?」

 

「はい、大好きな人にあげる物だと聞きました」

 

「約束だからね?」

なんの約束だろう…でも今は指切りをしないといけない気がした。

 

「はい、約束します」

 

「とても嬉しい。ありがとう夜去、一生大切にする!」

よかった三人が喜んでくれて、それに機嫌が治った。入夜さんのことも上手に隠すことができたから一安心だ。

 

──

夜去から簪をもらったことがとても嬉しい、今も枕の横に置いていある。この簪は私の一生の宝物。

簪の意味を本当に知ってるのかな…でも約束したから、絶対に守ってね。

私の心に決めた人は夜去なんだから、他の人では絶対にダメなんだよ?

 

「夜去、久しぶりに手を繋がない?」

今日も繋いでくれない、前までは手を握ってきてくれたのに。

 

「僕が夜寝れないと言うだけで真菰さんと手を繋いではいけない気がします」

「いつか真菰さんは好きな人と手を繋がないと…」

やっぱり夜去は簪の意味を知らないんだ、大好きな人にあげる物と言っていたけどその好きは多分違う。

 

「なーんだ!そんな事を気にしてたんだ、それなら大丈夫だよ。だから繋ご?」

まだ気付いてないんでしょ天然だから、夜去が自分に恋をする事は許されないと言ってたけど大丈夫だよ。

私はどんな理由でも受け止める、夜去がいなくなっても貴方だけを愛している。

 

夜去は静かに私の手を握ってきた、やっぱり可愛い。

前より指が細くなっているような気がする、私が力を入れて握ると壊れてしまいそうだ。

そう思っていると夜去がぎゅっと握ってきた、絶対に私の手を離さないようにと。

やっぱり離してほしくないんだ、夜去が離しても私が離さない、この先もずっと。

 

「やっぱり繋いで欲しかったの??」

 

「早く寝てください」

素直だな、本当に可愛すぎるよ。今日寝れないかも…頭撫でてようかな。

 

「私はね夜去の事が好きなんだ、いや大好きな人なんだよ…」

夜去が寝たのは確認して私の想いを言葉に乗せた。

 

 

 

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