雲居の空   作:くじぃらぁす

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明日へ

みんなに背中を押され、カナヲ姉さんから羽織をかけてもらった。

次に目を開けた時、僕は千寿郎と稽古していた場所にいた。

おばあちゃんに会える、姉さんたちに会える。

今の僕を見ても誰かわからないかも知れない。あの時守ってくれてありがとう、みんなと会えて幸せだったと伝えたい。

でも現実は残酷だった、家があった場所は何もなかった。

 

嫌な予感が走る、それは輝夜姉さん、咲夜姉さんもいないのではないかという。

大切な姉たちとの思い出の場所、時屋敷の場所に僕はまた走った疲れなど感じない。

 

嫌な予感はあたっていた、そこには何もなかった。

周りに住んでいる家の人にも聞いた、姉さんたちは美人で優しかったから周りに住んでいる人からは人気で知らない人はいなかった。

人々の返事は聞きたくなかった、姉さんたちの事を誰も知らなかった。

ここは過去なんだろうか、僕の守りたかった人たちはいないのではないだろうか、守れないのではないだろうか。

そんなことを考えてしまい、怖くなった。それでも考えている時間はない、明日には最終選別がある。

僕は最終選別の会場へと重い足を動かした。

そこに助けたい人たちがいる、生きてほしい人たちがいると信じて。

 

 

最終選別の会場に着くと、意外とたくさんの人がいた。

僕は探した、今年の選別にいるはずの、錆兎さん、真菰さん、義勇さんを。

そして、お面をつけた三人を見つけた。三人はこっちを見ていて目が合った。

心の底から嬉しかった、三人が一緒にいることが。そしてこちらに近づいてきた。

挨拶をしていると、選別が始まった。

選別内容は一週間生き残ること、そして三人が手鬼に会うのは最終日だ。

 

 

三人が一緒に行こうと言ってくれたから、僕もついていくことにした。

錆兎さんは、初めて鬼と戦うのに、臆することなく戦っていた。義勇さんが言ってたように錆兎さんはかっこいい人だ。

僕もカナヲ姉さんから、もらった日輪刀で戦った。でも鬼の首を斬れないことを改めて実感させられた。

そんなことを気にしていても斬れないものは斬れない、三人の手助けをしようと思った。

真菰さんも鬼を倒した、真菰さんはとても速かった。自分にあった戦い方を見つけて戦っている、僕もそれを見習いたい。

 

五日目、僕たちは離れ離れになってしまった。それぞれ違う方向から助けを呼ぶ声が聞こえた、だから離れてしまった。

助けを求めていた人を僕が見つけた時、その人は今すぐにでも殺されそうな状態だった。

助けたい、この選別で誰にも死んでほしくない。

カナヲ姉さんからもらった刀を抜いて、鬼に斬りかかった。

 

「なんだ、この餓鬼」

 

「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」

 

「大丈夫、助かった。ありがとう」

 

「無視するんじゃねえ。」

鬼の攻撃は単純だった、全部避けられた。この人が逃げる時間を稼ごうと思い、鬼の手や足を斬っていた。

僕が鬼の攻撃を避けながら攻撃していると、さっきまで襲っていた人を鬼は攻撃した。

その人はひどく怯えて、動けなくなっていた。それもそうだ、五日間も全神経を研ぎ澄ませて疲れも溜まっている、それに殺される寸前のところまで行っていたんだ。

 

「危ない」

彼を手で押した。その時腕を鬼に引っ掻かれて、たくさん血が出始めた。僕が油断したせいだ、呼吸を使おう。

そう思った時だった、彼が鬼の首を斬ってくれた。恐怖に打ち勝ち、自分自身に勝った、そして僕を守ってくれた。

守るつもりだった、でも守られたのは僕だ。

 

「すまない、俺のせいで。俺を庇ったせいで」

 

「大丈夫です。名前はなんて言うんですか?」

 

「村田だ」

この人が村田さんなのか。炭治郎さんがとても信頼していていた人だ。

頼もしい人だとも言っていた、僕もそう思った。

 

「僕を助けてくれてありがとうございます。鬼の首を村田さんが斬ってくれないと死んでいました」

 

「けど、俺が動けなかったせいで君は怪我をした」

 

「村田さんが助けてくれなかたったら、今ここに僕はいません。あなたのおかげです、あなたが戦ってくれたから生きていられます」

僕はお礼をした。

 

「君がそう言ってくれると、俺も救われる」

 

「すいません、村田さん後は大丈夫ですか?僕は他の人のところに行きます」

 

「あぁ、もう大丈夫だ。俺も助けられる命を助けるよ」

 

「はい!選別が終わった時また会いましょう。約束です」

本当に頼りになる。僕が守れない人も村田さんが助けてくれるかも知れない。

 

「約束だ」

僕は血がたくさん出ている手に手ぬぐいを巻き、助けを求めている人を探した。

 

 

最終日、錆兎さん真菰さんが殺され、義勇さんが一生後悔する日になった。

前日から三人を探していたが、なかなか会えない。

最終日も残りわずかとなった。僕は焦っていた、二人の命がなくなる時間が近づいている。

心を落ち着かせ、戦っている音が聞こえるかも知れないと思い耳を澄ませた。

 

「誰か私たちを、助けて」

もう、どこか生きるのを諦めてしまったような、でも生きたいという思いも混じっている声。

今にも消えてしまいそうな、弱々しい声で助けを求める声が聞こえた。

僕の守りたい人たち、生きて鱗滝さんの元に戻って欲しい人たち。

 

手鬼を見つけた、錆兎さんと真菰さんが手鬼の顔の前で捕まえられている。そして鬼は笑っている。

義勇さんは、木に打ち付けらていたが、二人を守るために立ち上がっていた、やはり義勇さんは錆兎さんと同じくかっこいい。

躊躇してはダメだ、呼吸を使おう。時の日輪刀を抜いた。少しずつ透明になり始めている。

 

 

「時の呼吸・二ノ型 朝明の風」

寿命をあまり削らずに使える、時の呼吸、基本の技。自分の時間を速く進めて、目で追えない速さで動く。

2人が捕まえられている、手を斬り二人を義勇さんの前に下ろした。

 

「夜去」

 

「遅れてごめんなさい。どんな時でも、最後まで諦めてはいけません」

教えられたことだ、どんなに追い詰められている状況でも、反撃できる時は必ず来る。だから絶対に希望を捨てちゃいけない。

 

「三人を絶対に生きて返します、あの場所へ、あの人の元へ」

僕は三人を安心させるべく笑顔を見せた。三人を絶対に連れていく、一人も失わずに明日へ。

 

 

「お前、いつのまにその男の餓鬼と女の餓鬼をそこまで連れて行った」

「お前の速さは、その女のガキと比べものにならない。でも、いい食える人間が一人増えたからな」

どうやってこの鬼に勝つ。錆兎さんでも斬れなかった鬼の首を誰が斬る。

この鬼の手を防いで時間を稼ぐしかない。三人が逃げる間の時間を稼ごう。

鬼は捕まえようとして、たくさん手を出してきた。でも今は全て遅く見える。

 

「お前は速くて捕まえられない。ならそこの三人を捕まえよう」

三人は僕の後ろにいる。後ろを見た、そこにいたのは錆兎さんと真菰さんだけだった。

 

「義勇さん」

鬼の首を斬ろうと、手鬼の横まで詰めていた。今まで鬼の首が斬れていなかったから焦っていたんだと思う。

手鬼は気付いていないふりをしているが、わかっていると思う。なぜなら満面の笑みだったからだ。

義勇さんに伸ばされた手を僕は日輪刀で受け、手鬼から距離をとった。

 

「お前は助けると思ったよ、狙いはこの二人だ」

錆兎さんと真菰さんはまで動けずにいる。鬼の手は、二人の目の前まで迫っていた。この距離はもう間に合わない。

また義勇さんに大切な人たちを失わせてしまう。

僕もその手を斬ろうと動いた、その手を斬ったのは僕ではなく、村田さんだった。

そして、今まで錆兎さん達が助けた人たち、僕が助けた人たちが錆兎さん真菰さんの前に立って守ってくれている。

 

「村田さん、なんでここに」

 

「助けられる命が前にあったからな」

村田さん、みなさん本当にありがとうございます。人は1人でできることは限られている、でも仲間がいると計り知れない力を出せる。

 

「錆兎さんと真菰さんは戦えません、そしてこの鬼の首はすごく硬いです」

 

「俺は戦える。大丈夫だ夜去、心配かけたな」

 

「私もまだ動ける、一緒に戦う」

 

「俺も一緒に戦いたい」

錆兎さん、真菰さん、義勇さん、あなたたちは本当に強い。一人で切れない首も三人でなら、三人一緒になら切れると思う。

僕たちが鬼の手を斬ろう、三人が首に届くように

 

「鬼の首を斬るのをお願いしていいですか。僕たちが三人の道をつくります」

 

「あぁ」

三人を守るように動き、三人が首に届くように道を開けた。

 

「水の呼吸・拾ノ型 生生流転」

三人が一緒に技を出して鬼の首を斬った。

 

「やった、勝てたよ。鱗滝さん」

真菰さんは泣いていた。義勇さんと錆兎と真菰さんが抱き合っていた。

生きている、三人が。それが嬉しくて、またみんなが助けにきてくれたことが嬉しかった。

 

「ありがとうございます、錆兎さん、義勇さん、真菰さん、村田さん、みなさん」

 

手鬼は泣いていた。

昔、カナエさんに言われた。鬼も元は人間、相手の気持ちを考えて、寄り添ってあげてと。

手鬼は手を繋いで欲しそうだった。今、僕がしてやれることは手を握ってやることしかできない。

でも、手鬼は手を握るとどこか安心したように笑ってくれた。

この人の次の人生が幸せで溢れていますように。いなくなるまで祈り、僕はずっと手を握っていた。

 

 

 

 

 

 

 

日常回を少し書いてもいいですか?三人との日常もあります

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