ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡   作:sontakeda

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アニメ本編6話を改変したものになります。サーニャとエイラで仲良くなるのはこの回以外思いつかなかったです……


第6話 見つけた Aパート

夜間哨戒、星空が一面に広がる中で、雲の上を鼻歌交りで飛んでいる少女がいた。

 

「♪〜」

 

サーニャだった。いつもと変わらない夜空と思ってた矢先、サーニャの魔導針が何かを捉えた。

 

「っ!」

 

しかし慌てる様子もなく、サーニャは魔導針が捉えた方向に向かった。すると見つけたのは輸送機だった。外出していた坂本やミーナ達が乗っている輸送機みたいだ。

 

その中には、不機嫌そうな坂本と本を読んでいるミーナ、外の夜空を見ている宮藤と隣で刀を抱えて目を瞑っている足立が座っていた。

 

「不機嫌さが顔に出てるわよ。坂本少佐」

 

「わざわざ呼び出されて、何かと思えば予算の削減だなんて聞かされたんだ。顔にも出るさ」

 

「彼らも焦っているのよ。いつも私達に戦果を挙げられて、尚かつイレギュラーな事態も発生しているし」

 

ミーナは足立に目線を送るが、足立は微動だにしなかった。

 

「連中が見ているのは自分たちの足元だけだ」

 

「戦争屋なんてあんなものよ。もしネウロイがいなかったら、あの人たち、今頃人間同士で戦い合ってるのかもね」

 

「……さながら世界大戦だな」

 

坂本は冗談っぽくニヤリと言った。

 

「皮肉過ぎて笑っちまうな」

 

今まで黙っていた足立も坂本の話に乗っかってきた。

 

「すまなかったな宮藤」

 

「えっ」

 

「せっかくだからロンドンの街でも見せてやろうと思ったのだが……」

 

「いえそんな……私は、軍にも色んな人が居るんだなって……そんなことより、わたし足立くんが堂々としててびっくりしちゃった」

 

申し訳なさそうな坂本に宮藤はフォローをする。そして総司令部に呼び出された足立の立ち振舞に感心していた。

 

「ただの偉ぶってる爺さんの集まりだろ。別段気にすることはねえさ」

 

「絶対目の前でそんな事言うなよ……」

 

「そうよ………こっちもヒヤヒヤしてるんだから……」

 

「了解了解」

 

「あはは………」

 

坂本とミーナは真剣な顔で忠告するが当の本人の足立は重要性のかけらも感じない返事をした。その返答に宮藤は苦笑いした。

 

すると、輸送機の無線から、歌声が聞こえてきた。

 

「あれ?なにか聞こえない?」

 

最初に反応したのは宮藤だった。

 

「……これサーニャか?」

 

「ああ、これはサーニャの唄だ。基地に近づいたな」

 

「私達を迎えに来てくれたのよ」

 

ミーナの方の窓に宮藤が駆け寄ると、まるで妖精のような姿に見えるサーニャを確認した。

 

「ありがとう!」

 

「ん…………」

 

無線越しでお礼を言う宮藤と目が合うとサーニャは雲の中に隠れてしまった。

 

「サーニャちゃんってなんか照れ屋さんですよね」

 

「うふふっ、とっても良い子なのよ。歌も上手でしょ……あら?」

 

サーニャのことを話していると、サーニャの歌声が聞こえなくなっていた。

 

「どうしたサーニャ」

 

『誰か……こっちを見ています』

 

「報告は明瞭に、あと大きな声でな」

 

『すみません、シリウスの方角に所属不明の飛行隊、接近してきます』

 

注意を受けたサーニャは、先程よりもハッキリ聞こえる報告をした。

 

「ネウロイかしら?」

 

『はい。間違いないと思います。通常の航空機の速度ではありません』

 

「!」

 

その報告を聞いた足立は目を開けると立ち上がった。

 

「私には見えないが?」

 

眼帯を上げ、目標を見ようとする坂本。しかし彼女の目には捉えられなかった。

 

『雲の中です。目標を肉眼では確認できません』

 

「そういうことか」

 

理由を聞いて納得する坂本。しかし慌てる者もひとりいた。

 

「ど、どうすればいいんですか!?」

 

「どうしようもないな」

 

「そんなぁ!!」

 

「俺が叩いてくるか?」

 

「ストライカーも無いのにどうやって戦うのよ………っ!まさかそれを狙って!?」」

 

「ネウロイがそんな回りくどいことをしないさ」

 

落ち着いていいる3人とは対象的に宮藤ひとりはあわあわした状態で3人を見ていた。

 

『目標は依然、高速で近づいています。接触まで約3分』

 

「サーニャさん、援護が来るまで時間を稼げればいいわ。交戦はできるだけ避けて」

 

『はい』

 

サーニャはミーナの指示に従うと、フリーガーハマーの安全装置を外した。

 

『目標を引き離します』

 

「無理しないでね」

 

輸送機を巻き込まないよう、サーニャは上昇し始めた。

 

「よく見ておけよ」

 

「は、はい!」

 

坂本に言われ、宮藤はじっとサーニャの姿を追った。

 

「サーニャちゃんには、ネウロイがどこにいるのか分かるんですか?」

 

「ああ、アイツには地平線の向こう側にあるものだって見えているはずだ」

 

「へぇ~」

 

「それでいつも夜間の哨戒任務に就いてもらってるのよ」

 

「お前の治癒魔法みたいなもんさ。さっき歌を聞いただろ?あれも魔法の一つさ」

 

「歌声でこの輸送機を誘導していたのよ」

 

目を瞑っているサーニャ。魔導針がネウロイを捉えると、サーニャはすぐさま構えた。そして間髪入れずフリーガーハマーを発射させた。そしてロケット弾が爆発すると、雲に大穴が空いた。その光景に宮藤は唖然としていた。

 

「反撃して……こない?」

 

疑問に思うサーニャだったが、その後も数発、ロケット弾を発射させた。

 

「流石ね、見えない敵相手によくやっているわ」

 

「敵に回したくねぇ相手ってこったな」

 

「私にはネウロイなんて全然……」

 

「サーニャの言うことに間違いはない」

 

坂本はサーニャの戦いによほどの信頼をしている様子だった。

 

「サーニャ、もういい。戻ってくれ」

 

「でも……まだ……!」

 

息を切らしながらサーニャは任務を遂行しようとしていた。

 

『ありがとう。ひとりで、よく守ってくれたわ』

 

無線越しでミーナはサーニャの功績を労った。

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ウィッチ達はミーティングルームに集まっていた。雨天の中で出撃した者おり、シャワーを浴び、部屋着や寝間着姿をの者もいた。そして、ルッキーニは既に椅子の上で猫のように丸くなりながら寝ていた。

 

「それじゃあ今回のネウロイはサーニャ以外誰も見てないのか?」

 

シャワーから浴び終え、髪を拭きながらバルクホルンは今回の件を聞いた。

 

「ずっと雲に隠れて出てこなかったからな」

 

「けど何も反撃して来なかったって言うけど、そんなことあるのかな?それホントにネウロイだったのか〜?」

 

「…………………」

 

純粋に疑問に思うハルトマンだが、サーニャは申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「恥ずかしがり屋のネウロイ!」

 

『……………………』

 

「……無きにしもあらず、0.01%以下だけどな」

 

「ですよね………ごめんなさい………」

 

場を明るくしようとしたリーネだが、周りは無反応な上、足立がトドメを刺し、リーネは縮こまってしまった。

 

「だとしたら、似たもの同士、気でもあったんじゃなくて?」

 

「っ!べー」

 

嫌味を言うペリーヌに、ピアノの椅子に座っているサーニャの隣のエイラがムッとすると舌をだした。

 

「ネウロイとは何か。それが明確になっていない以上、この先どんなネウロイが現れてもおかしくは無いわ」

 

カップを回しながら、ミーナは悟るように言い聞かせた。

 

「仕損じたネウロイが連続して出現する確率は極めて高い……」

 

「そうね。そこで、しばらくは夜間戦闘を想定したシフトを敷こうと思うの。サーニャさん」

 

「はい」

 

「宮藤さん」

 

「あっはいっ!!」

 

自分が呼ばれるとは思っておらず、ドキッとした宮藤。

 

「あと、足立君」

 

「はいよ」

 

「当面の間、アナタ達3人を夜間専従班に任命します」

 

「えっ!?私もですか!?」

 

「今回の戦闘の経験者だからな」

 

「私はただみてただけ……どわっ!?」

 

宮藤が謙遜するような素振りを見せようとした瞬間、後ろにいたエイラが宮藤を上から覆うように押しのけた。

 

「はいはいはいはい!!ワタシもやる!!」

 

「いいわ。じゃあ、エイラさんを含めて4人ね」

 

押しつぶされそうになっている宮藤をみて、リーネは心配そうな顔をしている。

 

「ごめんなさい……私がネウロイを取り逃がしたから……」

 

「!、ううん!そんなことをを言ったんじゃないから」

 

申し訳なさそうに謝るサーニャに、宮藤は勘違いさせてしまったと思い訂正しようとしていた。

 

そんなミーティングを終え、謎のネウロイに備えてこの日は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

1944年、8月17日。今朝、足立は食堂に向かっていると、宿舎の廊下で宮藤と出くわした。

 

「あ、足立くん!おはよう!」

 

「あぁ」

 

素っ気ない挨拶を返す足立。その時、後ろからも声が掛かった。

 

「おっ、宮藤ジャンか」

 

「エイラさん!おはようございます!」

 

「ああ、おはよう」

 

「おはよう……ございます……」

 

声の正体はエイラだった。その隣には眠そうに目を擦るサーニャもいた。

 

「今日はよろしくね!サーニャちゃん!エイラさん!」

 

「やけにハリキってるなぁ宮藤は」

 

「うん!だって夜間飛行ってなんだか楽しそうだし!」

 

「……遊びに行くわけじゃないんダゾ?」

 

「あ、うん……そうなんだよね……えへへ」

 

「…………………」

 

注意するエイラにしょんぼりする宮藤。サーニャはそのやりとりを傍観しているだけだった。

 

「事故さえなければいいけどな」

 

「じ、事故?」

 

「夜は暗いから……昼間よりも気をつけて飛ばいないといけないの……」

 

「そ、そうなんだ………」

 

サーニャの説明で足立の言っている意味を理解した宮藤。

 

「ま、最近はまともに飛べるようになってるから問題ないはず」

 

「ホント!?」

 

「下手くそだけどな」

 

「うぅ~………足立くん、ハッキリ言うんだから………」

 

褒められたかと思い喜んだが、すぐに悪態を突かれ涙目になる宮藤。

 

「じゃあ自分はウマイって言うのカ?」

 

「………………いや、下手くそさ」

 

「えっ?」

 

「あんなムチャな動きしといて下手って……ナニサマだよオマエ………」

 

足立は何かを思い出すかのように、その先を見ていた。

 

朝食を食べ終え、坂本は夜間専従班の4人を集めた。

 

「さて、朝食も済んだところで………お前たちは夜に備えて寝ろ」

 

「…………え?」

 

坂本の指示に宮藤はキョトンとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

サーニャの部屋にて。もしくは臨時夜間専従班詰め所と今はなっている場所に、寝間着姿の4人が集まっていた。

 

「さっき起きたばっかりなのに………」

 

電気は消えていて、カーテンなどで光が入って来ないよう封印されており、部屋は薄暗い状態になっていた。

 

「なにも部屋の中まで真っ暗にすることないよね」

 

「暗いのに慣れろってことダロ」

 

ひとつのベッドに腰掛ける宮藤、うつ伏せになりながらタロットカードで遊ぶエイラ、その横で大きい人形を抱えながら横になっているサーニャ。そして足立は、ベッドには入り切らないためベッドを背もたれにしながら腕を組み、床に座りながら目を瞑っていた。

 

「ごめんね?サーニャちゃんの部屋なのにこんなにしちゃって」

 

「……別に、いつもと変わらないけど」

 

「あぁそうなんだ」

 

サーニャの事情を聞いてちょっと意外そうな反応する宮藤。

 

「でも、なんかこれ御札みたい」

 

「オフダ?」

 

カーテンになどに留められている紙を宮藤は、一枚手元に持ちながら言った。紙には魔法陣が描かれていた。

 

その言葉にエイラは身体を起こしながら反応した。

 

「お化けとか、幽霊とかが入ってきませんようにっておまじない」

 

「私、よく幽霊と間違われる……」

 

仰向けになりながらサーニャは言った。

 

「へぇ、夜飛んでるとありそうだよね」

 

「ううん、飛んでなくても言われる。いるのかいないのか分からないって……」

 

「あはは……」

 

自虐的な発言に宮藤は苦笑いした。

 

「ツンツンメガネの言うことなんか気にスンナ。ヒマだったらタロットでもやろう」

 

「タロット?」

 

「占いダヨ。私は未来予知の魔法が使えるンダ。ま、ほんのちょっと先だけどな」

 

そう言うと、エイラがベッドの上でカードを並べ始めた。そして宮藤がその中から一枚を手にとった。

 

「どれどれ………ふーん」

 

宮藤の引いたカードを覗き込むエイラ。そのカードには、輪の周りにウィッチが飛んでいる絵だった。

 

「良かったな。運命の人に出会えるかもしれないってヨ」

 

「そうなの!?……でも、それって誰のこと?」

 

「さぁ?そこまでは流石にワタシでも分からないサ」

 

「そっか〜、楽しみだなぁ」

 

タロットの良い結果に楽しみが増えた宮藤だった。

 

「そうだ!足立くんも占ってもらったら?」

 

「俺はしねぇぞ。んなめんどくさいの」

 

「えー……」

 

ベッドの先にいる足立の方向に身体を向き、ベッドの先っぽの部分に掴みながら宮藤は提案したがあっさり断られ、がっかりした様子だった。

 

「占うのがコワイのか~?」

 

「あ?」

 

「まぁコワイってなら別にいいんだけどナ~」

 

「…………………」

 

あからさまなエイラの挑発に足立は乗るまいと思っていた。が、数秒後には足立も宮藤の隣に座りながら占っていた。サーニャも起き上がり、エイラの横に人形を抱えたまま座っていた。

 

「結局占うのかヨ」

 

「挑発してきたやつが何いってんだ」

 

エイラを睨みながら足立は返した。

 

「さっさとしろヨ」

 

「ったく………」

 

足立は不本意ながら、六芒星の形のように並べられたカードから、左下のカードを選び、その場でひっくり返した。

 

「!」

 

そのカードは、女性が木に吊るされている絵だった。

 

「うーん、あんまり良くないカードを引いたナ……」

 

「えっ、そうなの?」

 

カードの絵を見て怪訝な顔をするエイラ。それに反応する宮藤。

 

「近いうち会いたくないヤツに会うかもしれないゾ」

 

「……………………」

 

エイラの結果を聞いて足立はカードを見つめたままだった。その間、足立の脳裏に過ぎったのは自分がネウロイにされた日のことだった。

 

「足立くん……?」

 

「どうか……しましたか…?」

 

心配そうにする宮藤と、不思議そうに見るサーニャ。

 

「いや、やっぱ占いなんてくだらねぇなって思っただけだ」

 

「なっ!人に占ってもらっておいてナンダヨその言い草!!」

 

「信じるかどうかは自分次第だろ?占いって」

 

「そりゃそうだけどナ………!!」

 

言い合うふたりの横で宮藤は、いつもの足立に戻って少しホッとした表情に戻った。

 

その時、偶然にもあるもに目が入った。

 

「あれ?」

 

カレンダーだった。今月の18日には、オラーシャ語で何かが書かれていた。しかし宮藤にはそれを読めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「夕方だぞー!おっきろー!!」

 

「…………………………んあ?」

 

ベッドの上に3人、床に1人と寝ていたが、ベッドの上で寝ていた宮藤は辛うじて廊下から声がするルッキーニの声に反応した。

 

そして4人は起床し、食事をするため身支度をし食堂へ向かった。

 

「なんか暗いね」

 

薄暗くなっている食堂に入り、隣の席のリーネに話しかけながら着席した。

 

「うん。暗い環境に目を合わせる訓練なんだって」

 

そして各席に出されたのは、何かの紅茶のようなものだった。

 

「これは?」

 

「マリーゴールドのハーブティーですわ!!」

 

そう自信満々で高らかに発言するのはペリーヌだった。

 

「これも、目の働きを良くすると言われてますのよ!」

 

「あら?それって民間伝承じゃ………」

 

「失敬なッ!!これはお祖母様のお祖母様そのまたお祖母様から伝わるものでしてよ!!!」

 

「ご、ごめんなさい………」

 

「どっちもどっちだろ………」

 

リーネの民間伝承扱いされたのが気に食わなかったのか、噛み付くペリーヌ。その気迫に圧倒されて謝罪するリーネ。するとポツリと呟く足立であった。

 

そして全員飲み始めてみた。

 

「なんか山椒みたいな匂いだね」

 

「さんしょう?」

 

扶桑独自のお茶の例えをする宮藤だが、リーネには伝わらなかった。当のペリーヌは真顔になっていた。

 

「芳佳!リーネ!もっかいべーして!」

 

『んべ』

 

横からひょこっと現れたルッキーニに、宮藤とリーネは舌を出した。しかし、色はなにも変わっておらずそれに対しルッキーニは不服そうな顔をした。

 

「つんまんなーい!つんまないつまんないつまんない!!!」

 

「…………………………」

 

「ドッチラケ」

 

「ッ!!べ、別にウケを狙った訳ではなくてよ!!」

 

エイラの嫌味にペリーヌはカチンと来た。

 

(………………不味い)

 

「………………マズイ」

 

サーニャが思った事と足立が口に出したのがほぼ同時だった。それに気づいたサーニャは、向かい側にいる足立の方を見た。

 

「!、なんだよ?」

 

「………いえ……」

 

サーニャの視線に気づいた足立が問いかけるが、サーニャは首を横に振った。しかし、彼女には少しだけ親近感を感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

夜の滑走路。誘導灯が光り始めると、そこは神秘的な雰囲気に思えた。

 

「わっ………ふ、震えが止まんないよ……」

 

カタカタと震える宮藤はそう言った。

 

「なんでダ?」

 

「夜の空がこんなにも怖いなんて思わなかった……」

 

「無理ならやめる……?」

 

怖がっている表情をしている宮藤の為と思い提案してみるサーニャ。

 

「………て、手繋いでもいい?サーニャちゃんが手を繋いでくれたらきっと大丈夫だから!」

 

「…………………………」

 

それを聞いたサーニャの表情は変わらなかったが、魔導針が緑からピンクに変わった。恐らく内心は喜んでいるはずだった。その様子にエイラはムッとした表情をしていた。

 

宮藤の要望どおり、サーニャは宮藤の右手を握った。

 

「あ、足立くんもお願い!手繋いでもほしいな………」

 

「あ?なんで俺もなんだよ」

 

後方にいる足立にもお願いする宮藤。しかし当然の如く足立も乗り気じゃない様子。

 

「だ、だって〜!!お願い!!」

 

「……………………ったく」

 

涙目でお願いする宮藤に、ラチがあかないと思った足立は観念して宮藤の左側に立ち、左手を軽く握った。

 

「これでいいか?」

 

「!!、うん!ありがとう!!」

 

手を握った瞬間、宮藤は笑顔になった。

 

「それじゃ、イクゾ!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと!?心の準備が!!うわ!!ああああぁぁ〜っ!!!」

 

エイラの合図と共に発進する4人。しかし宮藤は心の準備が出来ておらず、発進するタイミングがズレた。そして上昇していくと雲の中に入っていった。

 

「手離しちゃダメだよ!!絶対離さないでね!?」

 

「だったら騒ぐな」

 

「もう少し我慢して。雲の上に出るから」

 

呆れる足立に、冷静に報告するサーニャ。その姿にいつもとは違うサーニャと感じた宮藤だった。

 

すると、雲の上に出るとそこは、満天の星空が広がっていた。その景色が視界に入ると、宮藤は手を離し、自由に飛んだ。

 

「すごいなぁ〜!私ひとりじゃ絶対こんなところに来れなかったよ!ありがとう!足立くん!エイラさん!サーニャちゃん!」

 

「へいへい」

 

「ヨカッタな」

 

「いいえ、任務ですから……」

 

素っ気ない態度で返す足立、楽しそうな顔をみて少し安心したエイラ、そして表情を変えないサーニャ。しかし、その表情は少し頬を赤く染めていて、喜んでいるようにも、宮藤には見えた。

 

そんな初の夜間飛行は無事に終わった。

 

 

 

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