ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡   作:sontakeda

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第7話 私たちのするべきこと Bパート

1944年8月19日。深夜のネウロイ襲撃から日が昇り、お昼過ぎにてブリーフィングルームに501部隊のウィッチ全員が集められていた。理由は足立の話についてだ。全員が知っておいた方がいいと坂本が判断したため、招集されたとのこと。

 

「そんなことがあったのか………」

 

「アダチかわいそう………」

 

話を聞いたシャーリーは険しい表情をしていた。隣にいたルッキーニは、足立の気持ちを察し哀れんでいた。

 

「前に私と一緒に戦ったときも、一瞬苦しそうに見えたが、そういう理由だったのか」

 

「そうなの?」

 

納得するバルクホルンと、まるで興味なさそうに相槌を打つハルトマン。

 

「足立さんがみんなに手伝わせないのって、周りに背負わせないためなんですよね……?」

 

「ええ、リーネさんの言う通りよ」

 

「ネウロイをやればアイツが消えるかもしれない、そんな気持ちで戦わせたくないんだろうな」

 

「お気持ちは分かりますけど……でも……」

 

それぞれ分かっていた。足立のしたいこと。それは周りに罪を背負わせないこと。自分が加担したことにより足立が消えてしまった、そんな罪を背負わせないために、足立は周りを頼らなかった。

 

そんな意地を張りやすいペリーヌには痛いほど気持ちが分かった。

 

「アイツひとりでも倒せなかったのに、いったいどうするんダヨ」

 

「…………………」

 

後頭部に手を組んで天井を見上げるエイラに、悲しそうな表情で机を見つめるサーニャ。

 

「………あの!」

 

「!、なんだ宮藤」

 

「……えっと………その……」

 

「?、ハッキリと言え、宮藤」

 

「…………ごめんなさい……思いつきませんでした……」

 

宮藤の行動に、全員が目を丸くしていた。

 

「声に出せば……なにか足立くんを救える方法が思いつくかなって、思ったんですけど……なにも思いつきませんでした……」

 

「!」

 

「芳佳ちゃん……!」

 

宮藤の理由を聞いていると、宮藤からは大粒の涙が流れた。隣にいたリーネはそれに気づいた。

 

「私……ウィッチになって、大勢の人を救おうって決めたのに………目の前にいる友だちも救えないって考えたら………悔しくて……情けなくて……」

 

自身の気持ちを語っていると、宮藤の涙は止まらなかった。

 

「私……どうしたらいいのか………分からなくて………」

 

「芳佳ちゃん…………」

 

「宮藤さん……」

 

隣で側にいることしか出来ないリーネ、その気持ちを痛感するミーナ。しかし、坂本はある覚悟をした表情で宮藤に問いた。

 

「…………………宮藤」

 

「………はい」

 

「足立を救いたい、それは間違いないな?」

 

「はい……間違いないです……」

 

「なら、私達の取る道はもう決まっている」

 

「えっ?」

 

呆気に取られたような表情をした宮藤に、坂本は近づいてこう答えた。

 

「ネウロイを倒すことだ」

 

「っ!?」

 

誰もが悩んでいたことを坂本は正面から言った。その堂々とした表情に宮藤は固まっていた。

 

「待ってください坂本少佐!!それじゃ足立さんが………!!」

 

「なら見逃せ、とでも言うのか?リーネ」

 

「そうじゃ……ないですけど………」

 

坂本の力強さにシュンと縮こまったリーネ。

 

「私たちがウィッチである限り、ネウロイとの戦いは避けられない。これは必然的だ」

 

「……………………」

 

物悲しい表情で宮藤は顔を伏せたままだった。

 

「宮藤、足立が何故あのネウロイを5年間も追っていたか分かるか?」

 

「………もとの身体に戻るため……です……」

 

「それもあるが、実はそれだけじゃない」

 

「えっ?」

 

坂本の言葉に宮藤は顔を上げた。

 

「自分が消える可能性もあるのに戦う、それは……自分があるべき場所に還ろうとしてるんじゃないか?」

 

「自分があるべき場所………」

 

繰り返し言葉にすると、宮藤はその意味を考えた。

 

「足立は本来死人だ。それは間違いない。しかしコアのおかげで生きながらえてる。これはある種の呪いみたいなものだ。小さな傷でも再生してしまう不死身の力、いつまでも父親に会えないということだ」

 

「!!」

 

坂本は理解していた。このコアのおかげで生きながらえてる本質を。それは、便利な力ではなく、恐ろしい呪いだと言うことに。

 

「そんな呪いを解くことができるのは、私たちだ」

 

「…………でも、足立くんが……消えちゃうじゃないですか………」

 

「……そうとも限らない」

 

「えっ……?」

 

涙目になりながら言う宮藤に坂本はニッと微笑みながら言った。

 

「宮藤、さっきお前が言ってただろ?足立は元の身体に戻すために戦ってると」

 

「!!、坂本さん………」

 

「いま、私たちがすべきことはなんだ?宮藤」

 

「私は………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

電気も点けず、ベッドの上で横になっている足立。自室に戻ってからずっと待機していた。そしてその顔は、険しく苦しい表情だった。

 

「…………………………」

 

 

仕損じたネウロイが連続して出現する確率は極めて高い

 

 

(バルクホルンはそう言っていた………だとしたら、次もヤツに会えるかもしれない。その時がきたら今度こそ………)

 

足立は瞳に闘志を燃やしていた。例のネウロイに遭遇することを願いながら、次の作戦を考えていた。しかし、その頭の片隅には、彼女らの悲しそうな顔が思い浮かんでいた。

 

(………アイツらには荷が重すぎる。中途半端な戦いをしたら、絶対に死人が出る………だから俺がやらなきゃいけない………!!)

 

強く誓う足立。それは、無関係な彼女たちを巻き込みたくなかったのだ。自分の私情で戦死でもされれば、今度こそ立ち直れなくなる。足立はそう思っていた。

 

そして、そんな強い願いが届いたのか、基地に襲撃のサイレンが響き渡った。そう、ネウロイが現れたのだ。

 

「来やがったか………!!」

 

足立はベッドから飛び出すように、自室から出ていった。廊下に出ると一心不乱でハンガーに走った。

 

(アイツらより先に……!!先に行って潰せば全部解決だ!!)

 

どうしても巻き込みたくない。足立はソレばかりを考えていた。

 

そしてついに、ハンガーの入り口にやってきた

 

「誰もいない!これで………」

 

誰とも会わずにやってきたので、自分が一番乗りだと思った足立。しかし、そこには衝撃の光景があった。

 

「なっ………!?」

 

「あ、やっときた」

 

「少し遅いんじゃないか?足立」

 

「早いとこやっつけちまおうぜ!」

 

「にしし~」

 

「何をすっとんきょうな顔をしてますのかしら?」

 

「私たちもお手伝いします!」

 

「足を引っ張らないように、協力します……!」

 

「今更来るなって言われても遅いカラナ~」

 

そう、ハンガーにはストライカーを履き襲撃準備が整ってる501メンバー全員が揃っていた。

 

「なんで………お前ら………」

 

「彼女が言い出したことよ」

 

「っ!!」

 

ミーナが視線を向けたのは、真剣な表情をしていた宮藤だった。

 

「宮藤………お前が……!?」

 

「……足立くん、言ってたよね?あのネウロイを倒せば元の身体に戻るって」

 

「そりゃ……可能性の話で……」

 

「だったら私はそれを信じるよ!」

 

「!!」

 

「あの時、足立くんに言われてちょっと怖くなっちゃった………でも………」

 

宮藤は自身の手を前に持っていき、強く拳を握った。

 

「坂本さんに言われて気づいたの。まだ希望はあるって!」

 

「希望……!!」

 

「足立くんが信じられないなら私たちが信じるよ!その可能性に!」

 

「…………………」

 

強い真っ直ぐな瞳。決して強がっているわけではない。信頼、そんな言葉がふさわしかった。足立は理解できなかった。ネガティブな意味ではない。なぜそこまで他人を信頼できるのか不思議でならなかった。

 

「だからみなさんにお願いして集まってもらったの!足立くんを助けるために!」

 

「………………」

 

「足立くん…………」

 

一向に黙ったまま呆然と立ち尽くしている足立。顔は伏せていて表情が見えなかった。その様子に宮藤は心配になった。それでもひとりで出撃するかもしれない、と。しかし、そんなのは杞憂だった。

 

「生意気なんだよ!!バカ宮藤がっ!!」

 

「ひゃっ!!!」

 

突然、顔を上げたかと思えば、いきなり罵声が飛んできて驚き仰け反った宮藤。足立の表情はいつもとは変わった様子だった。怒っているようにも見えるが、笑っているようにも見えた。

 

「ド素人のお前がどーやって俺を助けんだよ!」

 

「そ、それは………その……」

 

足立の質問にしどろもどろになる宮藤。

 

「なにか策があって言い出したんじゃないのか?ん?」

 

「うぅ………」

 

「ちょっとアナ……」

 

宮藤への暴言を見てペリーヌが言い掛けた瞬間、坂本が遮った。すると首を横に振り、様子を見ることを暗に伝えた。

 

「少佐………」

 

ペリーヌも坂本の意図を理解し、その場を見守った。

 

「…………………」

 

足立の言葉に完全に萎縮してしまった宮藤。それを見た足立は次にこう言い放った。

 

「………お前は黙って俺の後ろについて来ればいいんだよ」

 

「……えっ?」

 

足立の思わぬ言葉に、ハッとした宮藤。その意味は次のセリフで理解した。

 

「背中は任せた、宮藤」

 

「!!、うんっ!!」

 

宮藤とすれ違う瞬間言った。足立は宮藤を信頼することにした。宮藤もその言葉に嬉しそうな顔をしながら大きな返事が返ってきた。その様子を見ていた隊員たちは、ホッとしたような表情だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネウロイの出現にとり海上に出た501メンバー。向かいながら今回の作戦を立てていた。

 

「足立によれば、コアは頭部、しかし想像以上の硬さであり切れなかった、と」

 

坂本は足立の経験を元に確認した。

 

「他のネウロイより硬さが増しているってことかしら」

 

「あまり試せなかったからなんとも言えないけど、多分そうなんだろうな」

 

足立は険しい表情をしていた。あの時倒せなかった悔しさをまた思い出していた。

 

「それなら、うってつけのやつがいるじゃないか」

 

「ええ、そうね」

 

ミーナと坂本は顔を見合わせてニッと笑った。

 

「リーネ!サーニャ!お前たちが今回の作戦の要だ!敵の装甲はいつも以上に硬い!その装甲を破壊するのがお前たちの仕事だ!!いいな!」

 

『了解!!』

 

「他の者は、ふたりが破壊しやすい位置に取れるようフォローをしろ!」

 

『了解!!』

 

それぞれの役目が決まるとさっきまでとは違った雰囲気になっていた。みんな真剣だった、この戦いで、足立の命運が決まるのだから。

 

「宮藤、お前は足立のフォローを頼む。シールドが無いアイツは危険すぎる」

 

「はい!!」

 

「聞こえてんぞ少佐!嫌味か!」

 

「冷静な判断だ。宮藤のシールドがなかったら今頃お前は生きてないだろ?」

 

「うぐっ………それはそうだけどよ………」

 

正論を叩きつけられた足立は返す言葉もなかった。すると、サーニャの魔導針になにかを捉えた。

 

「ネウロイの反応を捉えました!!距離4000!!こちらに向かって来てます……!」

 

「こっちから出向く手間が省けたな」

 

「ん?もしかしてアレか?」

 

皮肉を言うバルクホルンの横で、シャーリーは額に手を当て地平線の先を見た。すると距離があるにも関わらず黒いポツンとした物体が確認できた。

 

「この距離でも大きさがありますわね………」

 

「作戦を伝える!リーネ!ペリーヌ!シャーリー!ルッキーニは右翼側を!サーニャ!エイラ!バルクホルン!ハルトマンは左翼側を!残りの私たちはコアがあると思われる頭部で持ちこたえる!全ての羽を折ったら、全総力で頭部のコアを叩く!いいな!」

 

『了解!!』

 

「作戦開始よ!!!」

 

坂本から作戦が伝えられ、ミーナの合図と共にメンバーはそれぞれの持ち場に移動した。それと同時にネウロイからのビームの弾幕が飛んできた。

 

「くっ!!」

 

「こりゃすごいね!」

 

ネウロイの上空から左翼側に近づこうとするバルクホルンとハルトマン。しかし、ビームの数が多くてなかなか思うように進められなかった、だが、そんなのを気にせず進むウィッチたちもいた。

 

「あっぶないなナァ!大丈夫かサーニャ!?」

 

「うん。大丈夫……!」

 

サーニャと手を繋ぎながらビームの雨をかわしていくエイラ。未来予知のおかげでビームの弾幕すらもものともしない。

 

「やるねぇふたりとも!」

 

「私たちも負けてられないぞ!」

 

「えぇ~のんびりやればいいのにー」

 

ふたりの凄さを目の当たりにしたバルクホルンは俄然やる気をだしたが、ハルトマンの方は相変わらずだった。

 

一方、右翼側のリーネたちも苦戦を強いられていた。

 

「これじゃ近づけられないぞ!!」

 

「数が多すぎぃ!!」

 

先程のバルクホルンたちのように、ビームの弾幕により翼に近づけられていなかった。

 

「お二人共!!リーネさんを守るようにシールドを張ってくださいまし!リーネさんのライフルが、一発でも当たれば状況は変わるはずですわ!」

 

「おお!ペリーヌにしては良い作戦だな!!」

 

「めっずらしい!」

 

「おだまりさない!!!リーネさん!出来ますわね!?」

 

「は、はい!!」

 

ふたりの茶化し具合に苛立ったペリーヌは、半ば八つ当たりのようにリーネに狙撃するよう命じた。

 

ペリーヌの作戦どおり、3人がリーネの盾となり、右翼の一枚を撃ち抜こうと構えていた。

 

「3人でも結構持たないぞこれ!!」

 

「もう~!!!」

 

「リーネさん!!」

 

「いきますッ!!!」

 

準備が整ったリーネはライフルの引き金に指かけた。その時、左翼側のサーニャたちも同じ状況だった。

 

「エイラ……!!ここまででいい……!!」

 

射程圏内まで近づけられると、誘導してくれたエイラに止まるように言った。

 

「分かった!!でもサーニャが……!」

 

「私たちに任せろ!!」

 

「大尉にハルトマン!!」

 

エイラたちの前に現れたのは、シールドを張るバルクホルンとハルトマンだった。

 

「やっちゃえサーにゃん!!」

 

「はい…!!」

 

サーニャに対して乗り気なハルトマン。そして、ほぼ同時にリーネとサーニャは引き金を引いた。リーネのライフルの弾は真っ直ぐ右翼を撃ち抜き、サーニャのロケット団は左翼に命中すると爆発した。その結果、どちらとも装甲を破壊した跡になっていた。

 

『やったぁ!!』

 

双方、同時に歓喜した。倒せない相手ではないと分かると周りの士気も上がった。そして、この攻撃のおかげかネウロイからの攻撃が少し弱まった。

 

「今がチャンスですわ!リーネさん!その調子で繰り返していきますわよ!!」

 

「はい!!」

 

「よっしゃ!いくぞルッキーニ!!」

 

「うん!!!」

 

自分たちの戦いやすい状況になるとテンションが上がるシャーリーとルッキーニ。

 

「今度は私たちの番だな。サーニャ!チャンスがあればどんどん撃ち込んでいけ!」

 

「了解です……!!」

 

「ちぇ、今回は楽できるかなって思ってたのに」

 

「流石にそれは無いダロ……」

 

ハルトマンの発言にエイラは横目で眉をひそめた。

 

 

 

 

 

 

「すげぇ………」

 

ネウロイの頭部と思われる場所付近にいる足立たち。今の所ネウロイからの攻撃が来ていないために、501メンバーたちの戦いぶりを見ていた。

 

その様子を見ていた足立は思わず言葉を漏らした。

 

「あれが、お前ひとりでは出来なかったことだ」

 

「ひとりじゃダメでも、仲間がいればどんな困難だって乗り越えられるのよ。宮藤さんも覚えといてね」

 

「はい…!!」

 

足立を諭すように、坂本とミーナは優しく言った。

 

「さて、こっちはこっちの仕事だ。足立、コアは頭部の方にあるんだな?」

 

「ああ、気配を感じたのは頭側だ」

 

「どれどれ………」

 

足立の言う通り、コアがあるかを確認するため、坂本は眼帯を上げ魔眼を使った。

 

「…………………」

 

「どう?美緒」

 

「………どうもなにも……」

 

坂本に詰め寄ると、怪訝な表情をする坂本がいた。

 

「なにも無いぞ!コアの欠片さえ!」

 

「えぇ!?」

 

坂本が見えたのはなにもないネウロイの空洞部分だった。そこにコアの影も形もなかった。その意外な回答に宮藤は声を上げた。

 

「そんなはず……!!確かにそこに気配があるんだ!!」

 

「だが私には何も見えないぞ!!」

 

「どういうことなの………?」

 

坂本と足立の食い違いに神妙な顔をするミーナ。そんな疑問を抱いていると、坂本たちに気づいた大型のネウロイが攻撃を仕掛けた。

 

「くっ!!あまり長話してるヒマもなさそうだな」

 

ビームをシールドで防いだ坂本は冗談めいた発言をした。

 

「そうね。まずはコアを探すことに集中しましょう」

 

「よし。足立と宮藤は私の後に続け!一瞬でも気を抜くんじゃないぞ!!」

 

「はい!!…………足立くん?」

 

返事がなかった足立に振り向いた宮藤。そこには、何かに気づいたかのように目を丸くしている足立がいた。

 

「足立くん!どうかしたの!?」

 

(……少佐が見たのと俺の気配の感じ方が両方正しいとしたら………ここにいるコイツのコアは………)

 

「どうした足立!!返事がないぞ!」

 

まるで電池が切れたかのように反応しない足立に、怒鳴るように声をかける坂本。それを見ていたミーナと宮藤は不安そうな顔をしていた。しかし、足立は次の瞬間、驚くような事を口走った。

 

「少佐……コアの場所が分かった………」

 

「えっ!?」

 

「スゴイや足立くん!!」

 

「一体何処なんだ!?」

 

早く聞かせろと言わんばかりに、坂本は足立に詰め寄った。すると足立は、左手の親指で自身の心臓部を指した。

 

「………えっ?」

 

宮藤は一瞬理解が追いつかず、間の抜けた声が出た。あとの二人は真逆に、その意味を瞬時に理解した。

 

「それって…………」

 

「………ホントなのか?」

 

「……今この場にあるコアはここだけだ。つまりはそういうこった」

 

足立は冷静に淡々と説明した。自分の命とも言えるコアなのに、失うことに戸惑いの様子はなかった。

 

「少佐と俺の言い分が正しいとするならこうだ。俺のコアは元々アイツのモノだった。だから俺が元あった場所に反応してる…………筋は通ってるだろ?」

 

「確かにそうだけど………」

 

足立の言うとおり、筋は通っているが自身を納得させるには抵抗を覚えるミーナ。

 

「つーわけだ。少佐、銃を貸してくれ。手っ取り早くすんぞ」

 

「…………いや、私がやる。これは私の役目だ」

 

「……やっぱ強ぇなアンタ」

 

坂本の覚悟を決めた表情に、足立はフッと笑う声が出そうな、冷めた笑顔になってた。そして坂本は機関銃を足立に構えた。

 

「ま……待ってくださいッ!!!」

 

すると、今まで黙っていた宮藤が叫んだ。

 

『!』

 

そう叫んだ宮藤は、今度は大型ネウロイの頭部に向かって飛んでいった。

 

「宮藤さん!?」

 

「くっ!何をしてるんだ宮藤!!戻れ!!」

 

宮藤が行動にミーナは理解出来ず、坂本はインカムで必死に呼び戻そうとした。

 

「なにやってんだ!!バカ宮藤!!んな無駄なことすんじゃ……」

 

『諦めちゃダメだよ!!足立くん!!』

 

「!!」

 

あの足立も必死になって呼び戻そうとするも、宮藤から足立に向けて喝を入れられた。それを聞いた足立はハッとした表情をした。

 

「………諦めるもなにも……もう答えは決まってんだろ……」

 

『決まってないよ!!足立くんは言ってたでしょ!!あそこにコアがあるって!!』

 

シールドで防ぎながら攻防を繰り返しつつ、宮藤は前進していった。

 

「だからそれは俺のコアが……」

 

『私はその可能性を信じるよ!!』

 

「はぁ!?」

 

ムチャクチャな理論、理論かどうかも怪しいモノだが、足立にはまた理解出来ないものだった。

 

『それに!!さっき言ったもん!!足立くんが信じられないなら、私たちが信じるって!!』

 

「っ!!」

 

「宮藤さん……」

 

「宮藤……」

 

そう、先程宣言したのだ。宮藤は足立のことを信じると。だからこそ、一番初めの可能性を信じた。頭部にコアが眠っているのではないかと。坂本の魔眼で無いことは確認済みだが、それでも足立の言葉を信じようとした。

 

「くっ!!やあああああぁぁぁッ!!!」

 

なんとか頭部にたどり着けた宮藤。そしてがむしゃらに機関銃を撃ち続けた。しかし、この攻撃は無意味だった。前情報の通り、通常の硬さでないため、装甲はほぼ無傷だった。

 

「そんな!?」

 

わずかの希望になれば、と思った行動だったが自分には力不足だったと分からせられた宮藤。その時、インカムから声が聞こえた。

 

『芳佳ちゃん!!そこから離れて!!』

 

『私たちに任せてください……!!』

 

「リーネちゃん!!サーニャちゃん!!」

 

リーネとサーニャの声だった。宮藤は指示通りにその場を離れた。足立たちがいる方向に身体を向けると、いつの間にか501メンバーが合流していた。

 

「みなさん!!」

 

その光景に宮藤は歓喜した。

 

「ヤツの翼は全部折った!!」

 

「あとは頭だけだ!!」

 

「待って!あのネウロイのコアは………」

 

最終目標までたどり着き高ぶるバルクホルンとシャーリー。しかし、ミーナが水を差すようで申し訳無さそうに、メンバーに真実を言おうとしたその時、遮るようにハルトマンは言った。

 

「知ってるよ。さっき聴いてたしね」

 

「!」

 

そう、501メンバーはインカムを通じて全て知っていた。その上でコアがあると思われる頭部を破壊しようしていた。

 

そして、サーニャの持ってるフリーガハマーのロケット弾が、3発と着弾した。爆風でしばらく見えなかったが、煙が消え去ると装甲は壊れていなかった。

 

「壊れない………!!」

 

「私に任せてください!!サーニャちゃん!!」

 

サーニャの武器でさえも壊れなかった装甲。だが、よく見るとヒビようなものが入っていた。リーネはそれを見逃さなかった。全神経を集中させて、ヒビが入った場所に引き金を引いた。

 

「当たって!!!」

 

リーネが撃った弾は見事ヒビの場所に当たり、その部分の装甲が破壊された。

 

「やった!!」

 

『おおっ!!!』

 

「……………………」

 

喜ぶ宮藤と周りの501メンバー。しかし足立は浮かない顔をしていた。それもそのはず、そんなことをしても結果は変わらないと思っているのだから。

 

「コアは!?」

 

坂本が急ぐようにリーネに聞くと、リーネは悔しがるように声を震わせながら報告した。

 

「……………あ、ありません………」

 

「そんな…………」

 

リーネの報告に宮藤はおろか、周りはさっきまでの歓喜は消え去ってしまった。希望などなにもなかっただと言わんばかりに。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その行動は奇跡に繋がった。

 

「……………っ!?ねぇ!!あれ!!!」

 

最初に気づいたのはルッキーニだった。ルッキーニが指を指した方向は、先程破壊した装甲の場所だった。

 

「なッ……!!!!」

 

足立自身も信じられない光景だった。破壊した装甲の場所には、コアが現れ始めた。

 

「コアだ!!コアが出たぞ!!」

 

シャーリーが声を大にして驚いた様子だった。他のみんなも空いた口が塞がらなかった。

 

「どういうことなの………!?」

 

「………こんな初めてだ……」

 

ミーナも坂本も混乱していた。魔眼で見れなかったモノが、いま目の前に現れたのだから。

 

「だが、これで目標がハッキリしたな」

 

「アレがアイツのコアだね」

 

バルクホルンとハルトマンは目的を再確認した。その言葉に周りの空気も緊張が走った。

 

「………………」

 

「足立くん!!」

 

「宮藤……!」

 

放心状態の足立に話しかけてきたのは宮藤だった。

 

(……そういや、なんでバカ宮藤って言ってたか忘れてたわ………コイツは……)

 

「くっははは……!」

 

「えっ、な、なに足立くん?」

 

「いや、やっぱ……バカだろお前」

 

足立のその言い方は、初めて共闘した時と同じ、優しさが混じっている言い方だった。

 

「な、なんでいきなりそんなこと言われなくちゃいけないの!?」

 

「褒めてんだよ」

 

(仲間を絶対に信じるヤツだったってな……!!)

 

「褒められてないよ!!」

 

怒りを顕にする宮藤に対し、足立は次第にいつもの調子を取り戻しつつあった。それを見た坂本は安心したのか、指揮を取り始めた。

 

「……よし。お前ら!!よく聞け!!」

 

周りに集まっているウィッチたちは坂本の声に傾聴し始めた。

 

「ヤツの弱点が現れた!あとはアレを破壊するだけだ!誰でもいい!!ヤツを絶対逃がすな!!」

 

『了解!!』

 

坂本の掛け声にメンバー全員が返事をすると、散り散りになりながら大型ネウロイに向かっていった。

 

翼を折ったはずのネウロイだったが、それでも攻撃は緩まなかった。だが旋回速度などが低下しているため、逃すはずは絶対になかった。

 

「リーネさん!!回り込んで狙いないかしら!!」

 

「やってみます!!」

 

ミーナの指示通り、みんなとは正反対のほうに回り込み、ライフルを撃った。しかし………

 

「えっ!?」

 

リーネの撃った弾は、着弾する前にビームによって消し炭にされた。

 

「リーネの攻撃をを撃ち落としたのか!?」

 

「より鉄壁になった、というわけね」

 

予想外の防衛に驚くバルクホルン、その横で冷静に分析するミーナ。その顔は険しかった。

 

「あんなのどうやって当てろっていうんダヨ!?」

 

『なら……答えは決まってんだろ!!』

 

「!?」

 

インカムから足立の声がしたかと思った瞬間、ミーナの横を通過していったのは、足立とその後ろに付いていってる宮藤の姿だった。

 

「足立君!?宮藤さん!?」

 

「そういうことか!!ミーナ、足立に付いていくぞ!!」

 

「ちょっと美緒!もう!」

 

足立の作戦の意図に気づいた坂本は宮藤の後ろに付き、ミーナも渋々坂本の後ろに付くことにした。

 

「!、坂本さん!ミーナ中佐!」

 

「ハッ!アンタらふたりなら丁度いいや!!ギリギリまで近づくぞ!!」

 

「分かった!!」

 

「私達は何をすればいいの!?」

 

最後尾にいるミーナは足立に聞いた。先程の「丁度いい」ということは何か作戦があっての口ぶりだとミーナは推測した。

 

「………壁役だ!」

 

『!!』

 

「……はっはっはっ!隊長と副隊長を壁扱いか?」

 

予想外の役割に坂本は大笑いした。

 

「ギリギリまで近づけられるのはアンタらレベルだろ?最後はオレ一人で十分だ」

 

「!、…………分かったわ。アナタに従うわ!」

 

一見冷たい言い方にも見えるが、足立の性格から考えると、仲間のことを思ってのことだと理解したミーナ。足立の意思をを汲み取り、ミーナは足立の作戦に従った。

 

「宮藤!お前は俺に捕まってろ!」

 

「えっ!?足立くんに!?」

 

「お前は最後の切り札だ!最後にいなかったら話になんねぇんだよ!」

 

「わ、わかった!」

 

足立の言う通り、宮藤は足立から離れなように、腰に腕を回し、しっかり自身の腕を掴んでいた。宮藤は少し頬を赤らめていた。

 

「こ、こう?」

 

「あぁ!絶対ぇ離すんじゃねぇぞ!!」

 

「うん!」

 

宮藤が返事をするのと同時に、足立は加速した。

 

「すごい加速ね…!」

 

「我々も置いていかれるな!」

 

「えぇ!!」

 

坂本もミーナも足立の加速に追いつくように追いかけた。

 

そして当然、ネウロイからの雨のようなビームの攻撃が始まった。通常、これを全てかわしきるのは至難の技。しかし、足立はそれを難なくやってのけた。正確には紙一重、宮藤を連れているとはいえ、読みを一歩間違えれば共倒れになってしまう。そんな中、足立はやってのけ、宮藤は信じきるしかなかった。

 

「シールドを張っていたらタイムロスが出るなこれは!!!」

 

「それを彼はいつもやってのけているのよ!!」

 

坂本もミーナも足立に追いつくのに必死だった。いかに足立が並外れたことをやっているのか痛感した。

 

そして、先程リーネの弾を撃ち落としたエリアまで近づけた。

 

「来たぜ………中佐ッ!!」

 

「!」

 

「右だッ!!」

 

足立が示す方向に身体を向けると、例のビームが足立に向かって飛んできていた。

 

「させないわッ!!」

 

撃ち落とすビームはミーナのシールドによって防がれた。

 

「助かるミーナ!!」

 

『ここは任せて!!』

 

ミーナをその場で守らせ、足立たちは更に接近した。

 

「あとは近づくだけ……なわけないか」

 

「流石少佐、俺もそう思ってる。俺ならそうする。一回だけで防衛するわけないってな……!!」

 

足立がそう言うと、視界の左隅で赤く光る瞬間が見えた。

 

「少佐ッ!!」

 

「了解だッ!!!」

 

掛け声と共に、まるで阿吽の呼吸の如く坂本は左から飛んできたビームをシールドで防いだ。

 

「あとは頼むぞ!!宮藤!!足立!!」

 

残りのビームを避けつつ、コアに近づきつつある足立。坂本の言葉に返事もしないほど、前だけを見ていた。そう、背後からの攻撃が迫ってきていても。

 

「ッ!!足立君!!」

 

「足立ッ!!!」

 

ミーナと坂本はいち早く気づいたが、足立は振り向きもしなかった。聞こえてないわけでも、気づいてないわけでもない。背後は心配など最初からしていないのだ。なぜなら………

 

「……宮藤っ!!!!」」

 

「!!」

 

 

背中は任せる、宮藤

 

 

「任せて!!足立くん!!」

 

名を叫ばれた宮藤は、出撃前に言われたことを脳裏に思い出し、自分のすべきことを理解した。足立の背中を守ること。それが今の彼女のできることなのだ。

 

宮藤は足立から離れ、巨大なシールドを張った。

 

「ッッ!!!!!」

 

いくつものビームが迫ったが、その巨大なシールドのおかげで全てを受け止めきれてる宮藤。

 

「あとは………お願いッ!!足立くんッ!!!」

 

「………ああッ!!」

 

全ての関門を突破した足立。刀に手をかけ、コアはもう目の前、邪魔をするものはなにもない。

 

「今度こそ……終わりだッッ!!!!」

 

そして、コアとすれ違う瞬間、居合斬りの如くコアを斬った。

 

コアを斬られたネウロイは、どのネウロイとも同じく、うめき声を上げながら白い破片となり、辺りに砕け散った。

 

「……ネウロイの消滅を確認しました……」

 

「やったのか!!アイツ!!」

 

サーニャの報告を聞いて喜ぶシャーリー。

 

「あ、足立さんは…!!」

 

『!』

 

リーネの一言で、周りはざわついた。一番の問題、このネウロイを倒したことにより、足立にどんな変化をもたらすのか。まだ誰も知らない。

 

「足立くんッ!!!」

 

「…………………」

 

一番に足立に駆け寄る宮藤。ミーナと坂本はそれを見守ることにした。

 

「…………」

 

「足立くん……身体の方は……」

 

俯いている足立に宮藤は不安な顔になっていた。しばらく黙ったままかと思いきや、顔を上げ宮藤に振り向いた。そしておもむろに、宮藤の前に指を構えた。

 

「……えっ?」

 

呆気に取られた次の瞬間、宮藤の額にデコピンがクリーンヒットした。

 

「いっっっっったあああああいぃぃぃ!!!」

 

「おお、触れるみてぇだな」

 

インカム越しでもなく宮藤の悲鳴は全員に聞こえた。一瞬身構えた者いるが、少し様子を見た。当の足立はなにやら実験に成功したような言いぶりだった。

 

「いきなり何するの!?」

 

「いや、幽霊的な存在になったのかと思ってちょいと、な」

 

「確かめるためだけにやったの!?」

 

「おうよ」

 

「っっ!!!もーッ!!!足立くんなんか知らないっ!!!!」

 

「ありゃりゃ……」

 

宮藤の怒りは頂点に達し、ついには顔も見たくないという意思表示で足立に背中を、向けてしまった。足立はやりすぎたかと思い、少し反省した。

 

「………ま、これだけは言わせてくれ、宮藤」

 

「ふん!!」

 

「………結果は……なんにも変わってねぇや」

 

「…………えっ?」

 

足立の報告に宮藤は無視しようとしたが、耳に入ってきたのは意外な答えで、宮藤は思わず振り向いてしまった。

 

「今まで通り身体もあるし、コアもある。そして飛べてる。つまり、進展はナシってことだ」

 

「じゃ、じゃあ………足立くんが消えることも……」

 

「とりあえず今は無いみたいだな」

 

「っ!!!」

 

今まで消えるかと思っていた友人が消えなかった。そう思った宮藤は自然と涙が流れた。

 

「マヌケな結果にはなったが………ありがとう。宮藤」

 

「……うん……良かったね……足立くん!!」

 

「………あぁ」

 

涙を流しながら笑顔で歓喜する宮藤。足立も今まで誰にも見せなかったような、満面の笑顔で宮藤にお礼を言った。それを聞いていた501メンバー達も喜んでいる様子だった。

 

気がつけば、もう日が落ちかけ夕方になっていた。そんな夕日を背に501メンバーは基地に帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ミーナと坂本は宮藤一郎の墓標の前に立っていた。

 

「サーニャの時と今回のネウロイ。明らかに何かを狙って現れた様子だったな」

 

「そうね、今回の事で上層部も無視できないはずよ」

 

「連中はどこまで知っているのか………まだまだ闇は深いということか」

 

「だとしても、私たちは飛び続けるしかないわね」

 

「ああ、そうだな。飛び続けるしかなさそうだ」

 

上層部が何かを隠しているのではないか、ふたりはそう疑っていた。しかし、だとしても彼女らのすることは変わらなかった。空を飛び、ネウロイを倒す、それに変わりはなかった。

 

そんな険しい顔をしていると、墓標の下にある沢山の花に目が入った。その中には1枚の写真が添えられており、ミーナと坂本はその写真を見てクスッと笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

30分程前。

 

「なんで俺まで………」

 

「だって、足立くんもお父さんの知り合いなんでしょ?」

 

「そりゃそうだけど………」

 

沢山の花束を抱えた宮藤と足立。宮藤一郎の墓標に向かっていた。墓標に供えるため、ふたりで運んでいた。

 

「あ、見えた!」

 

崖の上の墓標が見えると、宮藤は大きな声が出た。宮藤の後を追いかけるように、足立は付いていった。

 

「………ただいま、お父さん……」

 

宮藤は墓標の前にしゃがみ込み、花束をお供えすると、そこに宮藤一郎がいるかのように墓標に語りかけた。

 

「ただいまって言ったら、なんか変かな?あはは………私ね、ウィッチ隊に入ったんだ」

 

その語りかける様子を、足立は遠くから傍観していた。

 

「部隊の人たちがみんな優しくて強くて面白い人たちで、私なんかみんなに追いかけるのでいっぱいいっぱいだよ。ははは………」

 

照れくさそうな笑いが、宮藤から聞こえた。

 

「けどね、それでも私頑張れるんだ。お父さんとの約束を守るために、大勢の人を助けるために………だから………」

 

そこまで言いかけると、宮藤の目尻から涙が出そうなになっていた。これ以上話していると、きっと止まらなくなる。宮藤はそう思っていた。その時、宮藤の視界から花束が落ちてきた。

 

「!、足立くん……!」

 

花束を乱暴に置いたのは足立だった。墓標に話していると足立の存在を忘れていた様子だった。

 

足立は宮藤の横に立ち、墓標を見つめながら語りかけた。

 

「久しぶりだな。博士」

 

足立の顔は険しく、堂々とした表情だった。

 

「ホントなら、俺もそっち側にいたはずなんだけどな。どういうわけか残ってるわけだ。アンタの娘のおかげでな」

 

「!」

 

宮藤は自分の事を指しているのを察した。

 

「どんだけ可能性が低くても、どんだけ自分を信じられなくても、ソイツは信じてくれるんだ。それに俺は救われた」

 

嫌味でもなく、素直に自身の本音を伝える足立。

 

「そういや、アンタもそうだったな。親子揃って世話になってやがるわ」

 

「足立くん……」

 

「だから今度は俺の番だ。俺が飛んでる限りは、アンタの娘を死なせはしない。それが俺なりの借りの返し方だ」

 

「!」

 

決意に満ちた表情、覚悟を決めた足立。また足立も、宮藤の行動で心を動かされたひとりなのかもしれない。その決意に宮藤は驚いていた。

 

「そういうことだから、安心して眠りやがれ。博士」

 

「………………」

 

口が悪い言い方だが、彼なりの優しい言葉だった。それを聞いた宮藤は、無意識に微笑んでいた。

 

そう言い残した足立は、墓標から離れていった。足立を追いかけようと立ち上がった宮藤だが、あるもの供え忘れていたのをに気づき、花束の前に置いた。

 

「じゃあまたね、お父さん」

 

宮藤の別れの挨拶には優しさが残った言い方だった。またここに来れるよう祈るように。

 

「待ってよー!足立くーん!!」

 

墓標の前には写真が置かれていた。その写真には坂本とミーナ以外の501メンバーが写った写真だった。その様子からは、宮藤とサーニャの誕生会を祝っている写真だった。それぞれが笑顔に写っているのに対し、足立は少々不満そうな顔をしていた。

 

その写真にはメッセージが書かれていた。

 

『15才になりました 芳佳』

 

『サーニャちゃんは14才です!』

 

 

 

つづく




お疲れさまです。

思ったよりも投稿が遅れたと思っております………構成はずっと前から出来てましたが、戦闘の流れを主に見直していたら違和感ありまくりでずっと考えていました。

もはやプロポーズに近い宣言をしましたが本人たちはそうは思ってないです。
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