ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡   作:sontakeda

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アニメ1期4話後からの話となります


第1章 ストライクウィッチーズ編
第1話 人間ネウロイ Aパート


1944年、5月。

第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズ基地、執務室にて。白い軍服を着た少女と緑色の軍服を着た少女達が、険しい顔をしながら話していた。

 

「ネウロイが消える?」

 

「ええ」

 

ありえない、と言いたげな顔をしてるのは坂本美緒、階級は少佐。冷静な顔をして話しているのはミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ、階級は中佐。

 

「逃がしたとかじゃないのか?」

 

「いいえ、さっきも言ったとおり、出撃要請があって現場に向かうと、もうそこはもぬけの殻になってたみたいよ」

 

ミーナは、机の上の報告書を広げながら説明した。

 

「観測班の誤報かと思って調べてみたけど、間違いはなかったわ」

 

「ふむ……」

 

坂本は書類を見ながら顎を指で抑え、考えるような仕草をとった。

 

「ただ、面白い報告もあるわ」

 

「と言うと?」

 

「ネウロイが現れた現場に行くと、地面にネウロイの破片が確認されたの」

 

「ネウロイの破片があって、ネウロイが消えた………」

 

事実を確認して考えうる答えを察した坂本。

 

「まさか……ネウロイが倒されたのか!?」

 

「その可能性があるわね」

 

坂本と同じく、ミーナもその考えに行き当たったらしく同意した。

 

「一般人には無理だろ?」

 

「私もそう思ったわ、けどこの消えた日には、他のウィッチが出撃した形跡はないのよ」

 

「………ネウロイ狩りでもやってるのか?」

 

「だったら私達はお払い箱ね」

 

坂本の冗談にミーナは呆れた様子で軽くあしらった。

 

「とにかくそういう不可解なことがあるから、念の為気をつけてね」

 

「ああ、わかっ……」

 

坂本が返答しきる前に、基地全体に響き渡るようなサイレンが鳴った

 

「敵か!!」

 

坂本はすぐさま襲撃準備に向かった。

 

 

 

 

 

 

場所は森林地帯、その上には6人のウィッチが飛んでいた。

 

「敵は大型が1機だ、油断するな」

 

坂本は他のウィッチに注意を促した。

 

「ふぁ~、早く帰って寝たいなぁ~」

 

「少佐がいま油断するなと言っただろ」

 

「だって~」

 

眠そうに欠伸を手で覆い隠す仕草をしたのは、エーリカ・ハルトマン中尉。これでもスーパーエースのひとり。隣で緩みきった態度を叱っているのは、ゲルトルート・バルクホルン大尉。ふたりはカールスラント出身で相棒でもある。

 

「リーネ、宮藤、ペリーヌ、お前らも1機だけなら、だとは思うな。コアを破壊して消滅するまでは安心できないぞ」

 

『了解!』

 

坂本の忠告に気を引き締める3人。リネット・ビショップ軍曹と宮藤芳佳軍曹、そしてガリア出身のペリーヌ・クロステルマン中尉。3人の中では彼女が実力者だ。

 

「特に宮藤さん、これは訓練ではないのですわよ?もしあんな飛び方をしたら許しませんからね?」

 

「わ、わかってますよ!」

 

ペリーヌの余計な一言にムッとする宮藤。それもそのはず、初めての戦場で初めてストライカーユニットを履き、訓練も無しに一発で離陸に成功し、戦場に貢献したという逸話があるが、訓練ではその力を発揮されず、やはりというべきかド素人レベルだった。

 

「ったくお前ら……ッ!!」

 

坂本が再び注意しようとしたところ、長年ネウロイと戦ってきた経験か、気配を感じ取り右目の眼帯を外して魔眼を発動させた。

 

「いたぞ!距離4000!!大型ネウロイを確認!!」

 

坂本がおおよその距離を報告すると、ウィッチたちは真剣な表情になり、戦闘モードのスイッチが入ったようだ。

 

「どうやら今回はいるようだな……」

 

「?、どうかしたんですか?坂本さん」

 

「いやこっちの話だ、いくぞ!!」

 

「はい!!」

 

「!!、待って!!」

 

坂本の掛け声で一斉に飛び出そうとした瞬間、ハルトマンの視界の隅で、森林からネウロイに向かって何かが飛び出してくるのが見えた。

 

「なんか森から飛んでるよ!?」

 

「ウィッチか!?」

 

困惑するハルトマンとバルクホルン、その横で坂本が魔眼で謎の飛行物体を確認する。

 

「アレはウィッチじゃない!!」

 

「じゃあネウロイ!?」

 

「いや、ネウロイでもないぞ!?」

 

宮藤の発言を否定する坂本。リーネがその乗っている物体を確認する。

 

「なにか……白い板に乗って飛んでるみたいです!」

 

「ストライカーユニットじゃないのか!?」

 

リーネの報告に驚愕するバルクホルン。

 

「全機待機!!このまま様子を見る!!」

 

「て、手伝わなくていいんですか?」

 

「敵か味方か分からないからな、味方なら無線に報告が入るはずだ」

 

「な、なるほど」

 

(仮に例の犯人だとしたら……あの大型は……)

 

宮藤の疑問に坂本は理由を話した。そこには坂本の思惑があった。出撃前のミーナの話を思い出し、ネウロイが消える犯人だとしたら、ここであの大型ネウロイを倒せるとふんだ。

 

白い板に乗った謎の人物、顔は黒のローブで隠されてて確認できなかったが、その実力は只者では無かった。わかりやすく表現をするならば、人間とハエである。ネウロイが黒ローブの人物に赤いビームを浴びせようとするが、針の間を縫うかのごとく避けられる。目の前にビームの壁があっても急停止し、ほぼ直角に横に避け、ギリギリで当たらない間合いを維持していた。

 

「アイツ、すっごく上手くない?」

 

「あぁ、そこらのウィッチのレベルではないぞ」

 

ビームの避け具合に感心するバルクホルンとハルトマン。

 

「す、すごい……」

 

「あんな動き……見たことないです……」

 

「見事ですわね………」

 

後衛の3人も、素人目から見てもその動きは逸脱してることを理解した。

 

(あんな動き、ウィッチの動きではない………一体何者なんだ……?)

 

坂本はそのウィッチでもない飛行物体に不信感を抱いた。

 

様子を見続けてると、ある変化があった。黒ローブの人物は、腰に下げてる刀を抜刀していた。

 

「刀だと!?」

 

「近接でやり合う気か……!!」

 

意外な武器を取り出してきたことに驚愕したバルクホルンと坂本。刀でネウロイに攻撃するならば、ネウロイの目の前まで近づいて切りつけなければならない。つまりは銃で攻撃するより危険な攻撃方法なのだ。

 

しかし、そんな難しさも感じさせないように、黒ローブの人物は次々にネウロイを切り刻んで表面の装甲を破壊していった。すると、ネウロイの中からコアが発見された。コアを確認すると黒ローブの人物は急旋回し、コアに向かってトップスピードで突っ込み、すれ違うのと同時にコアを切り裂いた。

 

『………………』

 

「ひとりで……倒しちゃった……」

 

ひとりで大型ネウロイを倒したことに唖然とし、誰もが言葉が出てこなかったが、宮藤は思ってることが口に出てしまった。

 

ネウロイは白い破片となって消えていくのを確認すると、黒ローブの人物は森の中へ消えていこうとしていた。

 

「あ!帰ろうとしてるよ!!」

 

「逃がすな!!確保するぞ!!」

 

『了解!!』

 

坂本の指示に全員は、謎の人物の消えていった方向に飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

ひと仕事を終えたかのように、黒ローブの人物は白い板は布を被せ背中に背負うようにし、刀も鞘に収め森を出発していた。

 

「今日も1機、しかもなーんか様子おかしかったんだよなぁー」

 

独り言を言いながら今日の戦ったネウロイについて考えいるようだった。

 

「大型がこんなとこに単体で来るなんて………なにか意味があったのか………?」

 

そんな考え事をしていると、遠くの方からエンジン音が聴こえてきた。

 

「あ?ウィッチ?」

 

エンジン音が近づいてくるのが分かったのと同時に、黒ローブの人物は走り出していた。

 

「やっべ、流石に今回は出るの遅かったからなぁ、そりゃ近くにいるわな」

 

少しでも隠れられそうな場所が無いが探すがどこも見当たらない。すると、目の前で大きな声が響いた。

 

「止まれ!!」

 

「!」

 

黒ローブの上から現れたのは坂本だった。その大声に急停止した。

 

「ようやく捕まえたぞ」

 

坂本が足止めしていると、後から続いていたウィッチが全員集まり、謎の人物を囲むように銃を向けた。

 

「げっ、こりゃ……流石にどうしようもないか?」

 

「武器を捨て、手を上げろ!!」

 

「はいはい、しょうがねぇな」

 

「………………」

 

黒ローブはあっさり坂本の忠告を受け、刀を地面に投げ捨て、白い板が入ってる袋も置いた。坂本の予想ではてっきり抵抗するかと思ったが、今はその様子は無いようだ。

 

「んで?どうする気だ?」

 

「………………」

 

四方を銃に囲まれて怯える様子もない。むしろ余裕があるように見える。坂本はなにか裏があるんじゃないか、と勘ぐってはいたが、一番気になること確認した。

 

「そのフードを取れ」

 

「………へいへい」

 

(さっきから………この声って………)

 

宮藤は銃を構えながらやりとりを見ててひとつ思ったことがあった。声が低い。ウィッチであれば聞き慣れた女性の声が聞こえてくるはずだが、宮藤はその違和感に気づいた。

 

「なっ!?」

 

『えぇっ!!??』

 

黒ローブを取ると、その顔は男だった。見た目は宮藤達と変わらなそうな顔立ち、黒のタンクトップに軍用の黒いズボンも履いてるのが分かる。意外な正体にウィッチたちは困惑した。

 

「………男の……子……?」

 

宮藤は人間とわかると銃の構えを解き、確認するようにまじまじと凝視した。

 

「いったい何者なんだ……お前」

 

「ただの一般人だ、って言ったら見逃してくれるか?」

 

「ふざけるな!真面目に答えなければ撃つぞ!」

 

少年が楽観的な態度をみるや、バルクホルンは両手に持ってる銃を改めて突きつけた。

 

「なら……心臓を狙えよ?」

 

「なに!?」

 

「………なぜ心臓だ?」

 

予想外な答えに困惑するバルクホルン。少年の発言に違和感を感じ、質問をする坂本。

 

「それは撃ってみればわかるんじゃないか?」

 

「………………」

 

「坂本さん………」

 

ホントに撃ってしまうのではないかとハラハラする宮藤。しかし、坂本は考えていた。なぜ心臓を狙えと言ったのか。楽になりたければ頭を狙え、と言えばいいはず。なのに心臓を指定してきた。なにか意味がる、と考えた坂本はあることを思いついた。

 

「いやそんなまさか………」

 

坂本の考え、そんなバカバカしいことがあるはずない、と思いつつ自身の眼帯を外し少年を見た。

 

「ッッ!?これは………!?」

 

「どうかなされたんですか?坂本少佐!」

 

「坂本少佐!」

 

坂本の反応に心配するペリーヌとリーネ。

 

「アンタ、魔眼使いか?」

 

「………………」

 

「ハハッ、なら話が早いな。俺を殺すか?」

 

坂本が魔眼使いとわかった瞬間、少年は真剣な目に変わり坂本に質問を投げた。

 

「………いや、連行する」

 

『ええっ!?』

 

「ホントに!?」

 

「本気ですか!?坂本少佐!!」

 

全員が驚いた声を出し、ハルトマンとバルクホルンが聞き返す。

 

「ああ、コイツは基地に連れて行く、いろいろ聞きたいことがあるしな」

 

「………………」

 

少年はてっきり殺されると覚悟をしていたが、予想とは違う答えが返ってきて少し驚いた様子。そしてそれは、運命の分岐点だったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

基地に帰還した501メンバー。坂本は少年を連行してミーナが居ると思われる執務室へ。それ以外は休憩を取ろうと思い食堂へ集まっていた。

 

「男が空を飛んでネウロイを倒したぁ?ホントかよそれ」

 

「ウッソだぁ~!」

 

バルクホルンからの話を聞いて半信半疑な反応を見せたのが、シャーロット・E・イェーガー中尉。そして完全に信じてない顔をしてるのが、フランチェスカ・ルッキーニ少尉。

 

「本当だ!」

 

「正体見たときはビックリしたよ~」

 

そのときの感想を話すハルトマン。

 

「なんで、男性の人が空を飛べたんですかね?」

 

「男じゃなくて実は女だったりとかしナイカ?」

 

リーネの疑問に、タロット占いをしながら可能性を投げかけたのは、エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉。そのとなりで椅子に座りながら眠ってるのは、サーニャ・∨・リトヴャク中尉。

 

「いや、声質的にも体格的にも完全に男だった」

 

「男の人って、ホントは空を飛べないはずなんですよね?」

 

「そんなの当たり前ですわ、そもそも、魔法力を持つのは女性だけって決まってましてよ?」

 

宮藤の確認にペリーヌが答えるものの、どこかトゲがあるような言い方だったが、宮藤はいつもどおりのことだと思いスルーした。

 

「唯一気になるのは、少佐が魔眼で何を見たか、だな」

 

「それで?その男はどうしたんだよ?」

 

「………この基地に連行してある」

 

 

 

 

 

執務室。執務室の椅子には、両手を顎の前で握り、困惑している表情を浮かべいるミーナが座っていた。その机の前には、手錠をされて手の自由を奪われた少年が立っていた。坂本は壁の付近に立っており、いつでも刀が取り出せるように、足の横に杖の代わりみたく立てていた。

 

「………ホントに、あなたが例のネウロイ消失事件の犯人ですか?」

 

「……犯人かどうかは知らねぇけど、「倒した」のは事実だ」

 

「………まさか男の子だったなんて………」

 

ミーナも同じく信じられないという反応。

 

「そもそも、どうやって空を飛べたの?」

 

「コイツに乗ってるからだ」

 

坂本は少年が乗っていた白い板のボードを一緒に持ってきていた。

 

「それは?」

 

「ストライカーボードだ」

 

「ストライカーボード?聞いたことないわね」

 

初めて聞く単語にミーナは眉をひそめる。

 

「私も最初は気づかなかったが、コイツは宮藤博士の研究チームがストライカーユニットを作る前に考案したひとつのユニットだったが、バランスや性能に問題ありとなって頓挫したやつだったんだ」

 

「………なんでそんなもの?」

 

ミーナは少年に目を向けた。

 

「たまたまあったやつを、ちょーっと借りただけで……」

 

「ウソだな」

 

「チッ……」

 

少年の明らかな嘘に坂本は遮断する。

 

「まぁでも、今その話は別として、どうして貴方はストライカーで飛べるの?」

 

「そこの……えーっと、坂本……少佐?が察してると思うぜ?」

 

「………どういうこと美緒?」

 

坂本はミーナの方に向き直し、息を整えて発言した。

 

「……単刀直入に言う、コイツの心臓にコアを発見した」

 

「ッッ!?それホントなの!?」

 

思わず椅子から立ち上がるミーナ。

 

「ああ、理屈はわからんがひとつだけ分かることある」

 

坂本は人差し指を顔の前に立てながら話した。

 

「ネウロイのコアがあるからヤツはストライカーで飛べるということだ」

 

「そんな無茶苦茶な………」

 

「事実そうなってる」

 

事態に理解が追いつかないミーナと坂本。だが坂本は冷静に、今起きている事実を受け止めていた。

 

「………生まれた時からそうなの?」

 

ミーナは自分を落ち着かせ、改めて少年に別の質問をした。

 

「いーやまさか、5年前の11の時からだ」

 

少年は目を閉じ、嘲笑うかのような口調で話した。

 

「5年前……第二次大戦が始まった年か」

 

「ああ、7歳の時までは扶桑に居たんだが、親父の仕事でこっちにきて5年後にネウロイの攻撃で、俺も一緒に死んだ」

 

「……死んだ?」

 

坂本は眉をひそめた。

 

「死んだ、と思った。けど俺は目が覚めたんだ、奇跡かと思ったさ」

 

少年は淡々と話を続けた。

 

「けど身体はボロボロ、とても動けるような状態じゃなかった。だが、胸に違和感を感じたんだ」

 

手錠に掛けられた手を、自分の心臓の位置にもっていき、親指で自分の心臓を指した。

 

「その時だ、自分の心臓にコアが埋め込まれてるって知ったのは」

 

「………………」

 

「そっからだ、俺がネウロイを倒すようになったのは」

 

少年が一通り話し終えると、先程のように楽観的な表情に戻った。

 

「………母親は?」

 

「いねぇよ、俺を生んですぐに死んだ」

 

「なら親戚の人は………」

 

「いねぇよ誰も」

 

「えっ!?」

 

少年の返答に驚きを隠せなかったミーナ。

 

「親も親戚も、親の兄弟や親族も、もういねぇし」

 

「それってまさか………」

 

「天涯孤独、ってやつだな」

 

「………………」

 

少年はミーナに笑いかけるような笑みの表情で返すが、その笑みはどこか悲しそうな感じがした。

 

「さーて、俺のことはだいたい知ってもらえたかな?」

 

少年はおちゃらけた言い方でミーナと坂本に聞いた。

 

「そこでひとつ、提案をしたいんだが?」

 

「提案?」

 

「ああ」

 

少年はミーナの前に顔をズイっと近づけて言い、その表情はなにか企んでる様子でもあった。

 

「――――――――」

 

「――――――――」

 

「そんなこと………認めることなんてできるわけが!!」

 

「ありゃ、やっぱダメか?」

 

少年の提案にミーナは否定的だった。

 

「いや待てミーナ」

 

「美緒!?」

 

「確かに普通はありえない、が、戦力に目を向けるならばアリかもしれん」

 

「戦力の前に彼は……!!」

 

「一個だけ聞きたい、なぜネウロイを倒すんだ?」

 

坂本の言葉に少年は、真剣な表情で返した。

 

「それが俺の出来る事だからだ」

 

「………………」

 

少年の表情に偽りはないと坂本は認識した。

 

「ミーナ、私は賛成だ」

 

「ホントに言ってるの美緒……?」

 

「少なくとも私達の敵ではない、と思うが?」

 

「………私は反対だわ、他の隊員たちを危険に晒せない」

 

「ハハハッ!!これじゃあ永遠に決められねぇな!だったらもうひとつ、提案があるが?」

 

二人のやり取りを見て少年は笑いがこぼれて、またひとつ、提案してきた。

 

「………どんな提案だ?」

 

「いまの俺の話を踏まえて、他のウィッチたちに聞いてみたらどうだ?」

 

「ウチの子たちに?」

 

「……確かに、お互いが譲らないのであれば、それがいいかもな」

 

「………分かったわ、それでいきましょう。ただし、こっちから条件があります」

 

少年の提案に坂本は乗り気でミーナはついに折れた。だが、少年の提案に条件を付けてきた。

 

「なんだ?」

 

「もし、ひとりでも反対の人がいたら、その話は無かったことにします」

 

「ひとりでもって、ミーナそれは流石に……」

 

「いいぜ、それで」

 

「!」

 

坂本の言葉を遮り、承諾する少年。

 

「わかりました、では他の子たちをブリーフィングルームに集めてくるから、待っててください」

 

「はいよ~」

 

ミーナは椅子から立ち上がり、執務室を出ようとした時、肝心な質問をし忘れてることを思い出し、ふり返りながら少年に聞いた。

 

「最後に聞き忘れてたけど、あなたの名前は?」

 

「……足立進也だ」

 

足立はミーナと同じく、顔だけふり返りながら自分の名前を言った。その表情は絶望的な顔ではなく、挑戦的な顔だった。

 

 

 

 

 

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