ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡   作:sontakeda

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第12話 メッセージ Aパート

「ハァ……ハァ……!!」

 

無我夢中で走っている人物、白衣がボロボロになっており所々から出血していた。それは足立宗次郎だった。何かから逃げるように、必死に入っていた。

 

(このコアさえ無ければ……あの計画は……)

 

宗次郎の白衣のポケットにはネウロイのコアが入っていた。宗次郎はどこかから盗みだし、そこから逃げている様子だった。正確に言えば、向かっていると言ったほうが正しい。その向かっている場所とは……。

 

「進也!!!」

 

「!!」

 

向かっていたのは、自分の息子が寝泊まりしている宿舎だった。ドアを勢いよく開け、息子の名前を呼んだ。名前を呼ばれた進也はビクッとい呼ばれた方向をみると、信じられないと言った表情をしていた。

 

「お、親父!!一体なにをして……!!」

 

「話は後だ!!今すぐここから逃げ……」

 

宗次郎が指示を仰ぐその瞬間、二人はけたたましい爆音と爆風に巻き込まれてしまった。ネウロイの攻撃だった。

 

 

宗次郎は死んだと思った、目が覚めるまでは。次に目が覚めたときは、辺りは火の海、ボロボロの建物、眼の前には出血し倒れている進也。その姿を見て宗次郎は悟った。息子は生きていないと。

 

「し……進…也ァ……!!!」

 

声を上げるのも辛い状況の中、宗次郎は息子の名前を呼び続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネウロイの巣にて、映像には足立の父、足立宗次郎がネウロイのコアを自分の息子、足立進也に差し出そうとする映像が流れていた。宮藤と足立はそれを見て驚愕していた。

 

「これ……足立くんのお父さんが持ってるのって……」

 

「ネウロイの……コアだ……」

 

「じゃあ……足立くんをネウロイにしたのは……」

 

「…………親父だ」

 

足立はいつにもなく動揺していた。実の父親が犯人だったとは、可能性はあったが当たってほしくはない可能性だった。

 

しかし、足立は動揺しつつも拳を握りしめ、考える事を止めなかった。

 

(……何のためだ?俺をネウロイにして何をしたかったんだ……?)

 

「……………」

 

「足立くん………」

 

俯いたまま微動だにしない足立を見て、宮藤は心配になった。

 

その様子をじっと見つめる人型ネウロイ。その時、ネウロイはふたりの前から突如姿を消した。

 

「!?」

 

「あっ!!」

 

突然消えた事にふたりは驚き、足立は身構えた。次の瞬間、足立の頭に再びネウロイの言葉が聞こえてきた。

 

ニ ゲ テ

 

「っ!?、どういうことだ!?」

 

「足立くん!?」

 

突然のネウロイの言葉に足立は思わず叫んだ。その様子に宮藤はビクッとした。

 

 

 

 

 

 

 

一方、ネウロイの巣の外側にて。

 

「芳佳たち……出てこないね……」

 

心配するルッキーニ。他のウィッチたちも同じだった。中で何が起きているのか、不安が襲いかかる思いだった。そんな時だった。

 

『!!』

 

例の人型ネウロイがウィッチたちの眼の前に現れたのだ。

 

「さっきのヤツだ!!」

 

「芳佳たちは!?」

 

「居ない……!」

 

「やはり罠か!!」

 

一番に反応するハルトマン。次に宮藤と足立の心配するルッキーニ。周りを確認するミーナに声を荒げるバルクホルン。そしてミーナは攻撃指示を出した。

 

「ブレイク!!」

 

『了解!!』

 

ウィッチ5人が攻撃体制に入った。しかし、どこからか、ネウロイでもウィッチでもないモノが彼女らの前に音速の如く現れた。

 

「なに!?」

 

その姿にバルクホルンが驚いた。ミサイルのような形をした飛行機と言っていいのか、全く見たことがないものだった。その飛行機から、ネウロイに向かって銃弾の雨を浴びせた。銃弾の雨を当てると破壊音と共に煙が舞い、飛行機はそこを突っ切り旋回し始めた。煙が晴れ始めると、人型ネウロイは銃弾を喰らったはずが、無傷の様子だった。

 

すると、今度はネウロイの反撃が開始。直立不動になりながら目の前に無数のビームを発射。小型ネウロイの数十体分のビームをいっせいに撃ってきた。

 

「ッ!!!」

 

「こんなすごいビーム初めてだよ!!」

 

「キッツイね……!!」

 

バルクホルンもシールドで防ぐしかなく、ルッキーニとシャーリーもかろうじて避けていた。

 

「さっきのは!?」

 

「なんだアイツは!!」

 

「………あれは……」

 

ハルトマン、バルクホルン、ミーナの3人は例の機体に目を向けていた。すると、次に機体が目に入った時には変形しており、頭部から手足のような形が生えており、ビームを跳ね除けていた。そして、そこらのネウロイとは比較にならない威力のビームを、人型ネウロイを巻き込む形でネウロイの巣に放った。

 

一方、ネウロイの巣の中にいる足立と宮藤、足立は外の異変を感じとり、脱出を考えた。

 

「一旦外に逃げるぞ宮藤!!」

 

「う、うん!!」

 

その瞬間、外からの謎の機体のビームがコアごと巻き込み中に貫通してきた。

 

「わあぁ!!!」

 

「ッ!!!」

 

足立は宮藤の手を取り、間一髪ビームを避けきれた。

 

外ではウィッチたちが集まり、謎の機体について話し合っていた。

 

「アイツ強いよ!!」

 

「なんなんだアイツ!ネウロイを一撃で……!!」

 

「分からん……!」

 

戦闘経験から強さが尋常ではないことを感じるハルトマンとシャーリー。バルクホルンも混乱し敵味方なのか判断がつかなかった。

 

「………あぁっ!!!芳佳たち居るよ!!」

 

ルッキーニが視界の隅でチラッと見えたのは、ネウロイの巣から脱出していた宮藤と足立の姿だった。ルッキーニとシャーリーはすぐにふたりの下へ飛んだ。

 

「………………」

 

一方、謎の機体は人型ネウロイの反応が無くなったのを確認すると、再び飛行形態に変形し、その場を音速で去った。その姿をミーナは気になり、見つめ続けていた。

 

「芳佳!大丈夫だった?」

 

「う、うん………」

 

心配するルッキーニに対し宮藤はなにかが気がかりだった。すると、唐突にバルクホルンが足立と宮藤に銃を構えた。

 

「えっ!?」

 

「おいバルクホルン!!」

 

戸惑う宮藤とウィッチたち。その場をシャーリーが止めようとするが、バルクホルンはチラッと目線をミーナのほうを見て淡々とこう言った。

 

「ミーナ、ふたりの発泡の許可を」

 

「!」

 

目線をふたりに戻すバルクホルン。その時、足立にはどういう意味なのか理解でした。そして、さりげなく宮藤の前に立ち両手を上げて言った。

 

「足立くん……?」

 

「あー、前にもこんなことあったな……ひと思いで頼むぜ?」

 

『!?』

 

足立の潔さにシャーリーとルッキーニは驚き、宮藤は声を荒げた。

 

「足立くんなに言ってるの!?私のせいなのに……!!」

 

「………………」

 

その様子をミーナはジっと見て、ため息を吐き次の強い言葉を放った。

 

「宮藤軍曹!足立進也!無許可離隊及び反逆行為の罪で基地まで拘束します!」

 

『!』

 

「えっ……」

 

「………………」

 

ミーナの行動に全員が驚いた。上層部からでは二人を撃墜しろと言われていたはずなのに、それを逆らうような命令を下した。宮藤も思っていた展開と違い戸惑っていた。足立はただ手を上げたまま何も言わなかった。

 

基地に帰投中、足立はバルクホルンに銃を突きつけられながらも話し始めた。

 

「おいおい、俺たちふたり殺せって言われたんだろ?なのにこのまま基地に戻っていいのかよ?」

 

「おい、私語を慎め!」

 

背中に銃が当たっているはずの足立は変わらずの軽口で話し、バルクホルンはそれに大声で怒鳴った。

 

しかし、後ろにいるバルクホルンに目線を向けながら足立は続けて言った。

 

「その前にインカムで基地に相談してみてもいいじゃねぇか?」

 

「!…………いいから黙れ、裏切り者」

 

「っ!はいはい……」

 

バルクホルンは足立の両腕を後ろに回し拘束した状態で耳元で小声で言った。キツく腕を後ろに捕まれた足立は冗談が通じないと判断し、これ以上は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

 

一方、同じ頃。基地のほうでは車椅子に乗った坂本と、付き添いのペリーヌが真っ暗な格納庫で何かをしていた。

 

「……これでいいですか?」

 

「すまん、もうちょっと奥に……よしそれでいい」

 

真っ暗でなにも見えない状態、しかしふたりは何かの策を講じているようだった。

 

その時、真っ暗な格納庫にいきなり光が照らした。

 

「きゃあ!!」

 

「……始まったか」

 

驚いたペリーヌは坂本に抱きついてしまう形になった。坂本も何が起こるかは予想していたようだった。

 

足立と宮藤を連れて基地に帰投しているウィッチたち。基地が見えた頃、滑走路にはなにか人が集まっているように見えた。

 

「あれ?誰かいるよ?」

 

ルッキーニが指した方向を見ると、滑走路の中心に銃を持った兵士が円で囲っており、中央に上官らしき人物が立っていた。

 

そして帰投したウィッチたちはその上官の前に降り立った。

 

「ごくろうだった、ミーナ中佐」

 

上官の正体は空軍大将のマロニーだった。

 

そして上空には先程の機体が飛んでおり、人型に変形しマロニーの後ろに降り立り鎮座した。少し前に目撃した機体を前にウィッチたちはざわめきだした。

 

「さっきのだ……」

 

ハルトマンがそう口からこぼれた。そう思った次の瞬間。

 

『!?』

 

ブリタニア兵たちがいっせいにウィッチたちに銃を構えてきた。その状況にマロニーは不敵の笑みを浮かべ、対象的に宮藤は怯えた表情をしていた。

 

「まるでクーデターですね、マロニー大将」

 

ミーナは相変わらず、皮肉めいた発言をした。

 

「命令に基づく正式な配置転換だよ、ミーナ中佐」

 

正式な書類の紙を1枚をこれ見よがしに見せ、マロニーは続けて言った。

 

「これより私の配下である、第一強襲部隊、通称''ウォーロック''が引き継ぐこととなる」

 

「ウォーロック……?」

 

その名前を聞いたとき、ミーナは怪訝な表情になった。先ほどの機体の名前だと推察された。

 

そして、基地に残っているウィッチたちが続々と集まりだし、坂本と足立は刀を没収され、武器という武器は全て取り上げられてしまった。

 

滑走路には11人のウィッチと足立が立っており壮観だった。

 

「ウィッチーズ全員集合かね?ひとり例外がおるが」

 

マロニーはウィッチたちを見たあとに、足立の顔を見ながら言った。足立はその余計な一言にイラッとした。

 

「君が宮藤軍曹かね?」

 

「はい……」

 

ミーナ以上の上官を前にして萎縮してしまう宮藤。返事もかき消されてしまいそうな声だった。

 

「君は軍規に背いて脱走した。そうだな?」

 

「えっ…………」

 

マロニー言われ、自分がやってきた事を思い出していく宮藤。それは確かな違反だった。

 

「軍規……」

 

「ふむ」

 

どうしても認めさせようとマロニーは宮藤に詰めよった。だが、意外な助け船が横から出た。

 

「なぁ宮藤、あのデカイの……どっかで見なかったか?」

 

「……あっ!!」

 

横から見ていた足立は宮藤の視線の先、ウォーロックに向いていることを知り、ニヤリとした表情で話題を振った。そして宮藤も先ほどネウロイの巣の中で見た記憶を鮮明に思い出されていた。

 

「ふっ、ウォーロックのことかね?」

 

「私見ました!それがネウロイと同じ部屋で、実験室のような部屋で!」

 

「な、何を言い出すんだ君は!!」

 

『!』

 

マロニーが自慢したげに言おうとした時、宮藤からの爆弾発言により、マロニーは一瞬慌てた様子を見せた。

 

「で、でも私見たんです……!」

 

「質問に答えたまえ!君は脱走をした、そうだね?」

 

「はい……でも!!」

 

基地でミーナに言い渡された時と同様、宮藤の言い分を信じてもらえず、マロニーは何か触れたくなさそうな言動で話題を変えた。

 

「中佐、私は脱走者を撃墜するよう命令したはずだ」

 

「はい、ですが……」

 

「隊員は脱走を企てる、それを追うべき上官も指令部からの命令を守らない」

 

ウィッチたちに背を向けながらマロニーはこれまでの行動を確認し、ミーナも発言を許さなかった。

 

「全く残念だ、ミーナ中佐、ウィッチーズの諸君」

 

そしてウォーロックの前で振り向きこう言った。

 

「本日ただいまを持って、第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズは解散とする」

 

『ッ!?』

 

突然の解散宣言で全員が驚愕した。

 

「各隊員は、速やかに各国の元隊に戻ること、わかったかね?ミーナ中佐」

 

「…………了解しました」

 

マロニーの言い方には圧を感じられ、ミーナは睨むような目付きで承諾した。

 

(そんな……解散?ウィッチーズが……)

 

宮藤も思考の処理が追い付かない展開だった。自分の行動でここまでなるとは思っていなかった。

 

「君の独断専攻が原因なのだよ、宮藤軍曹」

 

「私……でも……」

 

「安心したまえ、ネウロイはこのウォーロックが撃滅する、ブリタニアを守るのに、君たちはもう必要ないんだ」

 

「っ……!!」

 

「!!、宮藤!」

 

様々な要因、精神的ストレス、魔法力を使い果たした結果、宮藤はその場で気絶してしまった。その様子に坂本は名前を呼び、隣の足立が倒れないよう咄嗟に支えた。

 

「………………」

 

宮藤の無念そうな、申し訳なそうな表情を見た足立はふつふつと何かが込み上げてきた。それは、久しく感じていなかった感情だった。

 

「……なぁ、マロニーのおっさん」

 

「……言葉を慎みたまえ」

 

足立は宮藤をミーナに預け、マロニーに向かって聞いた。足立の呼び方にマロニーはムッとした言い方になった。

 

「ミーナ中佐からは俺が宮藤をさらったって聞いてたはずだ、なのに宮藤ごと撃墜しろってどう言うことだ……?」

 

「彼女は脱走した、それにネウロイのお前と一緒ならば共犯者の可能性もある、だから撃墜命令をだしたのだ」

 

淡々と喋るふたり、足立には静かに怒りの感情がこもっていた。そして、次の瞬間には瞳が赤くなっていた。

 

「なに新人ウィッチにビビってんだ?おっさん」

 

「!!、貴様……!!!」

 

足立が煽り文句を言い放つと、地面に置いてあったストライカーボードの先端側を蹴りつけるように蹴った。すると、ストライカーボードは天高く宙を舞った。

 

『!?』

 

その場に居た全員が一瞬、宙に舞うストライカーボードに視線を奪われた。その隙を足立は見逃さず、腰を低く構え、マロニーも飛びかかろうとと足に力を入れ地面を蹴り出した、と思った瞬間。

 

バンッ!!!

 

一発の銃声が滑走路に響き、後にストライカーボードが地面に叩きつけられる音がした。そして、ストライカーボードの傍らには、足から出血し、前のめり気味にうずくまっている足立の姿がみなに映っていた。

 

『足立君!!!』

 

「ぐッ……!!!」

 

衝撃の光景にウィッチたちはどよめいた。足立は足を抑え、痛みに耐えていた。

 

「ふ……ふふ、少々肝を冷やしたが、やはりか」

 

「クソがッ……狙撃か…!!」

 

痛みに耐えながら足立は冷静に推測していた。そしてマロニーはこれに嘲笑した。

 

「ネウロイのお前なら、いつ私を狙ってきてもおかしくない、そして……」

 

マロニーは懐からピストルを取り出した。

 

『!?』

 

「ネウロイは傷を再生できる、だったな?」

 

ピストルを足立の背中に照準を合わせマロニーは問いた。そして足立はニヤッと不敵の笑みで答えた。

 

「………あぁそうだよ」

 

その瞬間、ピストルの数回引き金を引き、足立の背中に数発鉛玉が命中した。

 

「見るなルッキーニ!!」

 

シャーリーがルッキーニを抱き寄せ凄惨な場面を見せまいと庇った。リーネやエイラ、サーニャたちも目を向けられない状態だった。

 

「これに懲りたら、私に生意気な口を聞かないことだな」

 

「……………へっ…」

 

足立の背中は黒色のタンクトップで分かり辛いが、背中一面には赤黒く変色してるのが分かった。想像を絶する痛みのはずが、足立は鼻で笑った。

 

「へへ……なんだよ……案外狙うの…ヘタクソ……じゃねえか……」

 

「こいつ!!」

 

顔は伏せたまま、足立は煽るのをやめなかった。わずかながらの抵抗にマロニーは再び銃を突きつけた。

 

「……最後に……いいこと教えてやるぜ……」

 

「もういい!!喋るな!!足立!!」

 

見ている方が辛く、坂本は耐えられず叫んだ。だが、足立は身体を震わせながら、突きつけられている銃口に顔を向けてニッとしたり顔で言った。

 

「ガキを…ナメるなよ……おっさん……」

 

カチッ

 

引き金を引く音がした、しかし弾は発射されなかった。どうやら運良く、弾が詰まってしまったみたいだった。

 

「クソっ!!」

 

思い通りにいかずイラつくマロニー。そこへ、マロニーの補佐的な軍人が現れた。

 

「どうしますか?」

 

「ヤツを牢屋に閉じ込めておけ、まだ利用する価値がある」

 

「了解しました」

 

補佐役の軍人と兵士たちは倒れている足立の両腕を持ち、引きずるように基地内に運び込まれていった。

 

「足立………」

 

衝撃的なシーンにウィッチたちは言葉が出ず、坂本だけが名前を呼ぶ声が漏れた。そして運ばれていく姿の足立に、手元では指をグッと立てているようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

どこまでも続く空。無限に続く青空。宮藤はウィッチたち全員と飛んでいた。とても気持ちのいい雰囲気だった。しかしふと横を見ると、さっきまでいた仲間たちが急に居なくなってしまった。

 

「みんな…?」

 

周りを確認するが誰も居ない。ひとりぼっちだった。しかし、後ろから声がした。

 

「先に行ってるぞ、宮藤」

 

「足立くん!?」

 

足立の声に振り向く宮藤。しかしそこにはいなかった。

 

「みんな……どこ……?」

 

孤独、だれもいなに不安感に宮藤は押しつぶされそうになった。すると、宮藤を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

夢を見ていたようだった宮藤。その顔は不安そうにうなされている様子だった。

 

「芳佳ちゃん!」

 

リーネの声だった。その声に宮藤は目を覚ました。自室のベッドに寝かされており、横に顔を向けると、リーネの他にウィッチ全員が集まっていた。

 

「芳佳ちゃん……良かったぁ……」

 

目覚めた宮藤を見てリーネはホッと胸を撫で下ろした。

 

「リーネちゃん…みんな……私……」

 

「さっき滑走路で倒れたんだよ」

 

「蓄積された疲労とショックで意識を失ったの」

 

リーネとミーナは、宮藤に状況を説明した。そして、宮藤は倒れる前と、ネウロイの巣で見たウォーロックの事を思い出した。

 

「そうだ!あのウォーロックってなんかおかしい!」

 

ベッドから飛び起き、ウォーロックの違和感を感じ取った。

 

「ねぇ!今からみんなで調べれば…!!」

 

すると、リーネの横の荷物に目が入った。見たわしてみると、みんなが荷物を持っていた。

 

「……みんな、それは?」

 

「命令で今すぐここを出ていかなくちゃいけないの……」

 

「それじゃ…やっぱりウィッチーズは……解散?」

 

「……………うん」

 

声に出すのも辛そうなリーネ、宮藤も先程聞いたことは夢ではなかったことを突きつけられッ申し訳無さが込み上げてきた。

 

「……ごめん…なさい……みんな……」

 

「芳佳ちゃん……」

 

自分の責任だと感じ、涙が溢れみんなに謝罪する宮藤。それにリーネも涙目になっていた。

 

「私のせいで……私のせいで……」

 

「違うよ!そうじゃないよ!」

 

「元気出せ、芳佳!」

 

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

リーネとルッキーニが励まそうとするが、宮藤は未だに謝罪をやめなかった。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、落ち着いた宮藤は身支度をし、父が映っている写真をカバンにしまい、出ていく準備が整った。

 

「行こうか」

 

車椅子に乗っている坂本はそう言った。

 

「はい………あの…」

 

「ん?」

 

気持ちが沈んでしまっている宮藤、しかしひとつ気になることがあった。

 

「足立くんはどこに……?」

 

「………………」

 

足立の所在を聞いたところ、車椅子を引いてもらっているペリーヌは悲しげな顔をし、目を背けてしまった。

 

「………アイツは牢屋だ」

 

「牢屋……?」

 

坂本は答えてくれたが、場所を聞いたところ聞き覚えのない場所で目を丸くした。

 

「この基地には昔から使っていない地下室あってな、そこに収容されている」

 

初耳の事に宮藤は固まったままであった。

 

「今までみたいに甘くはないだろうな……」

 

「………………」

 

冷静に教える坂本に対し、足立の今後の待遇に心配が隠しきれない宮藤。朱色のショルダーバッグのストラップに、握る力がこもる。

 

ウィッチたちはそれぞれ原隊に向かい、宮藤、坂本、そしてペリーヌは扶桑に戻る為、軍艦赤城に乗船することになった。

 

一方、基地のほうでは滑走路の出入り口には鉄骨が何本も刺さっており、封鎖されている状態だった。そして管制塔ではマロニーの支配により、研究員や職員たちで事を進めていた。

 

「閣下、ウィッチーズ全員が道中を離れました」

 

「うむ」

 

「全て順調です」

 

「どこが順調のものか」

 

副官の男からの言葉に少しイラッとしたのか、マロニーはムスッとした表情になった。

 

「全く、想定外のタイミングだ、こちらの戦力はまだウォーロック1基のみ、表に出る時期ではなかったんだ」

 

「しかし……もう隠しているわけには……」

 

「そうとも……元はと言えばあの扶桑の小娘、アイツがネウロイと接触することさえ無ければ、こんな時期に我々が動く必要も無かったのだ」

 

宮藤と人型ネウロイの接触、そのことにマロニーは苛っていた。

 

「扶桑に返してよろしかったのですか?」

 

「軍を離れ、ストライカーを失ったウィッチーズなど、ただの小娘に過ぎん、恐れる必要などない」

 

そう言うとマロニーの表情は、支配者の顔になった。

 

「あのネウロイはどうなった?」

 

「はい、先程牢に入れ様子を見ましたが、傷口はもう止血されてました」

 

牢屋に入れられた足立はぐったりしていた様子だったが、驚くことに先程受けた傷の出血は収まっている様子だった。

 

「流石だな……ヤツをここに連れてこい」

 

マロニーは何か企んでいる様子で副官に命令した。

 

「よろしいのですか!?そんな事をしたら……!!」

 

「ヤツは弱っている、抵抗できる力などないだろう」

 

「………わかりました」

 

もしもの事を考え副官はあまり薦められない様子だったが、マロニーはそれを押しきり従わせた。

 

 

 

 

 

 

赤城に乗船した宮藤と坂本とペリーヌ。3人はブリタニア基地を見送りながらの船出となっていた。

 

「さらばブリタニア……ですわね」

 

ペリーヌがそうポツリと呟いた。

 

「ペリーヌ悪かったな、扶桑まで付きあわせてしまって」

 

「い、いえ!元より帰る国もない身ですので、坂本少佐のお役に立てるならと……」

 

ペリーヌに気遣う坂本、ペリーヌは少しでも坂本と一緒にいれて内心は嬉しかった。そして、坂本は宮藤をジッと見ると、宮藤はその視線に気づいた。

 

「すまなかったな、宮藤」

 

坂本は宮藤に謝罪の言葉を言った。

 

「わざわざブリタニアまで来てもらって、こんな形で帰すことになるとは思わなかった」

 

「そんな……!謝らないでください」

 

坂本の謝罪に宮藤も申し訳ない気持ちになり自分の胸に手を当て俯いた。

 

「ホント言うと、こうやって帰ることや……ウィッチーズのみんなの訳に立てなかったのが、とてもかなしいです…………でも」

 

『?』

 

宮藤の続く言葉にふたりは顔を向けた。

 

「私、あの基地にいたことは全然後悔していません……あそこであったこと、出会った人、私にとってとても素敵な時間でした」

 

「……そうか」

 

「……………」

 

悲しげな表情から一変、宮藤の顔にはいつも前向きな表情に変わり、坂本もペリーヌもホッとした顔になった。

 

そして場面は代わり、基地から離れてしばらく、バスで移動していたミーナ、バルクホルン、ハルトマンの3人。彼女らは途中下車し、なにやらミーナは魔法で何かを探っていた。

 

「やっと監視もなくなったわ」

 

周りに空間を把握し、監視が居なくなった事を確認したミーナがそう言うと魔法を解除した。周りを警戒するバルクホルンに、ベンチにもたれかかり疲れた様子のハルトマン。

 

「ここまでやるとは、どうやら余程何かを隠したい様子だな」

 

「それで、なんで戻ろうって言い出したの?トゥルーデ」

 

ハルトマンはジッとした目で問いた。

 

「ミーナは気づいたか?」

 

「ええ、宮藤さんの言っていたことね」

 

真剣な表情でミーナは思い返していた。

 

「ネウロイと友達になるって話?」

 

「いいえ、ウォーロックとネウロイが接触していたって話」

 

バルホルンは無言で頷いた。

 

「恐らくネウロイの巣で足立君と宮藤さんが得た情報なのがそれで、その話をした時のマロニー大将の焦りは、何か秘密があるはずよ」

 

「つまり報告義務違反でもあれば、こっちが攻めに回るきっかけになる」

 

「そういうこと」

 

「あ~なるほど」

 

ふたりの会話に関心するハルトマン。すると、バルクホルンはポケットからゴソゴソとなにかを取り出した。

 

「全く、エイラみたいでホントに恐ろしいやつだな」

 

『?』

 

取り出したものを見せると、バルクホルンの手には一個のインカムだった。

 

「インカムじゃない」

 

「あー!これ私のだよ!基地に帰る時トゥルーデが一個貸してって」

 

「そうだ」

 

先程の基地に帰る際、間際でバルクホルンはハルトマンからインカムを借りていたのだった。

 

「でも一個だけじゃ意味ないよ?」

 

「もちろん、もうひとつある」

 

「………!それって……」

 

「ああ……!!」

 

勘づいたミーナにバルクホルンはとある場所に指を指した。その方向は、ブリタニア基地だった。

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