ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡 作:sontakeda
「閣下、連れてきました」
「………………」
マロニーの命令で管制塔に連れてこられた足立。手は後ろに回され鎖で拘束されており、傷は回復しつつあるものの、顔や腕の殴られた跡などはまだ治っておらず、生々しく残っていた。それでもなお、拳は強く握りしめ、その目にはまだ生気を感じられた。
「フフ、安心したまえ、拷問などあとでいくらでもできるからな」
「……何の用だよ」
足立の有り様を見て鼻を鳴らすマロニー、そして足立はその顔にうんざりしている様子だった。
「貴様には特別に特等席で見せてやろうと思ってな、抵抗など無意味だということを」
「………………」
(ウォーロック………)
足立は中央のモニターに目を向け、画面に映っているウォーロックに注目した。足立にはネウロイと関係している以外に、得体のしれない「何か」を感じた。
「ウォーロック零号機、準備整いました!」
「これよりガリア地方制圧に向かわせます」
「うむ」
「ウォーロック零号機、発進せよ!!」
副官の男が命令を下すと、滑走路に準備していたウォーロックが轟音と共に飛び出し人型で離陸した。離陸すると、直様飛行形態に変形し音速で基地から居なくなった。
「ふん、どうだ、あの小生意気な魔女たちとは全く違う、ウォーロックこそ我々ネウロイ研究の成果なのだ」
ウォーロックの軽快な稼働にマロニーはウィッチーズに悪態を付き、自分らの成果に酔いしれた。
「技術主任は、実践投入にはもう少し出力レベルを整えたいとのことでしたが……」
「そんなことは分かっておる、だが……ウィッチたちを追放した今、我々が戦うしかないのだ」
マロニーは焦っていた。秘密裏に進めていた計画が表に出てしまった以上、隠すわけにはいかなくなったのだ。
「実績が必要なのだよ……ネウロイを殲滅し、そして世界のイニシアチブを握るために……」
「………………」
己の野望を強く望むマロニー、その顔は支配者としての顔として笑っていた。それを聞いていた足立はなにも反応しなかった。しかし、聞いていたのは足立だけではなかった。手に握りしめているインカムの先には……。
基地が見える位置に、離れた廃村にはミーナ、バルクホルン、ハルトマンが潜んでおり、どこから取り出したのか三脚型の双眼鏡でバルクホルンが基地を監視していた。
「やっぱり……予想通りね」
そしてミーナはインカム越しでマロニーの話を盗聴していた。
「さっそくガリア制圧作戦か」
「大忙しだね」
様子を見るやハルトハマンは皮肉な言葉が出てきた。
「軍の上層部に、ウォーロックの強さを認めてもらいたいのよ、そして量産の指示を取り付けたい」
彼らの狙いを推理していくミーナ。しかしある疑問があった。
「それしても……ウォーロックが1機しかないのに実戦なんて」
「戦果を上げて、隠したいことでもあるんじゃないのか~?」
「奴ら化けの皮を剥がすチャンスだな」
ジト目で話すハルトハマンにバルクホルンはニヤリと笑った。すると、ハルトハマンからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「しっしっし」
「なんだ?」
「やる気だねぇ、やっぱり宮藤のため?」
「なっ!?」
突然の宮藤の話になり赤面し動揺するバルクホルン。妹好きが拗れ宮藤にもそういう感情が現れ始めていた。その様子にミーナクスッと笑った。
「監視を続けましょう」
「あ、あぁ……」
ミーナに言われ正気を取り戻し、再び基地の監視に戻った。
一方、シャーリーとルッキーニは、飛行場にて柿色の複葉機に前後に着席していた。すると、遠くの方から飛行音が聞こえてきた。ふたりは思わずそれに顔を向けた。
「ウォーロックだ」
「あの音好きじゃないな…」
ウィッチ達のプロペラ音と違い、ウォーロックのジェット音にルッキーニはお気に召さなかったようだった。
「もう出撃かよ」
「いぃーー!!やられちゃえ!!」
「おいおい」
ルッキーニの直球すぎる感想に思わず笑ってしまったシャーリー。
「ねぇシャーリー」
「んぁ?」
「シンヤ……大丈夫かな?」
ルッキーニはふと安立の事を思った。シャーリーに隠され現場を直視していないものの、壮絶な最後の場面だったのだから。
「大丈夫だろ、アイツなら」
「ネウロイだから…?」
「いいや、人間としてさ」
ネウロイではなく、人間として見てるシャーリーはこんなことで死ぬはずがないと思っていた。そしてふたりは飛行場から飛び去って行った。
「あっ!」
赤城の方でもウォーロックの姿を確認した宮藤たち。近づいたと思ったらを真上をあっという間に素通りし、ネウロイの巣まで行った。
「左デッキへ!!」
「あ、は、はい!!」
坂本の指示に少し焦るペリーヌ。左デッキへ移動すると、3人はその戦いを見守った。
「ガリアへか」
「さっそくですわね」
ネウロイの巣へたどり着くウォーロック。ネウロイの無数のビームを難なく避け、現れたネウロイに対しウォーロックはビームをを浴びせた。するとネウロイは一撃で撃破された。
「ネウロイを一撃で……!!」
「っ!!」
魔眼で戦況を見ていた坂本はウォーロック攻撃力に驚いた。それを見ていた宮藤は何かを感じとった。
「なんという威力ですの……」
「おかしい……何故ウォーロックはビーム兵器を使えるんだ……?」
「あっ……!!」
「どうした宮藤!」
宮藤はあること気付いた。
「……見たんです、ネウロイが見せてくれたんです」
ネウロイの巣で見た光景、映像に映っていたウォーロック、そして宮藤は答えを導きだした。
「ウォーロックはネウロイと会っていたんです!!」
「ウォーロックがネウロイと接触していただと!?」
「ありえませんわ!ネウロイは敵ですのよ?それに、ネウロイの技術を手に入れたのなら、わたくしたちにも報告があるはずですわ」
宮藤の言葉にデタラメさを感じ全く信用しなかった。しかし坂本はそうではなかった。
「本来ならありない……だが、辻褄は合う」
「えっ?」
「もし……敵がネウロイだけではないとしたら……宮藤、お前の行動はあながち無駄ではなかったかもしれん」
「っ!」
坂本の言い回しに宮藤は今までとは違った反応で返され少し驚いた。
そして管制塔側では、職員からの戦果の報告があげられていた。
「ウォーロック零号機、ネウロイを撃破しました」
「ぬはははは!!見ろ!!もはや、我々の力はネウロイを越えたのだ!!」
「…………………」
ウォーロック活躍にマロニーはすっかり有頂天になっていた。そして拘束されてる足立は、ジッとウォーロックを観察し、するとあることを呟いた。
「オッサン」
「ん?」
「あのネウロイ……落ちるぞ?」
足立は予言めいた事を言った。しかし、当のマロニーには気にも止めなかった。
「ふはははは!!負け犬の分際で!終わった後でいくらでも吠えるがいい!!」
すると職員から次の報告があげられた。
「ネウロイが2機出現しました!」
「いえ!!3機です!!」
「なに!?」
副官の男も思わず驚いた。
「構わん!!殲滅しろ!!」
突如増えた敵にも関わらず、マロニーは変わらず攻め続けた。撃破はしているものの、以前変わらず、むしろ敵の数が増えてきた。
「ネウロイの数!!8、9!!」
「ウォーロックの処理能力はもう限界です!!」
「くっ…!!コアコントロールシステムを稼働しろ!!」
「!」
聞きなれない単語に足立は反応した。
「しかし……コントロールするには、共鳴させるコアを持ったウォーロックが5機以上必要です!」
「ぬぅ……」
奥の手が出せない事にマロニーは苛立った。その時、足立は手元に握ってあるインカムに出来るだけ近づけさせ小さい声で喋った。
「聞こえるかお前ら」
「!、足立君!?」
『!!』
突然の応答にミーナたちは驚いた。
「俺が合図したら突撃してくれ、いいな」
「!」
ミーナ無言で頷いた。
「何て言ってたの?」
「合図があったら突入してほしいそうよ」
「じゃあ、そろそろ出番か」
バルクホルンが立ち上がると、拳をポキポキと鳴らした。
そして、管制塔では異常事態が発生していた。緊急時用のサイレンが鳴り響き、赤色灯が点滅し始めた。
「コアコントロールシステムが勝手に動いています!!」
「なに!?」
「ウォーロック自らが、コアコントロールシステムを稼働させたようです!」
その光景は異様だった。ネウロイの巣には何百と蠢いているネウロイ、そしてその輪の中心にはウォーロックが仁王立ちの如く留まっていた。赤城から見ていたその光景に宮藤たちもどよめいた。
「全てのネウロイを支配下に置きました!!予想以上の成果です!!」
職員の報告にマロニーは焦り顔から杞憂だったと判断し安堵した顔になった。
すると、全てのネウロイたちが一斉に攻撃し、同士討ちをし始めた。その瞬間を見た坂本は声を荒らげた。
「バカな!?ネウロイがネウロイを攻撃してるぞ!?」
「そんな!?同士討ち!?」
「まさか……ウォーロックがネウロイを操っているのか!?」
「えっ!?」
「そんなことって……」
坂本の推測にペリーヌと宮藤は動揺した。そしてウォーロックは動き出すと、自分も残りのネウロイを掃討し始めた。管制塔では、みるみるのうちにネウロイの数が減り、ついには全てのネウロイを殲滅してしまった。
「ネウロイを殲滅しました!!!」
職員の報告に歓声が沸き上がる、しかし次の瞬間。
「!?」
「どうした!!」
「それが……こちらからの制御が遮断されました!!」
管制塔からの操作をウォーロック自身が受け付けなくしてしまったのだ。
(………やっぱりか……)
予想通りと言わんばかりか、足立は驚きもせず、そして合図を出した。
「今だ、来い」
「!」
足立の突然の合図にミーナはドキッとした。しかし、準備をしていた為すぐに行動に移した。
「合図が出たわ!」
「よし、行くぞ!」
「……あっちって終わったの?」
「それは後回しだ!!」
ハルトマンがネウロイの巣を方を見て確認しようとするが、バルクホルンがそれを振り切り、3人は管制塔へと走った。
ネウロイを殲滅し終えたウォーロックは時が止まったように動かなかった。周りはネウロイの破片が舞っており、まるで雪のようだった。それを見ていた坂本はポツリと喋り始めた。
「……終わったな……ウォーロックの勝利だ……」
「でも……どうしてネウロイ同士が…?」
「あぁ……だが確かに攻撃し合っていた…」
宮藤たちには分からなかった。ネウロイたちが突然同士討ちし始めた理由を知り得てなかったのだから。
そして……ウォーロックは本当の戦いを始めたのであった。
「ッッッ!!!」
扶桑のストライカーみたく白色だった機体が、みるみるのうちに黒く、ネウロイのような模様に変わり雄叫びを上げた。すると、赤城に向かって飛び去って行った。
「……帰ってきますわ」
向かってくるウォーロックにペリーヌはポツリと呟いた。向かってくる様子を赤城の艦内からも確認していた。
「ネウロと交戦していた機体が、こちらに向かってきます」
「……味方なのか?」
艦長の杉田も怪しく思った、なにか嫌な予感を感じたのであった。
すると次の瞬間、ウォーロックは赤城の前で止まり、ビームを艦体に浴びせ始めた。
『きゃああ!!!』
船全体が激しく揺れ、艦内も外も転びそうになり宮藤たちの悲鳴が上がる。
「ウォーロックがわたくし達を!?」
そして、ウォーロックは攻撃し終えると、今度はブリタニア基地に向かって飛び去った。
「空母赤城がウォーロック零号機に攻撃を受けています!!!」
「なに!?」
「ウォーロック制御不能!!暴走しています!!」
「バカな!?」
管制塔内ではパニックになっていた。ウォーロックの暴走にマロニーは動揺を隠せなかった。
「閣下!!至急ウォーロックの停止を!!」
「ならん!!貴重な零号機だ!今停止すれば海中に没する!!」
「しかし味方を攻撃するという事態です!!どうかご決断を……!!」
「くッ……やむを得まい……」
副官の説得に応じたマロニーは苦渋の決断をし、ウォーロックを停止するよう命令を下した。
赤城ではウォーロックを敵とみなし、艦砲等で反撃を開始した。しかしウォーロックにはウィッチみたくシールドのようなモノが見え、大したダメージを与えている様子は無かった。
「ウォーロック強制停止システム稼働!!」
ウォーロックを強制的に停止させるレバーが下げられた。これで事態が収まるはずかと思いきや、ウォーロックが突然爆発し爆風に包まれた。しばらくすると、爆風の中から再びウォーロックが現れ、止まる様子もなく攻撃を続けていた。その攻撃は艦体からブリタニア基地まで届くほどの脅威的な距離だった。
基地の半分までがビームの被害により壊滅させられ、管制塔内も激しい揺れにどよめいた。
「なぜだ!!なぜ停止しない!!」
「そりゃそうだぜオッサン」
「なに!?」
唯一の最終手段のあてが外れ声を荒げるマロニー。そして横に大人しく立っている足立は冷静にマロニーに言葉を投げかけた。足立はなぜ暴走したのか理由を知っている様子で、マロニーは興奮気味だった。
一方、赤城で防戦一方、むしろ的にされている気分で赤城はウォーロックの攻撃を受け続けていた。砲塔や艦砲を破壊され続け、沈むのも時間の問題であった。
「ッ!!」
「!!、ペリーヌさん手伝います!!」
艦体が傾きはじめ、坂本が座っている車椅子を支えていたペリーヌが思わず倒れそうになった。それに気づいた宮藤はすぐさまペリーヌと一緒に車椅子を支えた。
「ふたりともすまない」
『そんなこと……』
坂本は思わず申し訳なくなり謝罪するが、ふたりは同時に謙遜した。
すると、遠くの方で見たことある柿色の複葉機が赤城の惨状に気づいた。乗っているのはシャーリーとルッキーニであった。
「見ろ!」
「なんだろ?」
「行ってみるか?」
「へっ?」
ニヤッとした顔でシャーリは聞くとルッキーニは聞き返すような返事をした。すると次の瞬間。
「ヒャッホー!!」
「ぎゃにゃあああ!!!」
シャーリーが遊ぶように上下にロールしながら赤城に向かうと、ルッキーニは悲鳴を上げた。
赤城の事態はウィッチーズみな気づき始めた。
列車の荷台置き場に並んで座っていたサーニャとエイラ。すると眠っているサーニャが魔法を発動し始めた。
「?」
エイラが不思議そうにサーニャを見ていると、サーニャは寝言のような事を言い始めた。
「……船が……燃えてる…」
「船?」
エイラには何のことなのかさっぱりだった。
そして自家用車で移動中だったリーネ。車の窓から赤城の現状が見えた。
「あ、あれは…!!!」
宮藤たちが乗っている船ということに気づいたリーネ。心の中には不安が広がっていた。
当の赤城は確実に沈みはじめ沈没するのも時間の問題だった。退避命令のサイレンと放送が入り、乗組員たちは非常用のボートに乗り始めていた。そして宮藤たちもその時が迫っていた。
「この船は沈みます、わたくしたちも早く……」
「そんな!!私たちに何かできることは……」
「馬鹿おっしゃい!!ストライカーも無いわたくしたちに何が……!」
宮藤はこんな非常事態でも、誰かを助けたいという我を貫こうとした。しかしペリーヌは当然の如く、言い返そうとした時、何か思い出したかのようなハッとした表情になった。
「……………まだだ」
「えっ?」
突然の坂本の言葉に宮藤は目を丸くした。
「ペリーヌ、肩を貸してくれ」
「えっ!?ダメです少佐!!」
そう言いながら坂本はペリーヌの肩にしがみつく形で、震えながら立ち上がった。
「まだ手は残っている…………ここに!!」
坂本が目を向けたのは自身が座っていた車椅子。すると、座席の下から折りたたまれたストライカーユニットが現れた。
「!!、これは……ストライカーユニット!!」
ここにあるはずがないモノが存在し、宮藤は驚きを隠せなかった。
「援軍が到着するまで、私が出撃して時間を稼ぐ、その間にふたりは避難しろ」
「そんな……イヤです少佐!!わたくしも行きます!!」
「ムリ言うな、ストライカーは一つしかないんだ」
「イヤイヤ……!!」
あんな目にあった坂本が再び出撃しようとするのを必死に止めようと乞うペリーヌ。その姿を見ていた宮藤はある決断を決めた。
「坂本さん!!」
「!」
「私が………私が飛びますッ!!!」
「……宮藤…」
坂本は宮藤の姿に一瞬みとれてしまった。つい最近、ましてや今も新人のウィッチだったのに、今では立派なウィッチのひとりになっていた。その成長に坂本は言葉が一瞬が詰まったが、続けて話し始めた。
「駄目だ、これは上官の決定だ」
「私、諦めたくないんです」
「諦める?」
坂本は宮藤に聞き返した。
「坂本さんは………坂本さんは死ぬ気です!」
「!」
宮藤は見抜いていた。坂本がなにをしようとしたのか、今のやりとりや表情で感じ取ったのだ。その発言にペリーヌはハッとした表情になった。
「でも、それって諦めるってことですよね………私は……私は諦めたくありません!!!」
「!!」
「私……守りたいんです!!」
宮藤の握る拳に力が入る。宮藤の原動力、守りたいから飛ぶ、守りたいから戦う、眼の前の大切な人を守りたいが故、諦めたくなかった。その姿にふたりは目が釘付けになっていた。すると、坂本は目をつむり、何かを諦め笑った表情になった。
「ふっ、守りたいか……そのセリフ何度聞かされたことか……ふっふっふ………あっはっはっは!!」
そう言うと坂本はいつもの高らかに笑い始め、ペリーヌと宮藤はきょとんとした顔になった。
「宮藤、出撃準備だ!」
「!、はい!!」
笑っていた顔から一変、坂本は覇気のある顔になり宮藤に命令を下した。宮藤もそれに応えるために覚悟を決めた。
ストライカーを装着し機関銃を持ち、出撃する準備が整うと、ペリーヌから敵の位置を知らせてくれた。
「10時方向、高度2000!ほぼ直上にウォーロックです!」
「右のエンジンが回り始めに少し咳き込みやすい、気にせずぶん回せ!!」
「了解!!」
宮藤が覇気のある返事をすると、ウォーロックがこちらに向かってきた。
「敵来ます!!」
「行け宮藤!!」
「はいッ!!」
プロペラが回り、魔法陣が展開されると、斜めになっている甲板を登るように進み始めた。しかし、ウォーロックのビーム攻撃が、飛ぼうとする宮藤に直撃し爆散した。
「あああぁッ!!!」
「宮藤ッ!!!」
奇跡的に無傷だったが、その衝撃で宮藤はふっとばされ、武器さえも宙に舞っていた。
「!、少佐!!」
すると、坂本は魔法力を解放し、自力で動けるようにすると、落ちてきた機関銃を受け止めた。
「飛べぇぇぇッッ!!!宮藤ぃぃ!!!」
「っ!!」
坂本の声に気が付き、目を見開く宮藤。誰もが失敗かと思ったその瞬間、波しぶきが甲板まで届くのと同時に宮藤が急上昇する瞬間が見えた。
「やああああああぁぁッッッ!!!!」
「やりましたわ!!」
離陸は成功。無事に飛び立つことに成功した。その姿に坂本は笑顔に、ペリーヌも思わず歓喜した。
「っあ!!」
急上昇し過ぎてウォーロックを抜いてしまった宮藤。当のウォーロックは次にペリーヌたちを狙いに定めた。狙われているとことが分かるとペリーヌは坂本をかばうように前に出た。
「はあああぁぁッ!!!」
しかし、宮藤は次の手に出ていた。機関銃を持っていない代わりにシールドを展開すると、そのままウォーロックにぶつけてビームを阻止した。そして、下からはペリーヌが落ちてきた機関銃で援護射撃し、一時追い払った。
「よくやったペリーヌ!!」
「はい!!」
体制を立て直すと、今度はペリーヌが持っていた機関銃を宮藤に向かって投げた。
「宮藤さんッ!!!」
「喰らいつけ!!!宮藤ッ!!
宮藤は投げてもらった機関銃を受け取り、坂本からも鼓舞してもらった。
一方、赤城に向かっているシャーリーたちは宮藤が戦っている姿を確認した。
「なんだぁ!?宮藤がウォーロックと戦っているぞ!!」
「芳佳を助けなきゃ!!」
「あぁ!!……ああ!?コイツ武装なんかしてないぞ……」
手助けをしたかったが、どうやら武装を積んでいなかったらしく、ふたりは今は見ていることしかできなかった。
「すまない、遅くなった」
「なーに、別に退屈じゃなかったしな」
管制塔では、副官の男はボロボロにされており、他の職員達も怯え、マロニーも降伏状態だった。カールスラント組の3人が到着し、管制塔を奪い返したのであった。そして、バルクホルンは固有魔法を使い、足立を拘束していた鎖を引き千切って解放した。
「貴様、ウォーロックに何を仕掛けた!!」
マロニーは声を荒らげた。先程の暴走した原因が足立にあると思っているようだった。
「あぁ?何もしてねえよ」
「ウソをつけ!!ウォーロックが暴走することを最初から知っていたような素振りで言っていたじゃないか!!」
「あぁそれは、そうなるんじゃないかって予想してたからだ」
「なに!?」
展開を先に読んでいたと発言する足立にマロニーはギョッとした。
「ネウロイのコアを持ってる俺だからわかることだ」
「どういうことなの?」
ミーナは問いかけた。
「ネウロイになり始めの頃は、幻覚、幻聴、不安、恐怖とか負の感情が押し寄せてくる、今も時々発作的に起こるけどな」
「そんなことが……」
「要はコアは宿主を操ろうとするんだ、俺は人間だったから抵抗できたが……ウォーロックはどうだ?」
「!!」
ミーナに話しながら最後の問いかけをマロニーに向かって話した。すると、バルクホルンがあることに気づいた。
「機械は抵抗する感情を持たない……だからウォーロックは操られたと言うのか!!」
「多分な」
「ぐっ………」
憶測、経験でしか今は語れないが、足立が導き出したウォーロックの暴走の原因はこういうことだった。その話にマロニーは何も言えなかった。
「……ウィッチーズを陥れようとして……ずいぶん色々なさったようですね閣下」
ミーナは机の上にある資料を物色し始めた。
「ウィッチを超える力を得るため、敵であるネウロイの力を利用、しかもその事実を隠そうとして、ウィッチーズを無理矢理解散に追い込もうとした」
観念しているマロニーにミーナは決定的証拠を見つけたために勝ち誇った言い回しになった。
「良い計画でしたが、宮藤さんの軍の理解を超えた行動にあわてて動いたのが失敗でしたね」
「もっと……もっと早く宮藤を信じていたら……」
バルクホルンは宮藤に対して言ったことを後悔していた。すると、小さく鼻で笑うような声が聞こえてきた。
「………ふ、ふふ……」
「あ?」
声の正体はマロニーだった。その笑いに足立は反応した。
「親子共々、私の邪魔をするということか……」
「………親子?」
足立に向かって親子という単語を使ったマロニー。それに足立は妙な違和感を覚え、あることを訪ねた。
「オッサン、俺の親父知ってるのか?」
「知ってるも何も、このウォーロック計画の発案者はお前の父、足立宗次郎博士だぞ!」
「………あぁ?」
「えぇ!?」
「なんだと…!?」
「………ホントだわ!!計画書にも名前が……!!」
マロニーの衝撃な告白に足立は眉間にしわを寄せ、ハルトマン、バルクホルン、ミーナの3人は驚きを隠せなかった。ミーナは机の資料を確認すると、最後のページには発案者名に足立宗次郎と書かれているのを見つけた。
「なんで足立の父がこんな………」
「……………………」
(発案者………)
バルクホルンはウォーロックの現状を指しながら疑問に思った。足立の話ではこんな危険な兵器を作るような人ではないはず。
そして足立は考え込んだ。マロニーが言ったのは「発案者」、つまり制作者ではないこと。その違いに足立は気が付き、ある思惑が頭に浮かんだ。
「オッサンあんた……盗んだのか?」
「ふん、そうだとも!!宗次郎博士の研究、計画を盗み、そして私たちが新たなデータを加えてできたのがこのウォーロック計画さ!」
自分の犯した罪を告白するマロニー。もはや開き直ってさえいた。
「最も、持ち出されたサンプルのコアさえあればもっと早く制作できたんだがね」
「なんて卑劣な……」
「やはり眠らせないと気がすまんな……」
「…………………」
(計画……コア………ネウロイ……ウォーロック……)
マロニーの所業にミーナとバルクホルンは嫌悪感を抱き、拳を鳴らすバルクホルン。その横にいる足立は固まったままだった。マロニーを見たまま動かなかった。
「フフ……ショックのあまり声が出ないか?」
最後に一矢報いたと思っているマロニーは挑発的な発言をするがあ、足立の耳には届いてなかった。そして、ハッとした顔をウォーロックの方に向き、しばらくするとまた誰かの笑い声が聞こえ始めた。
「………く…はは……」
「!」
「くっはっはっはっはっ!!!」
初めは小さく、すると今度は右手で顔を覆いながら聞いたこともないような大声で足立が笑い始め。その場にいた全員が唖然とした表情になった。
「あ、足立君…?」
「足立?」
「どーしたのいきなり笑いだして!?」
「そうか……そういうことか……!!」
カールスラント3人組も困惑していた。しかし、当の足立は満足そうな表情だった。そしてついに見つけたのであった。
「ようやく分かったぜ……親父のメッセージがッ!!!」
今の話に足立がネウロイにされた理由がそこにあったのだ。