ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡   作:sontakeda

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ベルリン奪還後1
ベルリン奪還後 その1


ベルリン復興の手伝いをし、休憩中そこらに落ちている瓦礫辺を椅子代わりにしている宮藤とリーネ、そして紺色の軍服に坂本と同じポニーテールにまっすぐ肩まで垂れ下がっているもみあげが特徴的な女の子が、宮藤の話に聞き入っていた。

 

「……ってことあったんだ、ちょっと恥ずかしいんだけど……えへへ……」

 

「いえ!むしろとっても素敵な話だと思います!宮藤さんらしいです!」

 

「服部さんもそう思うよね!」

 

「はい!」

 

後ろ頭を掻きながら照れくさそうに話す宮藤。それにツインテールの女の子は宮藤の話を絶賛し、リーネも興奮気味に賛同していた。

 

「でも……話を聞いてて思ったんですが、足立さんってやっぱりアレですよね……」

 

「服部さんも?実は私も……」

 

「じゃあみんなで一緒に言おうよ!せーの……!」

 

『すっごい真面目!』

 

『…………あはははは!!』

 

3人の声が同時に重なると、少女たちの笑い声は天高く空に響いた。

 

すると、ツインテールの少女の背中から聞き慣れた男の声がかかってきた。

 

「なんか面白い話でもあったか?服部」

 

「!、足立さん!」

 

少女後ろには、この場から離れていた足立が立っていた。

そして先ほどから宮藤たちと一緒にいる少女はウィッチ、新501統合戦闘航空団の新メンバー、服部静夏。坂本と入れ替りで入隊し、宮藤の後輩であるが階級は上官に当たる。

 

「おかえり進也くん!」

 

「あぁ、なんだ?服部が俺のことバカにしてたか?」

 

「違いますよ!足立さんが真面目って話してたんです!」

 

宮藤が足立の帰りを迎えると表情が更に明るくなり、足立はからかい混じりで聞いた。すると服部はムッとした表情で言葉を返した。

 

「俺がまじめ?」

 

「さっき芳佳ちゃんがブリタニア基地での話をしてたんですけど、それで足立さんがすごい真面目だって話してたんです」

 

「……………いくらなんでもないだろ」

 

足立は事の経緯をリーネから聞くと怪訝そうな顔で否定した。

 

「あるよ!ねぇリーネちゃん!」

 

「うん、ウソもつかないし約束も破らないじゃないですか」

 

「ただ問題なのは口の悪さだけです」

 

「結局バカにしてるんじゃねえか!!」

 

服部は得意気に進也の問題部分を指摘するが、それに足立はツッコミに近い形で怒鳴った。すると再び3人のウィッチから笑い声が上がった。

 

「あ、足立さん、これどうぞ、さっき買ってきたサンドイッチとお水です」

 

「あぁ、悪ぃな」

 

先ほど足立にツンとした表情とは違い、思い出したかのように進也にサンドイッチが入った紙袋と、水が入ったボトルを渡した。進也も労いながら物を受け取った。すると、あることに気づいた。

 

「……あ?お前ら先に食べてなかったのか?」

 

3人の手元には足立と同じ、まだ開けられていない紙袋が置いてあった。

 

「うん、進也くんが来たらみんなで食べようって」

 

「別にそん……あー……」

 

「?」

 

手元にある理由を宮藤が話すと、足立は「別にそんなことしなくても」と言いかけたが、横目になりながら思った。そんな言い方したら宮藤たちに悪いんじゃないか、と。そんな足立を見て宮藤は首を傾げた。

 

そして足立はそっぽを向きながら照れくさそうに別の言葉を言った。

 

「……ありがとな」

 

「うん!」

 

礼を言う足立と元気よく笑顔で返事をする宮藤。そんなふたりを見てるリーネと服部は顔を見合わせると笑みを浮かべた。

 

『いっただきまーす!』

 

4人が食事の挨拶をすると、紙袋を開けサンドイッチを手に食べ始めた。

 

「んー!このサンドイッチ美味しいね!」

 

「うん!」

 

宮藤が絶賛するとリーネも続いて賛同した。

 

「ハムとレタスだけだけどな」

 

「一言余計ですよ足立さん」

 

「へいへい」

 

服部から注意を受けるが、足立は聞き流すように返事をした。

 

「……ひとつ思ったんですけど」

 

「ああ?」

 

唐突に服部は足立に対しひとつ疑問が浮かんだ。

 

「足立さんのウソがつけないことや約束を守るのって……何かに影響されたんですか?」

 

「……親父かもな」

 

「へぇー!」

 

「じゃあ足立さんのお父さんが誠実な人だったから影響を受けたってことですか?」

 

少し考えた結果、足立の父、宗次郎の顔が浮かんだ。感心する宮藤、リーネは宗次郎の人物像を予想した。しかし意外な答えが帰ってきた。

 

「いや逆だ」

 

『逆?』

 

逆という答えに3人は首を傾げた?

 

「ウソはしょっちゅうつくわ、約束は平気で守らないわ、そんな感じだったな」

 

「……つまり反面教師……ってことですか?」

 

「そうだな」

 

「あはは……なんかお茶目なお父さんだね」

 

気まずそうに服部が察して言うと、足立は即座に返答した。それを聞いていた宮藤は苦笑いしながらフォローを入れた。

 

「外面はいいくせに、俺にだけはそんな感じだったな」

 

「……ふふ、足立さん、お父さんの事嫌ってるはずなのに良く見てますね」

 

不満そうな口振りで足立は言うとリーネは静かに笑い、その気付きを指摘した。すると、足立はムッとした表情で言った。

 

「嫌でも目に入ってくるからウザイっつう話だ、勘違いすんな」

 

「…………足立さんって時々素直じゃないですよね」

 

「ねー」

 

「おい聞こえてんぞ服部」

 

思ったことをこっそりと宮藤に耳打ちしすると、宮藤もニコッとしながら小さい声で同意した。しかし、足立には聞こえていた様子だった。

 

そんな何気ない話に笑いながら昼食を取っていた4人。すると食べ終えた足立が立ち上がった。

 

「さてと……続きに行くか」

 

「あ、進也くん!」

 

「ん?」

 

立ち上がった足立に宮藤は呼び止めた。

 

「さっきミーナ中佐が来てね、今日の分はもう終わりって言ってたよ」

 

「なんだ、そうだったのか」

 

「それでね、時間まで自由にしてて良いって言うから、みんなで街を見て回ろうかって話してたの、進也くんもどうかな?」

 

「………………」

 

今日はもう自由にしていいってことで宮藤、リーネ、服部はベルリンの街を見て回る予定らしい。宮藤からの誘い、リーネと服部に足立は目を見合わせるも2人はにこやかなままで、断る理由などなかった。

 

「ああ、行くか」

 

「やったぁ!」

 

半笑いな笑みを浮かべながら答え、足立も加わると分かった途端、宮藤は大喜びした。

 

 

 

 

 

 

 

昼食を終えた4人はさっそくベルリンの街を歩くことにした。しかし、周りをみても瓦礫の山や辛うじてて残っている建物、復興に精を出している人々ばかりであった。それでも、微かに残っている街の雰囲気を4人は楽しんだ。

 

「こうやって見るとベルリンって大っきいね!ロマーニャみたい」

 

「当然ですよ、ベルリンは首都なんですから」

 

「街が復興したら楽しみだね」

 

建物(瓦礫)の多さから街の大きさがおおよそ予想がつき、の大きさに宮藤は興奮した。服部も少々興奮気味に反応し、リーネもワクワクしていた様子だった。そして足立は……。

 

「…………………」

 

瓦礫の撤去をしている親子、父と息子らしき者たちが笑顔で作業をしているのをたまたま目に入った。そして足立はその光景をジッと見ていた。

 

「どうかしましたか?足立さん」

 

「いや、なーんも」

 

服部が振り振り向くと、立ち止まってジッと見ている足立に気づき気にかけた、しかし足立は声がかかると、なにも話さず再び3人の後についていった。

 

「………あの、足立さん、先程の続きというわけじゃないんですが……」

 

「ん?」

 

再び付いてきた足立に服部は横に並び、とある質問をした。

 

「えっと……足立さんのお父さん、宗次郎博士は何故ウォーロックを考えたんですかね?」

 

「………あ?」

 

服部の疑問に足立は「何を言ってるんだ?」という神妙な表情で声が出た。

 

「だって、私たちを散々苦しめた兵器ですよ?足立さんの話を聞く限り、宗次郎博士がそんな物を考えるなんてとても……」

 

「………………」

 

足立は頭をポリポリと掻きながら間を置いて答えた。そして宮藤もリーネも話に聞き入っていた。

 

「逆に聞くがよ、服部はウォーロックをどう思ってる?敵か?味方か?」

 

「えっ……それは……」

 

服部が立ち止まって少し考えると、3人も立ち止まって服部の考えを聞いた。

 

「……敵ではないでしょうか、実際私たち戦ってきましたし」

 

「違ぇよ」

 

「えっ!?」

 

「じゃあ……味方?」

 

服部の考えを即座に否定すると服部はギョッとした驚きをした。すると、聞いていた宮藤が答えた。

 

「それも違う」

 

「なぞなぞですか!?いじわるしないでくださいよ!」

 

どちらの答えも否定され、服部はムスっとした表情で足立に抗議した。そして指を頬に当てながら考えていたリーネが答えた。

 

「どちらでもない……ってことですか?」

 

「あぁ、そうだ」

 

『!』

 

リーネの答えを聞いて宮藤と服部はハッとした表情になった。

 

「親父は100%善意でウォーロックの事を思いついたに過ぎない、科学とウィッチに関してはウソをつかなからな」

 

「……………」

 

足立が断言すると3人は黙ってしまった。

 

「んで考えてみろ、今までどんなやつがウォーロックを操ってきたか」

 

足立は指をひとつひとつ立てながら話した。

 

「軍を支配しようとして野望を叶えようとしたマロニーのオッサン、そして第3勢力としてウィッチもネウロイさえも取り込もうとした天才指揮官様」

 

3人はこれまでの戦いを思い返していた。特に服部には険しい表情が見えた。

 

「つまり操る側の人間次第でどうにもなるっつう話だ、それが今回悪徳軍人に使われただけだ」

 

「そういう……ことだったんですね……すみません、失礼しました」

 

「別に謝ることじゃねぇさ」

 

善意で考えられたことを知ると、服部は申し訳なさそうに足立に謝罪した。しかし進也は全然気にしてない様子だった。

 

「なんか……そう考えると可哀想ですね……せっかく私たちウィッチのために考えてくれたのに……こんな……」

 

「悪用される事を考えなかった親父が悪ぃんだよ」

 

「またそんなことを………」

 

宗次郎の発明が良くない方向に使われていることが分かると、リーネは不憫に思い悲しんだ顔をした。しかし足立は変わらず宗次郎に悪態をつく発言をした。それを聞いた服部は少々うんざりしていた。

 

そして足立だけ歩き出すと、服部はたまらず聞いてしまった。

 

「どうしてそんなにお父さんのことが嫌いなんですか?」

 

「………………」

 

ひとり先にいる足立は立ち止まって少し間があった。そして答えが出た。

 

「……俺をネウロイにしたからだ」

 

「えぇっ!?」

 

『!』

 

足立の答えを聞いて驚く服部。驚いたのはネウロイになったことではなく「そんな子供みたいな理由で?」というニュアンスが強かった。そして宮藤とリーネは今の発言で足立の真意に気付いた。

 

「ちょ、ちょっと足立さん!意味がよく……」

 

「静夏ちゃん!多分、足立くんはお父さんのこと嫌いじゃないよ」

 

「えっ?」

 

「ふふっ」

 

先にいる足立に追いかけようとする服部を宮藤は止めると、結論を先に言いだした。結論を聞いた服部は目を丸くし、リーネは笑みがこぼれた。足立はネウロイのコアを宗次郎自身に使わなかったことに対する不満だったものだと宮藤とリーネは受け取った。

 

そして足立は空を見上げ、宗次郎に向かって想った。

 

(……………感謝なんかしねぇからな……親父……)

 

変わらずの宗次郎への扱いは良くなかった。しかし、悪態をつく足立の顔は、僅かながら微笑んでいた気がした。

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