ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡   作:sontakeda

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第2話 信じてますから Bパート

翌日。突然、ネウロイの襲来警報が基地内に鳴り響いた。時間は朝方、ウィッチたちは起きたばかりだが出撃に向かった。

 

「………ふぁ~……………ネウロイか?」

 

ただひとり、足立だけは遅れて目覚めた。

 

身支度をし、急ぐ様子もなく足立はブリーフィングルームのドアを開けて入った。そこには宮藤、リーネ、ペリーヌ、エイラと席に座り、ミーナが教卓の前で立っていた。

 

「あー………遅れてすいません……ネウロイか?」

 

「なにを呑気なことを言ってるんですの!!!」

 

「ペリーヌさん、今はいいわ」

 

足立のずぼらさにペリーヌは激怒するが、いまはその時ではないと判断したミーナ。

 

「大型ネウロイが海上に2機現れたわ。超低速でこちらに向かってるけど、このままなら問題なく迎撃できるはずだわ」

 

「なんだ、問題ねぇじゃねえか」

 

「そういう問題じゃなくってよ!!」

 

「今回も予測とズレてるんですよね?」

 

リーネがミーナに質問をした。

 

「ええ、一昨日のズレもあったし、こんなに頻繁にくるなんて早々ないわ」

 

「………………あ?」

 

その時、足立の目の色が変わった

 

「おい中佐、いまなんつった?」

 

「えっ?」

 

「ネウロイってのは周期的にやってくるものか?」

 

「え、えぇ、一応周期的に計算して来る日を予想して備えているわ、それがなにか?」

 

「………偶然が2つ………んなわけ……」

 

足立がそうつぶやくと、顎を指で抑え、顔を地面に向けながらブツブツと言いながら考え始めた。

 

「あ、足立さん……?」

 

「なんだなんだ?コワイぞ……」

 

その姿に宮藤とエイラも少々怖がっていた。

 

「一昨日のネウロイ、今日の大型ネウロイ2機、手応えの無さ、超低速………」

 

そして足立はなにかに気づいたのか、顔を上げるといつもの不敵の笑みを浮かべていた。だが、そこに少し冷や汗が流れた。

 

「………コイツは……ちょっとマズイかもな………」

 

 

 

 

 

 

「大型ネウロイ2機確認!」

 

ガリア方面の海上に現れたネウロイを迎撃すべく出撃した坂本、シャーリー、ルッキーニ、バルクホルン、ハルトマンの5人。

 

「なんでこんなに来るのかな?」

 

「なんでもいい!現れたのなら倒すまでだ!」

 

ハルトマンの質問に投げやりに返すバルクホルン。

 

「準備はいいか?ルッキーニ!」

 

「あいさー!!」

 

シャーリーの確認にやる気満々のルッキーニの声が響く。

 

「全機攻撃を開始する!!」

 

『了解!!』

 

それぞれが二人一組になり、坂本が単身で攻撃を開始した。がしかし、攻撃を開始した直後、異変に真っ先に気づいたのはハルトマンだった。

 

「ねぇ!なんかおかしくない!?」

 

「攻撃をしてこないだと!?」

 

「どういうことだ……?」

 

坂本は咄嗟に魔眼でコアがどこにあるか確認するが……。

 

「ッ!!コアがない!?」

 

「えぇっ!?」

 

「てことは……囮か!?」

 

シャーリーはどういうことか意味を瞬時に理解した。

 

「くそッ!!ミーナ!!聞こえるか!!」

 

「ええ、聞いてたわ!」

 

管制塔から坂本の無線を拾い交信するミーナ。

 

「陽動だ!!本体のネウロイはどこに……!!」

 

「その心配はないわ」

 

「なにっ!?」

 

「今さっき、サーニャさんと私以外は出撃させたばかりよ」

 

「ホントか!それは助かる!」

 

「お礼なら彼に言ってあげて」

 

「!、アイツが?」

 

「えぇ」

 

坂本に返答するとミーナは微笑み、先程のやりとりを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

足立たちが出撃する5分前。

 

「陽動!?」

 

「あぁ」

 

足立の答えにミーナは声を上げた。

 

「ど、どうしてそんなことがお分かりで?」

 

「まず怪しいのが、襲来予測のズレが短期間で2回も起きたこと。こんなの何かあるに決まってる」

 

足立は指をひとつずつ立てながら理由をひとつずつ話した。

 

「んで2つ、大型2機が超低速でこっちに向かってる?囮になる気満々じゃねぇか」

 

足立の仮説に聞き入るウィッチ達。

 

「そして3つ、一昨日のネウロイの手応えの無さ。自分で言うのもアレだが、大型でひとりだといつもギリギリで倒してるんだ、だがそれが余裕で倒せた」

 

「つまりどういうことナンダ?」

 

「もったいぶらずにおっしゃりなさい!!」

 

「中佐、アンタなら分かるんじゃないか?手応えのないネウロイの正体が」

 

「手応えのないネウロイ………」

 

ミーナは足立の話を整理しながらか考えた。そしてハッとした表情でなにかに気づいた様子。

 

「偵察!?」

 

『!?』

 

「あぁ、俺が倒したのは偵察機。てことはどこから来るんだ?」

 

「!、一昨日の森の場所!?」

 

「その通りだ」

 

リーネの答えにニヤリとする足立。

 

「……………………」

 

「さてどうする?隊長。俺の推理を信じるか否かはアンタしだ………」

 

 

「全員、出撃準備をしてください。サーニャさんは夜間哨戒で魔法力を使い切ってるので待機でお願いします」

 

足立の問を無視するかように、隊員に指示を出した。

 

「一昨日は酷いことを言って申し訳なかったわ。虫がよすぎるのも分かってる。けど今は……隊長と隊員としてあなたを信じるわ」

 

ミーナは申し訳なさそうな顔をしたあとに、最後は足立に微笑みながら返した。その様子に足立は唖然としていた。

 

 

 

 

 

 

ブリタニア内陸部バルトランド方面にて。森の上を飛ぶウィッチたち。彼女らは銃火器を持つ中、足立だけは刀を持って飛んでいた。

 

「ホントにこっちに来るのカヨ〜」

 

「もし冗談とかでしたらただではすみませんわよ?」

 

「なーに、外れたらそれだけのことだ」

 

「少しは自分の言ったことに責任を持ってくださいまし!!!」

 

足立のいい加減さにイライラするペリーヌ。するとリーネが地平線の向こうで何かを発見した。

 

「!!、ネウロイを発見しました!!」

 

『!!』

 

リーネの声に反応して全員警戒体勢に入る。

 

「ミーナ中佐聞こえますか!?」

 

「ええ、聞こえるわリーネさん!数はどのくらいなの?」

 

「それが………………」

 

発見したネウロイの数にリーネは少しは戸惑ったが、ありのまま報告した。

 

「小型が約20機以上、大型が1機です!」

 

「随分大勢連れてきたわね………」

 

予想より多く現れて冷や汗をかくミーナ。

 

「………ワタシの未来予知みたいダ………」

 

「ふ、ふん!あんな数、わたくしの固有魔法で一網打尽ですわ!!」

 

「いや小型やっても本体倒さないと意味ないダロ………」

 

「なら本体も一緒に倒してみせますわよ!!」

 

「いやそれはムリダロ」

 

ペリーヌとエイラが痴話喧嘩する中、リーネは困惑していた。

 

「あのぅ………喧嘩してる場合じゃ………」

 

その中、宮藤は傍観している足立に近づき、あることを言い放った。

 

「足立さん!」

 

「あ?」

 

「私を……使ってください!!」

 

『!?』

 

宮藤の発言に全員驚いた。

 

「昨日坂本さんに言われたんです。もし、足立さんと一緒に出撃して、どうしようもなくなったときは足立さんを信用しろって」

 

「!」

 

宮藤の言葉に熱がこもっていた。その時、足立の頭には昨日の坂本が言っていた言葉を思い出していた。停滞するか進むか、その言葉の意味を理解し始めた。

 

「けど、私はそんな必要はありませんって言いました。なぜなら………」

 

宮藤は自然と銃を握る力が強くなった。

 

「私は最初から足立さんを信じてますから!!」

 

「宮藤………………」

 

「だから足立さん!!私を使ってください!!」

 

宮藤の言葉に周りは押し黙ったままだが、次に口を開いたのはリーネだった。

 

「あの!!私も使ってください!!」

 

「リーネちゃん!!」

 

「さっきの推理を聞いて、私も足立さんを信じてもいいと思いました!だから私もお願いします!!」

 

普段おっとりしたリーネだが、宮藤に感化されてか発言に熱がこもっていた。

 

「…………………あーもう!!!坂本少佐の命令なら仕方ありませんわね!!今だけは従ってあげますわ!!」

 

「オマエラ本気かよ………無茶な指示だけはスンナヨ?」

 

「ペリーヌさん!エイラさん!」

 

「………………」

 

賛同してくれる仲間に喜ぶ宮藤。その対照に足立は、左手で額を抑え顔を伏せていた。

 

「足立さん………?」

 

その様子は周りから見たら嫌な予感が感じられた。それに対し宮藤は心配になった。だが………

 

「………見つけたぜ、あのネウロイの攻略法が」

 

「足立さん!」

 

顔を上げるのと同時に額を覆っていた左手をどけると、足立の表情は何かを企てる笑顔になっており、宮藤も安心した様子。

 

「ペリーヌ、エイラ、お前らは小型相手に時間稼ぎ。リーネと宮藤と俺はコア本体をぶっ潰す」

 

「ワタシとツンツンメガネがか!?」

 

「誰がツンツンメガネですの!?」

 

「エイラ、お前は未来予知が使えるんだろ?てことは攻撃をかわすのや時間を稼ぐのに向いてる」

 

「!」

 

「ペリーヌ、あの雑魚どもを一網打尽にできる固有魔法があんだろ?だったらそれでエイラと時間を稼いでくれ」

 

「え、えぇ……」

 

「リーネお前は………」

 

足立はリーネの持ってる銃を見ながら考え、それを言い当てた。

 

「そんなバカでかいライフル撃ったら反動がデカイから、それを抑えるための安定させる固有魔法か?」

 

「は、はい!私の固有魔法は弾道を安定させる魔法です!」

 

「なら援護にピッタリだな」

 

足立は固有魔法を言い当てそれぞれふさわしい役割にふっていくのを見て唖然としていた。

 

「宮藤、お前は?」

 

「わ、私は……治癒魔法しか……」

 

自分の固有魔法は戦闘向きではないことで少し自信がなくなってしまった宮藤。しかし、そこにリーネがフォローに入る。

 

「芳佳ちゃんの魔法力は基地で一番です!なのでシールドも私たちより大きいのが張れます!」

 

「リーネちゃん……」

 

「シールドか………ハハッ!」

 

すると足立は、宮藤に向かって足立自身の心臓部を叩きながらこう言った。

 

「最高にピッタリな魔法じゃねえか」

 

「!」

 

「俺を守ってくれ」

 

「……はいっ!!」

 

足立から役割をもらうと、宮藤は再び元気な様子に戻った。

 

「とっととぶっ潰すぜ!!いくぞッッ!!」

 

『了解!!』

 

足立が合図を出すと、ネウロイの大群に向かって前進し始めた。

 

「このまま突っ込むから死ぬ気で付いてこいよ!!ふたりとも!!」

 

『はいっ!!』

 

密集している小型ネウロイに向かって突入することを足立は大げさに表現したが、宮藤とリーネは覚悟を決めていたため、構わず返事をした。

 

「あの中に突っ込む気ナノカ!?」

 

「いくらなんでもそんな無茶な!」

 

そんなエイラとペリーヌの言葉を無視するかのように、足立たちは少しも減速せずネウロイの密集地帯に突っ込もうとすると、ネウロイのビームの雨が迫ってきた。

 

「ハッ!!」

 

だが、そんなビームの雨でもかすりもしなかった。巧みに間を抜け、隙間を縫うように進んでいく。宮藤もリーネも足立に付いていくのでいっぱいいっぱいだった。

 

「ッ!!」

 

リーネは隊列から少しはみ出てしまいビームをかすりそうになりシールドを何度か使っているが、前の宮藤は一回も使っていなかった。

 

(やっぱりすごいや芳佳ちゃん……!ちゃんと足立さんの軌道に付いて行けてる!)

 

普段の訓練とは別人のように、宮藤は足立の後ろをピッタリ付いて行けていた。時折足立が後ろを確認すると、宮藤とリーネが居ることに心が踊った。

 

(おもしれぇヤツらだなオイ!)

 

まるで子供がおもちゃで遊ぶ感覚で足立はワクワクしていた。

 

そんな気持ちでいると、足立たちの視界はいっきに白く広がった。目の前の下方に大型ネウロイ1機が留まっていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

宮藤とリーネは肩で息をしていて、疲れが目に見えて分かる。

 

「!!、後ろから攻撃きます!!」

 

先程抜けてきたネウロイの群れの一部から、ビームを発射しようとしてるのをリーネが気づいた。だが……

 

「問題ねぇな」

 

足立がそう言うと、ビームを発射しようしていたネウロイが、銃弾の雨で次々と破壊されていった。

 

「あっ!」

 

「後ろは任せてあるんだ、問題ねぇ」

 

破壊したのはエイラとペリーヌだった。気づかぬうちに小型ネウロイたちは、ふたりを取り囲むように威圧していた。

 

「コレ相手にしろって、なかなか無茶ジャナイカ?」

 

「あら、あなたの魔法に自信が無くって?」

 

「自信が無いのはそのムネダロ?」

 

「あなたって人は!!なんて失礼なことを言って……!!」

 

「あ、よっと」

 

エイラが何かを避ける体勢になると、先程までエイラがいたところにネウロイのビームが通った。そしてそれはペリーヌの顔の横をギリギリを通ったでもある。

 

「あ、あなたねぇ!!!」

 

「お、オイ、これはちょっとヤバイんじゃナイカ?」

 

呆れを通りこして怒り心頭のペリーヌだが、エイラはネウロイがビームを一斉射撃しようとしてることが分かった。

 

「トネールッ!!!」

 

ペリーヌが固有魔法を使うと、周りに雷を発生させその場にいるネウロイたちは次々と破壊されていった。

 

「ふふん、どうですの?」

 

「すっげぇ……」

 

満足げなペリーヌに感心するエイラ。しかしペリーヌの髪はところどころ静電気をまとい、ぴょんぴょんハネていた。

 

「ペリーヌさんもエイラさんもスゴイや……」

 

ペリーヌたちとは遠くにいるリーネはそう声が漏れた。

 

「宮藤、ひとつだけ言っておく」

 

「はい?」

 

「俺が合図したら自分の足元を射て」

 

「足元ですか?」

 

「ああ」

 

「……わかりました!」

 

足立の意図が分かってない宮藤だったが理由は聞かなった、必要が無いと判断した。

 

「リーネは隊列から少し離れて援護射撃だ、できるか?」

 

「できます!!」

 

「なら……行くぜッ!!」

 

足立がそう言うと3人は、大型ネウロイに向かって突撃していった。

 

大型ネウロイからも当然ビーム攻撃が来るのだが、先程の攻撃量と比べたら大した事はないと言わんばかりに避ける足立。宮藤も機関銃で攻撃を加えながら、後を追う形で付いていってる。

 

「させない!!」

 

リーネは足立たちから少し離れ、ビームが発射される箇所を寸前で撃ち落とし、援護していた。次々と当てていき、攻撃を最小限に食い止めていた。

 

(けどこれじゃあ………)

 

「足立さん!コアの位置が分からないと長くは持たないです!」

 

「あぁ?んな心配いらねぇよ!」

 

「えっ!?」

 

無線越しの足立からの返答はあっさりしており、リーネは一瞬耳を疑った。

 

「コアは………右羽翼の中央部だッ!!」

 

「ッ!!、コアの位置が分かるんですか!?」

 

「まぁな!!」

 

そう話していると、目的の右羽翼の上にまで来ていた。

 

「今だ宮藤!!」

 

「はいっ!!」

 

先程言われた通り宮藤は自分の足元にある右羽翼に向かって、機関銃を撃ち続けた。すると、ネウロイの装甲が剥がれていくと、宝石のような赤いコアが露出されたの確認した。

 

「コアですっ!!」

 

「ッ!!」

 

宮藤がコアを発見するのと同時に、足立の先にビームを発射しようとしてるのが見えた。

 

「危ないッ!!足立さん!芳佳ちゃん!」

 

リーネは他の攻撃を防いでいて気づくのが一歩遅かった。

 

「ッ!!」

 

「!!」

 

足立と宮藤は目が合った。するとふたりはお互いの背中を利用しながらスムーズに入れ替わり、宮藤は巨大なシールドを展開した。

 

「くっ!!!」

 

その巨大なシールドのおかげで、ビームは防がれた。そして今の宮藤は防ぐことに集中した。

 

「オラァァァァァッッ!!!」

 

足立はゼロスタートからの超加速で、流れ星みたくコアに突っ込みながら切り裂いた。すると、ネウロイはうめき声らしきものを発しながら破片となって砕け散った。

 

「やった………やったあああぁぁ!!」

 

「芳佳ちゃーーーん!!」

 

「リーネちゃん!!」

 

ネウロイが撃墜したことを喜ぶ宮藤、その元にリーネは真っ直ぐ向かってきた。

 

「はぁー、ホントに倒したのカ!」

 

「なかなか……やるじゃありませんの」

 

コアを破壊したことにより、ペリーヌたちの小型ネウロイも一緒に破壊され破片となっていた。

 

「やったね!!芳佳ちゃん!!」

 

「うん!!」

 

「………宮藤」

 

「はい?」

 

「最後、何も言わず入れ替わってたが、お前には俺がしたいことを分かってたのか?」

 

「……えっと……なんとなくなんですけど、足立さんと目が合った時にこうしたいのかなって思って………」

 

「……アイコンタクトってやつかな?」

 

「あいこんたくと?」

 

リーネから聞き慣れない言葉に宮藤は首を傾げた。

 

「………ぷっ、あっはははははは!!!」

 

「っ!?」

 

「あ、足立さん!?」

 

突然笑い出した足立に戸惑う宮藤とリーネ。

 

「宮藤、お前やっぱりバカだな!いや、大バカだ!あっははは!!」

 

「えぇっ!、一生懸命やったのになんでそんな酷いこと言うんですか!?」

 

「褒めてやってるんだよ」

 

「褒められてないですよ!!」

 

「アハハ………」

 

(初見で組んでいきなりアイコンタクトだぁ?新米が簡単にできる事じゃねぇんだぞ……!)

 

足立はわざと宮藤の凄さを口に出さず、茶化すように濁した。意味が分かってない宮藤はただの悪口にしか聞こえず足立に怒りを飛ばし、リーネはそのやりとりを見てるだけだった。

 

そして足立たちは無事に基地に帰投したのであった。

 

 

 

 

 

 

その夜、足立は食堂の前の扉に立っていた。

 

「………少佐が言ってたのって案外これかもな、ハハッ」

 

足立は珍しく、今日は食堂で晩飯を食べようと思っていた。今日の戦いを見て、ウィッチ達に対する気持ちが少し変わった様子。

 

「ま、覚悟を決めますか………」

 

そう言って足立は扉を開けようとした瞬間。

 

「!」

 

扉が勝手に開いたと思ったら、反対側から宮藤が先に扉を開いた。

 

「足立さん!!」

 

「………よう」

 

「来てくれたんですね!!」

 

「たまには、な。ダメだったか?」

 

「そんなことないです!むしろちょうど良かったです!!」

 

「あ?」

 

足立が来てくれた事を心から喜ぶ宮藤に対し、いつも通りの調子。そして予想外の事を言われ足立は一瞬、声が漏れた。

 

宮藤に手をひかれて食堂に入っていくと、そこはきらびやかな装飾がされており、テーブルの上も豪華な夕飯が並べられていた。

 

「………えっと、お前らはいつもこんな豪華なモン食べてるのか?」

 

「ふふっ、違いますよ!今日は特別なんです!」

 

「特別?」

 

「あれを見てください」

 

リーネが指を指す方向を見る。

 

「歓迎会?」

 

「そ、宮藤が来たときにまともな歓迎会やってないなって思ってね。だったら一緒にしたらいいんじゃないかなって」

 

前からきたシャーリーが理由を打ち明けてくれる。

 

「シャーロット・E・イェーガーだ。よろしくな」

 

「あたしはフランチェスカ・ルッキーニ!にしし〜」

 

「……ああ、よろしくな」

 

それぞれ自己紹介をし、握手をする足立。その顔はいつもより固くなかった。

 

「リネット・ビショップです。よろしくお願いします」

 

「リーネは愛称か。いやだったか?」

 

「いえ!これからもそう呼んでください!」

 

リーネは嬉しそうに返してくれた。

 

「ペリーヌ・クロステルマンですわ。その……一昨日の件については……」

 

「あーツンツンメガネか、よろしくな」

 

「なっ!!だからその呼び方はやめてくださいまし!!」

 

足立とペリーヌのやりとりに笑い声が聞こえた。

 

「エイラ・イルマタル・ユーティライネンだ」

 

「サーニャ・v・リトヴャクです……」

 

「ああ、よろしくな」

 

足立がエイラと握手し、次にサーニャと握手しようとすると、エイラがそれを阻止してきた。

 

「あんだよ?」

 

「言っとくがサーニャには触れるナヨ?」

 

「は?」

 

「サーニャには悪い虫が付かないようにしてるんだカラナ!」

 

「エイラ………」

 

「……あー了解了解」

 

エイラの言葉にあっさり引いた足立。

 

「エーリカ・ハルトマンだよー、よろしくね!」

 

「ああ、この部隊じゃ1番強いんだってな」

 

「強いってだけなら私だけじゃないかな?ほら!トゥルーデ!」

 

みんなが自己紹介で駆け寄ってる中、バルクホルンは席に座っていたが、ハルトマンに呼ばれ渋々やってきた。

 

「ほら、自己紹介」

 

「わかってる!………ゲルトルート・バルクホルンだ」

 

「ああ、よろしくな」

 

握手を求めようとするが、バルクホルンは手を出さなかった。

 

「言っとくが、私はお前を認めたわけじゃないぞ」

 

「………ああ、それでいい」

 

そのままふたりは握手をしなかった。バルクホルンはそのまま席に戻った。

 

「ごめんなさいね、悪気はないのよ」

 

「別に構わないさ、ああいうのは居たほうがいい」

 

やってきたミーナはバルクホルンの代わりに謝るが、足立はなんとも思っていない様子。

 

「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケよ、ようこそ。ストライクウィッチーズへ」

 

「はいよ、中佐」

 

爽やかな笑顔で握手を求めるミーナに対し、足立はミーナとは違った笑顔で返し握手をした。

 

「坂本美緒だ、今日の活躍は宮藤たちから聞いたぞ。よくやったな」

 

「褒めるならアイツらだろ。言ったことをやってくれたんだから」

 

「はっはっはっ!!もちろん褒めてやったさ!そしてお前もやってくれたひとりだ。褒めないわけないだろ」

 

「へいへい、ありがとさん」

 

足立はぶっきらぼうにお礼だけは言っといた。

 

「さぁ、自己紹介も終わったところで、みんな食べましょう。今日は豪華なんですから」

 

ミーナが仕切り直すと、全員席に着き待ってましたと言わんばかりの喜びよう。

 

「今日は足立さんのリクエストで作りました!」

 

みんなの席の前には、椀がひとつ蓋をされていた。

 

「足立のリクエスト?なんなんだよ」

 

「扶桑の代表料理って言ってたみたいですけど」

 

「開けてみてください」

 

シャーリーが珍しそうに聞くとリーネは聞いたことを話した。宮藤に言われ全員蓋を開けた。すると、椀から美味しそうに湯気がたちのぼった。

 

「!」

 

「!、こいつは………」

 

蓋を開けた瞬間、足立が嗅いだことある匂いに目を見開いた。坂本はひと目見てなんの料理なのかピンときた。

 

「うわぁ美味そうな匂いだな!」

 

「なにこれ美味しそう!!」

 

匂いに食欲がそそるシャーリーとルッキーニ。他のみんなも好評な様子。

 

「これってなんて言う料理なのかな?」

 

「肉じゃがだ」

 

リーネの質問に足立が先に答えた。

 

「はい、扶桑では家庭料理の定番なんです。家庭によって味付けが少し変わってくるので、それぞれの味が楽しめて面白いですよ」

 

「なるほど、たしかに扶桑の代表料理かもしれないな」

 

「…………………」

 

足立は肉じゃがを見つめたまま箸を取った。

 

「………いただきます」

 

「はい!」

 

足立は煮たじゃがいもを一口、くちに運び食べ、味わい、飲み込んだ。

 

「………………」

 

みんなが心配そうに足立を見るが、足立はずっと黙ったままだった。と思った瞬間、ようやく口が開いた。

 

「………ははっ」

 

最初に出た言葉が笑い声だった。

 

「俺、肉じゃがは人生で初めて食うんだ。今までまともな料理なんか食べたことなんてあまりなかったしな」

 

足立はポツポツと語りだした。

 

「なのに……コイツは懐かしい味がする………あたたかい味だ………」

 

「……少しでも扶桑のことを思い出して頂けるかなと思って、今日は出しました」

 

「そうか………」

 

宮藤の理由に、足立は腑に落ちしばらく肉じゃがを見つめたままだった。かと思ったら今度は椀を手に取りがっつくように食べ始めた。その様子に宮藤も、他のメンバーも自然とにこやかになった。そして足立の椀はあっという間に空になりそれを宮藤の方に向けた。

 

「おかわり、あるか?」

 

「はい!」

 

足立はおかわりを要求し、宮藤は喜んで椀に肉じゃがを注いだ。この日食べた肉じゃがを501メンバーはずっと忘れないだろうと足立も宮藤も思った。

 

 

 

 

 

つづく




お疲れ様です。

第2話ということで実質宮藤回ですね。好きなキャラなだけあってすんなり話作りがスムーズに書けました。これを書いてる頃は美味しんぼを見ていたのもあって食がキーワードになってしまいました。けど料理が好きな宮藤には丁度いいかなと。
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