ストライクウィッチーズ 大空の傭兵の軌跡   作:sontakeda

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第3話 もうこわくない Aパート

某日。ミーナはブリタニア連邦総司令部の作戦司令室に呼び出されていた。そこは薄暗く、正面の豪華そう椅子に座ってる年配の者がふたり座っていた。ひとりはブリタニア首相、もうひとりは空軍大将、トレヴァー・マロニー。ふたりは怪訝な顔をして、対面に立たせているミーナに問いかけた。

 

「この報告書はホントかね?」

 

「はい、間違いありません。坂本美緒少佐の魔眼で、ネウロイのコアがあることを確認しました」

 

首相の問いに簡潔に答えるミーナ。

 

「だとしたら、すぐに身柄を拘束して差し出せば良かったのでは?」

 

「はい、私も最初はそう考えました。ですが、上層部の安全性を考えた結果、私たちストライクウィッチーズで監視し匿うのが最良かと至りました」

 

「それはどうしてかね」

 

「コアを持った足立進也は、驚異的な身体能力を持ち、ネウロイの再生能力まで持ち合わせています。厳重に拘束したとしても、暴れて被害が出るか、逃走を図ると思います」

 

ミーナは真剣な顔で淡々と理由を述べていった。

 

「ですが、私たちウィッチーズがいれば、足立進也も手出しできない。むしろ泳がせていれば戦力にも繋がります」

 

「なるほど………」

 

首相は納得した表情だったがマロニーは解せない顔をしていた。

 

「しかし、戦力を独り占めするのはどうかと」

 

「お言葉を返すようですが、マロニー大将はその少年とふたりきりで食事ができますか?」

 

「なに?」

 

ミーナとマロニー大将は睨みをきかせる。それを見かねた首相は咳払いをし、ミーナに一言いった。

 

「理由は分かった。特例を認めよう」

 

「ありがとうございます」

 

「首相!いいのですか!?そんな未知な者を迎え入れて!」

 

「なにかあったときの為のウィッチーズ隊、ではないかね?」

 

「ぐっ………」

 

首相の言い分にマロニー大将は言い返せなかった。

 

「ご安心ください。私たちウィッチーズが全力を持ってお守りします」

 

「うむ」

 

首相のふたつ返事を頂くとミーナは作戦司令室から退出した。その司令部の廊下でミーナはこう思った。

 

(まさかホントに上手くいくなんて………)

 

そう、これは足立の作戦だった。足立がやってきた日、基地に留めておくことに懸念を感じていた。上層部が認めるかどうか、だがそれは足立にとって問題ないと思っていた。その時、彼はこう言っていた。

 

 

 

 

 

 

「上がバカじゃなきゃこの入隊は問題なく通るさ」

 

「どういうこと?」

 

「考えてみろ、こんな危険人物をどこに置いておくのが1番安全なのか。保身の為だったらありがたく此処に置いてくれるだろうさ」

 

「そうかしら………」

 

「あと、アンタが俺を大袈裟に言ってくれれば完璧だな、ハハッ」

 

 

 

 

 

 

(全ては彼の手のひらで踊ってる、ってわけね……)

 

ミーナはそのやりとりを思い出しながら、足立への疑念を抱く。歓迎会では歓迎していたが、完全には信用できていない様子。

 

(もしもの時は………覚悟したほうがいいみたいね)

 

ミーナの目は何かを決意する目に変わっていた。

 

 

 

 

 

 

快晴。雲がほとんど見当たらない基地の滑走路では3人で走ってる人物がいた。

 

「はぁ………はぁ………はぁ………」

 

「も………もうダメぇ………」

 

滑走路を息を切らして今にも倒れそうに走っているのはリーネと宮藤だった。

 

「ペースが落ちてるぞ!!」

 

その様子を監督していたのは坂本だった。

 

『は………はいぃぃ………!!』

 

坂本の激を喰らってリーネと宮藤は姿勢を正してなんとか走り直そうとした。

 

「て………てか………なんで俺も………何だよッッ!!」

 

そして宮藤たちより早いペースで走っていたのは足立だった。自分もなぜ訓練参加させられているのか疑問に思った。

 

「お前は正式に部隊に入隊したからな!宮藤たち同様の扱いをするのも当然だ!」

 

坂本は聞こえてるかも怪しい理由を述べていた。

 

「だからって…………なんで宮藤たちの3倍あるんだよッッ!!」

 

宮藤たちの滑走路15往復に対し、足立は45往復することになっていた。

 

「お前も扶桑の男だろ?だったら大和魂を魅せてみろ!」

 

「んなもん……関係……ねぇだろうがぁぁぁぁ!!!!」

 

足立はそんな叫びを上げながら滑走路を往復していた。

 

 

 

走り込みを終え、リーネと宮藤は息を切らしながら地面に倒れるように休んでいた。

 

「仕方あるまい、次の訓練は午後からだな」

 

「は………はいぃ……」

 

宮藤はかろうじて返事をしたが、リーネは声も出ない様子。その直後にドサっという音が聞こえてきた。

 

「はぁ………はぁ………はぁ………も……もう………無理だ………」

 

足立が近くで大の字で倒れ込む音だった。

 

「ほう!キチンと走りきったじゃないか」

 

「う…………うっせ………」

 

疲弊しきった足立は坂本の言葉に少々イラッときた。

 

「午後の訓練も期待してるからな。はっはっはっ!!」

 

坂本が基地に向かって歩くが足立は疲労困憊でなにも言い返せなかった。

 

 

 

 

 

 

訓練を終え、宿舎の廊下を歩く足立と宮藤とリーネ。足立はひとりイラついた顔をしながら話し始めた。

 

「あの少佐、ぜってぇ俺のことキライだろ……」

 

「そんなことないよ。坂本さんはいつもあんな感じだよ?」

 

「それにしたって3倍はねぇよ……」

 

「ふふっ」

 

「笑うなよ!!!」

 

宮藤がクスッと笑うと足立はツッコミをいれた。

 

「ねぇリーネちゃん、汗いっぱいかいちゃったから一緒にお風呂行こ?」

 

「あ、うん、そうだね」

 

宮藤と足立のやりとりを見ててリーネは一瞬反応が遅れた。

 

「あ、でも足立くんもお風呂使いたいよね?」

 

「俺はあとでいいから使い終わったら教えてくれ。部屋で時間つぶしてるから」

 

「わかった!ありがとう!」

 

宮藤は元気いっぱいな笑顔で返した。それを見ていたリーネは、なにか気にしているような表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

「ん~!やっぱり訓練のあとのお風呂は気持ちいいよねリーネちゃん」

 

お風呂場にやってきた宮藤とリーネはとても大きい浴槽に浸かりながら疲れを癒やしていた。

 

「………ねぇ芳佳ちゃん」

 

「うん?」

 

「気になってたんだけど……足立さんを「くん」づけで呼んでたけど……アレって……」

 

「あぁ、歓迎会のあと足立くんが同じ扶桑出身だから敬語なんて使わなくていいって言うから。歳もリーネちゃんと同じだし、私もこっちのほうが話しやすいしね」

 

「……な、なんだぁ………」

 

「?、どうしたのリーネちゃん?」

 

(てっきりすごく仲良くなってるからそういう関係になってたかと思ってたけど……違ったんだ……)

 

リーネの気になることが解消されて、いっきに気が抜ける顔をしていた。その表情に宮藤は頭にはてなマークを浮かべていた。

 

「いいなぁ芳佳ちゃん。足立さんと普通に話せて……」

 

「なんで?」

 

「私、あまり男の人と話したことなくて、足立さん相手だと緊張しちゃって……」

 

リーネが話し始めると、その表情は次第に暗くなっていってしまった。

 

「もっと気楽に話せればいいんけどな……」

 

「なら一緒に練習しようよ!」

 

「練習?」

 

「リーネちゃんが足立くんに緊張しなくなるまで付き合ってあげるよ!」

 

「芳佳ちゃん……」

 

宮藤の優しさにリーネは感謝の念を送った。

 

「……でも練習ってどうするの?」

 

「えっ?えっと……うーん……」

 

宮藤は頭を少し捻りながら唸った。そしてハッとした表情でリーネに提案をした。

 

「そうだ!リーネちゃんの得意分野があるよ!」

 

「私の……得意分野?」

 

「うん!」

 

心当たりが思いつかないリーネは首をかしげた。その作戦を話し合った後にふたりはお風呂場から上がっていった。

 

 

 

 

 

 

午後の訓練の後、宿舎のオープンカフェにて。ひとつの円卓のテーブルに、宮藤、リーネ、ペリーヌ、足立と揃ってお茶会をしていた。

 

「んで?言われた通り来てやったけど、これは?」

 

「親睦会だよ!」

 

「は?」

 

足立は内容を知らされずやってきたみたいで、宮藤から内容を聞くと腑抜けた声が漏れた。

 

「せっかくだからみんなでお茶して仲を深めようってことで……」

 

「またなんか企んでるだろお前」

 

「そ、そんなことないよ!」

 

図星を突かれたことに宮藤は少し動揺した。

 

「それに、なんでわたくしもですの?わたくしはお茶会をするってことできたんですが?」

 

「ペリーヌさんも仲間外れにしたらかわいそうかなって……」

 

「あ、あなたはどれだけ上からモノを言ってるんですの!?」

 

「ち、違いますよ!そういうつもりで言ったんじゃなくて!」

 

宮藤とペリーヌは相変わらず水に油の関係である。

 

「ったく、とにかくお茶飲んでればいいんだろ?」

 

「あ、あの……」

 

宮藤とペリーヌのやりとりに呆れる一歩手間になりながら、足立は半ばやけくそな言い方をするとリーネが割って入りテーブルに小さいカップケーキのような焼き菓子を出してきた。

 

「良かったら、これも食べてみてください…」

 

「菓子か?」

 

「うん!とにかく食べてみて!」

 

宮藤に勧められるまま足立は、手に取りそのまま一口かじった。

 

「………………」

 

「……ど、どうですか?」

 

リーネは恐る恐る聞いてみた。

 

「……美味いな」

 

「!、ホントですか!?」

 

「ああ!菓子類はあまり食べたことなかったけど、こりゃ何個でも食べたくなるな」

 

「だって!リーネちゃん!」

 

「うん!」

 

足立の絶賛の言葉に、宮藤とリーネは歓喜した。

 

「ホントに、紅茶とよく合いましてよ。どこのお店のやつですの?」

 

「これ、リーネちゃんが作ったんですよ」

 

「まぁ!」

 

「へぇー、すげぇな」

 

「そ、そんなことないです……」

 

ふたりは素直に感心し、リーネは恥ずかしいという気持ちが出てきて赤くなった。

 

「お茶会ってのは時々やってんのか?」

 

「は、はい!定期的にみなさんで集まってやってます!」

 

「なら、今後の楽しみが増えたな」

 

「えっ?」

 

足立の発言にリーネは目を丸くした。

 

「こんな美味いものが出るんだったら、参加してもいいんじゃないかって思ったんだ」

 

「わたくしも、これなら喜んで参加しますわ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「えへへ」

 

「………………」

 

リーネの笑顔をみて、宮藤は一緒に喜んだ。その様子を見た足立は何かを察したのか、口元がふっとにこやかになった。

 

「なぁリーネ、これなんて言うんだ?」

 

「はい!それはスコーンって言うお菓子で……」

 

リーネは嬉しそう声で足立に話し始めた。そして楽しい親睦会は成功で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

夕食後。みんなはブリーフィングルームに集まっていた。明日のネウロイ迎撃の作戦についての話し合いで招集された模様。

 

「明日の迎撃作戦の確認だ」

 

教卓の前にはミーナと坂本が立っており、黒板には説明がしやすいよう地図を張っていた。

 

「敵はカールスラント方面からやってくる。大型が1機、小型が5機。おそらく大型の護衛機だろう」

 

坂本の話を淡々と聞いてるみんな。しかし、宮藤の横にいる足立は、机に肘をつきながら顎を手で支え、聞いてるのかも怪しい顔をしていた。

 

「出撃するのは私とミーナ、バルクホルンとハルトマン、足立とリーネでロッテを組む」

 

「!」

 

リーネは足立と組むと聞かされると顔を足立の方へ向けた。しかし足立は表情ひとつ変わらなかった。

 

「大型は私とミーナでやる。その他の者は小型が邪魔に入らないようフォローを頼む。以上が作戦だ、なにか質問はあるか?」

 

坂本の作戦になにも不満はないと思った。だが、今まで静かにしていた足立が、ゆっくり手を上げるのを坂本は確認した。

 

「!」

 

「足立くん……?」

 

「なんだ足立、言ってみろ」

 

そう言って足立は椅子から立った。その様子をみんな凝視した。

 

「その偵察隊の報告書って見せてくれるか?」

 

「………ああ、構わない」

 

坂本はなにか考えがあるのかと一瞬、頭をよぎり承諾した。そして足立は教卓の前まで歩き、たどり着くと坂本から資料に目を通し始めた。

 

「………………」

 

「……なにか問題でも?」

 

たまらずミーナは聞いてみた。

 

「いんや、全然、完璧だ。問題なく完璧な作戦だ」

 

足立の感想は気持ち悪いほどべた褒めだった。それを見た坂本は業を煮やし足立に問い詰めた。

 

「言いたいことがあるなら言ってみろ」

 

「ホントに完璧な作戦だって思ってる、ただ……」

 

足立は再び資料に目をやった。

 

「完璧すぎてなにかあるんじゃないか?って思っただけさ」

 

まるで脅すような言葉に、坂本とミーナは目を合わせた。

 

「もしかして、またなにかあるっていうの?」

 

「それは分からないさ、実際戦ってみたわけじゃないし。ただ最悪のシナリオは考えおかないとな」

 

「最悪のシナリオだと?」

 

「例えば小型機相手に全滅するとか」

 

「それは無いわ。坂本少佐をはじめ、バルクホルンやハルトマンが付いてるもの。そうなる前に撤退だって視野に入れてるわ」

 

足立の思いつきはミーナに一蹴された。

 

「なるほど、なら安心して戦えるってわけか。失礼しました、中佐、少佐」

 

足立は敬意がこれぽっちも感じられない敬礼をし、席に戻っていった。

 

「………………」

 

(全滅は無い……ないがそれ以外になにがあるって言うんだ?)

 

坂本は足立の最後の言葉に疑問を持った。これ以上の最悪のシナリオが他にあるのか、今の坂本には思いつきもしなかった。

 

 

 

 

 

 

翌日。前日の作戦通り、坂本たちはカールスラント方面に向かいながら飛んでいた。先頭には坂本とミーナ、間にはバルクホルンとハルトマン、後方は足立とリーネで隊列を組んでいた。

 

「足立、聞こえるか」

 

耳に付けているインカムを抑えながら坂本は足立に話しかけた。

 

「ああ、聞こえてるぞ」

 

「お前にとっては初めてのロッテだ。二番機のことを考えながら戦うんだ」

 

「わーってるよ、連携とって潰せばいいんだろ?」

 

「そういうことだ」

 

話が早くて助かる坂本は、心配はなさそうとわかり口をニッと笑った。

 

「てーことだリーネ。この前みたいな援護よろしくな」

 

「は、はい!」

 

(足立さんの足を引っ張らないようにしないと!)

 

昨日の親睦会で足立と少しだけ距離が縮まったのもあり、リーネは迷惑をかけまいと真剣な表情になった。

 

「!、敵機確認!!」

 

「作戦開始よ!!」

 

『了解!!!』

 

ミーナの掛け声により、それぞれロッテを組みながら散開した。そして作戦通り、それぞれの相手にするネウロイに向かっていき攻撃を開始した。

 

「まずはコイツらを離すぞ!!」

 

「はいはーい!おりゃあ!!!」

 

バルクホルンとハルトマンは2機の小型機に攻撃し、あえて大型から離すように移動しながら応戦していた。

 

「リーネ!すれ違いざまに片方撃て!」

 

「はい!!」

 

もうひと塊になっている小型機2機の間を飛行し、右側のネウロイをリーネの対装甲ライフルで撃ち抜き、左側のネウロイを足立が刀で切り刻みながら通過した。

 

「どうだリーネ!追ってきてるか?」

 

足立の言葉にリーネは後方を確認する。すると、小型機2機とも足立たちに向かってきているのをが見えた。

 

「2機とも追ってきてます!!」

 

「成功だ!釣られやがった!!」

 

バルクホルン組と足立たちのおかげで、大型と小型1機だけが孤立した形になった。チャンスと言わんばかりに坂本はミーナと連携を取った。

 

「よし!ミーナ!雑魚は任せるぞ!!」

 

「ええ!!」

 

坂本は魔眼を使いながらビームを防ぎ、コアの位置を特定した。場所は下方部、魚で言う腹にあたる部分だった。

 

「そこか!!」

 

コアの位置が分かると、坂本は一目散に飛んでいった。

 

「邪魔はさせないわよ!!」

 

小型ネウロイが坂本にビームを発射しようとしたが、寸前でミーナの攻撃によりビームの位置が外れた。

 

「どこに居ようとお見通しよ」

 

そう、ミーナの固有魔法は空間把握能力。範囲内の敵の位置を把握することができるのだ。

 

一方、バルクホルンたちはそう時間も掛からないうちに、小型2機を難なく破壊してしまった。

 

「ミーナたちは!?」

 

「多分大丈夫なはず!それよりアッチのほうが……」

 

ハルトマンが気にかけていたのは足立たちだった。様子を見てみると、ネウロイ2機に追いかけられてる様子だった。

 

「どうしましょう足立さん!!」

 

「んなもん決まってるだろ!!」

 

リーネの前方を飛んでいた足立は、乗っているボードを手で前面に持っていき、そのまま宙返りをした。

 

「えっ!?」

 

突然の出来事にリーネは呆気を取られ、足立はそのまま追ってきたネウロイに向かっていった。

 

「さっさとぶっ潰すぞ!!!攻撃だ!!」

 

「は、はい!!」

 

突発的な切り替えにリーネは少しもたついたが、体勢を建て直すと援護する構えに入った。

 

ネウロイに向かって突進する足立。敵も傍観するわけもなく、ビームを数発発射してきた。しかし慣れた足立は一発も当たらない。

 

「誰が当たるかよ!んなもん!」

 

そして再び、すれ違うのと同時に攻撃を入れていく足立。

 

「次で仕留めるぜ!!」

 

順調そうな足立に対して坂本たちは少々苦戦していた。

 

坂本が大型のふところに潜り込んだのがいいが、ビームの雨でなかなか近づけられなかった。

 

「クソッ!警備は硬いみたいだな!!」

 

「美緒!大丈夫!?」

 

「今のところな!!だが長くは持たん!!」

 

ミーナも小型ネウロイに苦戦していた。ミーナの実力不足ではない、この小型機は俊敏性に特化したタイプだからである。

 

「ネウロイがこんな作戦をしてくるなんて………」

 

前日言っていた足立の発言が脳裏によぎったがすぐに振り払ったミーナ。ビームを防いでいる坂本も同じことを思っていた。最悪のシナリオが起きるんじゃないかと。

 

「これは……まずいか……ッ!!」

 

「シュトゥルム!!!」

 

坂本が撤退を考えようとした時、、ネウロイの前を風の塊が通り過ぎた。その塊の正体はハルトマンの固有魔法だった。彼女の固有魔法は疾風(シュトゥルム)、自身に強力な嵐を起こすことである。その固有魔法のおかげで、大型のネウロイのコアが露出した。

 

「!!、コアを発見した!!」

 

「今です!!少佐!!」

 

「ああ!!助かる!!!」

 

合流したハルトマンとバルクホルンのおかげで活路が開き、坂本はコアに向かって扶桑刀で一刀両断した。

 

「はああああああああ!!!」

 

コアは真っ二つに切られ、大型のネウロイはうめき声を上げながら白い破片となって破壊された。そしてミーナが苦戦していた小型ネウロイも一緒に消滅した。

 

「コアの破壊を確認!!」

 

「やったぁ!!!」

 

「よし!!」

 

「ッ!!待って!?」

 

ミーナだけはひとり神妙な表情をしていた。

 

「まだリーネさんたちが戦闘中だわ!!」

 

「なに!?」

 

「コアは破壊したじゃん!!」

 

「とにかく合流するぞ!!」

 

『了解!!』

 

4人は坂本の指示によりリーネたちのもとへ向かっていった。

 

一方、足立たちは、大型ネウロイを倒したのにも関わらず、小型機2機がまだ生き残っていた。

 

「リーネ!!お前のタイミングで仕留めろ!!」

 

「はい!!」

 

動きが素早い小型ネウロイで、リーネの狙撃で当てるのは困難。しかしそんなそんなことを言ってる暇はなく、リーネはどうすれば当たるのか考えた。

 

(どうすれば………そうだ!芳佳ちゃんの時みたいにやれば……動きは素早いけど動き方は単純、だったらそこを予測すれば………いける!!)

 

リーネは前に宮藤と一緒に倒した時の、偏差射撃をやろうとしていた。動き方のパターンを見極め、当てられるタイミングを図っていた。

 

「撃ちます!!」

 

「これで、終わりだ!!!」

 

足立もリーネとは別の小型機を狙っており、攻撃範囲内に収まろうとしていた。その時………!

 

「ッ!?」

 

(なんだ?この違和感………)

 

足立は攻撃する直前、嫌な予感が走った。しかしその正体は掴めない。確認するため、後方を横目で確認した。

 

(まさかッ……!!)

 

リーネが狙っているネウロイが、足立の後ろにいたのである。小型とはいえリーネに近づいている為、先にいる足立の存在は見えていない。

 

「撃ってはダメ!!リーネさん!!」

 

合流しかけたミーナが固有魔法で状況を把握し、リーネに指示を仰ぐが遅かった。無線とのタイムラグもあるが、狙撃に集中していたリーネは反応が鈍く、ミーナが言い終えるのと同時に狙撃してしまった。

 

「ッッ!!!」

 

足立の後ろにいたネウロイは見事撃ち抜いたが、先にいる足立にも弾丸が飛んできた。しかし足立は事前に察知しており、身体を捻りながら避けようとしたが、わずかに脇腹を掠めた。だが怪我の功名か、突き抜けた弾丸は足立が狙っていたネウロイにも当たり、撃破した。

 

「…………えっ?」

 

リーネからは脇腹を抑える足立の姿が見えた。何が起きたのかすぐには理解出来ず呆然としていた。

 

「足立君!!」

 

「足立!!大丈夫か!!」

 

合流したミーナと坂本は、脇腹を抑えてる足立のもとにやってきた。

 

「なんとかな。こんなかすり傷はすぐ治せるさ」

 

傷を最小限に抑えたことにより、大事には至らなかったみたいだ。

 

「それにしてもリーネはよくやってくれたとおも……」

 

「足立さん!!!」

 

傷を負いながらもリーネを讃えようとした時、一際大きな声が響いたのはリーネの声だった。状況をようやく理解し、足立の側に寄った。その時リーネは全身が震えていた。

 

「あ、あの………私……わたし………」

 

その表情は、赤ん坊が今にも大泣きしそうな、目に涙を溜めていたリーネの表情だった。

 

「かすっただけだろ?そんな泣きそうにならな………」

 

足立なりに気を使ってか余裕そうに見せようとすると、リーネは足立の左手を両手で握り自身の額に当てながらこう呟いていた。

 

「ごめんなさい……ごめんなさい………」

 

「………リーネ……」

 

顔は伏せたままだったが今のリーネの表情はおおよそ察せた足立。リーネからは大粒の涙が噴水のように溢れ出て、そのままひたすら謝罪していた。

 

 

 

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