メイジンの娘 作:アリスとテレス
少女にとって、GBNの宇宙は心地の好い場所であった。
上がなければ下もなく、左も右も存在しない、上がることも落ちることもない宙ぶらりんの空。
あるいは、好きな時に好きな方向へと泳いで行ける暗闇と星の輝きの隙間でたゆたう海。
データという性質上、どこまでも広がる現実の宇宙のように無限というわけではない。果ては在る。有限だ。
それでも十分に広大であるのだから、有限であることを気に留めるほど少女はワガママではない。
ただ、どうして好きなのかという、明確は理由はなかった。
輪郭の曖昧な『心地好さ』が、判然としない『好き』が、胸の内にあるだけだった。
「――」
少女は――ダイバーネーム『カナメ』は唇を横一文字に結び、黙したまま、泥のように黒く濁った瞳に青く煌めく地球を映していた。
彼女の乗るガンプラ――藍色に塗装されたガンダム0号機の改造機『
ガンダムの象徴ともいえる『口』を平坦なマスク形状に替え、ツインアイを隠すようにバイザーを被せた顔は、より試作機らしさを醸し出していた。
「――綺麗」
それは彼女の口から洩れた言葉であった。
あの地球の上では、生命という星がまばゆく輝ているのだろう。
そうロマンチックに思ったらこそ、零れ落ちた言葉だったのだ。
「けれど」
カナメの双眸がすぅっと細められる。視線は地球から外れ、レーダーマップに注がれた。
複数――三つの赤い光点が表示され、カナメのガンダム
ガコンッ、と背部右側に備えたドラム式フレームに接続した武器を懸架するためのマウントアームが可動し、先端に懸架したロングバレルの大口径ビームライフルを右脇に通す。
それは原型機の物よりも大型で、ともすればレッドウォーリアのハイパーバズーカ砲と同等であった。
長大。まさしくそんな言葉が似合う武器だ。
後部に折り畳まれたようなパーツを取り付けた大口径ビームライフルを右腕に持つと、振り向きざま、右斜め上に向けて一発、撃ち放った。
凝縮された青白いビームが一筋の光条となり、暗黒の宇宙の向こう側に吸い込まるように消え――熱でできた雲のような桃色の花を一朶、宇宙の暗闇に咲かせた。
「一つ」
淡々と結果を言葉し、認識を強める。
撃破した相手の名前がデータパネルに表示される。
ガンダムデュナメス。
それはガンダム00に登場する主役側のガンダムの一機で、射撃戦に特化した性能を有したモビルスーツだ。
太陽炉による無限に近しいエネルギーを保有する脅威のメカニズムこそあるが、それはあくまで原作での設定にすぎないことを、カナメは知っている。
狙撃にも適した性能をもっているが故に、カナメは最初にガンダムデュナメスを狙ったのだ。
恐らく相手は、この距離で攻撃を当ててくるとは思っていなかったのだろう。
予想よりも予想以上に、放ったビームはあっさりとガンダムデュナメスを貫いて熱の花に変えた。
味方が撃破されたことで、残った二つの光点の動きが変わった。
一つはその場で止まり、もう一つはそのまま突っ込んでくるような動きだった。
それを見てカナメはさして不思議がることもなく、視界の端にマップを置くことで適度に確認しつつ、メインカメラが表示する宇宙空間を見据える。
「来る」
直後、警告音が響き渡る。
暗闇の向こうで、一瞬、光が強く煌めいた。宇宙に灯る星ではない。それはビームの光条だ。
ただし通常のビームライフルよりも太い、圧倒的な破壊を意志を内包した一撃。
IフィールドやGNバリアのようなビーム属性の攻撃に対して強い防御効果を発揮する特殊機能や装甲をもたなければ、直撃した瞬間にゲームオーバー、即ち敗北に直結するほどの威力だ。
しかし、カナメは慌てることもなく、ガンダムBBのスラスターを噴かすことで、半身となってギリギリのタイミングで避けてみせた。
瞬間、構えた大口径ビームライフルを、奔流の如く継続して照射されている極太のビームの射線に沿うようにして撃った。
一発、二発、三発。それぞれ微妙に発射角度と威力を変化させて放った。
極太のビームの射線に沿うようにして放たれた光条は――二朶目の花を咲かせた。
「二つ」
データパネルに表示され機体名は――ガンダムヴァーチェ。
先ほどのデュナメスと同様、ガンダム00を出典とするガンダムで、モビルスーツ同士の戦闘よりも対軍や要塞攻略に適した重装甲高火力の砲撃タイプの性能に偏っている。
高い火力と防御力を有している反面、機動力は他のガンダムと比べて下がるが、この分厚い装甲は外装でもあり、緊急時にはそれらをパージすることで、軽装型とも言える細身のモビルスーツ――ガンダムナドレになることもできる。
だからこそ一発目を当てることで怯ませ、態勢を整える前に二発目で分厚い装甲を貫き、三発目で外装に開いた隙間から中のナドレに直撃を当てて撃破したのだ。
《よくもやりやがったなぁ!》
オープン回線で甲高いキンキン声がカナメの耳朶を打つ。
見れば、飛行形態のガンダムキュリオスが真っ直ぐに向かってきていた。
ただしその色合いは後継機であるアリオスガンダムのバリエーションの一つ、アリオスガンダムアスカロンの意識したであろう薄い赤色に彩られていた。
各部からコードのようなものが露出しているのも見て取れる。恐らくはGN粒子を効率良く伝達するためのものなのだろう。
「思い切りがいいわね」
キュリオスのダイバーの言葉に返したわけではない。
その迷いのないマニューバを見て、呟いたのだ。
ガンダムBBが大口径ビームライフルを構える時間を与えないよう、キュリオスは連射性を強化したペッパーボックス型の四連装GNビームサブマシンガンを連射する。
カナメはガンダムBBの左腕に装備した面積を抑えた小型シールドで直撃弾を防ぎながら、相手の攻撃の散漫さから、自分をこの場に縫い留めるための牽制射撃であることを確信した。
……そうとすれば。
目まぐるしく雨のように飛来するGNビームサブマシンガンの光弾を捌きながら、カナメはキュリオスが一気にこちらに迫ってきていることを認識する。
《墜ちろよやぁ!》
キュリオスは左右から突き出た翼状ブレードの刃を輝かせ、ガンダムBBを切り裂かんと突撃をしかける。
GNビームマシンガンの牽制射撃によって相手の動きを妨げた状態で見舞うこの一撃は、キュリオスのダイバーにとってはある種の必殺のコンボであった。
そんなことを知らないカナメは、キュリオスのマニューバを見切りながら、小型シールドの先端に備えたクリアパーツの刃で翼状ブレードを受けた。
火花が散り、擦れ合う音が両機の間で響き、すれ違うようにキュリオスはガンダムBBの後方へ受け流された。
《こ・な・ち・く・しょおッ!》
ガキャンッ、と瞬時にモビルスーツ形態へ変形し、GNビームサブマシンガンを連射。
防がれたとはいえ、キュリオスの位置はガンダムBBの背後。絶好のチャンスだ。
しかし、カナメは背部左側にドラム式フレームを操作し、接続されたマウントアームに懸架されたレドーム形状の装置を起動。
ギュイィィィ、と独特な音を立ててレドーム装置の装甲が
直後、到来したGNビームサブマシンガンの光弾が溶けるように弾かれた。
《Iフィールドかッ!? だったらぁ!》
自身の攻撃が防がれたのを見て、キュリオスのダイバーはすぐに効果の薄いGNビームサブマシンガンを投げ捨て――
《トランザムッ!》
キュリオスの各部から露出したコードと装甲の一部が赤く発光する。
それはガンダム00に登場する特殊機能であり、ガンダムに搭載された時限強化システムだ。
詳細は省くが、一定時間、機体出力を通常の三倍まで引き上げるというものである。
本来ならば全身が赤く発光するのだが、キュリオスのそれは一部だけという控えめなものであった。
「あの発光パターン、まさか初期案のもの? ……中々好き者ね、貴方」
《へへへ、そうだろ!? って違う! こんにゃろう覚悟しやがれッ!》
腰部装甲裏からGNビームサーベルを引き抜き、赤い軌跡を描いて斬りかかった。
……思ったよりも速い。
間合いから大口径ビームライフルでは分が悪いと判断。マウントアームからパージする。
代わりに腕部に内蔵した固定式ビームサーベルを発振し、あえて待ち構える。
《どぉりゃあッ!》
バヂリッ!
エネルギーとエネルギーが衝突し、灼熱の飛沫を散らしながらスパークを発する。
キュリオスはガンダムBBと鍔迫り合うのではなく、機動力を活かした
初撃は受け流されたが、そのまま背後を取る形で離脱。
トランザムにより強化された出力を存分に利用することで、すぐさまターンし、再び斬りかかる。
二撃。三撃。四撃。五撃。
斬り合うたびにスパークが激しく暗闇に光る。
六撃目で左腕が溶断された。
七撃目で右脚が切り飛ばされた。
八撃目で頭部を貫かれた。
《な、なんなんだ……》
キュリオスのダイバーが驚愕と動揺に震える声をあげる。
《なんなんだ、オマエはよぉーッ!?》
今やキュリオスは左腕と右脚、そして頭部を失って中破状態にあった。
対してカナメのガンダムBBはまったくの無傷のまま、悠然と宇宙空間に佇んでいた。
同時に、キュリオスのダイバーは気づいた。
戦い始めてから今まで、ガンダムBBはその場からほとんど動いていなかったということに。
そして、そのあまりにも淡々と機械的な動きから、バトルしていても全く『楽しい』という気持ちが感じられなかったことにも。
「あなたの動き」
《――あ?》
「もう慣れたから」
《なッ!?》
「少なくとも学びにはなったわ。ありがとう」
言下にガンダムBBを加速させ、トランザム状態のキュリオスが反応するよりも早く腕部ビームサーベルで両断していた。
カナメはキュリオスを蹴り、慣性で離れることで爆発から逃れる。
「三つ」
爆炎の光に照らされながら、カナメは確認するように呟く。
その背後に――黒塗りのガンダムエクシアが現れた。
《今だッ! 姉御の仇ぃッ!》
バサリッ。
機体を覆っていたマントを脱ぎ捨て、GNソードを展開し迫る。
完全に死角からの攻撃――そのはずだった。
《ぬあッ!?》
大口径ビームライフルを懸架していたマウントアームが動き、その先端に取り付けたビームサーベルがエクシアのコックピットを貫いていた。
「今までステルスコートで隠れていたのね」
《な、なぜ……》
「一機だけいないなんてこと、ないもの」
ビームサーベルを放し、マウントアームを使ってエクシアを突き飛ばす。
振り向くことなく、爆発音だけが背後で轟いた。
「四つ」
呟く。
その直後、バトル結果を告げるシステム表示と電子音声が空間に響いた。
【Winner――カナメ】と。
⁎
四対一という変則的なフリーバトルを終え、カナメはGBNセントラルロビーに戻る。
流れるような黒髪を大雑把に括り、口元を隠すほど長い、赤に染まった襟元が特徴的な、黒色の外套を纏ったダイバールックをしていた。
カナメは前髪をかき上げる代用品としても使用していたバイザーめいた独特な形状のサングラスを、泥のように濁った双眸を隠すように下ろした。
そこでふと、自身のもとへ足場で近づいてくる人影に気が付く。
見れば、毛先の青くそれ以外が燃えるような赤色のツンツンヘアーで、悪役を意識したかのようなパンクファッションとセーラー服を掛け合わせたような服装を纏った少女姿のダイバーだ。
八重歯を剥き出しに、鋭い目つきの四白眼でカナメを睨め付けながら、そのダイバーはカナメの傍へズンズンと大股でやって来た。
GBNでのカナメの身長が170㎝ほどなら、少女の身長は150㎝ほどだろうか。
何にせよ身長差によってカナメは少女を見下ろす形に、少女はカナメを見上げる形となった。
「よぉ、さっきぶりだな!」
「貴方は確か……ええと……?」
「ラファガ様だ! オマエと戦ったキュリオス……キュリオスロッソのダイバー! これでも熱風のトランザム使いラファガ様なんて自称してるし、今じゃちょこっと噂されてんだぜ!」
「……自称だったの? それで、私に何か用かしら?」
「おぉ、そうだったそうだった。正直、色々と言いたいことはあるが、とりあえずGGだったぜ。さっきのバトル」
「そう。ありがとう」
ラファガと名乗った少女ダイバーの言葉に、カナメは淡々と返すのみだった。
そんな彼女の態度に、ラファガは釈然としない表情で眉根を歪める。
「ま、いいや。ところでオマエ、中々良ーい技量だったじゃねーか。油断してたとはいえ、このラファガ様を倒すなんざ! よかったら、このラファガ様のフォースに入れてやってもいいんだぜ!」
「フォース?」
「そうだ! まぁ、まだ名前決まってなくて作ってないんだがな! どうだ?」
どこか自慢気に胸を張って鼻を鳴らすラファガを見て、カナメは「変わった子ね」という感想を抱いた。
「遠慮しておくわ」
「そうかそうか! オマエのような奴がいれば百人力――はぁ!? 何でだよ!? ラファガ様直々にスカウトしに来てやったってのに!」
「だって貴方」
「な、なんだよ?」
「噂ほど強くなかったもの」
「な、な、な、ななな……なんだとテメェーッ!?」
顔を真っ赤にして、地団駄を踏みながらラファガが怒鳴った。
カナメはそれだけを告げて踵を返す。
後ろから「待てこんにゃろう!」や「もう一度勝負しろ」だの聞こえてくるが、もはや関係ないとばかりに歩き去っていく。
「いつか! 絶対に! リベンジしてやる! 待ってろよ!」
「――そう。じゃあ待ってるわ」
「うぇッ!? お、おう! 待ってろよ!」
まさか反応が返ってくるとは思っていなかったのだろう、ラファガはびっくりしたように声を裏返して叫んだ。
カナメはその言葉を最後に、セントラルロビーを後にした。
その後、既に何度も挑戦している、相対する敵機がランダムのタイムアタックミッションを当然のように数分でクリアしてからログアウトしたのだった。
⁎
ダイバーギアを取り外し、カナメは「ふぅ」と息を吐いた。
長い黒髪を払い、背もたれに全体重を預けながら、天井を見上げる。
その瞳は、ダイバールックと同じか、それ以上に黒く濁って、光を宿していなかった。
死んだ魚のような目。死人の目。彼女の瞳は、そういった類の、熱を宿さない冷めたものだった。
「あまり良い収穫はなかったわね」
あるとすれば、初期ラフデザインを再現したガンダムキュリオスを見れたことだろうか。
そう考えながら、カナメはガンダムBBを仕舞い、腰を上げてGBNブースを後にした。
GBNブースを出ると、ガンプラの箱が積まれた空間が彼女を迎えた。
ここはキリシマホビーショップ。その一店舗である。
射出成型機のシェアの大半を占めるフローレンス工業の社長夫妻が、自分たちの娘の名前を店名にしたのが始まりだと言われており、その子煩悩ぶりが何となしに解ろうというものだ。
とは言え、そんなことはカナメには関係がない。
軽く店内を見て回り、明るい茶髪の少女やゴットン・ゴー似の定員とすれ違いながら、何か目ぼしいガンプラはないかと探したが、あまりピンとくるものがなかったため、そのまま店を出た。
外は既に夕焼けに染まっており、遠くに見える空は夜のヴェールを見せていた。
「タイムアタック、5分は切れた。後はどう効率的に倒せるか……ガンダムBBではあれが限界? いいえ、まだ改善の余地はあるはず……このまま3分を切れば、きっとお父さんも褒めてくれる……また明日にでも……」
ブツブツと小声で呟きながら歩き出そうとして――
「あの!」
つと、横から声をかけられた。
顔を向けると、そこにはショートボブの明るい茶髪の少女が立っていた。
年の頃はカナメと同じくらいだろうか。レトロチックなワンピースを着飾っていた。
無地の色の暗いシンプルなズボンとシャツを着れるからとりあず着ただけのカナメとは違って、しっかしとお洒落でかわいらしい姿であった。
そんな少女は、丸い瞳をキラキラと輝かせながら、カナメを見ている。
「……何かしら?」
「はじめまして! わ、わたし、
言われて、そういえばさっきすれ違ったような気がする、と思い出す。
「確かにすれ違ったような……それで?」
「その、いきなりでごめんなさい! も、もしよかったら、わたしと――お友達になってください!」
ババっと頭を下げられ、手を差し出された。
さしものカナメもギョッとしたが、ユメノから感じとれる雰囲気は本気そのものだった。
「……いきなりね。理由を聞いてもいいかしら」
その言葉に、ユメノはハッとして顔を上げた。その顔面はほのかに紅潮しているようだった。
「一目惚れです!!!!!!」
「――うん?」
「店内で見かけたとき、すごく綺麗な人だなって思って! それで!」
「そ、そう」
ユメノの言葉に宿る熱意に押されて、カナメは一瞬たじろいだ。
正直、断るのが普通なのだろうとは思う。
しかし、目の前のユメノの瞳は真っ直ぐで、真剣そのものだった。
カナメ自身もあまり人と関りがなかったこともあって、どう反応していいかも解っていなかった。
そこでつと、ユメノの手にしている袋に気が付いた。
「それ、買ったの?」
「あ、これ、ですか? はい、買いました!」
「好きなの、ガンプラ?」
「えへへ、実はわたし、そこはあんまり詳しくなくて……親戚の子がガンダム好きだって聞いて、わたしもちょっと気になって……」
カナメの問いに、恥ずかしそうに首を傾けながら、ガンプラの入った袋を掲げた。
「何を買ったか訊いても?」
「看板とも言えるガンダムを買いました!」
そう言って袋から出して見せたガンプラを見て、カナメはピシリと固まった。
それは『HGUC 1/144 RX-78ガンダム』ではなく『HGUC 1/144 RGM-79ジム』であったからだ。
確かにジムもガンダム作品の看板ともいえる存在ではあるが。
カナメは袋の紐を掴むユメノの手をしっかりと握った。
「ほぁぁ!?」
「解ったわユメノさん。お友達になりましょう」
「本当ですか!?」
「ええ、そして――」
カナメの瞳が、不気味に光った。
「ガンダムのこと、みっちり教えてあげるわ」
「――えぇ?」
「そうと決まれば早速、お店に戻りましょう。それと、それはガンダムではないわ。ジムよ」
「え、ジム? でも白い奴ってみんなガンダムじゃ?」
「違うわ。全然、違うわ。まずはどれがガンダムで、どれがガンダムじゃないか教えてあげるから」
「あ、はい。よろしくおねがいします! うへへへ、もう手を繋いじゃったぁ……」
鼻の下を伸ばしてにやけるユメノの顔は、それでも整っていて、可愛らしくあった。
……可愛らしい?
自分がそんなことを考えたことを自覚し、彼女に毒されたのではなかと不安になった。
「そういえば、あなたの名前、まだ聞いてなかった!」
「……カナメ。
そして、その名前を知る者は彼女をこう呼ぶ。
かつて二代目メイジンと呼ばれた男の忘れ形見――『メイジンの娘』と。
・カナメ(フタシロ・カナメ)
GPD、あるいはそれ以前の時代――二代目メイジンと呼ばれた男の、娘。
長い黒髪と泥のように濁った瞳の少女。ただ顔が良い。
ブロウイング(退屈/つまらない)という名を冠するガンプラを駆り、相手はともかく自身はまったく「楽しい」を感じさせない無機質な戦い方をする。
ダイバールックは襟元の赤い黒い外套を纏った少女姿。
襟は口元を隠すほど高く、またバイザー形状のサングラスをかけている。
GBNを始めてからほぼずっとタイムアタックミッションばかりをこなしていたため、ダイバーランクはC留まり。
今回はたまたま近くにいたラファガたちに挑まれたのでバトルとなったという経緯がある。
・ユメノ・ツナグ
ビビっと来たら即行動。自称誰よりも前向きで、何よりも明るい少女。
ガンダムは知っているが知識は乏しい上に「全部ガンダムじゃないの!?」「人型なのにどうして変形する必要があるの!?」と言ってしまうタイプ。
たまたま見かけたカナメのクールな雰囲気に惚れて友達になろうと急接近するも、ジムをガンダムだと思って買ってしまったことでガンダム知識のなさが露呈し、それが却ってカナメのガンダム馬鹿っぷりに火を点けてしまった。
当初は親戚の子がガンプラ好きだったため、ちょっとだけ興味がでてその日のうちにガンプラを買いに来ていた。
・ラファガ
悪役っぽい感じのパンクファッションとセーラー服を掛け合わせたような服装の少女ダイバー。
毛先の青い、真っ赤なツンツンヘアーで、八重歯と四白眼が特徴。
絶賛売り出し中の新進気鋭で、フォースを組めるCランク帯。
ただしフォース名は決まっていないため、フォースは未設立。
自称「熱風のトランザム使い」。最近はちょっとだけ噂になったことで嬉しい。
自身を「ラファガ様」「アタシ様」と呼ぶ。
使用ガンプラは薄い赤色に染め、初期ラフデザインを基に独自に再現したキュリオスロッソ。